ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 結婚

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 蒼星石は、現在教師として一度あるか無いかの境地に立たされていた。
 かつての教え子が、久しぶりに学園に来て先生たちと話をしている。
 今は何をしているのか? 元気か? 大きくなったね。
 とか、他愛の無い話。
 しかし、その卒業生と蒼星石が二人っきりになった時
 かつての蒼星石の教え子が、唐突に
「先生、俺と結婚しません?」
 そんな事を言う卒業生は、メガネの位置を直してジッと蒼星石を見た。
 何を言われたのか瞬時に理解できなかった蒼星石は
「ふーん……君と結婚かぁ……」
 と、のんきにコーヒーを一口飲んでから
「はい!? 結婚!?」
 と、テンポの遅れた驚きを見せた。
 卒業生は、相変わらずだなぁと、笑う。
「ジュ、ジュン君? 冗談は止してよ?」
「いや、冗談じゃないんですが?」
 結婚の言葉に過激に反応した蒼星石は、頬を赤らめながら卒業生ジュンにそう言うが
 ジュンは、至極マジメに蒼星石にそう返した。
「もう、僕はおばさんだよ?」
「恋愛とか結婚とかに年齢は関係ないんだよ? って教えてくれたの先生ですよ?」
「うっ……そ、そうかもしれないけどね?」
 ジュンの言葉に、うろたえる蒼星石。なんで、こう言うときに限って誰もいなかなぁ? と、
 今此処に居ない同僚たちをちょっぴり恨んでみるが状況は、変わるわけでもなくジュンはコーヒーをゆっくりと飲んでいる。
 まるで、蒼星石の答えをジッと待っているかのように思えた。

 どうしよう。もう、その言葉が蒼星石の頭の中でグルグルと暴れている。
 付き合ってください。とか、そう言うのは良く生徒から告白されるが、教師と生徒である事もあって全て断ってる。
 だけど、今この状況は教師と生徒じゃなくて……もう卒業した教え子であって……
 うぅ………落ち着け落ち着くんだ僕。ジュン君と結婚する事が嫌って訳ではなくて……
 違う違う違う! えーと……そりゃ、あの頃のジュン君と比べてみたら立派になったし……
 確かファッションデザイナーとして、有名になったよね……翠星石先生の服も確かジュン君のデザイン……
 あーもう! わからない! 僕はもうおばさんでジュン君はまだ二十台。
「先生?」
 ちょっとまって、今真剣に悩んでるんだから。
「相変わらずパニックになると、百面相になりますね?」
 それほど悩んでるんだよ。結婚だなんて、人生で一度あるかないかで重要なことなんだよ!?
「まぁ、それほど真剣に悩んでくれてるって事は脈ありって取っていいですかね?」
「へ?」
「へ? じゃないですよ。先生」
 苦笑するジュン君。何処かその笑みは卑怯だ。なんか全てを知ってるって笑みだ。
「直ぐ結婚なんて無理な話。と、言う訳でお付き合いいたしません?」
「は?」
 なにそれ? コレだけ僕が結婚の言葉に悩んだのに
 また、ジュン君笑ってるし……まるで僕が、悩んでた事が実に馬鹿みたいじゃないか。
「そう、頬を膨らませないでくださいよ先生」
 苦笑。
「まぁ、また来ますので、その時に答えをください」
「あ……」
 席を立ち上がり、あぁそうだとジュンは、紙袋を一つ蒼星石に手渡した。

「先生に似合うと思いますよ」
 そうジュンは、言うとでは、また。と軽く頭を下げ黒いコートを羽織ると職員室を後にした。
 紙袋の中身は、服だった。何処か質素だが立派な服。
 ふと、何か書かれている紙が一枚あるのを見つける。
【蒼星石先生へ 遅い誕生日祝いです】
 そう、書かれていた紙。
 自分の誕生日は、もう終わってる。丁度、一ヶ月前の今日。
 自分の教え子が、此処に来た理由の一つがコレか。と、思った。
 あれ? じゃぁ、結婚云々は? ジュン君は冗談を言うタイプじゃないし……
 と、言うか普通に冗談じゃないって断言してたよねぇ……
 で、付き合ってくださいって言われたし……
 ……………僕どうすればいいんですか? 教えてください僕の恩師
『俺にきかれてもなぁ~』
 なんでそんなににこやかなのか非常に気になる。
「はぁ……また来るって事は答えなきゃ駄目だよねぇ……どうしよう……」
 ため息を一つ。
 太陽が沈み、一瞬の黄昏色の後に空は黒い夜になる。
 今度来た時……僕はなんて答えるんだろうかと、未来の自分へそう思った。




「なーんか、蒼星石先生宛てにでっけぇ荷物届いてるですよ?」
 翠石星が、デスクで試験の問題を作っていた蒼星石に声をかける。
 一体なんだろう? と、蒼星石は教えてくれた翠星石にありがとうと声をかけて。
 事務室へと歩いていく。
 あぁ、やっと来ましたか。と、エンシュ事務長と丁度その場に居たレンピカ事務員が
 蒼星石の登場に、安堵の息を吐いた。
「僕に、大きい荷物とは?」
「あぁ、これなんですが」
 でかい。確かにでかい。その荷物を立てれば丁度僕の首から足がすっぽり隠れるぐらいのサイズ。
 一体ダレから? と、送り主を見ると
「……ジュン君か」
 ため息。一体、こんな大きいモノを何でまた学校に送ってきたんだろうか?
 蒼星石は、中身が何なのか分かります? とエンシュとレンピカに尋ねるが
 君に送られてきた物だから、私たちが勝手に開けては不味いと思ってねと、至極当然の答えを返す二人。
「開けてみましょうか……」
 あぁ、レンピカ君。鋏をお願いするよ。とエンシュはレンピカにそう告げると、自分はゴミ袋を取りに行く。
 レンピカから、鋏を受け取り蒼星石は、荷物の封を開けていく。
 封を切り、包み紙を外すと其処には木の箱。
 『蒼星石先生へ』 などと、小さく書いてある。
 一体何なのかと、木の箱を開ければその中に入っていたのは純白のドレス。
「ほう……」
「へぇ……」
 一般にウェディングドレスと呼ばれるソレ。
 シンプルなデザインながらも、何処か貴賓あふれるドレス。

 ふと、ウェディングドレスの上にメッセージが書かれた紙が存在する。
 蒼星石は、それを手にとり読む。
『蒼星石先生へ、いやー驚いたでしょ? 先生の住所知らないんで学校に送らせていただきました』
 何を送ってるんだい君は、と真剣に悩む。
『ほら、いつかの時。俺が先生に言った言葉あるじゃないですか』
 あぁ……思い出したよ。はっきりと。
『そんな訳で、俺の渾身の作品を送ります。俺は本気ですよ? 先生』
 うぅ……ジュン君。君が本気なのは分かった。分かったけどウェディングドレスを送ってくるってどうさ。
 まったく、君には参るよ。君が僕の教え子だった時とは、本当に変わったね……
 君への答えは、ちゃんと用意してあるから来るんだったらさっさと来なさい。
 僕は、そう気が長いほうじゃないんだから……
 と、木の箱を閉じながらそう思う。
「エンシュ事務長すみませんが、コレ僕が帰宅するまで預かっててもらえませんか?」
「お安い御用ですよ」
 エンシュは、そう言って笑った。
 さて、僕にはまだ仕事がある試験の問題を考えなきゃいけないし……
 授業もまだある。
 ジュン君。来るんならなるべく速く来る事だよ。
 僕は、本当に気が長いほうじゃないんだからね。



「ジュン。君また夜中まで起きてたの?」
 エプロン姿の女性が、ていっと小さな掛け声と共にベットで寝ていたジュンを蹴り落としてそう言った。
「明後日までに仕上げないといけない仕事があるんだよ」
「まぁ、それじゃぁしょうがないけど……体壊したら元も子もないんだからね?」
「わかってる」
 ジュンの言葉に、そう? もう朝ごはんできてるよ。と、女性はそう言って寝室を後にした。
 顔を洗い眠気を取り、食卓へ。
「ジュン。もう僕行くからね?」
「あいよ」
「今日は、部活動の関係で遅くなるから」
「うぃ。んじゃ、夕飯は俺が作っておく」
「おねがいね」
 女性は、そう言ってジュンの頬に軽くキスしてから、家を出て行った。
「行ってらっしゃい。先生」
 ジュンが、苦笑しながらそう言った後。
 まだ湯気が出ている朝飯を、ジュンはモソモソと食べ始めた。