ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 真紅と面談と模試

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「せ、先生…やっぱり無理なんでしょうか…?」
模試の結果を見つめる真紅に、不安気に尋ねる。真紅は、模試の結果を見つめたまま微動だにしない。
「やっぱり、志望校を変えたほうが良いんでしょうか?」
模試の志望校合格率には、Dの文字が連なっている。一つだけA判定があるが、これは滑り止めであり、本命ではない。
真「あなたはどうしたいの…?L…」
模試の結果用紙越しにLを見つめる。
L「そ、そりゃ受けてみたいですけど…」
真「じゃあ、そうなさい」
さらりと言い放つ。しかし、D判定の学校を受けることがどれだけ大変であるかということは、真紅自身十分分かっている。
もちろんLも。
L「そ、そんな簡単に言わないでくださいよ…。こんな判定で受けたところで受かりっこないですよ…」
真「そうね」
既に敗戦一色のLを突き放すように言う。Lが一瞬身を硬くした。
真「あなたがそうやって諦めたら、受かるものも受からなくなるわね…」
L「!!??」
核心を突かれた。諦めた時点で終わりということは分かっていた。だが、目の前にあるデータがLの自信を削いでゆく。
L「でも、この時期にD判定じゃ…」
諦めたくない自分と、目の前の現実から逃げ出したい自分が心の中で葛藤していた。
真「最後の最後までE判定だったけど、自分を信じて受けて合格した生徒だっているわ…」
L「そんなの、俺には無理ですよ…」
真紅の言葉を慰めとしか受け取れない自分に腹が立った。
真「いいえ、できるわ」
L「無理です…」
真「できる。だってあなたは…」
L「もういいです!!」
Lは立ち上がると、真紅の言葉を聞かず教室を出て行った。
真「L…」
一人残された真紅は、Lの出て行った廊下をただ見つめていた。


L「くそっ!!なんなんだよ俺は…?」
Lは自分に苛々していた。相談を持ちかけたのは自分のほうなのに、一方的に逃げ出してきてしまった。
自分は一体真紅になんと言って欲しかったのだろうか?
「諦めろ」と言って欲しかったのか?それとも「頑張れ」と言って欲しかったのか?
恐らくどちらでもないだろう…。例え真紅がなんと言おうと、最終的に決めるのは自分なのだ。
恐らく真紅もそれが分かっていてあのように言ったのだろう。それなのに…。
自分の弱さと甘さがつくづく嫌になった。
家に帰る気になれなかった。普段だったら家に帰ってご飯を食べている時間だったが、夜の街を当てもなく歩いていた。
前を歩いていた不良グループの一人とすれ違いざまに肩がぶつかった。
「痛ってぇ。ちょい待てよお前!!」
背後で不良が喚く。その声が、異様にうざったく思えた。普段なら無視しているはずなのだが。
L「ぎゃあぎゃあ五月蝿いんだよ!!」
自分でも何故こんな事を言ったのか分からなかった。自暴自棄になっていたのだろうか。
しまったと思った時には、不良の拳がLの鼻っ面に炸裂していた。とても痛かった。

職員室に戻ってきた真紅は、仕事に全く手がつかないでいた。
先程のLとのやり取りが、頭に焼き付いて離れなかった。
最終的に進路を決めるのは自分自身であることを気付いて欲しかった。だから敢えてあの場ではあのように言った。
しかし自分の判断は正しかったのだろうか…?そんな疑問が頭を離れなかった。
明日、もう一度Lと話し合ってみよう。そう心に決めたその時、職員室の電話が鳴った。
胸騒を覚えた真紅は、すかさず受話器を取った。
真「はい、有栖学園です…。あ、L…いえL君のお母さんですか?」
電話の主は、Lの母親だった。胸騒ぎが、さらに大きくなる。
真「え…?L君がまだ家に帰ってきてない…?いえ、L君は既に下校しましたが…」
いつも帰ってくる時間になっても、Lが帰ってこないという。時計を見た。午後7時を既に回っていた。
Lが教室を飛び出してから既に2時間が経過していた。あのまま帰ったのなら、既に家にいるはずである。
受話器から聞こえる声から、Lの母親の焦燥と動揺が痛いほど伝わってくる。
真「はい、私が探しますので、お母さんは家で待っていてください。はい、はい…でわ」
Lの母親をなだめ、受話器を切る。仕事の途中だったが、いそいそと帰り支度を始めた。
蒼「あれ?真紅先生どうしたの?」
真紅と一緒に職員室に残って仕事をしていた蒼星石が尋ねた。
蒼星石に一瞬Lのことを言おうと思ったが、思いとどまった。蒼星石にまで心配をかけるわけにはいかない。
自分ひとりで解決しよう。真紅はそう思った。
真「今日はもう帰るわ…」
蒼「え?帰るって…」
もうすぐくんくん探偵が始まる時間だ。機械音痴で未だにビデオ予約のできない真紅は、
くんくん探偵の放送に遅れそうになると職員室に残り、職員室のテレビでくんくん探偵を見る。
今から帰っては、明らかに放送に間に合わない。それは真紅も分かっているはずだ。
真「戸締りお願いね」
そう言うとさっさと職員室を出て行ってしまった。

「おいてめぇ!!ごめんなさいの一言も言えないのかよ!?」
不良の蹴りが脇腹を直撃する。Lは息ができなくなり、激しくむせた。
そんな光景を、通行人は見て見ぬ振りをして通り過ぎる。
L「ぶつかってきたのはお前だろ…?」
「んだとこら…!!」
不良はLの胸倉を掴むと、頬に思い切りパンチを食らわせた。
口の中が切れ、鉄の味がする。痛みのためか、涙が出てきた。
「一言謝ればいいんだよ!!」
全くその通りである。たとえ相手が悪かろうが、一言謝ってしまえばこんな痛い思いをしなくてもいいのだ。
L「誰が謝るかよ…!!」
意地なのだろうか?とても謝る気にはなれなかった。Lはそんな自分自身を恨んだ。
「そんなら謝りたくなるまで殴ってやろうか!?」
Lの胸倉を掴んだまま拳を振り上げる。Lは思わず目をつぶった。心の中で、次来るであろう痛みに備えた。
真「待ちなさい!」
背後から、聞き覚えのある声が聞こえた。不良の拳は、その声によって動きを止めた。
「なんだお前は…!?」
Lが振り返ると、そこには真紅がいた。まさか、自分を探しにきたのだろうか?
真「その汚い手を放しなさい」
「なんだとてめぇ!!」
Lから手を離し、真紅に詰め寄る不良たち。
L「真紅先生!!」
真「大丈夫だわ、これくらい…」
表情を一切変えることなく毅然と言ってのけた。しかし、手が震えていた。
大丈夫なわけがない。相手は屈強な不良たちである。蒼星石ならともかく、真紅が敵う相手ではなかった。
「お前も痛い目に遭いたいのかよ!?」
真紅相手に拳を振り上げる。しかしその拳は真紅の後ろから伸びてきた足によって受け止められた。

蒼「ふぅ、間一髪ってところかな?」
足の裏で受け止めた不良の拳を弾き返す。そして真紅とLの前に立つ。
真「蒼星石先生!?」
L「蒼星石先生!」
「なんだお前は!?」
不良が蒼星石に掴みかかろうとする。蒼星石はそれを軽く叩き落す。
蒼「こんな人目のつくところで殴りかかるつもりかい?まぁボクは構わないけど…」
目にも留まらぬ速さで拳を繰り出し、不良の鼻先で寸止めをした。風圧で不良の髪がなびく。
蒼「君たちも無事では帰れないよ?」
にこやかに笑いながら言い放つ。その笑顔が、言いようのない迫力を放つ。
「ちぃ!!くそ!!」
蒼星石の迫力に圧された不良たちは、すごすごと逃げ帰って行った。
蒼「立てるかい?L君」
逃げてゆく不良たちを見送ると、ハンカチを渡してLを抱き起こす。
真「蒼星石先生…?どうしてここに…?」
蒼「悪いけど、君の後をつかせてもらったよ。どうも様子がおかしかったからね」
真「な…」
蒼「君は何かあるとすぐに自分ひとりで抱え込んでしまう。ボク達に何の相談もなくね。
困った同僚だよ」
蒼星石が肩をすくめて溜め息混じりに笑う。
真「あなたに言われたくないわ」
そう言うと蒼星石の脇を通り過ぎ、Lの前に立ちはだかった。
L「真紅先生…」
真紅はLをキッと睨み付けると、Lの頬に張り手をかました。Lの頬に熱い痛みが伝わる。
L「え…!?」
蒼「ちょ、ちょっと真紅先生!?」
真「あなた!!この私がどれだけ心配したと思ってるの!?私だけじゃないわ!あなたのお母さんもそうよ!」
蒼星石の制止を振り切り思い切り言い放つ。その目は、微かに涙で滲んでいた。

L「先生…!!ごめんなさい…!!」
涙が溢れてきた。痛みのせいではない、何か別のものが涙を流れさせた。
L「ごめんなさい…!!俺、模試の結果を見て…どうすればいいのか分からなくなって…」
嗚咽交じりに謝罪するLに、真紅は溜め息をついた。
真「全く、私の生徒ならその程度のことくらい乗り越えてごらんなさい」
L「乗り…越えて…?」
真「あなたは、志望校を受けたいんでしょう?」
L「…はい…!!」
そこにはもう、模試の結果から逃れようとする自分はいなかった。
真「それで良いのよ…。あなたならできるわ。だって…」
涙で濡れたLの頬にそっと触れ、優しく微笑みかける。その笑顔は、Lの不安を一瞬にして取り除いた。
真「だってあなたは、私の自慢の生徒だもの…」