ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 死の誘惑と黒き天使

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お題 『水銀燈と自殺志願者』


薔薇水晶「…今日は、掃き掃除をしたから1点、ちゃんと学校に来たから2点、落ちている財布をちゃんと届けたから8点…。というわけで、今日の夜は自由に遊んできていいよ…♪」
水銀燈「やったわぁ!!やっぱり、あの財布は罠だったのねぇ♪」
そう言って、喜び勇んで学校を出て行く水銀燈。
実は、前回の『水銀燈、学校乗っ取り事件』のせいで、薔薇水晶の家に1ヶ月お世話になることになった彼女には、あるルールが課せられていた。
それは、1日の中で10点分の『いい事』をすると、夜9時までは自由に外で遊んできてもいいというもの…。
ただし、迷子を助けてあげなかった等の『悪いこと』が発覚した場合には、厳しい罰を受けなくてはならないというものだった。
約2週間ぶりの自由な時間に、水銀燈の心は躍る。しかし、途中で肝心なことに気がついた。
水銀燈「…何やってるのよ、私は…!いつから、そんな安っぽい女になったの!?」
気分は、一気に最悪なものへと変わっていった。


しかし、そんな彼女を勇気付けたのは、自由時間の存在だった。
とりあえず、今はつかの間の自由を味わおうと水銀燈は駅のホームへと急ぐ。
そして、今か今かと列車を待ちわびている時、ある1人の女子高生の姿が水銀燈の目に映った。
うつろな瞳、一歩一歩線路へと向かう足…それはまさしく自殺のサイン…。
急いでそれを引っ張ると、水銀燈はその少女に向かってこう言った。
「そんなことされちゃうと、電車が止まっちゃうでしょう…!私の自由な時間を奪わないで…!!」
それはまさしく、魂の叫びだった。


水銀燈「あーあ…電車行っちゃったぁ…。あれ乗らなきゃ、ショップの営業時間に間に合わないのに…。」
実に恨みがましい目で、電車を見送る水銀燈。それに対し、申し訳なさそうな表情を迎える少女。
水銀燈「で…何が、原因で死のうと思ったの?他校とはいえ、私も一応教師だし、話ぐらいは聞いてあげるわぁ…。電車行っちゃったしぃ…。」
その言葉に、少女は涙ながらに語りだした。
少女A「ごめん…なさい…!私…ずっとみんなからいじめられてて…それで…もう生きるのが嫌になっちゃって…」
『いじめ』という単語に、つい昔の自分の姿が重なってしまう。
そういえば私も昔、あんなうつろな目を鏡で見たことがあったっけ…
水銀燈「…で、死のうと思ったの?やり返そうとか思わなかったの?」
少女A「そ…そんな、怖くてとても…」
水銀燈「…いい?あなたは今、自殺しようとしてたのよ?その気持ちがあれば、なんだって出来るわよ…。この私のようにね…。」
そう言うと、水銀燈は過去の自分の話をしだした。


水銀燈「…で、ある日思ったのよ…。何でこんな奴らに、苦しめられなきゃいけないんだろうってね…。で、気がついたら、その子のこと階段から突き落としてたわぁ…。」
少女A「えっ…!?」
水銀燈「でも、その子の顔とても滑稽で面白かったわよぉ?で、私の顔を見ながら、青ざめた顔でこう言ったわ。『こ、殺さないで…』って…♪」
少女A「そ…それでどうしたんですか!?」
水銀燈「別にぃ…?ただ、『今は殺さないであげる…でも、死にたくなるように手助けしてあげる』って言っただけよぉ? 後は、家を燃やしてやった子もいたし、一家離散に追い込んでやった子もいたわねぇ…。」
少女A「ひ…酷い…。」
水銀燈「酷い?やつらがやった事を、真似してやっただけよぉ…。いい?世の中から、いじめは無くなることはないの。それから身を守る方法はただ一つ。それは、『力』を持つことよ。」
少女A「力…?」
その返答に、水銀燈の目が怪しく光った。


水銀燈「そう…。弱者が強者のえじきとなるのは、自然界の常よぉ…。だったら、他人より優れた力を持つほかに、自分を守るすべは無いの。」
キッパリとそう言い切る水銀燈。そして、続けてこう言った。
水銀燈「…といっても、あなたのようなお馬鹿さんはそんな力持ってないでしょう?何せ、自殺しようなんて考えるくらいだものねぇ…。だから、私が良い物をあげるわぁ…」
そう言うと、水銀燈は1枚の名刺をさし出し、こう言った。
水銀燈「…そう、それは『団結力』という力よぉ…。あなた1人じゃできない事も、みんなで助け合えば、何とかなるもんよぉ…。」
そう言いながら水銀燈は、昔募金によって『柿崎めぐ』という少女を助けたことを思い出していた。
それは、他人の力を全く信じなかった水銀燈にとって、それはまさに未知の力だった。
以後、水銀燈はその力を軽視できなくなり、むしろ積極的に利用しようとしていた。
水銀燈「…ま、多分あなたのような子には、その『薔薇水晶』って子がきっと力になってくれるはずよぉ…。『愛』とか『正義』とか言う馬鹿げた方法を使ってね…。」
その行為に驚き、そして感謝を述べる少女。水銀燈はこう続けた。


水銀燈「ま…でも、そんなの多分ダメだろうから、これも渡しとくわぁ…」
そう言って、さらに3枚の名刺を差し出す水銀燈。その名刺にはそれぞれ、『弁護士』、『○×TV チーフプロデューサー』、『□△新聞 編集室長』の肩書きが入っている。
水銀燈「いいでしょう…コレ♪もし困ったことがあったら、この人たちに頼みなさい。すぐに、あなたをいじめてる奴らを追い詰めてくれるわよぉ…♪『水銀燈さんの知り合い何ですけど…』って言えば、すぐ助けてくれるから…♪」
少女A「あ、ありがとうございます!…水銀燈さん…で、よろしいんですよね!?あなたの名前は一生忘れません!ありがとうございます!!」
そう言って、深く頭を下げる少女。それに、水銀燈はこう返した。
水銀燈「…いいえ、私はそんな名前じゃないわぁ…。私の名前は、翠星石…。あの水銀燈が、そんな良い事するわけ無いじゃなぁい…。」
何か言おうとする少女を残し、水銀燈はそう言うと、駅の外へと消えていった。
「…門限まで、あと2時間もあるじゃなぁい…。どこで時間潰せばいいのよ…。」とぼやきながら。

その後、水銀燈は門限を5分オーバーして薔薇水晶の家に戻り、久しぶりに買い物に行って満足したふりをし続けた。
水銀燈が嫌いなこと…それは、他人に自分の弱みを見せる事、他人を助けること、そして、他人を信じること…。
薔薇水晶は小言を言いながらも、そんな水銀燈を今日も温かく出迎えた。



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