ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

ばらしー捜索大作戦

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
私立有栖学園の教師陣は美女揃いで有名であるが、そのいずれの教師も彼氏を持っているという噂を聞いた事がない・・・
しかし・・・この日は違った、そう日本史の教師である薔薇水晶先生に彼氏が出来たという衝撃の噂が流れていたのだ・・・
今日は薔薇水晶先生の姉である雪華綺晶先生の頼みで薔薇水晶先生の彼氏をまっさt・・・ではなく、突き止める事になった有栖学園の教師陣
それが悲劇の始まりであるとも知らず、物語は幕を開けた



雪「…みんなに相談があるの」
  いつにもない深刻な顔をして雪華綺晶が話し始めた。
  その内容は彼女の妹の薔薇水晶に恋人ができ、とても心配だというものだった。
銀「その噂本当なのぉ?」
雪「…射撃部の諜報課が手に入れた情報だから間違いない…」
金「で、確かめてどうしたいのかしらー?」
雪「…抹殺する」
蒼「それはちょっとまずいよ。まずどんな人か確かめてからでも…」
翠「そうですぅ。人の恋路を邪魔するなんてとんだ下衆野郎ですぅ」
雪  チャキ
翠「…おめーの妹思いには負けたですぅ…手伝ってやるですぅ」
真「じゃあ、手分けして薔薇水晶を探しましょう。でも必ず誰かと一緒に動いてね。
  雪華綺晶を1人にすると暴走するから」
雛「薔薇水晶捜索大作戦なのー」
雪「…みんな…ありがとう…では、出陣する!!」
  こうして街に繰り出す教師陣。はてさてどうなることやら・・・



・・・1日前



海の男の艦隊勤務月月火~♪

雪華綺晶の携帯電話が鳴る。薔薇水晶からのようだ。
雪「もしもし・・・
薔「きらきー・・・今日は遅くなるから・・・夕飯はテーブルの上に置いておくから・・・」
雪「何しに行くの?」
遅くなる・・・?何かの悪寒がした。
薔「別に心配しなくていいよ・・・じゃあ・・・」
雪「あ、ちょ・・・ばらしー・・」
ツーツーツー



パソコンのディスプレイを凝視しる雪華綺晶。ディスプレイには無人偵察機サイファーⅡから送られてくる画像が映し出されていた。
そこには誰かと手を繋いで歩いている薔薇水晶が。
雪「角度が・・・顔が確認できない・・・くそっ!」
キーボードに拳を叩きつける雪華綺晶。ディスプレイにgyふじこmん97lp;という文字が映し出されキーボードが真っ二つに割れる。
雪(他の先生方にも協力を仰ぐか・・・)
そんなことがあって現在の状況に至る。



水銀燈「…で、何で私の車にあんたが乗ってるわけ!?
真紅「口を動かしてる暇があったら、早く車を発進させて頂戴。皆に遅れをとってるわよ。」
助手席に座り、紅茶を飲みながら真紅は静かにそういった。
水銀燈「さぁて、仕方ないから探しますか。場所的にはお台場か、横浜のタワーか、スイーツフォレスト…それに下北に、ラクーアに…あー!多すぎて分からないわよ!!」
頭を抱える水銀燈。そして、しばらく考えた後、いきなり車を急発進させた。
水銀燈「とりあえず、なんでも有るお台場に行ってみるわぁ。道も広いし。」
SUM41やリンキンパークをBGMに流しつつ、お台場を疾走するオープンカーのコルベット…それはとても絵になる光景だった。
しかも、運転しているのが美女となれば、なおさら…
信号待ちのたびに、水銀燈はあちこちから声をかけられた。
真紅「…。」
水銀燈「なぁに、むくれてるのよぉ?もしかして、妬いてるのぉ?」
真紅「…この下品な曲がうるさいだけよ。もっと、クラッシックとか高尚なものはないの?」
そんな、真紅のぼやきに閉口しつつ、水銀燈はある建物に目を奪われる。
お台場ジョイポリス…食事もショッピングもアミューズメントも出来るこの場所なら…
車を駐車場に止めると、2人は急いで中に入っていった。
真紅「ちょっと!あなた早すぎるわよ!!もっとゆっくり…」
そんな真紅をよそに、水銀燈はどんどん先へ進む。
水銀燈「…悪いけど、せっかくの休みにそんなこと付き合ってられないわぁ♪さぁて、まずは2階のカフェでゆっくりしましょぉっと♪」
…こうして、真紅は置き去りにされ、迷子になってしまった。



 蒼星石・雛苺サイド。
 愛車であるハーレー・ダビッドソンに跨り今回の出来事となった雪華綺晶の言葉を思い出しながら
 道路を颯爽と走っていた。本当なら今日は、生徒たちと勉強会を行う予定だったのだが……
 その事を思い出し、蒼星石ははぁ。とため息をついた。
 集まっていた生徒達に、また後日にと伝えてごめんね。と、頭を下げたのを思い出す。
 生徒達の残念そうな声と、自分の頭を下げた事による。驚きの声が、耳に残ってる。
 さっさと、薔薇水晶を見つけて終わらせようと考えた。
「あはー景色がながれるのー」
 と、自分の後ろに座る雛苺が、元気良くそう言った。
 何故、雛苺との組み合わせなのか? と、言うと蒼星石が翠星石と組んでしまっては
 雛苺と金糸雀と言うある意味最強の組み合わせが、出来てしまうためである。
 雪華綺晶は? と、尋ねられれば雪華綺晶は、雪華綺晶で監視衛星による薔薇水晶の捜索をしている為にムリであった。
 と、言う訳で考えられるベストな組み合わせがコレだった。
「雛苺先生。しっかりつかまってるんだよ? 落ちたら骨折じゃすまないからね?」
 キョロキョロと、周りの風景を見ていた雛苺にそう声をかけると、心なしか雛苺の蒼星石に抱きつく力が強くなる。
 さてと……薔薇水晶先生は、何処に居るんだかと蒼星石は、再度ため息をついた。
 とりあえず、適当に都内を回ろうと考え。同時に、恋人と行きたい場所を考える(薔薇水晶の好みを考えて)。
 ……まったく思いつかなかったりする。多分、静かなところだろうと考えるが……やっぱり思いつかない。
 しょうがないと、蒼星石は流れる風景の中で薔薇水晶を探す事にした。
 その事を雛苺に話し、雛苺もなれない流れる風景の中で薔薇水晶を探していた。
 しばし時間がたつが、やはり見つけられない。
 都内は、広く適当に回るといってもそれなりの広さがあるし……バイクでは、入れない道もある。
 歩道専用の道とかもあり、もし薔薇水晶とその恋人が、歩道専用の道に居てはみつからない。

 さらには、公園や建物の中にいたっては完全に見つけることなど出来ないのである。
 蒼星石は、ハーレーのガスメーターを見る。大事に乗ってきたハーレーだがガスの残量が心もとなかった。
 今、ガスは高くなっており、高い出費となるなぁ……と、蒼星石は思った。
「雛苺先生。ガソリンスタンドによるよ」
「あいあいさーなの♪」
 ハーレーは、ガソリンスタンドへ入る。蒼星石は、ガソリンスタンドのスタンドマンに従って指定された場所まで移動する。
 そして、ヘルメットを脱ぎスタンドマンに、満タンでお願いします。と、言った後にハーレーから降りる。
 そして、後ろに座っていた雛苺を抱きかかえて下ろすと、ガソリンスタンドの詰め所に入っていく。
「雛苺先生何か飲む?」
「え? んーと……ドクターペッパー!」
「………んー無いね」
 自販機を見て、蒼星石は雛苺にそう言う。それを聴いた雛苺は、残念と肩を落とした。
「じゃぁ、メッコール!」
「ソレも無いよ?」
「……うぅー飲んでみたかったのに、んと……カルピスでいいの」
 蒼星石は、カルピスのボタンを押し取り出し口に落ちてきたカルピスを雛苺に手渡した後
 自分は、缶コーヒーのボタンを押し取り出し口から取り出し、缶を開け一口飲んだ。
 雛苺と蒼星石は、ガス入れが終わるまで、イスに座りぼぅと外を見ていたのだが……
 ふと、外を見ると見慣れた人物の姿。
「あ、薔薇水晶先生なの」
「隣の男性は……なるほど……」
 蒼星石は、薔薇水晶の隣に居る男性の顔を確認し頷く。
 それと同時に丁度良くガス入れが、終わったらしくスタンドマンが、蒼星石に声をかけに来た。

 蒼星石は、領収書をお願いします。と、スタンドマンに言いスタンドマンが、どちら様宛にしましょうか?
 と、言われたので、この出来事の発端である雪華綺晶の名前を出し但し書きについては
 『薔薇水晶捜索費』と、書いてもらった。
 それを見ていた雛苺は、首を傾げたが蒼星石は、微笑んでコレぐらいならいいよね。と言う。
 そして、料金を支払った後、蒼星石は雪華綺晶に電話をかけ現在自分が居る場所を教え
 薔薇水晶と例の男性を発見したとだけ伝え、ついでにガス代の事を告げてから携帯の電源を落とした。
「じゃぁ、雛苺先生。行きましょうか」
「? 薔薇水晶先生を追いかけなくていいの?」
「僕たちは、捜索以外はなぁにも言われてませんよ」
 と、悪戯染みた笑みを浮かべて雛苺にそう言った。まぁ、時々見かけたら連絡するぐらいですね。と、完結する。
 そんな蒼星石を見て、雛苺はニコーと微笑んだ。どうやら、蒼星石の言葉に納得したらしい。
「そうだ。雛苺先生。いいところに連れて行くよ」
「わーい!」
 そう言って、蒼星石はバイクに跨り雛苺を抱き上げて後ろに座らせる。
 雛苺は、ギュッと蒼星石に抱きついた。蒼星石は、ハーレーのエンジンをかけてガソリンスタンドを後にした。
 薔薇水晶捜索と言う名目を最大限に利用し、蒼星石と雛苺はいろんな場所へと出かけていた。
 たまぁーに薔薇水晶を探しているが、そのつど雪華綺晶には、見当たらないと伝えていたりする。



  状況が開始された。
  真紅と水銀燈、蒼星石と雛苺が、それぞれペアになって、薔薇水晶の捜索に出発する。
  本部に残るのは、三人。翠星石と金糸雀、そして情報を統轄する立場の雪華綺晶だ。
金「さーて、それではカナも、薔薇水晶の捜索に出発するのかしらーーっ」
翠「……待ちやがれです」
  何食わぬ顔で退出しようとした金糸雀の頭を、翠星石はむんずと鷲づかみにする。
翠「お、の、れ、は……この、か弱く可憐な翠星石を、あのブレーキのイカれた暴走機関車と、二人っきりで置いてけ堀にするつもりですかっ?」
金「カ、カナだって、嫌なのかしら……」
  二人のうちのどちらか一方は、雪華綺晶を監視するために、この場に留まらねばならない。
  貧乏くじを引かされるのは、ご免だった。雪華綺晶は、部屋の反対側で、ノートパソコンに表示される情報に見入っている。二人は、声を潜めて言い争った。
金「大体、翠星石を一人にすると、すぐにサボって、姿をくらましてしまうに違いないのかしら」
翠「なー!? おめーだって、似たようなものじゃねーですかっ!」
雪「……大丈夫……」
  二人は、肝を冷やしつつ、やむなく振り返った。雪華綺晶は、音も立てずに、二人のすぐ背後まで忍び寄っていた。その表情に、目くじらを立てた様子は見えない。
  雪華綺晶は、手に取ったアイテムを、二人に見せた。
  それは、一見したところは腕時計だったが、肝心な文字盤がない上に、やたらとごつごつしていた。少なくとも、女性向のデザインではない。
翠「これは……何なんですぅ?」
  翠星石が、恐る恐る口を開くと。
雪「……発信機。……二人のうち、捜索に当たるほうに、身に着けてもらう。……ちゃんと鍵をかけるから、素人には絶対に取り外せない。……半径五十キロメートル、どこにいても居場所を特定できる。……もしも、サボったら……お仕置き……」
  雪華綺晶は、微かに穏やかな笑みを浮かべた。
雪「……遠隔操作で、腕輪から、高電圧の高周波が流れる……とても痛い……」
  二人は、二の句が継げなかった。お互いの体に、ひしとしがみついた。


  じゃんけんで、翠星石が勝った。彼女は迷わず、捜索に出る道を選んだ。
  電流ビリビリの腕輪を身に着けさせられるのは嫌だったが、それにも増して、雪華綺晶の傍に残りたくなかった。全力を傾ける必要はない。要は、サボっていると気取られなければ、それでいい。
翠「……とは言え、どこをどう捜したらいいのか……。雪華綺晶には、何か思い当たる節はねーんですかぁ?」
雪「……それが分からないから、みんなに協力してもらってる……」
  任意でなく、強制だろう……とは、翠星石は、もう口に出す気力もなかった。
翠「うーん、でも、今のままじゃあ、大海の中からたった一粒の砂を拾い出すよーなもんです。余りにも無鉄砲が過ぎるですよぅ……せめて、何か一つでも手がかりがあれば、いいのに……」
  と、雪華綺晶は、自らの手をぽんと打ち鳴らした。職員室の自分の机から、何やら取ってくる。
  それは、手のひらに納まるほどの大きさの、小型ディスプレイだった。最新型の携帯ゲーム機のようにも見える。
翠「これは……何ですぅ?」
雪「……発信機からの、電波を受信できるセンサー……。発信機は、小型の物を、ばらしーの身の回りの物に取りつけてある……。でも、出力が微弱だから……七、八十メートルの距離まで近づかないと、感知できない……」
翠「たった七、八十メートルですかぁ……まあ、それでも、何もねーよりは、全然マシってもんです」
  翠星石は、雪華綺晶から説明を受けて、受信機の電源をオンにしてみる。
  と、どうしたことだろう。ディスプレイには、途端に二つの光点が表示されたではないか。
  目標までの距離を測ってみると、一方までは三メートル、もう一方までは、何と一メートルと離れていなかった。
  雪華綺晶は、翠星石から受信機を受け取ると、センサーを彼女にかざしてみた。反応が、一層強くなった。
雪「……翠星石、この髪飾り……」
翠「ああ、これは何週間か前に、薔薇水晶にプレゼントしてもらった奴ですが……ってっ、まままっ、まさか!?」
  雪華綺晶は、がっくりと肩を落とした。もう一方の反応は、金糸雀が胸元に留めていたブローチからだった。


翠「ま、まあ、こんなんでも、何もないよりは……幾分マシって程度ですが……はぁ……それにしても、本当に雲をつかむような話ですぅ。一体どこから捜し始めれば、いいのか……」
  と、今度は、金糸雀が、ぽんと手を打ち鳴らした。何か妙案を思いついたらしい。
  二十分ほど待ってるのかしらーーっ、と言い残して、本部を駆け出していった。
  二十分後、彼女が連れ帰ってきたのは――正確には、その背中に乗って帰ってきたのは、何と巨大なセントバーナードだった。
翠「なななっ、何ですかっ、その馬鹿でっかい犬はっ!?」
金「ふっふっふー、このワンちゃんはねぇ、私と雛苺のお友だちのお家で飼われてるのーーっ。とっても、とーーっても、お利口さんなんだからーーっ。名前をねっ、梅岡って言うのよーーっ」
翠「うめおか? 何なんですぅ、そのふざけた名前は?」
金「うーんとねぇ、何だったかしら……確かぁ、お友だちの、今は亡き恩師にちなんだとか何とか……」
雪「……金糸雀、待って。……大きな犬は、駄目。……ばらしーが、怖がる……」
金「うーー、それは分かっているんだけどぉ……でもね、聞いて聞いてっ。この子、とーーっても鼻が利くの。雛苺がね、うっかり財布を落としちゃったときも、この子、あーーっと言う間に見つけ出しちゃったのよーーっ。ホントホント、すっごいんだからーーっ。この子だったら、きっとばらしーを見つけ出せると思うのよーーっ」
梅「ばうっ!!」
  まるで相槌を打つかのように、梅岡が一声大きく吠えた。


  しかし、精悍とはほど遠いユーモラスな顔つきに、翠星石が疑いを差し挟む。
翠「お利口さんって、本当ですかぁ? なーんだか、とってもマヌケ面に見えるんですけどぉ」
金「むむっ、この有栖学園一の有識者である、このカナ様に疑いを抱くとは……だったら、実演して見せてやるのかしらーーっ!! ……梅岡、お手!!」
梅「ばうっ!」
  梅岡は、翠星石の頭に、ぱくりとかぶりついた。梅岡のよだれが、だらりと翠星石の頬を伝う。
翠「……………………か、な、り、あ……これはっ、一体っ、何のっ、冗談ですぅ?」
  翠星石のこめかみが、ぴくぴくと引きつった。
金「うわわわわっ、だ、誰にでも間違いはあるのかしらっ。もう一回、やり直すのかしらーーっ!! ……梅岡、おかわり!!」
梅「ばうっ!」
  梅岡は、翠星石を後ろから押し倒すと、彼女の上に覆いかぶさった。あまつさえ、息を荒げ、腰を振り始めた。
翠「ひいっ……!? こここここっ、このバカ犬っ、いいいいいっ、一体っ、すすすすすっ、翠星石の上でっ、なななななっ、何やってやがるですっ!? まままままっ、まさか…………」
金「うわわわわわわわっ、梅岡をっ、梅岡をっ、赦してやって欲しいのかしらーーっ!! 梅岡にっ、梅岡にはっ、決して悪気はなかったと思うのかしらーーっ!!」


  意志の疎通に多少の難はあったが、梅岡が、嗅覚に優れているのは本当のようだった。
  雪華綺晶から、薔薇水晶の匂いのついたハンカチを託されると、翠星石は、梅岡に引きずられるようにして、学園を後にした。
  そして、三時間後。
  様々な紆余曲折を経て、翠星石と梅岡のペアは、お台場のアミューズメントパーク、東京ジョイポリスにたどり着いた。
  一体、どんな経緯があったのだろう。苦労の跡がしのばれた。スーツはかぎ裂きだらけ、自慢の腰まで届くロングヘアも千々に乱れている。額には、玉のような脂汗が浮かんでいた。
  センサーの反応が強まる。翠星石は鬼気迫る表情を浮かべながら、一歩一歩階段を踏みしめて登った。
  もう、ジョイポリスがペットの入店オーケーかどうかなんて、翠星石も筆者も知ったことではなかった。
  とっとと薔薇水晶を見つけて、こんな責め苦とはおさらばしたい。その一心で、ディスプレイの光点を追いつめた。
  が。
  翠星石の視界の先に捉えられたのは、水銀燈とはぐれ、一人、くんくんのクレーンゲームに没頭する真紅の姿だった。真紅もまた、薔薇水晶からのプレゼントを身に着けていたのだ。
翠「…………くっくっくっくっ……」
  翠星石は、低く笑った。自嘲の笑みだった。思考の奥底で、黒く淀んだ感情がぐるぐると渦を巻いてわだかまり、やがて彼女の心を一杯に満たしていった。
翠「真紅ぅ……真紅ッ! かつて、これほどあなたを憎たらしいと思ったことはないですぅ!! 今こそ、天の裁きを受けるがいいですっ!! さあ、梅岡っ!! 真紅の奴に、思いっきり、おかわりをぶちかましてやるですっ!! 公衆の面前で、思いっきり、恥をさらしやがるがいいですっ!!」
梅「ばうっ!!」
  梅岡は、嬉々として、『彼女』に飛びかかった。



翠「ひ、ひいっ!!」
梅岡が、嬉々として飛び掛った『彼女』。それは翠星石であった。
またも翠星石を押し倒し、息を荒げて、腰を振る。
翠「ぎいやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!こ、こ、こ、この馬鹿犬ー!!!」
梅岡は何故か凄い嬉しそうな顔である。
翠星石は怒鳴るが、やはり梅岡は退いてはくれない。
こうなれば暴力に訴えようかと翠星石は考えてはいるのだが、手が出せない。
翠「す、す、翠星石じゃねえですー!!あそこにいるし、し、真紅におかわりしてこいって・・・い、言ったんですー!! ぁあん!! はぁ・・・っ んくぅうあああん!! きもち・・・っ もっとついてぇ!」
おかわりの単語が聞こえたのか、更に腰を振る梅岡。
遊園地で犬に腰を振られ続ける美女。傍から見ると大変滑稽である。
翠「うう、す、翠星石はこんな趣味はねえですよー・・・うう
   ぃやああ! あんっ あんあはっ ひぃん」
そりゃ誰だってそうだろう。向こうでUFOキャッチャーに夢中だった真紅も
その異様な騒ぎに気づいたのか、駆けつけてくる。

紅「翠星石?貴方、一体何をやっているのだわ?」
翠「み、見てわからんですかー?! んっ あっ」
紅「いくら、やもめ暮らしだからといって、犬にまで手を出すなんて・・・」
翠「ち、ち、ち、違うですー!!馬鹿言ってんじゃねえですー!!
  見てないでさっさと助けやがれですー!! あん!」
紅「はぁ・・・」
有栖学園の教師が何故こんなことを・・・と真紅は思ったのだが
助けようにも、翠星石達にとって招かれざるが人物がやってきて。
警備員「あのー、すいません。」
紅「あ、ちょうどよかったのだわ。貴方、この犬を退かすのを手伝ってほしいのだわ。」
警備員「は、はぁ?」
紅「か弱い乙女一人では、こんな大きい犬はどうにもならないのだわ・・・。」
警備員「申し訳ございませんが、あの当施設では盲導犬、介助犬、聴導犬以外の
     動物の入場はお断りしているのですが・・・」
翠・紅「「は?」」
警備員「入場口やパンフレットにもその件は記載されてると思うのですが
     ご存知ありませんでしょうか?」
普通のアミューズメントパークなら障害者を介助する名目のある犬以外は入場はできない。
勝手に普通の犬を連れてきた段階で本来はアウトなのだが、何とか翠星石の機転で梅岡は入場できていた。
しかし、この騒ぎを聞きつけられてはどうしようもない。ゲームオーバーである。
翠「え、え~と、それじゃす、翠星石達はど、ど、どうなるんですかー?!」
警備員「大変申し訳ありませんが、退館処分とさせていただきます。」
翠・紅「「そ、そんな~!!!!」」
警備員に引き連れられて、東京ジョイポリスを後にする真紅と翠星石。
余談ではあるが、翠星石から梅岡を引き離すのに警備員が3人も必要になったとか。

そして場所は変わり、2Fカフェテリア。
水銀燈が薔薇水晶の捜索なぞ馬鹿らしいと逃げ込んだ場所である。
銀「今頃、まな板真紅は必死に薔薇水晶を探してるのかしらねぇ~・・・。
  私は馬鹿らしくてとてもそんなことできないわぁ~・・・」
優雅にコーヒーを啜りながらファッション誌に目を通す水銀燈。
そんな美女を男達が放っておくわけもなく、さっきから頻繁に話しかけられてはいるが、
興味がないのか相手にはしていない。
銀「さっきから話しかけてくる男達もつまんなぁい感じだしぃ・・・帰ろうかしらねぇ・・・。」
ここまで来るのに真紅も乗せて来た筈だが、いいのだろうか?
端から真紅の事なんて頭にないのか、帰り支度を始めようとする水銀燈。
銀「薔薇水晶に男がいたって別にどうだっていいじゃなぁい・・・雪華綺晶も本当にお馬鹿さぁん。
  さあてと・・・私は帰ってくんくんでも見ようっとぉ。
  今日の内容をバラせば真紅の奴、かなり悔しがるわぁ、ふふふ。」
お会計を済ませて、颯爽と駐車場へと向かう水銀燈。
だが、そうは問屋が卸さない。そこに真紅と翠星石が立ちはだかる。

紅「水銀燈・・・貴方って人は・・・」
翠「この馬鹿野郎ですぅ!!」
梅岡「ワンっ!!」
両者とも服は皺くちゃで、翠星石の方は鍵裂きも見える。自慢の美しい髪もボサボサに、
額にはじっとりと脂汗をかいた美女2人が仁王立ち。
そんな異常事態に水銀燈も突っ込まずにはいられない。
銀「ちょ、ちょっと、貴方達ぃ・・・。い、一体どうしたのよぉ?」
紅「水銀燈。ここで今まで何をしていたの?」
銀「何って・・・お茶をして、ファッション誌を読んで、それから・・・たまに男に話しかけられたり・・・」
翠「す、す、翠星石達があんな苦労をしてた時に、おめえって野郎はですぅ!!」

銀「で、でも、よくここがわかったわねぇ。さ、流石、有栖学園の教師よねぇ・・・」
翠「煽てたって無駄ですぅ・・・。翠星石達にはこいつがあるのです!!」
と言って取り出したのは件のディスプレイ。ピッピッと光点を放っている。
位置的に見て、これが水銀燈の物だと取れる。
銀「な、は、発信機ぃ?!き、汚いわよぉ、そんなの!!」
翠「何を言ってるですかぁ?汚ねえつうのはこっちの台詞です!!」
紅「楽しかったのだわ?」
銀「え?」
紅「ティータイムは楽しかったかと、聞いているのだわ?」
銀「え、ええ・・・楽しかったわぁ・・・。そ、それじゃ、私はこれでぇ・・・」
2人の横をさも当然と抜けようとした水銀燈だったが、
翠・紅「「そうはいかん(ですぅ)(のだわ)!!」」
銀「は、はい・・・」
2人の怒気に威圧されて小さくなってしまう。
こうして水銀燈を含めたチームが結成される。
はたして、こんな状態で薔薇水晶を無事に見つけることはできるのであろうか?

ちなみに一方の蒼星石達は・・・
雛「わ~い、次は、え~と、え~と、あれに乗るの~」
蒼「まってよ、雛苺ー・・・。流石に絶叫系を立て続けに乗るのは僕でも辛いよ・・・」
雪華綺晶宛に領収書を切りまくって豪遊中であった。





「そう……それじゃ一度戻って……」
電話で連絡を受けた雪華綺晶。

その後梅岡を何とか駆使して捜索に乗り出すも、
やはりハンカチとポーチを貰っていた蒼星石と雛苺の元にたどり着くのにとどまった。

「……ところで」
十数分後。
ボロボロになった真紅が口を開いた。
「これからどうするの?連絡があって既に2時間近く経ってるのだわ」
そう、電話があってから既にそんな時間が経ってるのだ。
「全く、誰かさんが遊んでばかりだから余計な手間wうぐぐぐぐぐ」
愚痴ろうとした翠星石の口を蒼星石、水銀燈、雛苺が塞ぐ。
「でも、実際もう遅いんじゃなぁい?……今頃はどっかのホテルにしけこんであんなこt」

ズガガガガッガガ!

「……薔薇水晶は大丈夫よぉ。大丈夫だからぁ、それ、引いて……」
「でもどうするんだい?もう心当たりは当たったんだろ?」
「もうお手上げなのかしら~?」

口々に敗北宣言をする同僚たち。そのとき。

「おなかすいたの~」
ここで雛苺が空腹を訴えた。
しかし誰も何も言わない。目線で「空気嫁」と言ってるが、本人は気づかない。

「台所に……ばらしーの作り置き……一皿なら……」
もはや薔薇水晶の事で頭も胸もいっぱいな彼女。珍しく食事を他人に譲った。
すると。

「あ、花丸ポテトグラタンハンバーグなの~。おいし~の~
 此間薔薇水晶にもらったあのハンバーグとおんなじ味なの~」

その言葉に振り向く雪華綺晶。……そう、彼女のその料理は
彼女は初めて耳にする料理名だったのだ。
つまり、彼女の知らない時に行って購入したと言うこと。

彼女はこう推理した。
おそらくはデート?の後、雪華綺晶へのお土産に買ったのはいいが、
雪華綺晶に根掘り葉掘り聴かれるのを恐れ、たまたまいた雛苺にあげたのだと。

「ひ、雛苺、そのハンバーグ、どこで食べた?」
「え?ええとどこだったかな~う~ん、う~ん、忘れちゃったの~」
「思い出せ!思い出したら、小官の料理を全部食べるのを許可する!」
口調がもはや意味不明になってるが気にするな。
「う~~~んとぉ、う~~んと~~~……!!思い出したの!」

早速場所を聞き出すと、そのまま雛苺と連絡係として翠星石を残し、
雪華綺晶は専用ヘリに他のメンバーを乗せ出発したのであった。

「……待ってて、ばらしー。貴方は……私が守るから」
「……なんか恐いかしら……」


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