ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

翠星石の財布泥

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匿名ユーザー

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ある日の放課後、翠星石が職員室に入ると、そこには誰もいなかった。
絶好のチャンスとばかりに、何か悪戯を仕掛けようと思考をめぐらせる。
その時、翠星石にあるものが映った。名探偵くんくんの財布…それは間違いなく真紅のものであった。
翠星石「こんな物騒な世の中、財布をそのままおっぽり出しておくとは一体どういうことですか!?これは1回、真紅にお金のありがたみについて身をもって教えてやるのが友情ってモンですぅ♪」
そんな都合のいい解釈をしながら、翠星石は自分の鞄に真紅の財布を隠した。
翠星石「おっと、このままここにいたら翠星石が犯人だってすぐばれちまうですね。しばらく身を隠すですぅ♪」
上機嫌で、翠星石は職員室前の職員用トイレの一室に身を隠した。

しばらくすると、真紅のものと思われる絶叫が聞こえてきた。
どうやら、財布がなくなったことに気がついたらしい。
内心大笑いで、しかし勤めて冷静に職員室に入る翠星石。その姿を見つけた真紅が、すがるようにこう言った。
真紅「翠星石!ここにあった私の財布見なかった!?」
翠星石「はぁ?しらねーです。」
必死に笑いをこらえながら答える翠星石。可哀想に…いつも冷静な真紅が、あんなにあわてて自分の机の上を探している…その哀れな姿が翠星石には面白くて仕方がなかった。
一通り机の周りを探すと、真紅は勤めて冷静に水銀燈を問いただした。
真紅「水銀燈…もう冗談はいいから早く返しなさい!」
水銀燈「知らないわよ、そんなモン。第一、何で真っ先に私を疑うのよ。」
真紅「あなたが一番疑わしいからよ!!」
水銀燈「何ですって…!?」
蒼星石「まぁまぁ、きっと探せばすぐ出てくるって!ね!?」

だんだんと雰囲気が悪くなる職員室内。最初は笑ってそれを見ていた翠星石も、次第に事の重大さに気がつき始めた。
「冗談が冗談で済むうちに…」と返すタイミングを見計らうが、それはいつまで経っても訪れることはなかった。

水銀燈「無いわねぇ…本当に職員室に置いてたのぉ?」
机と机の隙間に落ちていないかと、机をどかして探す水銀燈。
真紅「間違いないわ!確かにここに置いといたのだわ!!」と間違って机横のゴミ箱に落としたのではないかとその中を探す真紅。
しかし、財布は一向に出てくる気配がなかった。なぜなら、今も翠星石が隠しもっているのだから…
何とかして、自分がやったとばれずにすむ方法は無いかと考え抜いた結果、1つの妙案が翠星石の頭に浮かんだ。
翠星石「そうです!こーいうときは、1回なくなった時の状況を再現するといいですよ!みんな1度、放課後自分がいた場所に戻ってみるですぅ♪そうすれば、きっと」
水銀燈「出てくるわけ無いじゃない…お馬鹿さぁん…。」
蒼星石「真紅はともかくとして、僕らが戻っても何の解決にもならないよ…」
翠星石「そ、そうですか…」

計画は失敗に終わった。

雛苺「こうなったら、ケーサツに探してもらうなの!!」

探し始めてから1時間が経ったころ、翠星石にとって最も恐れていた言葉が発せられた。
もし警察が来て自分が犯人だとバレれば、職も、そして仲間も全て失ってしまう。それだけは何としても避けなければならなかった。全力で阻止にかかる翠星石
翠星石「だ、だめですよ雛苺!!そんなことしたら、余計犯人が名乗り出にくくなっちまうですぅ!!」
蒼星石「翠星石、うちの学校にそんな悪い人はいないと思うよ。」
翠星石「せ、生徒の中には、悪い奴も何人かはいるもんです!これは統計学的にも仕方の無いことですぅ!」
蒼星石「…これまで、真紅はずっと生徒たちに対して真面目に接してきたんだよ?それでも、その思いは伝わってなかった…そう言いたいのかい?翠星石。」
翠星石「あ、あくまで仮定の話です!そんな怖い顔するなです!そんな無駄な詮索してる暇があったら、もう一度みんなでよく探すですよ!」

その言葉を受けて、もう一度くまなく探す一同。一生懸命探す『ふり』をする翠星石。そこへ蒼星石がそっと近づき、話しかけてきた。
蒼星石「翠星石、本当に何も知らないのかい?」
翠星石「し、しらねーです…」
蒼星石「…本当に?」
翠星石「な、何ですか!!もしかして翠星石を疑ってるですか!?翠星石だって、やっていいことと悪いことぐらいわかってるですぅ!!」
蒼星石「…そう…。」
何故か悲しそうな顔をする蒼星石。その顔に、よりいっそう胸が苦しくなる翠星石であった。

結局、夜遅くまで探したが、真紅の財布は見つからなかった。
みんなとは現地で別れ、同じ方向同士ということで真紅、蒼星石、そして翠星石は一緒に帰ることになった。
蒼星石「…大丈夫、きっと明日は見つかるよ。」
翠星石「そ、そうです!それに、もし見つからなくてもくんくんの財布なら、どこのシケた店でも売ってやがるですぅ♪」
真紅「…あの財布は、生徒にプレゼントされた大切なものなの…」
重い空気に包まれる一同。
真紅「だから、同じものは1つとしてないの…」
そういい、財布をプレゼントされたいきさつを事細かに話す真紅。
その一言一言がグサリ、グサリと翠星石の胸に突き刺さる。
真紅「あ、ここでお別れね…。今日は2人とも、遅くまで付き合ってくれてありがとう。
…また明日ね。」
そういい、真紅は自分の家へと向かっていった。

真紅と別れ、蒼星石と翠星石は無言で家路にをたどっていた。
いつもは楽しい会話をしながら帰る道なのだが、今回ばかりは静寂が時を支配していた。
響くのは靴の音だけ。無言のまま歩き続ける2人。
ふいに、口を開く蒼星石。
蒼星石「翠星石、も」
翠星石「蒼星石!今日は悪いけど1人で帰ってくれです!ちょっと真紅の野郎、このまま自殺でもされちゃ寝起きがわりぃから、家まで送り届けてやるです!!」
そういって、翠星石は真紅の後を追いかけていった。

何分走っただろうか。もしかしたら、こんなに全力で走ったのは生まれて初めてかもしれない。
永遠とも感じられるような時間を走り続けるうち、とぼとぼと道を歩く人影が目に映った。―真紅だ。
翠星石「真紅!!」
肩で息をしながら真紅を呼び止める翠星石。
真紅「…どうしたの?そんなにあわてて。」
翠星石「真紅に…渡すものがあるです…。ほれ、おめーの探してたのはこれだろ…です」
そういって、鞄の中から真紅の財布を差し出す翠星石。
真紅「まあ…!!でも一体どういうことなの?」
翠星石「…最初は、どんな顔するか楽しみでやったです…けど、どんどん事が大きくなって…それで…言い出し辛くて…」
息が切れているからなのか、泣いているせいなのか上手くしゃべれない翠星石。
それでも、翠星石は今の気持ちを思ったまま真紅にぶつけた。
翠星石「…今更、どんなこと言っても無駄だと思うです…だから…どんな罰や償いも甘んじて受け入れるつもりです…でも…こんな事で許してもらえるとは思ってないです…
けど…けど、翠星石のこと…嫌いにならないで欲しいです…」
真紅「…ありがとう…よく正直に申し出てくれたわね…。」
そういって翠星石を優しく抱きしめる真紅。その思いがけない行為に、よりいっそう大粒の涙を流す翠星石であった。

エピローグ

雛苺「あ!真紅~!昨日はあれから大丈夫だったなの~?」
真紅「心配をかけて悪かったわね。大丈夫、財布もこのとおり見つかったわ。」
水銀燈「なぁんだ…今日もしょぼくれた真紅の顔を見れると思って楽しみにしてたのに…で、どこにあったのぉ?」
真紅「家にあったのだわ。昨日は持ってくるの忘れたみたい。」
金糸雀「なっ!じゃあ、昨日みんなで一生懸命探したあの時間は、いったい何だったのかしら~!?」
雪華綺晶「大丈夫…。その分、何かおごってもらえばいい…牛…牛食べたい…。」
薔薇水晶「…姉さん、よだれ…だめだよ…(ふきふき)」
蒼星石「まぁまぁ、とりあえず無事見つかって良かったじゃない。」
翠星石「そうです!これでこの学校に悪人はいないと証明されたですよ!この学校の未来も安泰ですぅ♪」

昨日の重苦しい雰囲気とは違う、いつもと変わらない職員室の風景がそこにはあった。

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