ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

 世界が其処にあるのなら。
 私は、其処に居て何をしているだろうか?
流れていくだけの、ただの歯車でしかない私に
もし、IFがあったのならば私は何をしているのだろうか?
いまだに続いているアリスゲームの最中ソレはそう思った。

 早朝の綺麗な真紫色の空。その空の下を歩くのは、雪華綺晶。
 時々、生徒と通りすがり挨拶されると小声で挨拶を返しながら自分が働いている有栖学園へと足を運ぶ。
たまに空を見上げてその場に立ち止まるが、直ぐにまた足を動かす。
戦争中には、見れなかった綺麗な空。今でこそ毎日見れるが、戦争に参加していた時に見た空より
綺麗に見えるその空の下で、今も戦争は続いていると思うとやはり私は戦争の中に帰るべきか? と思うが
自分の妹の事や今出来た愛すべき生徒達を思えば、ココに居て生徒達と共にすごしたい。妹と共に過ごしたいと願う自分が居る。
 いつか、また、私は戦争に身を投じるであろう。だが、ソレは何時になるのか分からない。
もしかしたら、私が教師として一生を終えるかもしれないし終えないかもしれない。
実に、曖昧で実に矛盾な考え。今の生活が嫌な訳じゃないし……
 やれやれと、雪華綺晶はゆっくりと頭を振るってから苦笑する。
 あぁ、今日もこんなに平和だ。
「……今日も……がんばろう」
 雪華綺晶の朝は、いつもこんな感じに始まる。
 ふと、自分の後ろから自分を見る視線を感じ振り返る。しかし、其処には誰もいなかった。

 夢はありますか? そう、夢。将来の夢や幼い頃になりたいと思った夢。将来の夢とどう違うかって?
将来の夢は、今思い何になりたいか考える夢。幼い頃の夢は、憧れ。
「と……言うことで……世界史ですが……急遽、ドアホのローゼン校長の提案で……皆の夢を書いてもらいます」
 はぁ。と、ため息をつく雪華綺晶は、作文用紙を一人二枚づつ配ってゆく。当然、自分の分もある。
この企画を思いついたドアホことローゼンは、教師も書くこと! と、言ったからさぁ大変。何故かローゼンも書くし
ラプラス教頭も書くことになった。さらには、教員でもない事務員の方々まで被害が及ぶ始末。
 夢か。と、雪華綺晶は思う。生徒達を見れば「夢なんてなんもねぇぞ?」「俺のちいせぇころの夢消防車になるだったぞ」
などと、雑談している姿が見える。男子も女子も和気藹々と、そんな事をしゃべりながら作文を書いている。
はて、自分に夢はあっただろうか? 気がつけば、軍に所属していたし……さらには、傭兵まがいな事までしていたが、
今思えば、それは果たして自分の夢だったのだろうか? 考えてみても実際自分は夢を追いかけて何かをした事など無かった。
 「俺のちいせぇ頃の夢。仮面ライダーだ」「俺、戦隊モノのレッド」「私も戦隊モノのピンクかシロ」
 「聞いて驚け俺は、ポパイになりたかった!」「ぶふっ!? お前それ似合わん! ガリ勉なお前に絶対似合わん!」
 「俺弁護士」「私看護士」「私イラストレーター」「俺ヤクザ」「「「無理無理」」」
 生徒達の雑談が、耳に入る。皆、それぞれ夢を持っている。ちょっぴりうらやましいと思った。
 ふと、いつか自分の妹に夢について尋ねた事を思い出した。夢は何? ただ、短くそう尋ねただけだが
妹である薔薇水晶は、微笑んでこう言った「私の夢はもう叶ったよ」ソレが何なのか分からなかった。
 同僚の水銀燈にも聞いた。水銀燈は、何処かモノ悲しげに「もう夢は叶わないわよ」と言った。もうすでに無いと言う事だろうか?
真紅にも聞いた。「そうね、叶っているけどまだ求めているわね」と答えた。叶っているのに求めているとは一体?
蒼星石にも聞いた。「僕の夢? そうだなぁ……この一生を誇れるモノにしたいかな?」とはにかんだ笑みを浮かべて答えた。誇れる一生?
翠星石にも聞いた。「そうですねぇ……願わくば、この毎日を……ですかねぇ?」と答えてくれた。良くわからなかった。
雛苺にも聞いた。「皆元気ー! そしてうにゅー!」それは夢なのかと思う。

 金糸雀にも聞いた。「カナの夢は、まだまだかしらー」一体何を夢としているんだろう?
ローゼンにも聞いた。「はっはっは! 俺の夢かぁ?! そうだなぁ……とりあえず書類整理飽きた」それは夢じゃないと思う。
ラプラスにも聞いた。「そうですね、当面の夢はこの神経性胃炎が何処かに消えることですかね? ねぇ? 校長」それも夢?
 夢ってなんだろうか? 分からない。むぅ……意外に難しい。
 授業終了を知らせる鐘の音。その音と共にいまだ悩んでいる雪華綺晶に生徒が声をかける。
どうやら、自発的に、作文の出来た者の分を集めて来た様だ。それをみて、スラスラと夢をかける生徒達がやっぱりうらやましいなと思う雪華綺晶。
「ん……じゃぁ、授業は終わり……」
 出来た分の作文を受け取り、雪華綺晶は難しい顔をして……と、いってもいつもの無表情とあまりかわらないのだが……教室を後にした。
 職員室。ちょうど昼時で、教師達は各々食堂へ行ったり屋上で弁当を食べていたりするのだが、いつもなら職員室で大量のお昼を済ませる雪華綺晶
だったが今日に限っては、昼ごはんを食べる訳でもなく。ただ、自分のデスクの上にある真っ白な作文用紙を目の前にジッと考えていた。
 夢が思いつかない。幼い頃の夢も無い。今の夢も無い。一体、夢ってなんだろう。考えたこともなかった。
「お姉ちゃん……どうしたの?」
 真剣に悩んでいた雪華綺晶の後ろから薔薇水晶が声をかける。あまりに、真剣に悩む雪華綺晶の表情を見て心配して声をかけたのだ。
「……夢」
「夢?」
 雪華綺晶の漏らした言葉に首をかしげる薔薇水晶。
「夢が何なのかわからない」
「そう……」
「薔薇しーの夢は?」
 前にも聞いた事をもう一度聞く。その問いに薔薇水晶は、笑顔で答える。
「叶ったよ」
「………夢の内容は?」
 そう、コレを聞きたかった。叶ったのはもう知っている。だから、その叶った内容を知りたかった。
「……皆が居て……生徒達が居て……おねえちゃんが居る……それが、私の夢」
「………夢」
 そうだよ? でも、これは夢と言うより願いなのかもしれないね? と、薔薇水晶は微笑んでそう言った。

 でも、願いも夢も同じなんだと思うよ? 薔薇水晶はそう言うと、自分のイスに座り授業中に生徒達が書いた作文を読み始めた。
 願いも夢も同じ……あぁ、それなら……願いなら……願いが夢なら……もう、叶ってる。
「…………」
 雪華綺晶は、作文を書こうとして手を止めた。また、誰かに見られている感じがした為だ。
キョロキョロと周囲を見回しても、作文を読んでいる薔薇水晶以外は居なかった。
「…………」
 とにかく、雪華綺晶は作文を書くことにした。ローゼンからの文字数の指定は無い。
雪華綺晶は、サラサラと作文を書いていく。夢と願いが同じであるのなら……そう考えたならば……
しばらくして、雪華綺晶はペンを静かに置いて席を立ち上がった。お昼を食べていない。いまさらそんな事に気づいた。
食堂は、まだやっているだろうか? そんな事を思いながら雪華綺晶は職員室を後にした。
 作文用紙には、短い文ではあるがこう書かれていた。
『私が居て、妹が居て、面倒見のある生徒達が居る。毎日が楽しく笑い喜び、苦難を共に超えていく。今この状況が私の夢』

 あぁ、IFの私は、幸せそうだ。
 よかった……よかった………
 ココでない場所。今出ない時で、ソレはそう思った。