ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 逃げ出した先に見つけたもの

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お題『殴り合い そのあと夕日に向かって走る』


女子A「…で、これが部活動費の割り当てで、新入部員の名簿はこちら…それと…」
水銀燈「…分かったわぁ…。そこに置いといて…」
春…何かと忙しいこの季節、水銀燈は日々の業務に忙殺されていた。
一昔前…少なくとも、大学にいた頃には全く想像できなかった光景である…。
水銀燈「…どこで道を間違えたのかしら?夏休みは多いし、生徒なんか適当にあしらえばいいしって思ってたのに…」
真紅「何をブツブツ言ってるの?お疲れのところ悪いんだけど、明後日の全校朝礼で喫煙に関するスピーチをして頂戴。いいわね?」
また仕事が増えた…と、ため息をつく水銀燈。
今抱えている仕事の量を数えるだけで、思わずめまいがする。
三日三晩、徹夜で仕事をこなしたのに、仕事の量は増える一方…
水銀燈「…頭おかしくなりそう…。ちょっとヤクルトでも飲んでこよ…」
そう言うと、水銀燈はふらふらと席を立った。


水銀燈「…はぁ…」
そうため息をつくと、水銀燈は自室のベッドに倒れこんだ。
今日は最悪だった…。仕事は増えるわ、ヤクルトは金糸雀に飲まれてるわ、視聴覚室で見ようと思っていた『ファイトクラブ』は、雛苺に別のものを上から録画されているわ…
例を挙げれば、本当にキリがない。
水銀燈「…とにかく、シャワーだけでも浴びないと…」
よろよろとバスルームに向かう水銀燈。
ふと、洗面台の鏡に映った自分の姿を見ると、そこには自分の疲れきった顔が映っていた。
そこには、かつての美貌など見る影もなかった。
水銀燈「…もう、これ以上耐えられないわ…。」
苦悩に満ちた顔で、水銀燈はそうつぶやいた。


薔薇水晶「銀ちゃん!!いつまで寝てるの!?早く学校に…」
いつもと変わらぬ朝…。ただ1つ違うことがあるとすれば、ベットの上に水銀燈の代わりに手紙と携帯電話が置いてあることだった。
まさか…と思いつつ、薔薇水晶は手紙を読み進める。
薔薇水晶「…『しばらく旅に出ます。正直、私には教師はむいていないと思います。みんなによろしく。じゃあね。』…。銀ちゃん…学校、辞めちゃうの…?」
それは火を見るより明らかだった。
ましてや、今回は自分たちと連絡を絶つため、携帯電話も置いていっている…。
薔薇水晶「…もう、私たちとは話もしたくないって事…?」
その時、薔薇水晶の目から、大粒の涙があふれだした。


真紅「そう…困ったわね…。」
薔薇水晶の報告を聞き、真紅はため息をつきながらそう言った。
雛苺「は、早く水銀燈を連れ戻すの!!」
翠星石「そうですぅ!!今すぐその首根っこをつかんで、引きずり戻すですぅ!!」
真紅「待ちなさい!!多分、今水銀燈は何かで悩んでいるの…。今はそっとしておくのが一番だわ…。」
でも…と反論する翠星石と雛苺。真紅は続けてこう言った。
真紅「そりゃあ…私だって、水銀燈にこの学校を去られちゃ寂しいわよ…。だけど…」
翠星石「じゃあ、やっぱり今すぐ探すです!!この翠星石に、何の挨拶もなしに去ろうなんて絶対許さないですぅ!!」
蒼星石「…でも、どこを探したら…」
その時、一人の用務員と生徒が、職員室の中に入ってきた。


水銀燈「…変わってないわね…。ここも…。」
丘の上にそびえ立つ、古い礼拝堂を見て水銀燈はそうつぶやいた。
寂しいことや辛いことがあると、いつもここで遊んでいたっけ…。
つい昔のことを思い出し、感慨にひたる水銀燈。
さて、これからどうしようか…と考えていた時に、突然後ろからけたたましい音を立てて、ヘリがやってきた。
そして、そこから次々とどこかで見たことのある顔が飛び出してくる。
この場所のことを知っているのは、昔からの親友のあの子しかいない…ということは…!
水銀燈「メイメイ…!余計なことを…!!」
翠星石「なーにが余計なことですかぁ!!この翠星石に何の断りもなく、いなくなりやがってぇー!!」
水銀燈の胸ぐらをつかみ、揺さぶる翠星石。見ると、その目はうっすらと潤んでいた。


翠星石が落ち着いたところで、真紅はあるものを水銀燈に見せた。
真紅「…見なさい、私の服の袖を…!あなたがいなくなったと知った生徒が、涙や鼻水まみれの手で私の手を握ってくるものだから、こんな酷い事になってしまったのよ!?何で、前もって相談しないの!?」
翠星石「そうですぅ!!勝手にいなくなるなんて卑怯ですぅ!!あとケータイも、『携帯』電話って言うぐらいなんだから、しっかり携帯しやがれですぅ!!」
蒼星石「水銀燈…もし君が辛くなった時は、いつでも僕が手助けするよ…?だから…」
雛苺「き、昨日はごめんなさい…。ちゃんと『ふぁいとくらぶ』のDVD買っておいたから、帰ってきてほしいの…」
金糸雀「ヤ、ヤクルトもあるかしらー!!」
めぐ「先生…今私がここにいられるのは、あなたのおかげなんです…。それを、何もいわず…こんな形で去られてしまったら…私…」
薔薇水晶「銀ちゃん…お願いだから、帰ってきて…。」
雪華綺晶「帰ってこないと…やだ…。」
ある者はうつむきながら、そしてある者は涙を流しながら自分の思いを、水銀燈にぶつけた。


そんな光景に、水銀燈はただ呆然とするばかりだった。
それを見て、真紅は水銀燈に声をかける。
真紅「見なさい。あなた一人がいないだけで、こんなにも悲しむ人がいるのよ?それを何もなしに出て行ってしまうなんて、あんまりじゃない?」
水銀燈「…。」
真紅「…それに、辛い時は辛いって言って頂戴。昔からそうだけど、何であなたはそう、自分1人で全てを解決しようとするのよ…。みんな仲間なんだから、少しは信頼しなさい…。悪いようにはしないから…。」
水銀燈「…機会があればね。」
真紅「そう…で、どうするの?学校には戻るの?それとも…」
水銀燈「…そうね。学校に忘れた荷物もあるし、取りに戻るのも悪くないかもね…」
そういうと、水銀燈はヘリへと乗り込んだ。急いで、みんなもそれに続く。

やがて、全員が乗り込んだところで、ヘリを発進させる雪華綺晶。
その行く手には、綺麗な夕焼けが広がっていた。


真紅「水銀燈!もう2時間19分も遅刻よ!!今まで、一体何をしていたの!?」
次の日、学校ではいつも通りにぎやかな声が響いていた。
朝から元気な真紅とは対照的に、水銀燈は目をこすりながらこう答えた。
水銀燈「何って…私はあなたと違って繊細だから、朝は弱いの。分かる?それに、来てやってるだけでも有難いと思いなさぁい♪」
真紅「なっ…!!」
水銀燈「それに、昨日辛い時には無理するなって言われたしねぇ♪」
そう言うと、水銀燈は雛苺から貰ったDVDを手に、視聴覚室へと向かった。
そんな姿を見て、「やっぱり甘やかすんじゃなかった…」と、真紅は昨日の行動を後悔したそうな。



注:殴り合い=『ファイトクラブ』で逃げてみました。