ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

蒼星石の情報

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匿名ユーザー

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僕は画面を見つめる。

見慣れた検索エンジンに、ある目的をキーボードで打ち込み、最小限の労力でマウスを走らせる。
クリック音が振動するのが分かる。
もう、慣れたものだ。
ものの数秒で反映される結果は、僕に至福をもたらしてくれる。
周囲の人間たちはもっか自分たちの作業に夢中で、モニタから目を離すものは居ない。
蒼ちゃんから与えられた「ホームページ作成および公開」という課題でよかった。
彼女の授業だからこそ、この雰囲気は形成されるといっても過言ではない。
皆々が信頼を持って受けられる授業。
自覚の有無はともかく、だ。

この課題は何より素材が必要不可欠なので、堂々とネットワークを使える。
もっとも、僕が現在進行形でしていることはある意味胸をはれるが誉められたものではないが。
“この授業なら尚更”だ。

タブブラウザにはもう既に形にはなっている自作サイト「僕たち私たちのふるさと ~地方に伝承する逸話と都市伝説、時々ザリガニ~」を表示してある。
問題のタブは表示されているタイトルからは想像できない。
万が一はショートカットキーで最小化もできる。
大丈夫だ。

何て。
僕はこんなことをしているのだろう。
突然、自問自答してみるが先行する興奮がそれを遮ってしまう。
馬鹿だな、とは思う。
それを楽しいとも思う。
然し、“この授業中にする”からこそ意義がある。

純粋なものほど、濁したい。
美麗なものこそ、汚したい。
僕の作った課題を先生がわくわくしながら覘いたら「うわ、え、何、ちょ、と、ええー……///////」とおよおよとうろたえにうろたえ、真紅先生より真っ赤になることを、僕は何よりも所望しているのだ。

きっと今、僕は不自然なほどに頬をひきつっている。
自然、高鳴る鼓動が何よりの証拠だ。

然し然し、どうだろう僕。
17インチに心で語りかけてみるが、相変わらず同じ顔だ。
ホイールを上下させる。
思わず、またにやりとしてしまった。
改めて振り返ってみると、
表示されているものもそうだが、実際僕は――




「変態かもしれない………」




目を――見開いてしまった。
その声は空気を伝わり、鼓膜に吸収され脳で反芻した。
先程以上に胸は飛び上がり、じんわりと身体が火照りだしと思うと、次第に今度は冷めていった。急激に。

きっと今、僕は不自然なほどに顔を強張らせている。

鯨油切れの米機械(古い)のように、ぎこちなく回転イスを軋ませる。
見上げると、声の主は世界が逆でも笑っているように見えた。
否、逆でなくたって笑っているんだ。
モニターに映し出されている結果を覗き込み、じっくりと見据える声の主――蒼ちゃんこと蒼星石。

「結構、まともに作ったんだね」
先生は、僕の右の耳元でそう云うと、右手を僕の手に置く。
ちょっとしか触れていないけれど、柔らかいし暖かい。
マウスを動かし、リンクした画像を開く。
一秒のしない。
液晶には、女体たちが笑い、泣き、叫んでいた。いろんな意味で。
別段そこまでしなくても十全だったがあえてあらゆる手段を駆使して集めに集め抜いたその手のモノが至るページにリンクされて並んでいる。
クリック。
クリック。
おおよそマイベストと云ってもいいエロ画像。
次々とポップアップさせられていく。
「すごいね」
先生は、ただ淡々と呟くように云った。

僕はまだ同じ姿勢で見上げたままだ。
何て、何て、変わらない表情。
「すごいね」
自然、高鳴る鼓動が何よりの証拠だ。
もう逃げられない。
僕はだらしなく、えくぼを作った。
「――素材を、探すのには苦労しました。僕のやりたいことはなにぶん膨大な情報を必要としまして。
その………、割とまとまってきたのですが、イマイチピンっとコない、まあそれはまだ吟味し切れていない、という言うべきか………、
………………………、ああ………そうだ、このHPのコンセプトは、ずばり“人間を解き明かす ~裸踊り編~”です」
「楽しいかい?」
先生は、その素敵な笑顔とやりきれない感情を秘めた青筋を額に浮かべていた。
うっすらと閉じかけたその優しいオッドアイの中には、ゆやゆよんと揺らめく蒼の炎がちらついていた。

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