ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 水銀燈とインターンシップ

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真紅「あ…凄い企業から、インターンシップの募集が来てるわよ。水銀燈、あなたも行ってみる?」
ある夏休み直前の日、真紅は送られてきた手紙を見ながら水銀燈に話しかけた。
ちなみにインターンシップとは、学生が一定期間企業等の中で研修生として働き、自分の将来に関連のある就業体験を行える制度のことで、就職を控えた学生にとっては大変有意義なものである。
しかし、もはや学校で勤務している水銀燈にとっては、全く意味の無いもののはずだった。
手紙の内容も見ずに、水銀燈はぶっきらぼうに返答する。
水銀燈「やぁよ。何が楽しくて、夏も働かなきゃいけないのよ?」
その様子を見て、真紅は残念そうにため息をつき、こう言った。
真紅「…いいの?せっかく、ヤクルト本社からお誘いが来てるのに…」
水銀燈「何で、それを早く言わないの!?行くに決まってるじゃない!!」
こうして、水銀燈は他の生徒と一緒に、ヤクルト本社で働くことになった。


水銀燈「A君、プレゼン用の資料は人数分しっかり用意できた!?」
社員A「はい!バッチリです!!」
社員B「しかし…あの『くんくん探偵』で、うちの商品を毎回使ってくれるなんて、未だに信じられませんよ!!」
水銀燈「ふふ…喜ぶのはまだ早いわよぉ…?全ては、このプレゼンにかかってるんだからぁ…。」
インターンシップ開始から、約1ヵ月後…学校の夏休み期間が終わっても、水銀燈はまだヤクルト本社で働いていた。
会社に入るやいなや、水銀燈はめきめきと頭角を現し、市場を席巻した。
この1ヶ月あまりに水銀燈が結んだ契約は、もう片手では数えられないぐらいになっており、会社の中でも重要な位置を占めるまでになっていた。
水銀燈「さぁ…今日もみんな、張り切っていくわよぉ…♪」
そう、みんなを激励する水銀燈。そこへ、1人の社員がやってきた。
社員C「水銀燈さん。あの、薔薇水晶という方とそのお連れ様がお見えになってるんですが…」
水銀燈「…今日も来てるの?あの子も暇ねぇ…。ま、そんなのほっといていいわぁ…。とにかく、今はこっちのほうが重要なんだからぁ…♪」
そう言うと、水銀燈は意気揚々と会議室へと向かった。


社員A「いやー!やっぱ凄いっすよ!水銀燈さんは!!あれだけの交渉をしておいて、なおかつ広告費を下げさせるなんて…!!
水銀燈「何いってるのぉ…。みんなが頑張ってくれたおかげよぉ♪私1人じゃ、こんな大仕事できなかったわぁ…。ホント、みんなどうもありがとぉ♪」
そう言って、社員1人1人を激励する水銀燈。
流石、人というものをよく知るだけあって、モチベーションのあげ方も上手く心得ているようだ。
水銀燈の言葉に反応して、一気に湧き上がる社員たち。
とそこへ、この課の責任者が水銀燈に声をかけた。
課長「いや…ホント、水銀燈君がきてくれたおかげで、うちの課もずいぶん救われたよ!これじゃあ、私の出る幕はないなぁ…」
水銀燈「何言ってるんですか。課長の教えがあってこそですわぁ…♪」
課長「ハハハ、ありがとう。どうだい、少し外で話さないかい?」
そう言うと、課長は水銀燈を部屋の外へと連れ出した。


課長「いやね…実はわが社で、君を正式に採用しようという話が出てるんだ。」
水銀燈「まぁあ…願ってもない話ですわぁ…♪」
ロビーへと歩きながら、そんな話をする2人。
水銀燈にとって、これだけ充実した時間は他になかっただろう。
こんなことなら、『楽そうだから教師』なんて適当に選ぶんじゃなくて、真面目に就職活動をしておけばよかったと、水銀燈は今までの過去を反省した。
課長「で…どうだろう?君がもしよければの話だが…」
話を最後まで聞かずに、水銀燈はこう答えた。
水銀燈「もちろんお受けしますわぁ♪大体、教師なんて面倒臭い事だらけだし、楽しい事なんか1つもないし、まさに地獄のような…」
そう言って廊下の角を曲がったとき、水銀燈のよく知る人物がその場にいた。
水銀燈「あ…薔薇水晶…。そ、そんなところにいたのぉ?だったら、声くらいかけてくれても…」
必死に弁解する水銀燈。その頬を思いっきりひっぱたくと、薔薇水晶は無言で、外へと向かっていってしまった。


水銀燈「ちょっと待ちなさい!!久しぶりに会ったのに、随分な挨拶じゃない!!」
無視を決め込み帰ろうとする薔薇水晶を、水銀燈はひたすら追いかけた。
10分…いや、20分は歩いただろうか…
そこで、ようやく薔薇水晶が重い口を開いた。
薔薇水晶「そんなに…」
水銀燈「…?」
薔薇水晶「そんなに学校が嫌なら、別に無理して来てくれなくてもいいよ…!早く、会社に戻れば…!?」
水銀燈「…え?」
薔薇水晶「…みんな、銀ちゃんの事心配してるって言うのに…よくもまあ、あんな事が言えるよね…!」
水銀燈「だ、だからあれは不可抗力でぇ…」
薔薇水晶「もういいよ…!銀ちゃんの言いたい事は分かったから…!私が何度ここに来ても、全然会おうとしてくれなかったし、どうせその程度の存在なんでしょう…!?」
「違う」と薔薇水晶の肩に触れる水銀燈。その手を振り払うと、薔薇水晶はこう言った。
薔薇水晶「お願いだから、ほっといて…!もう顔も見たくない…!!」
その言葉に、水銀燈はしばらくその場を動けなかった。


それから30分後…失意の中、会社に戻る水銀燈。その姿を見つけると、先ほどの課長はこんなことを言い出した。
課長「水銀燈君…。悪いんだが、さっきの話は無しにしよう。」
水銀燈「えっ!?どうしてです!?私は、こんなにも会社に貢献したのに…そんな…」
課長「確かに、貢献してくれたのはありがたいよ。でも、その間、ずっと学校へは連絡しなかったんだろう?それが、うちの会社で働くのに飽きた場合、そう言うことが起こらないという保証は無いじゃないか。」
水銀燈「うっ…」
痛いところを突かれ、返答に困る水銀燈。課長は続けてこう言った。
課長「…それに、仕事は一生続くものでは無いけれど、友情は一生続くものさ…。だからこそ、友達や信頼してくれている人を捨ててまで、仕事を選んじゃダメだよ。」
水銀燈「…えっ…じゃあ…」
課長「…さっきはひどいことを言ってすまなかったね。でも、そうでもしないと、君は絶対に諦めないと思ったんだ…。ほら、君って意外と頑固なところがあるからさ。」
水銀燈「…課長…。」
課長「お、おいおい!よしてくれよ…。私は美人の涙には弱いんだ…。」
普段は絶対人に見せない涙…しかし、このときばかりは水銀燈も人目もはばからず号泣した。
そして一通り泣き終わると、課長のほうへ向き直り、最後の挨拶をした。
水銀燈「じゃあ…短い間でしたが、本当にお世話になりました…」
課長「いえいえ、こちらこそ…。でも、また遊びにおいで。課のみんなも、君に会いたいだろうし。じゃ…またね…!」
そう言うと、2人は堅く握手を交わし、それぞれの居場所へと戻っていった。


水銀燈「久々に学校に来てみれば…何で、私の机の上に花が飾ってあるのかしらぁ…?私に死ねって事ぉ?」
翠星石「い、いや…これは綺麗な花が咲いたから、いの一番に水銀燈に見てもらおうと思ったんですぅ!決して悪気は…」
久しぶりの学校…その学校に来て早々、水銀燈は自分に対してイタズラをしてくれた翠星石に仕返しをしていた。
そして、言い訳を繰り返す翠星石を外へ連れ出そうとしたとき、目の前の職員室のドアが開いた。
薔薇水晶「あ…」
水銀燈「…お、おはよぉ、薔薇水晶…。最近、本当に悪かったわね…。最近、いい事ずくめだったから、ちょっと有頂天になりすぎてたの…。」
薔薇水晶「…私も…昨日はちょっと言い過ぎちゃった…。ごめん…なさい…。」
水銀燈「いいのよぉ…。それに、私もこれからは今までどおり学校でちゃんと働くし、その…なんていうか…ま、そんなわけで、これからも仲良くしていきましょお…」
そう言って、手を差し出す水銀燈。それに薔薇水晶はこう答えた。
薔薇水晶「…今までどおりじゃなくて、ちゃんと毎日学校に来て…。もう、どこかに行っちゃダメだよ…?」
そう言うと、薔薇水晶は水銀燈の手を握り、和解した。
こうして、学園はようやく本来の姿へと戻った。


水銀燈「…で、私がいない間、例のもの…しっかり買っておいてくれたんでしょうね?」
薔薇水晶と別れた後、水銀燈は蒼星石をトイレへと呼び出し、ヒソヒソと何かを話し始めた。
蒼星石「う…うん、でもこれって…立派な犯罪行為だと思うんだけど…。」
水銀燈「いいのよぉ…みんなやってるんだからぁ♪じゃあ、分け前の2%は以外は、近日中に貰いに行くからねぇ♪」
水銀燈が蒼星石にお願いしたこと、それは水銀燈が働いていたヤクルト社の株を、事前に1000万円分買い占めること…。
つまり、ヤクルトの内部情報をもつ水銀燈が、『これは株価が上がる』と判断した時点で、彼女の1000万円を蒼星石に渡して株を買わせ、その利益を得たというわけだ。
ちなみにこれは、『インサイダー取引』と呼ばれるもので、もちろん立派な犯罪行為である。


水銀燈「それにしても、まさか株価が2倍になるとわねぇ…♪ありがとぉ、蒼星石ぃ♪」
蒼星石「…でも、もうやらないからね…!」
水銀燈「分かってるわよぉ♪これで、この前の貸しはチャラね。あ、あと20万じゃキリ悪いから、成功報酬としてあと30万ほど持っていっていいわぁ…。これで、美味しいものでも食べなさぁい♪」
その言葉に、蒼星石は黙ってその場を後にした。
そう…これでいい。蒼星石は元々口が堅いし、それに大金を手にした罪の意識から他の人には打ち明けられないはず…。
思えば、この1年は本当に長かった。ランボルギーニは取り上げられるし、めぐの手術代のせいで無一文になるし…でも…
水銀燈「…でも、私のような人間が最後は勝っちゃうのよねぇ…♪」
そう言うと、水銀燈はクスクスと低く笑った。
…学園は、本当に本来の姿へと戻ってしまった…。