ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

水銀燈逃亡劇

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真紅「…というわけで、明日はせっかくの休みなのに申し訳ないんだけど、街の清掃活動に協力して頂戴。」
朝の会議で、そう教師全員に説明する真紅。真っ先に反対したのは、やはり水銀燈だった。
水銀燈「冗談じゃないわ!何で、休みの日まで働かなきゃいけないのよ!」
その声に呼応して、他の教師からも続々と非難の声が上がる。
翠星石「その通りですぅ!そんなのは、清掃業者のオッサンに任せやがれですぅ!!」
金糸雀「2人の言うとおりかしらー!清掃業者の人の仕事を奪うのも、良くないかしらー!!」
雛苺「うゆー…休みの日ぐらい、ゆっくり寝てたいのー…」
雪華綺晶「やだ。」
ある程度の反発は予想していたが、これは真紅の予想を超えていた。
何を言おうか迷う真紅に、すかさず蒼星石が助け舟を出す。
蒼星石「まぁまぁ…翠星石だって、駅前の花壇はひどいって嘆いてたじゃない。それに、街が綺麗になれば、きっと気分も良くなると思うよ。ね?」
翠星石「うー…しゃーねーな、蒼星石に免じて一肌脱いでやるかですぅ…。」
薔薇水晶「姉さんと銀ちゃんも…一緒に頑張ろ?」
水銀燈「…分かったわよ。面白く無いわねぇ…!」
真紅「ありがとう、じゃあ明日は10時に駅前に集合よ。絶対に遅れないでね。」
念を押すように、みんなにそう伝える真紅。こうして、この日の朝の会議は終了した。


真紅「…で、あれだけ念を押したのに、何で水銀燈・雛苺・金糸雀の3人は来てないのよ!?」
イライラしながら、そう愚痴をこぼす真紅。すぐさま他の先生に、その3人と連絡を取るよう指示を出す。
翠星石「この、おダメ苺!この翠星石が遅れずに駅前に来てやってるのに、何でおめーはいつまでたっても来やがらねぇんですか!?」
雛苺「…え?だって、清掃活動は中止になったんでしょ?昨日、学校のパソコンから、中止のメール来たよ?」
翠星石「はぁ!?嘘つくんじゃねぇですぅ!!」
雛苺「ほ、ホントだもん!『清掃活動は中止になりました。皆、よき休日を…』って!」
翠星石「何言ってやがるですか!?第一、翠星石のところには…」
蒼星石「…翠星石、多分雛苺は嘘をついて無いと思うよ。…どうやら、金糸雀のところにも、同じ内容のメールが来てたみたい…。」
そんなやり取りを見て、真紅の頭の中にある答えが導き出される。
木を隠すなら、森の中…。では、サボりたい場合に、最も有効な手立ては…
真紅「…こんな愚かなことを考えるのは、あの人しかいないわね…。電話つながった?」
薔薇水晶「…ううん、今すぐ迎えに行ってくる…!姉さん、すぐに銀ちゃんの居場所を割り出して!!」
雪華綺晶「おっけー。」
そういうと、雪華綺晶はどこかに電話をしだした。


そして数分後、雪華綺晶に一本の電話が入る。
雪華綺晶「もしもし…うん、わかった。…じゃあ今すぐ向かうね。」
そういうと、真紅・薔薇水晶両名を乗せ、急遽呼び寄せたヘリを発進させた。
雪華綺晶「…何か、日光にいるみたいだよ?」
真紅「日光!?ずいぶん遠くまで逃げたものね…!でも、場所さえ分かればこっちのものだわ!全速力で飛ばして頂戴!」
雪華綺晶「あいあいさー。」
こうして、ものの数十分で現場に到着する3人。しかし、そこに現れたものを見て、真紅と薔薇水晶は、思わず立ちすくんだ。
…その場所とは、栃木県某所の日光ワンニャン村…。約180種、500匹もの世界の犬や猫とふれあうことができるという一種のテーマパークである。
おそらく、多くの人にとってはとても楽しい場所なのだろうが、猫が嫌いな真紅と大型犬が嫌いな薔薇水晶には、そこはまさに鬼門ともいうべき場所であった。


真紅「全く…なんて所に逃げるのよ…!」
雪華綺晶につかまりながら、恐る恐る前に進む真紅。片側には、同じように薔薇水晶がギュッと雪華綺晶の腕をつかんで歩いている。
雪華綺晶「あ…いたよ。」
その目線の先には、犬や猫と戯れる水銀燈の姿があった。向こうもこちらに気がついたのか、気さくに話しかけてくる。
水銀燈「あらぁ?ずいぶん早かったのねぇ…。でも、果たして私を捕まえられるかしらぁ?」
真紅「…雪華綺晶、お願い。私、猫だけは苦手なのよ…」
「わかった」と、ずんずんと間をつめる雪華綺晶。しかし、水銀燈は全くひるむ様子を見せず、こう言い放った。
水銀燈「ふふふ…雪華綺晶、あなたの弱点はこれでしょう?」
その言葉とともに、雪華綺晶に向かってゆで卵を投げる水銀燈。思わず尻餅をつく雪華綺晶。
水銀燈「形勢は逆転しちゃったわねぇ…♪これに懲りたら、もう私をくだらないことに付き合せないでくれるかしらぁ?」
3人の情けない姿を見て、思わず笑みがこみ上げる水銀燈。それを見て、再び立ち上がるものがいた。


薔薇水晶「銀ちゃん…あなたは、いつもそうやって自分のことばかり…!もう許せない…!!」
その言葉と共に、一歩一歩水銀燈との間合いをつめる薔薇水晶。しかし、よく見るとその膝は震えていた。
水銀燈「まぁあ…ずいぶん頑張るのねぇ…♪じゃあ、こんなのはどうかしらぁ?」
そう言って、薔薇水晶にむかいフリスビーを投げる水銀燈。それをめがけて、ひときわ大きな犬が突進してくる。
「い、いや…来ないで!!」と叫ぶ薔薇水晶。足がすくんで逃げ出すことも出来ず、ついにはその場に座り込んでしまった。
水銀燈「ふふふふふ…なんて格好なの?さぁ、次は何をして遊んであげましょうか?」
薔薇水晶「銀ちゃん…ひどいよ、こんなの…うっ…ぐすっ…」
その目から大粒の涙を流す薔薇水晶。それを見て、雪華綺晶がゆっくりと立ち上がる。
雪華綺晶「ばらしーを…泣かせたな?」
水銀燈「そうよ?悪い?ほぉら、あなたはこれでも食べて休んでなさぁい♪」
そういうと、もう一度ゆで卵を投げつける水銀燈。しかし、雪華綺晶はそれを振り払い、足で踏みつけた。
水銀燈「あ、あら!?」
雪華綺晶「もう怒ったわよ…。さあ、この償い…どうしてくれましょう…!?」
一変して、今度は追い詰められる側に回った水銀燈。先ほどの薔薇水晶のように、「い…いや、来ないで…!」と嘆願するものの、時既に遅し。
その後、水銀燈は何も語ることなく、ただ黙々と街の清掃活動に臨んだ。
時折、溢れ出しそうになる涙をこらえながら、ただひたすらに…。


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