ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 蒼い子マジギレ

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 蒼星石は、切れていた。
 温厚・温和の文字がピッタリの蒼星石が切れていた。
 何か鋭利な刃物で指を切るとかそう言うのではなく、
 プッツン。つまり、精神的に切れていた。
 原因は、目の前に血まみれで倒れている男子生徒。
 自分の教え子で、良く蒼星石に数学の事を聞いてきた人懐っこい生徒。
 自分は、不良だけど学校が好きだと、先生たちが好きだと言ってくれた生徒だった。
 その生徒が、今血まみれで倒れている。
 蒼星石は、生徒をそうした元凶を睨む。
 元凶は、笑っていた。まるで、おもちゃで遊んで愉快な気分の子供の様に
「何がおかしいんだい?」
 笑っている元凶を睨む。蒼星石の手は握り締めすぎて皮が破れ血が流れている。
 いつもの穏やかな表情とは、正反対の怒りの表情を浮かべ唇をかみ締め睨む。
 元凶は、そんな蒼星石を目にしても笑っている。
「血が、血、ブァッと、イヒヒヒヒヒ」
 虚ろな目。口から流れている涎。腕に複数ある何かを刺した後。
 麻薬中毒。そう、元凶は麻薬中毒者。
 自分が何をしているのか分からない。自分がした事が悪い事罪な事だと認識していない。
 だから、血まみれになった男子生徒は、そいつの目には玩具にしか見えない。

 蒼星石は、呼吸を整える。
 怒りを爆発させて戦うタイプではない蒼星石は、怒りを心のうちで静かにそして激しく燃焼させて戦うタイプなのだ。
 血まみれの男子生徒を、直ぐに担ぎ上げ安静にさせ携帯で救急車を呼んだ後。
 いまだ笑っているソイツを凝視する。
 睨んだだけで人が殺せたのなら……と、比喩しても過言でないほどに凝視。
「お前お前、お前。俺睨むのむかつく。だから、だか、死ねよぉ!」
 頭を掻き毟りソイツは、そう叫ぶと蒼星石に襲い掛かってくる。
 しかし、ソレはあっさりと蒼星石に回避され逆にソイツへ凄まじい打撃が加えられる。
 襲い掛かってきたソイツの側面に回りこみ、背中に掌打を打ち放つ。
 地面に思いっきり打ち付けられるソイツ。何が起こったのかソイツはわからない。
「君は、してはいけない事をしたんだ」
 蒼星石は、地面に倒れていながらも笑い続けているソイツを上から見下ろしてそう言う。
 しかし、ソイツはソレがおかしくおかしくてたまらないのかさらに声を上げて笑い笑いながら立ち上がる。
「生意気。生意気なんだよ! 俺に俺に俺にぃ!!」
 近くにあった棒を手にしてソイツはソレを蒼星石の脳天めがけて振り下ろす。
 棒の材質は鉄。頭に直撃すれば死ななくても脳内出血を起こす可能性もある。
 蒼星石は、慌てた様子も無く力強く一歩踏み込み体横にそらし振り下ろされた棒を回避する。
 地面をえぐる音と同時に、何かが爆発した音が響く。
「けはっっっ!」
 ソイツの胸には、手形が二つ。無論それは誰のか? と問われれば蒼星石のである。
 至近距離からの両手掌打。骨は折れないまでも確実にソレは胸を圧迫させ激痛を走らせ
 肺から強制的に酸素を排出させ、胃の内容物を逆流させ心臓を圧迫する事には十分だった。
「うげぇぇえ!」
 胸を押さえて、その場にうずくまるソイツ。

 ソイツを見る。涙を流し口からは涎なのか胃液なのか分からない液体を垂れ流し相変わらず笑うソイツ。
「………君は、もう、寝てなさい」
「イヒヒヒヒヒヒ、コロ、コロ、コロス! テメェコロス!」
 蒼星石は、ゆらゆらと立ち上がったソイツへ瞬時に近づくと
 ソイツの顎めがけて横から拳を当てる。
「ア? ア?? ァ」
 何が起こったのかわからないソイツは、ドシャッと鈍い音を立てて地面に横たわった。
 蒼星石は、ソイツから直ぐ離れ血まみれの男子生徒の方へと歩いていく。
「○○君……○○君」
「……ぅあ………蒼星……石……先生?」
「あぁ、僕だ。じっとしてるんだ、今救急車が来るから」
「アイツ……は?」
「大丈夫だから、今は安静にしてるんだ」
「わか……ったよ……」
 男子生徒は、蒼星石にそう言うと目を瞑った。
 まるで死んでるように見えたが、小さい呼吸音が聞こえる事で蒼星石はホッと胸をなでおろした。
 遠くからサイレンの音が聞こえる。救急車が来るのはもう直ぐだな……と、安堵の息を吐いた。
 その後、救急車で運ばれる男子生徒を見送り、麻薬中毒のソイツが倒れている場所まで歩いていく。
「ァ? ソラ……空……」
 ソイツは、泣いていた。此処から見える狭い空を見て泣いていた。
 蒼星石は、携帯で警察に電話して場所などを事細かに教えると携帯の電源を切った。
「なんで、君はそうなっちゃったんだい?」
「ソラが……ソラが……」
 無駄だと分かっても尋ねる蒼星石。ソイツは、相変わらずソラを見て泣いている。
 数分後に警察が到着し、ソイツを連れて去って行く。
 蒼星石は、ソイツを見送り男子生徒が運ばれた病院へと急いだ。
「あ、先生!」
 病室で、先ほどまで血まみれだった男子生徒が元気な声で蒼星石にそう言った。