ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

歌舞伎町の女王

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女子A「い、痛いよ先生!そんなに引っ張らなくてもいいじゃないですか!?」
そんな言葉を無視して、蒼星石は女子生徒を人気の無い場所へと引っ張っていく。
蒼星石にとって、それはまさに信じられないこと…いや信じたくない事だった。
今さっき、この女子生徒がやっていたこと…それは『援助交際』…。
自分の今までやってきたことは何だったんだろう…と蒼星石は自問自答する。
そして、言いようの無い怒りと悲しみが、その心を支配した。


女子A「もういいです!離して下さい!!」
問答無用で手を引っ張る蒼星石を強引に振りほどき、女子生徒はこう言った。
女子A「もう、どうせ退学なんでしょ!?だったら、もうほっといて!!自分のした事ぐらい、分かってますから!!」
蒼星石「…いや、分かってないよ!君は、自分の心と体を他人に売ろうとした…。でも、その重要性を全く理解していない!!」
女子A「…じゃあ、どうしろって言うんですか!?欲しいものは沢山あるのに、小遣いだけじゃ全然足りない…だったら、何かを売らなきゃ仕方ないじゃないですか!?」
蒼星石「それが間違ってるって言うんだよ!確かに、欲しいものは沢山あるかもしれない…。でもそれ以上に、大切なものを君は売ろうとしたんだよ!?」
とにかく、この子を正しい道に戻さなくては…と蒼星石は女子生徒を諭す。
蒼星石「…それに、君の欲しいものってブランド物のバックか何かだろう?そんなの、高校生が持ってるほうがおかしいよ…!もっと、大人になったときに…」
女子「それは、先生の考え方が古いんですよ!今では、そんなのみんな持ってます!それに、今楽しまないでいつ楽しめって言うんですか!?」
蒼星石「古い新しいの問題じゃないだろ!?とにかく、君がやろうとした事…それは間違ったことなんだ!!」
半ば言い合いになる2人。そこへ、1人の人物が声をかけてきた。


水銀燈「何、こんな所で騒いでるのよぉ…迷惑な人たちねぇ…。」
水銀燈の姿を見るやいなや、女子生徒は事情を話した。
この人なら、私の味方をしてくれる…そう思ったに違いない。
全ての話を聞き終えると、水銀燈は静かにこう言った。
水銀燈「バカじゃない?そんな事しなくても、お金なんていくらでも手に入るのにぃ…」
女子A「え!?だって、先生だって同じような事…」
驚いた表情でそう言う女子生徒の頭を殴ると、水銀燈は吐き捨てるようにこう言った。
水銀燈「…あなたみたいな、『四流』と一緒にしないでくれるぅ?私は、これまでただの一度も、体を売ったことなんて無いんだからぁ…。」
女子A「え…!?じゃあどうやって…」
水銀燈「…いい?男にとって、『それ』は最終目的なんだから、それを安売りしてどうするのよ?その過程までに、取れるもの全てを取って捨てるのが正しいやり方よぉ…」
そう言うと、水銀燈は『正しい搾取』のやり方について、説明し始めた。


水銀燈「…大体、最初からそれを切り出してくる男は、ろくなもんじゃないわぁ…。そういうのは、無視していいの。じゃないと、後で後悔するわよぉ?あなたは、自分で自分の身を守ることなんて出来ないでしょう?」
女子A「はい…。」
水銀燈「だったら、この世界から身を引いたほうがいいわねぇ…。さっきも言ったように、欲しいものを手に入れる方法なんて、いくらでもあるの。例えば…」
そう言いながら、水銀燈は蒼星石の方に振り返り、こういった。
水銀燈「例えば、蒼星石にパソコンや世界情勢のこと相談して株でお金増やして買うのもいいし、私に『バック貸して』とか相談に来るのもいい…。でも、あなたはその中で最悪の選択をしたの。分かる?」
女子A「はい…なんとなく…」
水銀燈「そう…なら、次からはちゃんと相談しなさぁい。悪いようにはしないから…」
頭を撫でながらそう言う水銀燈に、女子生徒は恐る恐るこんな質問をした。
女子A「…あの、親とか学校には…」
水銀燈「言ったら、面倒くさいことになるでしょう?余計な心配してないで、早く家に帰りなさぁい。」
その言葉に、ぺこりとお辞儀をしてその場を立ち去る女子生徒に、水銀燈はこう付け加えた。
水銀燈「…それと、どうせこれが初めてじゃないんでしょうから、念のため明日検査に行くわよぉ。いいわね?」
それを了承すると、女子生徒は何度もお礼を言いながら、駅へと向かっていった。


全てが終わった後、蒼星石は少し落ち込んだ様子でこう言った。
蒼星石「凄いね…僕なんて、何も出来なかったのに…」
水銀燈はそれを鼻で笑い、こう答えた。
水銀燈「まあ、あなたみたいな良い子ちゃんには難しい問題だったかもねぇ。世の中には、私みたいな人間のほうが強い場面もあるのよぉ?でも、その逆もある…つまり、特性を生かさないとダメって事ねぇ…。」
蒼星石「…特性?」
水銀燈「そう…。だけど、それを欲張って全部一人でやるなんて到底無理よ。だからこそ、『仲間』ってのが大切なんじゃないのぉ?…ま、元々私たちが自分1人で出来ることなんてわずかしか無いんだから、これからも仲良くやっていきましょぉ…」
その言葉に、蒼星石は思わずハッとする。
『仲間』なんて言葉、昔の水銀燈なら絶対使わない言葉だった。
水銀燈と一緒に、学校で働くようになって3年余り…。もしかしたら、彼女自身の何か変わり始めているのかもしれない…。
そんなことを考える蒼星石に、水銀燈はこう付け加えた。
水銀燈「…あと、今日のは『貸し』よぉ…♪」
そう言うと、水銀燈は不気味な笑みを浮かべながら、その場を後にした。
その言葉の意味…それが一体何を意味するのか…
蒼星石は、一抹の不安を感じずにはいられなかった。




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