ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 裏有栖学園 第五話

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 柏葉巴は、有栖学園を守護する一人だ。
 しかし、巴は同じく守護する者であるJUMやめぐの様な特殊な能力は無い。
 身体能力もその歳の女子より上であるだけで、人間を超越した様な身体能力も無い。
 ならば何故巴は、有栖学園の守護する者なのだろうか?
 それは、巴が剣に愛されているという事柄にある。
 もうそれは、概念と言っても良い。
 柏葉巴は、生れながらにして世界から『剣に愛される』と言う概念を授けられた。
 非常に稀な非常に特殊な存在なのである。
 ゆえに、巴は様々な剣を振るい有栖学園を守護してきたのである。

 有栖学園の敷地外れの草原。
 闇夜に浮かぶ蒼い月に照らされ青く輝く草々は、吹き行く風に身を任せて居る。
 この場所は唯一有栖学園を護る結界が薄く、敵が進入経路として必ずと言っていいほど其処を通る。
 まぁ、己の力に自惚れた馬鹿のみが……と着くが……
 その場所に、柏葉巴が居た。
 巴は背に大剣を背負い、右手に刀、左手に西洋剣。
 その五つは、ただの剣ではなく特殊な力を持つ剣たちである。
 背に背負いし大剣の名は魔剣ティルフィング。
 右手に持ちし刀の名は魔刀大通連。
 左手に持ちし西洋剣は聖剣アスカロン。
 それぞれの剣の名を知り、力を知る者は戦慄を覚えるだろう……。

 巴はただただ静かに草原に佇む。
 そんな草原に一陣の風。
 明らかに人為的かつ悪意的な風が吹く。

「尻の青いガキが一人」

 男は巴を見てそう言う。男の顔にあるのは嫌味ったらしい笑み。
 そんな男の笑みを見ても巴は、ポーカーフェイスを貫き通す。
 しかしながら男はどうやら三流の様である。
 確かに巴には、特殊な力や魔力等を操る術は無い。
 しかしだ、その背の大剣や右手の刀、左手の西洋剣を見ても何も分からないとは、
 裏世界の住人としては三流。いや三流以下かもしれない。

「邪魔だから死んでくれや」

 男は、相変わらず嫌味ったらしい笑みを浮かべたまま巴に向けて右手を差し出す。
 ソレと同時に燃え盛る炎が、巴を襲う。
 しかし巴は、慌てる様子も無く、淡々と淡々と淡々と、静かに静かに静かに、
 紙切れをカッターナイフで切る様に左手に持ったアスカロンで斬り裂いた。
 炎を斬る際、その熱量にチリチリと巴の肌が微かに焼けたが、巴は相変わらずポーカーフェイス。
 男は一瞬の出来事に何が起こったかわからなかった。
 しかし、何が起こったのかがわかった瞬間。男は憤怒した。

「魔力すらもたねぇガキが!!」

 今度は両腕から機関銃の如く撃ち出される無数の炎の弾丸。
 巴は、ポーカーフェイスを保ったままその炎の弾丸の群れに向かって走った。
 回避し、身を屈め、切払い、逸らし、炎の弾丸の群れを駆け抜ける。
 炎の熱量によって巴の服がチリチリと微かに焼け付く。肌が、髪が、微かに焼け付きゆく。
 男が気がついた時には、巴は炎の弾丸の群れを抜け男との距離がほんの数mとなっていた。
 男は焦る。魔力が無くただ剣を持っているだけのガキである相手にこんな事になるとは思っていなかった為だ。
 男は自分の魔術に誇りを持っていた。しかし、誇りが驕りになっていた様である。

 巴は、アスカロンと大通連を草が生える大地に突き刺し、背に背負う大剣を抜く。
 魔剣ティルフィング。
 鞘から抜かれる度に必ず命を奪い、三度の願いを叶え、その後に持ち主へ絶対の死を招く。
 鞘から抜かれたティルフィングを見て男は、初めて戦慄を覚えた。
 何だあの禍々しさは?
 何だあの美しさは?
 何だあの全てを飲み込みそうなほどに………
 ふと、気がつけば男は両断されていた。

「え?」

 何時斬られた? いや、何時の間に近づかれた?
 何時? 何故? 斬られた? 誰が? 誰に?
 男は両断された己の体を見てそんな事を思考した後、唖然とした表情を浮かべて死に絶えた。
 巴は、ティルフィングを鞘に戻すと刺してあったアスカロンと大通連を抜く。
 男の死体を一瞥した後、相変わらずのポーカーフェイスでその場から去ってゆく。

「さようなら」

 そんな呟きが草原に吹く風にかき消された。


 なお、巴はティルフィングの三度の願いと言う力を過去に一度だけ使っている。
 残り願い数 弐。