ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 裏有栖学園 雪降る戦いの詩 第二話

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 私が彼と出会ったのは本当に偶然だった。
 学園内にある不死屋で、ホットコーヒーを飲んでいた時の事で
 不死屋は珍しく、多くの人たちで満員と言った感じだった。
 私は、そんな人々の喧騒の中ホットコーヒーを静かに飲んでいた。
 しばらくして、不死屋の店員に声をかけられ相席お願いしてもよろしいですか? と言われる。
 不死屋の店員の後ろには、一人の男性と一人の少女。 
 つまり、私は彼と相席する事になった訳だ。
 正確には、彼と彼が連れた少女だが。

「すまないね」

 と、彼は苦笑しながら椅子を引き少女を座らせた後で少女の隣の椅子を引き腰をかけた。
 私は、そんな彼の言葉にいえ、別に。とそっけなく返した。
 そして気づいた、彼はどこか誰かに似居ていて……どこか懐かしい気がした。
 誰か。誰かとは誰だろうか? 私は心の中で首をかしげた。
 でも、どこか懐かしい懐かしくて温かい気がした。

「僕の顔に何かついてるかな?」

 どうやら、私は彼の顔をじっと見ていたらしい。彼は、苦笑しながら頬を掻いていた。
 多分私も苦笑を口端に浮かべていたと思う。
 私は、彼に向かってゆっくりと首を横に振った後、コーヒーを一口啜った。

「睡銀燈」

 その言葉の響きに私は、心の中で動揺した。
 そんな事彼には分かるはずも無く、彼は自分の隣に座っている少女の頬についたクリームを
 胸ポケットから取り出した白いハンカチで拭い取った。

「頬にクリームが着いていたよ? なぁにケーキは逃げないゆっくり食べなさい」
「ん……わかりました」

 睡銀燈と呼ばれた少女は、彼の言葉に頷くとまたケーキの攻略を始めた。
 睡銀燈の前に置かれていた苺ショートは、もうすでに三分の二が無く。
 そのことに関して、まったく気づいていない私だった。
 まぁ別に気にする様な事でもない訳だが……と、私は小さく苦笑した。
 私と同じ呼び名の少女。
 どこか懐かしく温かい感じのする彼。
 私と不死屋で相席することになったのは偶然。
 そして………夜の学園内で彼と出会ったのも偶然であり……
 彼と戦う事になったのも偶然で……そして必然。

「おや、また会ったね?」

 夜の学園で彼は私にそう言う。傍らには、私の名と同じ呼び名の少女。
 いや、少女ではなく……それは少女人形。
 昼の時は気づかなかった。いや気づけなかった?
 夜になった今、やっと気づいた。少女は人形であり。
 彼が創り生み出したモノだ。

「夜は実に危険がいっぱいだ。早く帰りなさい。水銀燈」

 彼の最後の言葉に、私の全身は粟立った。ゾクッとした。
 私と彼は、昼の時出会った限りであり………最低限の会話しかしていない。
 名前なんぞ言った覚えもない。

「アナタ…………」

 私は目を細め彼と少女人形を睨む。

「なんだ……君も……『コチラ側』なのかい? まったくこの世界は……」
「お父様。考察している暇はありません……深紅の修理材料調達に支障が」
「あぁ、分かってる分かってるよ睡銀燈」

 彼は、頭を掻きながら苦笑して隣に控える少女人形睡銀燈に声をかける。
 彼は、苦笑しながら私を見る。

「さて、多分君も、この場所を護る人なんだろうね? だろう?」
「だとしたら? どうなのかしら?」

 私の言葉に、彼は苦笑しながら頭を掻く。

「近いうちに、戦うかもね? ん~嫌だけど、しょうがないってヤツだよね?」
「お父様。私に聞かれても判断しかねますが?」
「まぁそんな訳で……今日の所はやめない?」

 彼は、さも普通に言う。この状況でだ……私を舐めてるのか? と考えてしまうが……
 どうも、彼は本気で言っているらしい……はぁ……と、ため息を一つ私はついた。
 私は彼にさっさと行きなさいと手を振る。
 今の彼は『有栖学園に敵対』しては居ない。
 ならば、戦う必要もない。と、無理やり自分の中で理由付けた。
 彼は、やっぱり苦笑を浮かべた後、睡銀燈を抱き上げその場を立ち去る。
 立ち去る際、彼は顔だけを後ろに向けて私に言葉をかけた。

「では、また会おう。出来れば戦場ではない場所で」
「えぇそうね。出来れば戦場でない場所で」

 私は、彼の言葉にそう答えた。
 あぁそうだ。今日はくんくんの放送日だったけ? と、どうでも良い事を思い出す。
 はぁ。と、ため息を一つ。
 そのため息は、闇夜に消えた。