ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 誕生日

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水銀燈「…もしもし、薔薇水晶?明日の学校の事だけど、有給使って休むわね。」
その日、私は久しぶりに薔薇水晶に電話をかけた。
彼女は、「…まだ残ってるの?」なんて失礼なことを言っていたが、ちゃんと確認するように指示して私は電話を切った。
それにしても、何でよりによって明日が夏休みの登校日なんだろう…。
そう、この日だけはどうしても人に会いたくなかった。
だからこそ…そんなもの無くなれば、わざわざ有給の逆算なんかして意識することも無かったのに…。
何も考えず、一日が過ぎ去るのを待っていられたのに…。
明日…それは私の24歳の誕生日だった。


水銀燈「…とにかく、明日は余計なことしないでね…。じゃ、またね。」
メイメイにそう電話すると、私はベッドにもぐった。
しかし、電気を消しても私はいつまで経っても眠りにつくことが出来なかった。
誕生日なんて、なくなればいいのに…。そうすれば、くだらない事を思い出さずにすむのに…。
そう…元々、友達なんていない事…そして、誕生日が夏休み中にあるということもあって、私のことを祝ってくれる人間はいつも幼馴染のメイメイと、お母様だけだった…。
母子家庭ということもあって、家計は相当苦しかったはずだ。
しかし、お母様はいつも自分の身を削って、その全てを私に注ぎ込んでくれた。
小さな家に不釣合いな、バースデーケーキや豪勢な食事…そして、高価なプレゼント…
その全てに、私は本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった…。
それは、自立して数年たった今でも、私の心に焼き付いていた。
私さえいなければ、お母様はお父様と幸せに暮らせたはずだし、こんな苦労をかけずに済んだはず…
そう…明日は贖罪の日…。私が、生まれたことを後悔するための日…。


そして次の日…外は、まるで事前に示し合わせたかのように大雨が降っていた。
時計を見ると、時刻はすでに午後5時…寝る前、最後に時計を見たときが午前7時だったから、さしずめ10時間ほど寝たことになる…。
そして、あと7時間ほどすればこの苦痛から開放されるはずだった。
しかし、食欲もわかないので、一階のエントランスの集合ボックスまで新聞を取りに行こうとした時、思いもよらない…いや、起こってはならない事が起こってしまった。
…真紅が、他の教師全員…そして用務員全員を引き連れてやってきた。


全員「せーの…ハッピーバースデー!!」
一瞬呼吸を整えると、みんなは私に向かってそう言った。
そして、訳が分からぬまま私は自分の部屋へと押し戻された。
翠星石「…な、何ですか…この家は…!?おめー、こんな広いところに一人で住んでやがったんですか!?」
金糸雀「キャー!!この家具、カッシーナのかしらー!!羨ましすぎかしらー!!」
思い思いに、感想を述べる一同。そういえば、この部屋に入ったことがあるのはメイメイと薔薇水晶と雪華綺晶…そして雛苺の4人だけだったっけ…
そして、やっと全員が落ち着いたところで、私は事の真相を問いただした。


水銀燈「…で、こんな馬鹿げたことを企画したのは、一体どのお馬鹿さんかしらぁ?私が歳をとるのがそんなに嬉しいわけ…?」
その言葉に、押し黙る一同…。その時、あの真紅がぽつりぽつりと事の真相を語りだした。
真紅「ごめんなさいね…。私が余計なことを覚えていたばっかりに、こんなことになってしまって…。でも、みんなあなたの誕生日を祝うためにここへ来たの。それだけは、分かって…。」
そういえば、真紅も1度だけ私の誕生日に来たことがあった。
しかし、それは何年も前の話…。それをこの子は今日まで覚えていたなんて…。
そんなことを考えながら押し黙っていると、それぞれは私にプレゼントを手渡した。
その中身は、手鏡…オルゴール…バイオリンの形をした角砂糖入れ…観葉植物…及びその手入れ用品一式…電子辞書…安眠枕…『くんくん探偵』とかいうアニメのDVD…薔薇の入浴剤…苺のバースデーケーキ…お菓子詰め合わせ…万年筆…そして『ディスカバリーチャンネル 世界の名戦車TOP10』というタイトルのDVD…
そしてそれらを受け取った後、真紅はあるものを取り出し、こう言った。


真紅「これ…ずっと前にあなたにプレゼントして、高校の時につき返されたやつ…。JUMって子…知ってるでしょう?その子が直してくれたの…。」
それは以前、私が『決別の証』としてバラバラにして返した、クマのブーさんのぬいぐるみだった。
それを私に見せると、真紅はさらにこう言った。
真紅「本当はね…すぐにでも返そうと思ってたの…。でも、あなたはいつも私を目の敵にした…。だから、こんな遅くなってしまったの…でも…」
真紅の言いたいこと…それはもうこの時点で明白なものだった。
かつて私の全てを奪ったもの…。それを拒絶しようと思えば簡単に出来るはず…
でもその時…私の口から言葉を発することは出来なかった。
真紅「でも…私はあなたと仲良くなりたかったの…。それで、助けになれればと思ってた…。もちろん、同情でもなんでもなく…純粋な気持ちとして…。」
しんと静まり返る室内…。そして、真紅は最後にこう言った。
真紅「ねぇ…一緒の高校を出たみんなが、もう一度こうやって集まるのも何かの縁だと思うの…。だから、もう一度始めから…」
その言葉に対し、私は少し考えた後でこう答えた。
「…ま、期待しないことね…。」
と。


…その後、水銀燈は真紅からそのぬいぐるみを受け取ると、それを棚の上に飾った。
高級家具や高級インテリアグッツがひしめく中で、その古ぼけたぬいぐるみは異質なものに見えた。
しかし、それでもなお水銀燈は、そのぬいぐるみを部屋に飾り続けた。
その日、他のみんなに貰ったものと同様に…




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