ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 翠・蒼とスーパー

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放課後の学校近くのスーパーは、夕飯の買い物客でごった返していた。
主婦が占領しようとする空間の中で、一人学生服で買い物かごを持つGの姿は明らかに浮きだっていた。
G「なんか恥ずかしいなぁ…。やっぱり一回家に帰ってから着替えて来ればよかった…」
そうは言ったものの、かごは既にGの買い物で埋まっていた。出直す気などさらさらない。
G「はぁ、とにかく早く買い物を済ませて帰ろう…。買い残しはないかな…?」
店内を見落としがないかと見回していると、後ろから肩を掴まれた。
翠「G?どうしてお前がここにいるですか?」
G「う、うわぁ!!」
見られて困るような事はしていないはずだが、とてつもなく恥ずかしかった。
G「す、翠星石先生こそ…どうしてここに…?」
翠「どうしてって…買い物以外になにがあるですか?」
そう言う翠星石の手には、かごどころか商品すらなかった。
すると、後ろからショッピングカートを押して来る蒼星石が現れた。
蒼「す、翠星石先生、まだ何か買うのかい…?」
カーとのかごには、商品が山盛り盛られていた。
蒼「あ、G君。君も買い物かい?」
最悪だ。一度に二人の教師に見つかってしまった。別に見られて困るようなことはしていないが。
買い物を誰か知り合いに見られるのは、とても恥ずかしい気分である。今すぐにでも逃げ出したかったが、教師相手にそれをする訳にもいかなかった。
G「は、はい…。今日の夕食を買いに…」
蒼「夕食の買い物?君が毎日しているのかい?」
G「い、いえ…。親父は出張中で、母さんはそれをいいことに旅行中なんです。だから自分で…」
翠「それにしても不健康な夕飯ですぅ」
覗き込まれたかごの中には、惣菜やカップラーメンが詰め込まれていた。
G「う…。だって料理なんて面倒だし…」
翠「まるで昔の蒼星石先生のようです」
G「え?蒼星石先生みたい…?」

翠「そうです。蒼星石先生は放っておくとすぐにカップラーメンで食事を済まそうとするです。
だから翠星石が何日かに一回、こうやって栄養たっぷりの料理を作ってやるです」
腕を組み、誇らしげに言う。気分は健康の救世主というだろうか。
蒼「食材費は、全部ボクもちだけどね」
後ろから蒼星石が突っ込む。翠星石がそれを小突く。
かごには、今夜の食材には明らかに関係のないお菓子の袋が詰め込まれていた。
むしろ食材よりも多いかもしれない。これも蒼星石が代金を払うのであろう。
翠「それにしても見事なまでにカップ麺や惣菜ばかりです。不健康な上に非経済的ですぅ」
G「しょ、しょうがないじゃないですか…」
自分だってできれば健康的な食事をしたい。その願望は大いにある。だが、料理の面倒臭さがそれを大きく上回った。
蒼「でもコレは家庭科の教師として見逃せないよね?」
翠「そうです!こんな不健康な料理、家庭科の教師として許せないです!!」
蒼「だってさ」
Gの肩をポンと叩き、Gの買い物かごを取り上げた。
G「先生…?」
蒼「今日は翠星石先生の家へおいでよ」
G「はぁ!?」翠「えぇ!?」
二人がほぼ同時に叫んだ。
翠「なな、何勝手なこと言ってるですか!?」
蒼「いいじゃないか。2人分を作るのも3人分を作るのも大差ないでしょう?
それに、お金はボクが払うんだし」
翠「うぅ…」
反論できない翠星石に、さらに追い討ちをかける。
蒼「それにここで断ったら、G君にも悪いよ?」
翠「そうですが…」
蒼「よし、決まりだね!」
翠「しょうがないです…」
G「ちょちょ、ちょっと待ってくださいよ!!」
Gを無視して勝手に決定する2人の間に入る。
G「そ、そんな勝手に決めないでくださいよ!!」

蒼「そんなに翠星石先生の家に行くのが嫌かい?」
G「いや、そういう問題じゃ…」
本心を言うと、男子としては翠星石のような美人の家に行くのは飛び上がりたくなるほど嬉しいイベントである。
しかし、どうしても恥ずかしさが付きまとう。
蒼「それに、タダで健康的で美味しい料理が食べられるんだよ?」
G「そ、それなら…」
仕方ないという雰囲気を出しながらわざと渋々と返事をする。実際は踊りだしたいほど嬉しい。
美人教師の家へ行き、超絶的美人2人と一緒にご飯を食べる。これほどまでに素晴らしいイベントはあるだろうか。
Gは心の中で外出中の両親に感謝した。
蒼「じゃあ、決定だね!G君は一度家へ帰ってからおいでよ。6時に駅前にいてくれれば、迎えに行くよ」
G「は、はい!」
蒼「それじゃあこれはもう必要ないね。返しておいで」
Gの買い物かごをGに手渡す。
G「分かりました!それじゃあ、6時に駅前で…」
蒼「あ、ちょっと待って!」
去りかけるGを、蒼星石が呼び止める。
G「なんですか?」
蒼「翠星石先生の家に来る時に、数学の教科書とノートと筆記用具を忘れずに持ってくるんだよ」
G「え・・・?」
とてつもなく嫌な予感がした。そしてそれは見事に的中した。
蒼「G君は数学の成績が芳しくないからね。いつか個人的に指導しなくちゃいけないと思ってたんだ」
G「ま、まさか最初からそれが狙いで…?」
翠「本当に抜け目のないやつですぅ」
蒼「ふふふ」
それは、活字にしたら音符がつきそうな笑みだった。



家に帰宅したGは、私服に着替え、数学の教科書とノートと筆記用具と両親が中元に貰ったお茶の葉を鞄に入れ、駅へ出かけた。
はじめはお菓子を持っていこうと思ったが、スーパーで見たお菓子で半分以上埋め尽くされているかごを思い出し、お茶の葉にした。
約束の6時を5分ほど過ぎた頃、蒼星石が走ってきた。
蒼「ごめん!遅れちゃった!!」
G「いえ、大丈夫ですよ。それより、翠星石先生は?」
蒼「先に家で料理の準備をしてるよ。実はね、スーパーでG君と別れた後、買い物を一からやり直したんだ」
G「え?何でですか?」
蒼「生徒に食べさせることになったから、はりきったんだろうね。
あ、ボクがこの事を言ったのは翠星石先生には内緒だよ?君には言うなって言われてたから」
G「分かりました」
翠星石が自分の為に料理を作ってくれる。それだけで幸せだった。
蒼「それじゃあ行こうか。あ、ちゃんと数学の道具は持ってきたよね?」
G「はい、ちゃんと持ってきましたよ」
よろしい、と返事をした蒼星石の後について翠星石の自宅へ向かった。
翠星石の家は、駅からそれほど遠くないマンションだった。
蒼「翠星石先生。ボクだよ。G君を連れて来たよ」
玄関で、チャイムを鳴らさずに言うと、中から鍵を開ける音がした。
翠「来やがったですか。入りやがれです」
中から、エプロン姿の翠星石が出迎えた。調理実習の時とは違う雰囲気を持っていた。
G「お邪魔しまーす」
教師どころか、女性の部屋へ入るのは生まれて初めてだった。否応無しに緊張する。
玄関へ入った瞬間、心地良い匂いが出迎えた。香水の香りではない。言うなれば、翠星石の匂いだろうか。
自分の汗臭い部屋とは大違いだった。

奥のリビングに通された。綺麗に掃除されている。棚の上には、生徒と撮った写真や、蒼星石ら教師と撮った写真が可愛い写真立てに入れられて飾ってあった。
ベッドの上には、寝るときに抱いて寝るのだろうか、ぬいぐるみが置いてあった。
普段の口の悪い翠星石からは想像しにくい、女の子的な部屋だった。
翠「な、なにジロジロ見てるですか?そんなに女の部屋が珍しいですか?」
G「いやぁ、意外と可愛い部屋だなぁと…」
その瞬間、拳骨をくらった。
翠「意外とはなんですか!意外とは!失礼なヤツです!」
G「す、すいません…」
ヒリヒリする頭を撫でながら謝ると、翠星石はフンと鼻を鳴らしながらキッチンへ消えていった。
蒼「もう少しでできるみたいだから、ここで待っていようか」
そう言ってGに座布団をすすめる。まるで自分の家にいるようなくつろぎっぷりだ。
それほど何度も翠星石の部屋に来たことがあるのだろう。
キッチンで、包丁が心地良いリズムを刻んでいる。
暫く待っていると、翠星石が料理を持ってやってきた。
翠「待たせたですぅ」
翠星石の料理は、あっという間に机の上を占拠した。
G「うわ、すごい・・・」
素直な感動が思わず口から漏れた。
翠「当たり前です。翠星石の手にかかればこれくらいの料理、簡単にできるです」
エプロンを脱ぎながら自慢気に言う。しかし、自慢気に言うだけはある出来だった。
色とりどりの料理を見て、漂ってくる匂いを嗅ぐと、自然とお腹が鳴った。
蒼「それにしても、今日はいつも以上に気合が入っているね」
翠「そ、そんなことないです!いつもと同じです!」
蒼星石がからかうように言うと、翠星石は顔を赤くしてそれを否定した。
翠「ほ、ほら!とっとと食いやがれです!せっかくの料理が冷めるです!!」
急き立てるように手を合わせる。2人もそれに倣う。
「いただきます」
3人の声が、ほぼ同時に部屋に響いた。

Gは恐る恐る料理を口に運んだ。その瞬間、口の中いっぱいに味が広がった。
G「…美味しい…!!」
お世辞でもなんでもない、率直な感想だった。思わず頬がほころぶ。
美味しい上に、優しい。食べるだけで愛されていると思えるような料理だった。
G「翠星石先生、これ、美味しすぎですよ!!」
翠「あ、当たりまえです!翠星石の料理が不味いはずないです!」
蒼「良かったね、翠星石先生」
翠「べ、別に生徒に料理を褒められたって、嬉しくもなんともないです!!」
そう言ったものの、顔はにやつきっぱなしだった。褒められるのがくすぐったいようである。
料理が美味しいと、会話も弾む。3人は、学校でのことなどで談笑しながら料理を食べた。
量は多かったが、とても美味しかったので完食するのは全く苦ではなかった。
蒼「ふぅ、ご馳走様」
G「めっちゃ美味かったです!」
翠星石は2人が完食するのを満足気に眺めると、食器を持ってキッチンへ行った。
G「あ、先生俺も手伝います」
翠「これくらい一人で十分です!お前はそこにいろです」
G「はぁ…」
おとなしく引き下がると、蒼星石がおもむろにGの隣に移動した。
蒼「さてと、そろそろ本題へ入ろうか」
蒼星石がGを翠星石の家へ招待した本当の理由を忘れていた。Gの血の気が引く。
G「本題ってまさか…?」
蒼「うん。そのまさかだよ。ほらはやく数学の道具を出して」
G「げぇっ」
短い悲鳴を上げたが、諦めて道具を机の上に広げる。
一対一の数学指導が始まった。
他の生徒なら、嬉々とする状況なのだろうが、数学をなによりも苦手とするGにとっては苦痛以外のなにものでもなかった。

蒼星石の個人指導が始まってから、数十分がたった。キッチンから、洗い物を終えた翠星石がやってきた。
翠「お、やってるですね。はかどってるですか?」
G「ま、まぁ少しは…」
翠「蒼星石先生に教わってもそんなもんですか?お前は本当にお馬鹿ですぅ」
G「す、すいません…」
蒼「気にしなくて良いよ。人には苦手っていうものがあるしね。落ち着いていこう」
蒼星石の数学の授業は、丁寧で分かりやすいと生徒たちから大絶賛である。
しかし、典型的な文系のGにとっては、それでも数学は未知の領域であり、なかなか理解できなかった。
そんなGを、蒼星石は叱ることなく丁寧に指導し続けた。
勉強を始めてから軽く3時間が経過した。きりの良いところで、蒼星石が伸びをした。
蒼「うぅ…ん。今日はこれくらいにしとこうか。どうだったかな?少しは分かったかい?」
G「は、はい…。大分わかるようになりました。数学って分かると楽しいんですね」
蒼「本当かい!?そう言ってもらえると嬉しいよ!」
今までに見たことのないような笑顔だった。それほど嬉しかったのだろう。
翠「やぁっと終わったですか。他人の勉強ほどつまらないものはないですぅ!」
ベッドの上で横になっていた翠星石が身を起こす。
蒼「ごめんよ翠星石先生。君の家に連れて来たのにボク等だけで…」
翠「別にいいです。Gには、これから翠星石に付き合ってもらうです」
G「え?」
翠「G、お前はゲームはするですか?」
テレビ台を漁りながら尋ねる。
G「まぁ、それなりに…」
翠「じゃあ、これで勝負です!」
そう言って一本のゲームソフトを突き出した。最もメジャーと言われている格闘ゲームの最新作だった。
翠星石がゲームをするのは意外だったが、格闘ゲームというのはどこか納得できた。
G「先生いいんですか?俺、これ得意ですよ?」
翠「ふっふっふ。翠星石だって得意です…」
蒼星石が一瞬、いけない、という顔をしたが、その時は気にならなかった。

ゲーム機の電源を入れる。ソフトは既に本体にセットされているようだった。
キャラクター選択画面になると、翠星石は迷わず一人のキャラクターを選択した。
いわゆる持ちキャラというものだろう。Gも自分のキャラクターを選択する。
翠「さぁー、ボコボコのメッタメタにしてやるです!」
鼻息荒く気合を入れる翠星石だったが、ボッコボコのメッタメタにされたのは翠星石の方だった。
テレビ画面の中で、Gの使用したキャラが勝利のポーズを決めた。
翠「な…!も、もう一回勝負です!!」
しかし、その後何度勝負しても翠星石のキャラが勝利のポーズを決めることはなかった。
決して翠星石が弱いわけではない。むしろ一般人として強いほうである。
Gが強すぎるのである。ゲームセンターでこのゲームをやり込んだGは、地元では敵無しとまで言われていた。
翠「き、きぃーー!!また負けたです!!」
G「あ、あの先生…もうそろそろ帰らないと…」
翠「駄目です!!翠星石が勝つまで帰さないです!!」
G「えぇ!?そ、そんな…。終電がなくなっちゃいますよ…」
翠「だったら翠星石の家に泊まればいいです!!」
もはやGの訴えには聞く耳を持っていなかった。画面を見つめる目は血走っていた。
蒼「あーあ、始まっちゃったよ」
Gの横で2人の対戦を見ていた蒼星石が溜め息をつく。
G「そ、蒼星石先生!?」
蒼「翠星石先生は負けず嫌いでね。ボクもこうやって朝まで付き合わされることもあるんだ」
G「あ、朝まで!?ていうか蒼星石先生もゲームするんですか!?」
朝まで翠星石を負かし続けるということは、相当のレベルに違いない。
翠「どうしたです!?とっととキャラを選びやがれです!!」
G「す、すいません…」
朝までつき合わされるのはごめんだった。Gは、気付かれない程度に手加減をして、わざと翠星石に負けた。

初めてテレビ画面の中で、翠星石のキャラが勝利のポーズを決めた。
G「うわー負けたー!翠星石先生は強いなぁ!!」
大袈裟に翠星石を褒め称え、コントローラーを置こうとしたが、翠星石がそれを止める。
翠「手加減するなです…」
G「え…?て、手加減なんてしてないっすよ?」
手加減したのを見抜かれてぎくりとしたが、誤魔化そうとした。
しかし、翠星石にはそれも通用しなかった。
翠「嘘を付くなです!!翠星石ほどの経験者になれば相手が手加減したかどうかぐらい見分けられるです!!」
なんとも迷惑な経験者である。
翠「本気のお前に勝たないと意味がないです!!ほれ!とっととはじめるです!!」
G「…はい」
観念して再びコントローラーを握った。今夜は帰れそうにない。どうやら本当に翠星石の家に泊まることになりそうだった。
しかし、悪い気はしなかった。

負けず嫌いの性格のためか、翠星石はめきめきと上達した。
数十回目の対戦では、Gも勝利するのがやっとだった。
そして、もうすぐで100戦目というところで、ようやく翠星石が勝利した。
手加減無しの真剣勝負だった。恐らく、あともう100戦ほどしたら、翠星石は全国に名を轟かせるほどになるだろう。
翠「勝ったです!!やはり翠星石は強いです!!」
G「や、やっと負けた…」
どっと疲れが押し寄せた。時計を見ると、既に日付が変わっていた。もうかれこれ4時間は対戦し続けただろうか。
終電は既に終わっていた。翠星石の家に泊まることはもはや決定事項だった。
蒼「お疲れ様」
蒼星石が、Gが持ってきたお茶を淹れて手渡した。
G「あ、ありがとうございます…」
翠「ふぅ、久々に熱中したから疲れたですぅ」
しかし、その顔は達成感に満ちていた。



翠「翠星石は今からお風呂に入るですが、蒼星石先生はどうするですか?」
蒼「ボクも一緒に入るよ」
翠星石と蒼星石が一緒に風呂に入る。それを想像しただけで鼻血が出そうだった。
翠「Gも一緒に入るですか?」
G「え…?えぇ!?」
まさかのご指名に、言葉が出なかった。しどろもどろになっているところに、翠星石の拳骨が飛んできた。
G「痛っ!!」
翠「冗談に決まってるです。なに赤くなってるですか?全くGはお子様ですぅ」
G「そ、そうですよね…。ははは」
当たり前だと思いながらも、心のどこかで期待していた自分がいた。
翠「翠星石たちがお風呂に入っている間は、テレビでも見てやがれです。
もし覗いたりしたら…分かってるですね?」
翠星石が睨み付ける。蒼星石も、険しい表情になる。
G「わ、分かってますよ!!俺も命は欲しいですから」
そう言ったものの、心の中は覗きたい気持ちでいっぱいだった。こんなチャンス、2度と巡って来ないかもしれない。
だがもしばれたら…。そう考えただけで、覗きたい欲求は裸足で逃げ出した。
脱衣室で、2人が服を脱ぐ音が聞こえた。慌ててテレビをつけたが、聴覚は脱衣所に集中していた。
翠「相変わらず蒼星石先生は胸が大きいですぅ」
蒼「わ、やめてよ!G君もいるんだよ!?」
翠「相変わらず可愛い反応ですぅ」
蒼「もう…」
もはやテレビどころではない。Gは全神経を2人の会話に集中させた。もうテレビの音など聞こえない。
暫くの会話の後、2人が湯船を出る音が聞こえた。どうやらお互い体を洗うようだ。
翠「蒼星石先生の肌は綺麗ですぅ」
蒼「翠星石先生だって…」

お互いに洗い合っているのだろう。スポンジと肌の擦れる音が聞こえる。
翠「やん!翠星石先生どこを触ってるですか!」
蒼「ごご、ごめん!!」
翠「お返しですぅ!!」
蒼「あん!やめてよ翠星石先生!!」
やらしい声を上げながらはしゃぐ声が聞こえてきた。もはや完全にGの存在は忘れられている。
頭の中で絡み合う裸の2人の姿が浮かび上がってきた。
G「これは…拷問か…?」
耳を塞ぎ、目を閉じたが、二人の声と映像はGの頭を離れなかった。

それから十数分後、風呂の戸が開く音がした。だが、2人が出てくる様子はなく、再び戸が閉められた。
翠「G―――!」
G「は、はい!!」
突然名前を呼ばれ、Gは飛び起きた。まさか、一緒に入らせてもらえる…!?
翠「タオルを忘れたです!箪笥の下から2段目の引き出しにタオルが入っているから、2人分持ってきて欲しいです」
しかし現実はそんなに甘くはない。Gは返事をすると、言われた通り箪笥からバスタオルを取り出した。
G「先生、タオルもって来ましたよ」
翠「ご苦労です。脱衣所のかごの中に入れとけです」
G「はーい」
脱衣所の戸を開けたGの目に飛び込んできたのは、風呂場のすりガラス戸越しに映る蒼星石の裸のシルエットだった。
G「!!!!!!!!!!!!!!!」
すりガラスなので、はっきりとは分からなかったが、髪の毛の長さから蒼星石だと判断できた。
体のラインははっきりと分かった。普段の服からは決して見ることのできない、お尻のラインも、胸の膨らみも、はっきりと分かった。
もっと近くで見れば、胸の頂も分かってしまいそうだった。

G「あ・・・」
翠「どうしたです?タオルを置いたらとっとと出るです!!」
G「は、はい!!」
Gは逃げるように脱衣所を出ると、テレビの前でへたり込んでしまった。胸に手を当てる。今までにないほど大きな鼓動を刻んでいた。
G「蒼星石先生の胸…意外と大きかった…」
暫くして、着替え終わってパジャマ姿となった2人が出てきた。
翠「ふぅー。スッキリしたですぅ」
蒼「うん。やっぱりお風呂は良いね」
蒼星石を見たが、つい先程見た裸のシルエットを思い出し、思わず目を伏せた。
とてもじゃないが直視できない。
翠「湯が冷めないうちに、Gも入りやがれです」
G「え?俺も…?」
翠「当たり前です!まさか風呂に入ってないその不潔な体で翠星石の家に泊まるつもりだったですか!?」
G「い、いえそんな…!!」
翠「それならとっとと入ってきやがれです。あと、出るときに風呂も洗っとけです。タオルは貸してやるです」
翠星石からバスタオルを受け取ると、Gは脱衣所へ入った。
ふと洗濯物かごを見たGの目に、翠星石と蒼星石のものであろう2つのブラジャーが飛び込んできた。
思わず手に取った。心なしか、まだ温もりが残っているような気がした。
G(こ、これを2人が…?は!ということは2人は今…!?)
翠「なにやってるですかー?とっとと入りやがれです!」
G「は、はいぃ!!」
鼻に近づけていたブラジャーを投げ捨てると、慌てて風呂場へ入った。
見られていたわけではないだろうが、一瞬死を覚悟した。
軽くかけ湯を浴び、浴槽へ使った。2人が入っていた浴槽。Gは思わず浴槽の湯を飲み込みたくなったが、理性がそれを抑えた。

Gは浴槽に浸かっていたが、全くもって安らげなかった。
ここに裸の2人が入っていたのだ。風呂だから裸なのは当たり前なのだが。
落ち着かない様子で辺りをキョロキョロ見回していると、湯船に一本の毛が漂っているのを見つけた。
G「これは…?」
思わずすくい取って見る。色的に自分のものではないことは確かである。
蒼星石か翠星石のものだろう。だが、髪の毛にしては短すぎるし、どこか固さも髪の毛らしくなかった。
G「ま、まさかこれは・・・!?!?」
一本の毛を手に、思わず立ち上がる。
G「これは、まさか…あの…!?」
翠星石のものか、蒼星石のものか。今はそんなことはどうでも良かった。
G(これを生徒の間でオークションに出したら、恐らく5桁はいくだろう。いや、7桁いくかもしれない。
しかし、そんな馬鹿な真似はしない。これは、俺のものだ…!!)
拾った毛を、脱衣所にある服のポケットの中にしまった。罪悪感は、無い。
再び風呂場に入り、体を洗おうと椅子に手をかけ、ふと動きを止めた。
G(この椅子に、2人は…)
気付いた時には、Gは椅子に頬擦りをしていた。
スポンジを手に取る。まだ洗剤が残っていたので、そのまま使った。
2人がこれで体を洗ったということを想像しながら…。
他人から見たら、変態の行動かもしれない。だが、Gはそれをどうとも思わない。
G(こんな状況で、何もしないほうが変態だっつーの…!!)
Gはその後も、十分に翠星石の風呂場を堪能した。
結局、Gが風呂場にいた時間は、翠星石たちが入っていた時間よりも長かった。
翠「男のくせに長かったです」
G「すいません…長湯なもんで…」
実際のところは、『もう一人の自分』を鎮めるのに苦労していたのだ。だがそんなこと翠星石たちに言う訳にはいかなかった。
ふと、2人の胸元に目をやった。下着を着けていれば見えることの無いであろう突起が見えたような気がしたが、ジッと見ることができなかったので、確信には至らなかった。

翠「さ、寝るですよ!」
Gが風呂に入っている間に、ベッドの横に布団が敷かれていた。
翠「G!お前はベッドに寝るです!」
G「お、俺が!?」
翠「ベッドは一人しか入れないです。布団なら2人で寝れるです」
G「で、でも俺が翠星石先生のベッドなんかに…」
翠「なんですか?まさかGが蒼星石先生と布団で寝るとでも言うつもりですか!?」
G「あ、いや…!!」
蒼「ボクは構わないよ」
蒼星石が冗談めかして言う。今、そんな冗談を言われても困る。
結局、ベッドでGが、横の布団で翠星石と蒼星石が寝ることになった。
かなり遅めの消灯であった。翠星石が真っ暗なのは嫌だというので、蝋燭の火をつけながら寝ることになった。
淡い光の中、2人仲良く向き合って寝息をたてる姿が浮かぶ。本当に仲の良い2人だ。
翠星石のベッドの中、Gは眠れずにいた。今日の出来事が、まるで夢のように思えた。
試しに頬をつねる。痛かった。
翠「ひざまずくですぅ」
翠星石が突然寝言をあげた。一体どんな夢を見ているのだろうか。
それに続けて掛け布団を蹴り上げた。今夜は寒くないので、そのままにしておくことにした。
翠星石の寝相の悪さには凄まじいものがあった。常に手足を動かしていた。
その度に、蒼星石のパジャマが捲れる。
蝋燭の日に照らされ、徐々に蒼星石の肌が露になる。
G「お、おぉ…!!」
Gは2人から目を離せなくなった。徐々に捲れる蒼星石のパジャマ。
心の中で翠星石を応戦する。もっと暴れろと。
すでに、蒼星石の胸の下半分程が見えている。そのふくよかな胸が全て露出するまで、あともう少しだった。胸の頂は、ギリギリのところで隠れていた。
Gの鼻息が荒くなる。

だが、あと一歩というところで蒼星石は寝ながらパジャマを元に戻す。
そしてそれを再び翠星石が寝相でずらしてゆく…。
結局そんなやり取りを2人は朝まで繰り返していた。
Gは、一睡もできないまま朝を迎えた。

そのあと3人は、軽い朝食を食べた。
蒼「G君、すごいくまだけど、ちゃんと眠れたのかい?」
G「はは、まぁ」
蒼「そう、それなら良いけど…」
あなたのせいで眠れませんでしたとは、とてもじゃないが言えなかった。
蒼「G君のご両親は、いつ帰ってくるんだい?」
G「えっと、日曜の夜です」
蒼「ということは、今日は帰ってこないのか。そうだ、今夜も翠星石先生の家においでよ」
G「え!?」
思いもよらない提案だった。
蒼「ね、いいよね?翠星石先生」
翠「しゃーなしですぅ。それじゃあ今夜は、別のゲームで対戦です!」
蒼「その前に、数学の勉強だけどね」
G「えぇ!?」
どうやら今夜も終電に乗れそうも無い。だが、それは嬉しすぎる災難だった。