ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 薔薇水晶の家庭教師

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K「えーと、これは…ここに入れとくか」
部屋に散乱しているものを押入れに詰め込む。
K「これは…とてもじゃないけど見せられないな…」
これから来る人にはとてもではないが見せられない雑誌を机の引き出しに放り込み、しっかりと鍵をかける。
K「後は…」
コンビニで無料で配られていた映画の割引券を、わざと目につくところに置く。
K「これで、よしだな・・・」
丹念に部屋を見回し、見落としがないか確認し、どこか満足気に息を吐く。
ほぼそれと同時に、玄関のチャイムが鳴る。胸が高鳴る。
「K-、先生が来たわよぉ!降りてらっしゃい!」
下の階から、母親が呼ぶ。
K「はーい、分かったよー」
駆け下りたい気持ちを抑え、わざとだるそうに階段を下りる。心の中で、もう一人の自分が『素直になれよ』と言ったが、無視する。
玄関にいく前に、自分の身なりをチェックする。問題はない。
息を吐き、その臭いを嗅いでみる。これも問題ない。30分以上歯を磨いたし、息がスッキリするガムも噛んだ。
軽く深呼吸をし、玄関を開ける。
薔薇「・・・こんにちは」
K「あ、こんにちは…」
そこにいることは分かっていたはずなのに、いざ目の前に立たれると恥ずかしさで下を向いてしまう。
K「ど、どうぞ…」
スリッパを差し出す。薔薇水晶はそれを受け取り、静かに履く。その動作一つ一つをじっと眺める。ふと、目が合った。
K「あ!こ、こっちです…」
慌てて背を向け、薔薇水晶を部屋へ案内する。後ろで薔薇水晶のスリッパがパタパタと音を立てる。
K「は、入ってください」

薔薇水晶を部屋へ通す。毎週の事ながら、緊張する。
机の横に置かれている椅子に腰掛けた薔薇水晶が、部屋を見回す。
薔薇「本当にK君の部屋は綺麗ですね…。掃除をいつもしているんですか?」
K「ははは、まぁ綺麗好きなんで」
心の中でもう一人の自分が『嘘をつけ』と突っ込んだ。それを軽く受け流す。
だが、確かにその通りである。薔薇水晶が来る前日までの部屋は、とてもじゃないが見せられない。
薔薇「先週の宿題はやりましたか…?」
K「あ、はい…」
回答済みの問題集を渡す。薔薇水晶はそれを受け取ると、宿題の範囲のページを開き採点を始めた。
紙の上を滑る赤ペンの音が部屋に響く。その間することのないKは、横目で採点をする薔薇水晶を眺める。
薔薇「問題ないみたいですね…」
採点が終わる。結果は満点だった。
薔薇「では今日は…」
K「あ、先生これ…!!」
どこからはじめましょうと言おうとした薔薇水晶に、一枚のテストを差し出す。
K「これ、この前学校でやったテストです」
先々週に薔薇水晶に教わった範囲のテストである。名前の横に、でかでかと赤いインクで50と書かれている。
薔薇「満点…!凄いです…」
静かに喜びの声を上げる。耳がムズ痒くなった。
K「薔薇水晶先生に教わった所がでたんです…!!それと…あ、いやなんでもないです」
先生の為に頑張りましたという言葉が喉まで出かかったが、慌てて飲み込む。
薔薇「なにか、御褒美が必要ですね…」
K「え、御褒美!?」
御褒美という言葉が、Kの頭の中でいかがわしい映像となって駆け巡る。
薔薇「K、くん…?」
急に動きを止めたKの顔を覗き込む。

K「え、あぁ!!いやぁ…あは、あははは」
頭の中を占領しようとしていた淫らなイメージを必死で追い出した。
もしこれを薔薇水晶に見られたら、自殺ものだ。
K「そ、そんなのいいですよ!ご褒美なんて…」
薔薇「そう、ですか…?」
もし5秒前の自分に会えたなら、間違いなく全力で殴るだろう。顔が変形するまで殴るだろう。
K「そ、そんなことより授業しましょう!ね!」
話を逸らすように、テキストを開く。つくづく己の愚かさを恨む。
薔薇「そうですね…」
Kは諦めて授業に専念する。

指定された問題を解いてゆく。それを横で薔薇水晶が見守る。気になってしょうがない。
薔薇水晶がほんの少し動くたびに、ちらちらと見てしまう。
薔薇「…?どうかしましたか?」
またも目が合ってしまった。
K「あ、いや…。ここの問題が解かりづらいかなぁ、なんて…」
適当にごまかす。本気で考えればわかるような問題である。
薔薇「どれですか…?」
薔薇水晶が身を乗り出す。風に乗って、薔薇水晶の匂いが鼻をくすぐる。それを静かに、鼻いっぱいに吸い込み、肺に収める。
自分はなんて幸せ者なのだろうか。Kは安らかな幸福感をかみ締めた。
しかし幸せな時間ほど過ぎてゆくのが早いものである。時計の針が自分の予想を遥かに超える速さで回る。
薔薇「今日は、これくらいにしましょう…」
きりの良いところで終わる。その時、部屋の扉がノックされた。
「失礼しますー」
タイミングを見計らったかのように、クッキーとジュースを持った母が入ってきた。
外で会話を聞いていたのかと疑いたくなる。
薔薇「いつもありがとうございます…」
クッキーとジュースを机の上に置く母に対し、頭を下げる。

「まぁやだ先生!私が好きでやってるんだから、気にしないで下さい」
片方の手で手を隠して笑い、もう片方の手で空中をはたく。つくづくおばさん臭い行動だ。
「あら、このテストは…?まぁ満点じゃない!」
机の上に置いてあったテストを拾い上げる。そういえばまだ母親に見せていなかった。
「まぁ、これも薔薇水晶先生のお陰かしらねぇ。この子ったら先生が家に来てくださるようになってから
急に家で勉強をするようになったんですよ?それまでは家で教科書を開くことすらなったのに」
K「もう、そういう余計なことは言わなくていいんだよ!!ほら、もう出てって!」
母親の背中を押し、無理矢理部屋から追い出す。全く母親というのは恐ろしい存在だ。
言われて恥ずかしいことを本人の前でズバズバと言う。あれ以上言われたら発狂しそうだった。
K「本当にもう、勝手なことばかり言いやがって…」
頭を掻きながら椅子に座る。薔薇水晶はそれを微笑みながら見ていた。
薔薇「でも、嬉しいです…」
K「え…?」
薔薇「これ、頂きますね…」
クッキーを食べ、ストローからジュースを飲む。ジュースを飲み込むたびに薔薇水晶の白い喉が動く。
遠慮がちにストローを咥える唇が妙に色っぽく、しばし見惚れてしまった。
薔薇「あら…これは…?」
机の上に置いておいた映画の割引券を手に取る。ようやく気付いてくれた。
K「あ、それは今度やる新しい映画の割引券です!見る予定とかあるんですか?」
薔薇「見たいんですが、なかなか一人では行き辛くて…」
なんとも最高な返事だろうか。心の中でガッツポーズをする。
K「ば、薔薇水晶先生…?あの、その…」
薔薇「…はい?」
はやる気持ちを抑えつつ、ゆっくりと言葉を選ぶ。
K「そ、その、今度一緒に見に行きませんか…?俺もなかなか一人では行き辛くて…」

薔薇「一緒に…ですか…?」
K「は、はい。その、テストで満点取ったし、そのご褒美にー、なんつって…」
ここに来て満点のご褒美の話を持ち出す。なんともずる賢くてみっともない作戦だ。
薔薇「…良いですよ」
K「へ?」
まさか二つ返事で良いと言われるとは思っていなかった。
K「本当に、良いんですか?」
薔薇「はい…」
にこりと微笑んでくれた。踊りだしてしまいそうなのを必死で堪える。
薔薇「テストも頑張ってくれましたし…ご褒美で映画代くらい…」
K「あ、映画代は別にいいです!!一緒に行ってもらえるだけで十分ご褒美ですから!!」
映画代目当てで誘ったと思われたらたまらない。
薔薇「今週の日曜日…時間空いてますか…?」
K「いくらでも空いてます!!ていうか予定があっても無理矢理空けますよ!!」
日曜日には友人と遊ぶ約束があった。しかし薔薇水晶との映画と天秤にかけると、何処かへ飛んでいってしまった。
心の中で、友人に謝った。
薔薇「では…日曜の正午、駅前で…」
K「は、はい!!!!」

「今日もありがとうございましたぁ」
薔薇「はい…では、また来週…」
「はい、よろしくお願いします」
玄関先で薔薇水晶を見送る。玄関を出ると、薔薇水晶がぺこりと頭を下げる。
母親もそれに対し深々と頭を下げる。
K「先生、さようなら」
薔薇「さようなら…おやすみなさい…」
K「おやすみなさーい」
薔薇「日曜日、楽しみにしてますよ…」
K「…!!はい…!!」
日曜日に授業なんてあったかしらと言う母親を適当に言いくるめて、薔薇水晶を見送った。

部屋に戻ると、喜びを押さえきれなくなったKは意味不明の踊りを舞い、ベッドに飛び込んだ。
ついに…ついに…!!
奇声をあげそうになるのを抑え、足をバタバタとさせる。
ふと机に目をやると、薔薇水晶が飲み終えたジュースが目に入った。
ストローを咥える薔薇水晶の妙に色っぽい唇を思い出した。
K「あのストローで…薔薇水晶先生が…」
生唾を飲み込む。コップを手に取ると、恐る恐るストローに口を近づける。
「なにやってるのあんた?」
いつの間にかすぐそばに母親がいた。ドアを閉めるのを忘れていた。
K「ななななななな!!何だよ!?」
口から心臓が出るかと思った。
「いやうるさいから来たんだけど…。ほら、食器洗うから渡しなさい」
食器を受け取った母親が部屋から出て行った。
K「あ、あぶねー・・・ていうかバレちったかな?」
ドッと嫌な汗をかいた。寿命が何年か縮んだ気がした。
K「まぁいいや。なんたって日曜は…」
そう言ってKは部屋のカレンダーに近き、今週の日曜日の日付を赤ペンでグルグルと塗り囲んだ。