ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 翠星石とブービートラップ

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翠星石「雪華綺晶!おめーを兵士の中の兵士と見込んでお願いがあるですぅ!翠星石に、『ぶーびーとらっぷ』というやつのイロハを教えてほしいですぅ!!」
雪華綺晶「…え!?」
昼休み、急にやってきたかと思えば、こんな話を切り出す翠星石。
正直、翠星石にトラップのことを教えるのはあまりに危険…そして悪いことに使うのは火を見るより明らかなため、その判断に迷う雪華綺晶。
しかし、翠星石のそのトラップに対するひたむきな姿に、どうしても教師…いや元軍人としての血が騒ぎ、ついに雪華綺晶は翠星石の頼みを聞くことになってしまった。
雪華綺晶にとって、翠星石は実に良い生徒に見えた。『好きこそ物の上手なれ』とはよく言ったもので、翠星石の理解力は人一倍よく、そのことが雪華綺晶を刺激し、つい余計なことまで沢山教えてしまうという結果を招いてしまった。
…そう、それが全ての悲劇を招くとも知らずに…。

次の日、蒼星石が職員室に入ると、教師一同が雪華綺晶のことを取り囲んで何か文句を言っていた。
どうやら翠星石のイタズラが、今までと違い手口が洗練されていることから、雪華綺晶が一枚かんでいるのではと判断した結果の行動らしい。
真紅「どういう事!?あの子、私が猫嫌いなの知ってて、マタタビの袋を私の服に縫い付けたのよ!?」
雛苺「ヒナだって、落とし穴に落とされたのー!!」
金糸雀「カナなんか、足に糸を引っ掛けたと思ったら、パイが顔面に飛んできたかしら~!!」
水銀燈「私なんか、冷蔵庫からヤクルトを取り出したら、いきなり爆発したのよ!?」
一同の怒りの声に、雪華綺晶は困った様子でただオロオロするばかり。
蒼星石「ちょ、ちょっとみんな落ち着きなよ。まさかとは思うけど…また翠星石が…」
「そう!!」と力強くうなずく一同。その光景に頭を抱える蒼星石。
蒼星石「…わかった。でも、何で雪華綺晶は翠星石に手を貸したの?」
「実は…」と事の顛末を話す雪華綺晶。どうやら、その発言に嘘はないようだ。
蒼星石「…わかった。じゃあみんな、ちょっと耳を貸して。」
そういうと、蒼星石はみんなに何かを伝えてまわった。


翠星石「おっはよ~ですぅ♪」
しばらくして、上機嫌で職員室のドアを開ける翠星石。しかし、それに返ってくる言葉は1つも無かった。
「あれ?」と思いつつも、雛苺に話しかける翠星石。しかし、返ってきたものは沈黙だった。
翠星石「…全く、あれぐらいで怒るとは肝っ玉の小さい奴ですぅ。」
憮然とした態度で雪華綺晶にそう話しかけるも、またしても反応は無し。その後、誰に対して話しかけても返ってくる反応は同じ。だんだん不安になってきた翠星石は、最後の砦である蒼星石に助けを求めた。
翠星石「蒼星石~!みんなが翠星石のこと無視するですぅ!何とか言ってやってくれですぅ!!」
蒼星石「真紅、次コピー機使っていい?」
翠星石「…蒼星石…。」
その反応に、大きなショックを覚える翠星石。今まで、どんなことがあっても最後は救いの手を差し伸べてくれた蒼星石までもが自分を無視した…それは、今まであったどんなことよりも翠星石を傷つけた。
失意の中、自分の席に戻る翠星石。いつもならここで、あれこれとトラブル処理に奔走する翠星石だが、もはやその元気も無いようだった。

その後、重い足取りで授業に向かう翠星石。教室には、すでに生徒たちがスタンバイしているようだ。
しかし、いくら力をこめてもドアは開かない。どうやら、カギがかけられているらしい。
雛苺「…というわけで、今日は翠星石先生がお休みだから、ヒナだけで授業をするの~!」
その言葉を着た瞬間、翠星石は確信した。「自分は、みんなに嫌われた」と。
ある心理学の本に、こんな言葉がある。『他人に対して過度に悪戯を行うこと、それはその事で自分というものを構ってもらいたいという、一種の幼児性の現れである』と。
元々、人見知りが激しい翠星石にとっては、特にその傾向が強かったのだろう。
無言でその場を立ち去る翠星石。気がついたら彼女は1人、トイレの個室でずっと泣き続けていた。


どのくらい時間が経ったのだろう…。ふと耳を澄ますと、学校のチャイムの音がした。
そして、誰かがトイレに入ってくる気配も…。
衝動に駆られ、個室から飛び出す翠星石。そこには、蒼星石の姿があった。
向きを変え、立ち去ろうとする蒼星石。その手をとり、引き止める翠星石。
翠星石「…何で…何で、無視するですか…?」
蒼星石「…。」
翠星石「お願いです…。何か…喋りやがれです…。」
化粧も落ち、涙ながらに問い詰める翠星石に心を動かされたのか、蒼星石が重い口を開く。
蒼星石「…じゃあ言ってあげようか?翠星石、君は雪華綺晶にブービートラップの方法を学んだんだろ?トラップって言うのは、普通敵に仕掛けるもの…そうだろ?」
翠星石「…そ、それは…。」
蒼星石「そして君は、それを実行した。だから、僕らも翠星石を敵として見ることにしたんだ。」
翠星石「…そ、そんな…。」
蒼星石「分かったら、もうその手を離してくれないか?これ以上君と話すことは無いから…。」
翠星石「ま、待って!!自分でも馬鹿なことしたと思ってるです…。翠星石は…翠星石は、前みたいにみんなと仲良くしたいです…。でも、みんな話も聞いてくれないし…どうしたら…」
そこまで言って、また涙ぐむ翠星石。
蒼星石「さあ…それは自分で考えないと…。でも、今までのこともあるし、簡単には許してもらえないだろうね。」
蒼星石は続ける。
蒼星石「…でも、その気持ちがあるのなら、謝ってきたほうがいいよ。そして、もうこんな事しないこと。それが出来れば許してもらえるかもね。」
そう言った蒼星石の顔は、先ほどの冷めたような顔ではなく、いつもの顔に戻っていた。
翠星石は、その蒼星石の話を聞くとすぐに廊下へ飛び出し、そのままどこかへ走っていってしまった。
そして、その顔にはかすかに生気が戻っていたという。


おしまい。