ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

騎士(百合注意)

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匿名ユーザー

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「お客さん、着きましたよ」

タクシーの運転手に言われて目が覚める。
気付くと、車は目的の場所へと着いていた。
眠い目をこすりながら、僕の肩を枕代わりにして眠っている翠星石を起こす。

「翠星石、着いたよ」

軽く肩を叩いてみるが、翠星石は依然として穏やかな寝息を立て眠っている。

「翠星石」

今度は少し強めに肩を揺さぶる。

「ん~?  蒼星石ぃ~大好きですよ~」

翠星石はそう言って僕の右腕に絡み付いてくる。
これは完全に酔っ払っている様だ。
しょうがない
運転手に代金を渡すと、翠星石をおぶって家まで残りわずかな距離を歩き始める。
自分の歩く音しか聞こえない、閑静な住宅街
ふと、昔のことを思い出す。

「蒼星石ぃ~ふられたですぅ~」

突然の翠星石からの失恋電話
だけどこんなことはいつものこと
翠星石は人一倍思い込みの激しいところがあって、自分の好きな相手が他の子と一緒にいるだけでふられたと思っていたこともあった。

「翠星石、相手にちゃんと好きですって言った?」
「・・・言ってない・・です」
「翠星石、想いっていうのはちゃんと言葉にして表さないと伝わらないんだよ」
「でも・・・でもあいつはどっかの馬鹿女と一緒に楽しそうにぺちゃくりあってたですよ?」
「・・・それでも、もしかしたらその子が、その女の子のことよりも翠星石のほうが好きってこともあるかも知れないよ? だからとりあえず、自分の気持ちを伝えてみなよ」
「・・・わかったです、ありがとうです蒼星石、やっぱり持つべきものは友達です」
「役に立てて嬉しいよ・・・おやすみ」
「おやすみです」

電話が切れると、途端にとても虚しくなる。
僕が、嘘をついてるから

本当は君に彼氏なんかできてほしくない
遠くに行ってほしくない
君に彼氏ができてしまったら、僕は君の一番じゃなくなってしまうから
自分の気持ちを伝えるなんてよくも言えたもんだ。
自分が一番できていないくせに

ねぇ翠星石、僕は君の騎士にはなれても、王子様にはなれないのかな

家に着く。
当然ながら鍵が無い
仕方が無いので翠星石のポーチの中から鍵を探り当て、ドアを開けるとそのまま寝室へと向かう。
子供のときからよく来ている家
中の構造は家主と同じくらい理解している。

翠星石をベッドの上に静かに下ろす。
電気のついていない暗い寝室
相変わらず静かな寝息を立てている翠星石

翠星石、君はいつも僕のことを強いって言うけど、僕はそんなに強くない
今だって、君をどうにかしてしまいそうで、凄く怖い
でも君のことが、愛おしくて堪らない

「君のことが・・・好きなんだ」

膨張し溢れ出した想いは、言葉だけでは止まらない。
僕は一歩進み、翠星石に、キスをする。
唇と唇が触れ合うだけの軽いキス
ただそれだけなのに、何故か涙が溢れてくる。


「おやすみ・・・」

それだけを言うと、静かに、部屋を出て行く

朝の職員室
いつも僕より少し遅れて登校してくる翠星石
今日は目が合わせずらい

「蒼星石、おはようです」
「ああ、おはよう」
「蒼星石、少し目をつぶっていてほしいです」
「目を? わかった」

翠星石の言葉の意味が多少理解できないが、言われたとおり目をつぶる。
すると唇に何かやわらかい感触が
動転し、瞬発的に目を開ける。
目の前には、鼻と鼻が触れ合いそうなほど近い翠星石の笑顔

「昨日のお返しです」
「昨日?! 起きてたの?!」

迂闊だった、多分相手が起きているか起きていないかもわからないくらい暴走していたんだろう。

「翠星石も蒼星石のこと大好きですよ」
「翠星石・・」

僕の想いは、もしかしたら叶うのかもしれない


終わり

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