ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 芝生と青い空の下でのひととき

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4限目の終了を告げるチャイムが響き、生徒達に活気が溢れた。
水銀燈「はぁい、それじゃあ今日はここまでねぇ」
昼食の準備を始めた生徒達にそう言い残し、水銀燈は教室を後にする。
手には授業で使った教科書やらプリントと小さな弁当箱。
外を見れば梅雨も明け、もう夏の香りがしている。

水銀燈「たまには、外でお弁当っていうのもいいわよねぇ」
グラウンドがある方向とは別の、あまり目立たない芝生の上に寝ころびながら呟く。
眼前にはただただ青い空とそこに浮かぶ白い雲。
ゆったりと吹いてくる風が心地よい。と、
蒼星石「ですよね。水銀燈先生」
いきなりその視界に見慣れた顔が現れた。
水銀燈「うわっ、いきなり脅かさないでよぉ…」
蒼星石「ふふ、すいません。それにしても水銀燈先生がこんな所に来るなんて珍しいですね」
そう言って蒼星石は水銀燈の横に腰を下ろし、同じように寝転がる。


水銀燈「あらぁ、私がこういう所に来たら悪いかしらぁ?」
蒼星石「別に悪くはないですけど。少し不思議に思ったので」
水銀燈「…不思議ねぇ」
相変わらず空は青く、いつの間にか雲は流れ一面真っ青。
昼食を取ることも忘れて2人はその光景をただ黙って眺めている。
そんな時、突然蒼星石が口を開いた。
蒼星石「水銀燈先生は小さい頃、夢なんてありましたか?」
水銀燈「なによぉ、突然そんなことぉ」
蒼星石は水銀燈の返事を待たず続けた。
蒼星石「僕は今の職、つまり教師に小さい頃からなりたかったんです」
水銀燈「…ということは夢は叶ったのねぇ。よかったじゃなぁい」
蒼星石「でも最近よく考えるんですよ。今のままで本当にいいのかって」
水銀燈「なんでぇ?蒼星石先生は生徒にも人気があるし、授業も分かりやすいって評判じゃなぁい」
蒼星石「確かに、みんなは僕を好いてくれているけど…それに答えられる自信がないんです」
水銀燈「…」
蒼星石「僕は周りが思っているほど強い人間でもないし、ましてや万能なんかじゃないんですよ」
蒼星石「でも僕は教師だし、生徒に対しては常に見本になるような先生じゃないといけない」
蒼星石「そう考えると、僕なんかがみんなの見本として教壇に立つ資格なんて…」


水銀燈「貴方、見掛けによらずお馬鹿さんなのねぇ」
蒼星石「なっ!」
思わず起きあがり、少し怒りを含んだ声で声を上げるがそんな事は気にせず水銀燈は続ける。
水銀燈「まず、貴方は何の為に教師を目指したのぉ?」
水銀燈「確かに先生っていうのは生徒から憧れられたり、好意を持たれたり、尊敬されたりするわぁ」
水銀燈「でも、それは自分が理想とする姿ではなくて、ありのままの貴方だと私は思うのよぉ」
水銀燈「確かに生徒に対して良き先生であろうと考えるのはいいことだわぁ。私も見習わないと」
蒼星石「でも、僕にはその自信が…」
水銀燈「別に気負う事はないのよぉ、私みたいにお気楽過ぎてもダメだけどねぇ」
そう言うと、ポケットから煙草を取り出して慣れた手つきで口へと運ぶ。
水銀燈「要するに自然体で過ごせば私はいいと思うわよぉ?少なくとも今の貴方は私が羨ましいと思うほど素晴らしい先生だもの」
シュボッ、という音と共に煙草に火がついて白い煙が青い空へと消える。
水銀燈「騙されたと思って、しばらくは素の自分でありなさぁい。私が言えるのはここまでよぉ」
そこまで言ったとき、昼休みの終わりを告げるチャイムが響いた。
水銀燈「あらぁ…貴方の相談聞いてたらお昼ご飯食べ損ねちゃったじゃなぁい」
蒼星石「…ありがとうございます、水銀燈先生」
水銀燈「なぁに?私はただ単に貴方の問いに答えただけよぉ?ふふっ」
そう笑って、食べ損なった弁当とプリントを持って水銀燈は職員室へと去っていった。