正午、整備の施された山道で1人の男が立ち尽くしていた…。
?「……さて、どう出るべきでしょうか。」
彼の名は零度。背が2メートル半ばもある大男である。
白いコートを身に纏っており、顔は仮面で覆われている。
零度「財前…、貴様の好きにはさせん!……とりあえず、Sさんの保護から行きますか。」
彼は車に乗り、アクセルを踏んだ。行く先はもちろんS氏のいる所である。
後部座席には二人乗っていた。ピンク色の装束と茶色の装束をそれぞれ身に纏っている。
その二人もまた仮面を被っており、正体はよく分からない。
零度「ここがSさんの家…。」
見た感じはそれなりに大きな豪邸である。しかし人の気配がまるでない。
ほんとにここに住んでるのかと疑問に思うくらいである。
インターホンを鳴らしても全然でない…。
するとそこへ老婆が話しかけてきた。
老婆「今日はSちゃん秋葉原に行ってていないよ。」
零度「秋葉原に?……話はずれるがこの家にSさん以外は住んでないんですか?」
老婆「ええ。両親はずっと出張中らしくて帰ってきたとこ見たことないよ。まったくなんて親だい!?
一人ぼっちにするのも可哀想だからあたしたちが面倒見てあげてるんだけどね……。」
零度「そうだったんですか……。」
Sさんに親なんていませんよ……。何故なら、彼女は人工的に造りだされたのだからな!!
秋葉原。
S氏が今いるという街だ。オタクという者が多くいるらしく、
彼らからは聖地という呼び名で呼ばれている。
今度は後部座席にいた二人が車から降り、S氏を探しに向かった。
零度「けっこう人が多いですね。探すのに骨が折れそうだ……。」
だがそんな予想とは裏腹に10分後、S氏が見つかったらしい。
彼はそこへ車を向かわせた。
到着した場所は人気のない寂れた路地。そこにあの二人もいた。だが様子がおかしい。
零度「どうしました?」
茶色の装束の者が指差した方向を見てみるとそこには目も当てられぬ状態の
S氏が仰向けの状態で倒れていた。
服は完全に破かれ、ブラジャーとショーツをさらけ出していた。
蹴られたのか体中に靴の跡がいくつもあり、気を失っている。
零度はあまりの光景に怒りで拳が震えていた。
零度「だ、誰がこんな真似を……?!」
とにかくすぐにS氏を手当てしなければと彼女に近づいた瞬間、誰かの声がした。
?「俺たちの大事なブツに触らないでもらおうかぁ?」
周りを見渡すと不良の群れが零度たちを取り囲んでいた。
不良A「へへへ、今日は荒稼ぎができそうだぜ。」
不良B「痛い目に会いたくなかったらとっとと金だせやぁ!」
零度「金をだせだと?まさかそこの女性も…?!」
不良B「金をだせっつってんだよ!!」
不良Bは零度に向けて思いっきり金属バットを振り下ろした。
しかし、零度はそれを難なく受け止めた。
不良Bはそれを振り払おうとするがビクともしない。
零度「……貴様らがゴミくずで安心した。これで何のためらいもなく貴様らをぶっ殺せる。」
不良Bからバットを取り上げると今度は零度が不良Bの頭をバットで思いっきり殴った。
あまりの勢いに大きな音が鳴り、バットも少し凹んでいた。
不良Bは白目になり、頭から血を吹きながら倒れた。何人かはそれを見て怯えていた。
零度「巴さん、雛苺さん、こいつらは殺しても大丈夫ですよ。」
巴「殺人罪に問われそうだけど、ま、いっか。仮面で正体分からないし。」
雛苺「悪いやつはヒナのかぎ爪でズタズタにしてやるのー!」
巴は剣を、雛苺はかぎ爪をそれぞれ取り出し、臨戦態勢に入る。
不良A「た、たった三人にびびってんじゃねえ!やっちまえ~!!」
一斉に飛び出す不良たち。
次の瞬間、一瞬不良たちの前を風がよぎった。
その約3秒後、不良たちは鮮血を撒き散らしながら倒れる。
実は雛苺が目にも止まらぬ速さで不良たちを引き裂いていたのだ。残りは不良Aのみ。
不良A「ひ、ひぃぃぃっ!こ、殺さないでくれ!!」
巴「うわぁ、見苦しい。自分だけ命乞いして助かろうなんて。」
不良A「か、勘弁してくれよぉ。俺たちマジで金に困ってたんだよぉ。」
巴「あなたたちってそんなに貧乏だったの…?」
不良A「はぁ?お前、馬鹿?誰が貧乏なんて言った?俺たちは遊ぶ金に困ってんの!」
それを聞いた巴は不良Aに近づき、剣を真上にかざした。
不良A「何だよぉ!?お前らだって遊ぶときぐらいあるだろうがぁ!
そのために相手ぶん殴って金奪って何が悪いんだよぉ!!」
巴「………最低。」
それを言うと巴は不良Aに勢いよく剣を振り下ろした。
不良Aは悲鳴をあげる間もなく、真っ二つになった。
零度「さて、Sさんを安全な場所へ運びましょう。」
零度はS氏の体を白いタオルで覆うと車に乗せ、路地を跡にした。
いくつか疑問が残った。
零度とは何者なのか?財前教授のことを知っているようだが……。
何よりも疑問なのは巴と雛苺が見ず知らずの零度に付き従っていたこと。
何か弱みでも握られているのか?それとも……。
今のところ不明な点が多すぎて何とも言えない。
翌日。水銀党本部。
彼らは朝のニュースにくぎづけになっていた。
その内容は“秋葉原路地猟奇殺人事件”である。
水銀党1「うっわ~、すげえな。不良50人をたった3人で皆殺しだってよ。」
水銀党2「…奴ら化け物か?」
水銀燈「お馬鹿さぁん、化け物に決まってるじゃなぁい。
喧嘩慣れした不良50人を普通の人間3人で皆殺しにするのは無理な話よぉ。」
名無し「一番の問題はS氏がその事件以来、行方が分からなくなっていることです。」
めぐ「もしかして射撃部に…。」
水銀燈「それはないわぁ。向こうはS氏がいなくてけっこう慌てふためいているみたいよぉ?」
龍「射撃部よりも早くS氏を保護しないといけませんね。
とりあえず俺は彼女が姿をくらました秋葉原周辺を探してみますよ。」
水銀燈「お願いねぇ。私たちも他を当たってみるわぁ。」
おあ氏の自宅。
おあ氏もニュースを見ていた。すでに彼の頭は真っ白になっていた。
おあ「くそぉ、俺が無理やりにでもS氏についていけばこんなことには……。」
S氏を守れなかったこと、それ以前に彼女を一人にしてしまった自分に腹を立てていた。
同時に後悔もしていた。故に彼の目から涙が溢れていた。
彼はS氏の無事が確認されるまで引きこもりの状態になってしまった。
某所。
財前「なにぃ、Sが行方不明だと!?」
雪華綺晶「…申し訳ありません。S氏が乗ってると思われる車に追っ手を派遣したんですが全員やられてしまって……。」
財前「精鋭な射撃部ともあろうものが狙った獲物を逃がすとはらしくないな。奴らは化け物なのか?」
雪華綺晶「分かりません。……ただ、侮れない相手なのは確かです。」
財前「(まさかあの究極の出来損ないが生きているのか?!…ハハハ、そんなわけないか。
あの時たしかに生命活動を停止させたはずなんだ……。)」
“究極の出来損ない”とは何か?
財前はプロジェクト・ミリオン以前にも何かを造っていたのか?
謎は深まるばかりである……。
?「……さて、どう出るべきでしょうか。」
彼の名は零度。背が2メートル半ばもある大男である。
白いコートを身に纏っており、顔は仮面で覆われている。
零度「財前…、貴様の好きにはさせん!……とりあえず、Sさんの保護から行きますか。」
彼は車に乗り、アクセルを踏んだ。行く先はもちろんS氏のいる所である。
後部座席には二人乗っていた。ピンク色の装束と茶色の装束をそれぞれ身に纏っている。
その二人もまた仮面を被っており、正体はよく分からない。
零度「ここがSさんの家…。」
見た感じはそれなりに大きな豪邸である。しかし人の気配がまるでない。
ほんとにここに住んでるのかと疑問に思うくらいである。
インターホンを鳴らしても全然でない…。
するとそこへ老婆が話しかけてきた。
老婆「今日はSちゃん秋葉原に行ってていないよ。」
零度「秋葉原に?……話はずれるがこの家にSさん以外は住んでないんですか?」
老婆「ええ。両親はずっと出張中らしくて帰ってきたとこ見たことないよ。まったくなんて親だい!?
一人ぼっちにするのも可哀想だからあたしたちが面倒見てあげてるんだけどね……。」
零度「そうだったんですか……。」
Sさんに親なんていませんよ……。何故なら、彼女は人工的に造りだされたのだからな!!
秋葉原。
S氏が今いるという街だ。オタクという者が多くいるらしく、
彼らからは聖地という呼び名で呼ばれている。
今度は後部座席にいた二人が車から降り、S氏を探しに向かった。
零度「けっこう人が多いですね。探すのに骨が折れそうだ……。」
だがそんな予想とは裏腹に10分後、S氏が見つかったらしい。
彼はそこへ車を向かわせた。
到着した場所は人気のない寂れた路地。そこにあの二人もいた。だが様子がおかしい。
零度「どうしました?」
茶色の装束の者が指差した方向を見てみるとそこには目も当てられぬ状態の
S氏が仰向けの状態で倒れていた。
服は完全に破かれ、ブラジャーとショーツをさらけ出していた。
蹴られたのか体中に靴の跡がいくつもあり、気を失っている。
零度はあまりの光景に怒りで拳が震えていた。
零度「だ、誰がこんな真似を……?!」
とにかくすぐにS氏を手当てしなければと彼女に近づいた瞬間、誰かの声がした。
?「俺たちの大事なブツに触らないでもらおうかぁ?」
周りを見渡すと不良の群れが零度たちを取り囲んでいた。
不良A「へへへ、今日は荒稼ぎができそうだぜ。」
不良B「痛い目に会いたくなかったらとっとと金だせやぁ!」
零度「金をだせだと?まさかそこの女性も…?!」
不良B「金をだせっつってんだよ!!」
不良Bは零度に向けて思いっきり金属バットを振り下ろした。
しかし、零度はそれを難なく受け止めた。
不良Bはそれを振り払おうとするがビクともしない。
零度「……貴様らがゴミくずで安心した。これで何のためらいもなく貴様らをぶっ殺せる。」
不良Bからバットを取り上げると今度は零度が不良Bの頭をバットで思いっきり殴った。
あまりの勢いに大きな音が鳴り、バットも少し凹んでいた。
不良Bは白目になり、頭から血を吹きながら倒れた。何人かはそれを見て怯えていた。
零度「巴さん、雛苺さん、こいつらは殺しても大丈夫ですよ。」
巴「殺人罪に問われそうだけど、ま、いっか。仮面で正体分からないし。」
雛苺「悪いやつはヒナのかぎ爪でズタズタにしてやるのー!」
巴は剣を、雛苺はかぎ爪をそれぞれ取り出し、臨戦態勢に入る。
不良A「た、たった三人にびびってんじゃねえ!やっちまえ~!!」
一斉に飛び出す不良たち。
次の瞬間、一瞬不良たちの前を風がよぎった。
その約3秒後、不良たちは鮮血を撒き散らしながら倒れる。
実は雛苺が目にも止まらぬ速さで不良たちを引き裂いていたのだ。残りは不良Aのみ。
不良A「ひ、ひぃぃぃっ!こ、殺さないでくれ!!」
巴「うわぁ、見苦しい。自分だけ命乞いして助かろうなんて。」
不良A「か、勘弁してくれよぉ。俺たちマジで金に困ってたんだよぉ。」
巴「あなたたちってそんなに貧乏だったの…?」
不良A「はぁ?お前、馬鹿?誰が貧乏なんて言った?俺たちは遊ぶ金に困ってんの!」
それを聞いた巴は不良Aに近づき、剣を真上にかざした。
不良A「何だよぉ!?お前らだって遊ぶときぐらいあるだろうがぁ!
そのために相手ぶん殴って金奪って何が悪いんだよぉ!!」
巴「………最低。」
それを言うと巴は不良Aに勢いよく剣を振り下ろした。
不良Aは悲鳴をあげる間もなく、真っ二つになった。
零度「さて、Sさんを安全な場所へ運びましょう。」
零度はS氏の体を白いタオルで覆うと車に乗せ、路地を跡にした。
いくつか疑問が残った。
零度とは何者なのか?財前教授のことを知っているようだが……。
何よりも疑問なのは巴と雛苺が見ず知らずの零度に付き従っていたこと。
何か弱みでも握られているのか?それとも……。
今のところ不明な点が多すぎて何とも言えない。
翌日。水銀党本部。
彼らは朝のニュースにくぎづけになっていた。
その内容は“秋葉原路地猟奇殺人事件”である。
水銀党1「うっわ~、すげえな。不良50人をたった3人で皆殺しだってよ。」
水銀党2「…奴ら化け物か?」
水銀燈「お馬鹿さぁん、化け物に決まってるじゃなぁい。
喧嘩慣れした不良50人を普通の人間3人で皆殺しにするのは無理な話よぉ。」
名無し「一番の問題はS氏がその事件以来、行方が分からなくなっていることです。」
めぐ「もしかして射撃部に…。」
水銀燈「それはないわぁ。向こうはS氏がいなくてけっこう慌てふためいているみたいよぉ?」
龍「射撃部よりも早くS氏を保護しないといけませんね。
とりあえず俺は彼女が姿をくらました秋葉原周辺を探してみますよ。」
水銀燈「お願いねぇ。私たちも他を当たってみるわぁ。」
おあ氏の自宅。
おあ氏もニュースを見ていた。すでに彼の頭は真っ白になっていた。
おあ「くそぉ、俺が無理やりにでもS氏についていけばこんなことには……。」
S氏を守れなかったこと、それ以前に彼女を一人にしてしまった自分に腹を立てていた。
同時に後悔もしていた。故に彼の目から涙が溢れていた。
彼はS氏の無事が確認されるまで引きこもりの状態になってしまった。
某所。
財前「なにぃ、Sが行方不明だと!?」
雪華綺晶「…申し訳ありません。S氏が乗ってると思われる車に追っ手を派遣したんですが全員やられてしまって……。」
財前「精鋭な射撃部ともあろうものが狙った獲物を逃がすとはらしくないな。奴らは化け物なのか?」
雪華綺晶「分かりません。……ただ、侮れない相手なのは確かです。」
財前「(まさかあの究極の出来損ないが生きているのか?!…ハハハ、そんなわけないか。
あの時たしかに生命活動を停止させたはずなんだ……。)」
“究極の出来損ない”とは何か?
財前はプロジェクト・ミリオン以前にも何かを造っていたのか?
謎は深まるばかりである……。