ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 蒼星石と宿直と幽霊

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蒼「はぁ~、まったくもう何でこんな時に宿直なんて・・・」
宿直。昔ならさも当然の如くあった、教師が学校に泊まり警備員の真似事をするアレである。
昔ならともかく今では大変珍しい。しかし何故、そのようなことがおこなわれているのか?
それは学校側が昨今の異常犯罪に対し、PTAの要望もあり、早急に打ち立てた
施設のセキュリティの高度化はもちろん、警備員の導入etc・・・の案のためである。
深夜にでも何があるかわからないということで、新しい警備員が赴任するまで武芸に秀でた蒼星石がその役割を担うことになったのだ。

蒼「え~と・・・家庭科室は異常なし・・・っと。」
懐中電灯を照らしながら、全教室を見回る蒼星石。
夜中の教室と言うものはどうしてこう恐怖という言葉がしっくりくる。
蒼「はぁ~、何かお腹空いちゃったよ・・・。もう少ししたら夜食でも食べよう・・・」
蒼星石と言えど人の子。お腹が空いたので何を食べようかと考えてながら見回る。
蒼「さて、ここも異常無しだね。・・・さ~てと、一旦、宿直室へと帰ろう。
  それにしてもローゼン校長も人が悪いよなー・・・僕だって一応、女の子なのに・・・」
そんな愚痴を溢しながら戻っていると、ある声が聞こえてくる。
どうやら、それはすすり泣く声のようだ。声質からいって少年であろうか。

蒼「・・・いやいや~、この学校に限ってそれはないよ~、は、ハハハー」
いくら何でも夜中の学校から泣き声が聞こえれば恐怖である。
やはり、そういうのが苦手な蒼星石は恐いのか現実から目を逸らしだす。
蒼「は、ハハハー、いやー、夜食は何を食べようかなー」
人間、恐怖に直面すると何故か独り言が多くなるものだ。
しかし、幽霊らしき声がしっかりと蒼星石をロック・オンしてしまって。
幽霊「待って・・・に、逃げないでください、僕の声が聞こえてるんでしょ?」
蒼「き、聞こえない、聞こえない、聞こえないったら聞こえない・・・」
幽霊「思いっきり聞こえてるんじゃないですか・・・。」
蒼「ひ、ひぃ!!・・・あ、あれ、体が?!」
幽霊「す、すいません、ちょっと金縛ってしまいました・・・逃げないでくれるのでしたら解きますが・・・」
蒼「わ、分かりましたー、に、逃げませんからど、どうか、どうかお命だけはー!!」
幽霊「何を言ってるんですか、あなた・・・」
ふっと金縛りが解け、その場に倒れこむ蒼星石。
今までは、声だけだったが幽霊がその姿を現してきた。年齢は高校生くらいの男子だろうか?

幽霊「あのですね・・・ちゃんと僕の話聞いてもらえませんか?」
蒼「あわわわわ・・・き、来たー!!お、お願いですからた、祟らないでくださいぃ!!」
幽霊「ああ、僕は俗に言う怨霊とかそういうのじゃないから安心してもらいたいんですけど・・・」
蒼「へ?ああ、そ、そうなの?」
幽霊「でも、良かったー。何十年もこのままだったからどうなるかと思って・・・。
    僕の姿が見えてる人がやってくるなんて夢にも思わないからつい金縛りなんて・・・すいません。」
何故か物凄い腰の低い幽霊である。
蒼「あ、あの、それで僕にお話って・・・」
幽霊「へ?ああ、実はお願いしたいことがあるんです・・・。」
この後、お前の命が欲しいとかその体の一部をよこせーと言われるのか。
だが、幽霊の出してきたお願いは凄くあっさりとしたものであった。
幽霊「僕の話を聞いて欲しいんです・・・、もう1つあるんですがそれは話が終わった後にでも・・・」
蒼「わ、分かりました・・・。ぼ、僕でよければう、伺いましょう・・・。」
幽霊「ハハハ、変な人ですね。幽霊相手に敬語は無いんじゃないですか?いい人なんですね、貴方。」
蒼「へ?ああ、そ、そうかな?ハハハ、いい人ね・・・。で、話って何なん・・・何なのかな?」

幽霊は語りだしてきた。自分の出生から、死んだ時のことまでを。
貧乏な一家に生まれた彼は、その出生から周りから小さい時から苛めにあっていたそうだ。
それは、ここに入ってきた時も変わらなかったらしい。自殺も考えたが、親が頑張ってここまで入れてくれたのに
申し訳ないと思い、踏みとどまっていた。が、周りの苛めもエスカレートし、ふとしたことで放課後に殺されたのだと。
そして自分は、加害者であるクラスメイトに、改装中であった校舎の壁に埋め込まれたのだと言う。
蒼「そ、そんなっ!?・・・酷い・・・」
幽霊「でも、事実なんですよ・・・。」
蒼「だ、だって改装って僕が入ってくる前だけど、け、結構最近じゃないか?!」
蒼星石はショックを隠しきれない。それもそうだ、転任する前とはいえ、自分はこの学校の校風は
よく分かっていたつもりでいたし、そのような生徒がこの学校にいたということが信じられないでいる。
幽霊「そうですね。」
蒼「そうですねって・・・く、悔しくないの?!だ、だって殺されてるんだよ?!」
幽霊「気づいた時には、もう僕の知ってる人は誰もいなかったんです。それに殺した奴はそりゃ憎いですけど・・・
   母さんはいつも僕に「他人様を恨むな」って言ってました。やろうと思えば、呪い殺すこともできるんでしょうけど
   そうすると、あいつらみたいになるようで・・・」
蒼「・・・」
幽霊「ああ、そうだ・・・。まだ、お願いがあるんです・・・。」
蒼「何かな・・・」
幽霊「僕を掘り出して欲しいんです・・・ずっと僕はここにいたから、母さんもずっと心配しているだろうし・・・」
蒼「分かった・・・」
幽霊「・・・あと、もう1つ。母さんが元気にしているか・・・それだけが心残りなんです。
   もし良かったら、今どうしているかお墓が出来たら知らせて欲しいんです・・・」
蒼「ああ・・・分かったよ・・・」
悲しみを我慢してたのか、蒼星石の頬を涙が伝う。
幽霊「泣いているんですか?・・・最後に貴方みたいな人にサヨナラを言えてよかった・・・。」
蒼「・・・縁があったらまた会おう。」
そう言うと幽霊は何も言わずに消えていった。成仏したのだろうか?

その翌日、校長に直談判の上、何とか壁を掘り出すことになった。
業者が掘り返した壁の中からは少年と思しき白骨死体が発見された。
検査の詳しい結果はまだ出てはいないが、何とか名前と住所だけは分かった。
蒼星石は、その住所を頼りにその少年の母の元へと出向いた。
元気とまではいかないが、無事に今日を生きてはいる。

数日後。少年には墓が立てられていた。
お線香と花を供え、手を合わせた後、蒼星石がポツリと呟く。
蒼「・・・約束通り、君は無事に発見されたよ・・・。お母さんも元気だった・・・。けど犯人までは特定されてはいないらしい・・・。
  ・・・同僚の娘がね、たまに言うんだ、生きることは『戦う』ことだって・・・。ふふ、その通りだね・・・。
  僕は自分なりに、君のような子を増やさない為にも、教師という立場で生徒達と戦って、戦って、戦おうと思うんだ・・・。
  ちょっと言葉の意味合いとは違うかな?・・・でも、それでも僕は・・・頑張るよ・・・。」
去り際に、何故かありがとうという声が聞こえたような気がした。
振り返っても、そこには誰もいない。
そして蒼星石は自分の教室へと帰る。