ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

手のひら重ねて

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匿名ユーザー

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この宇宙に地球ができて約45億年。
始めは地球に隕石が降り注ぎ、そしてその中に含まれていた水蒸気がやがて大雨となって海を作り生物を誕生させた。
それがやがて陸へと上がり、なんだかんだあってこの星には実に多くの生命で溢れかえるようになった。
そんな地球で何故人間が繁栄しているのか・・・それは「道具を作り出し、そしてその道具を使うからである」と彼女は考えていた。

金「ついに完成したかしら~」
誰も居ない化学準備室で金糸雀は喜びの声を上げる。また例によって徹夜で作業をしていたようだ。
金「これは世界に革命が起きるかしら~」
徹夜明けでハイになってる頭で不穏な発言をする。
金「・・・ふわぁ・・・何だか安心した途端に・・・眠くなってきたかしら~」
ちらりと壁にかけてある時計に目をやる。午前5時27分・・・少なくとも2時間は眠ることができる。
そう判断した金糸雀は机に突っ伏してそのまま眠ってしまった。

?「あきれた・・・職員朝礼に来ないと思ったら、こんな所で寝ていたのね」
?「どうせまた徹夜で研究やってたんでしょう?・・・ふわぁ・・・私もまだねむぅい・・・」
金『・・・なんだか周りがうるさいかしら~・・・?』
周りの音によって徐々に覚醒する金糸雀。瞼をうっすらと開けると、まず目に入ってきたのは赤い色だった。
真「ようやく目を覚ましたようね・・・おはよう、今何時だと思う?」
金「・・・何時って・・・7時・・・え?8時半かしら~?!」
時計を見て完全に目が覚める、2時間のつもりがきっちり3時間寝ていたようだ。
驚き慌てる様子を見て真紅は溜息を一つ吐く。
真「全く、学校内に居て遅刻なんて聞いたこと無いのだわ」
水「まあ何にせよ、見つかったんだから良いじゃなぁい・・・さぁてと、私も保健室で寝て・・・」
真「貴女もちゃんと仕事をしなさい」
水「いやよ、面倒くさい」
水銀燈はそっぽを向いて部屋を出て行こうとする。

バンッ!!

突然の物音に水銀燈と金糸雀の2人が驚く。
音のした方を見ると、どうやら真紅が机を強く叩いたようだ。
真「・・・どうやら・・・貴女達には教師としての自覚を教える必要が有るようね・・・」
俯いたまま喋っているため、前髪に隠れてその瞳まで見ることはできなかった。
しかし、付き合いの長い水銀燈には大体の想像がついた。とは言え、それで「はい、そうですか」と従う彼女でもなかった。
水「いやよ、面倒くさい」
これまた小馬鹿にしたように返事する。もし近くに温度計があったら、この時点で3度ぐらい下がっていただろう。
そしてその空気を敏感に察した金糸雀は仲裁に入る。ここで暴れられたら置いてある薬品が大変な事になるからだ。
金「やめるかしら~、喧嘩はダメかしら~!」
騒ぎを聞いて駆けつけてきた薔薇水晶も加わって、二人はとりあえず引き下がる事にした。
薔「・・・はい・・・仲直りの握手・・・」
水・真『え?!何で?!』
薔薇水晶の発言に息もぴったりに抗議する2人。
水「いやよぉ、子供じゃあるまいし・・・」
真「全くなのだわ・・・なんで握手なんて」
薔「・・・とにかく・・・握手しましょう」
抗議なんてどこ吹く風といった感じで、薔薇水晶は真紅の右手と水銀燈の左手を掴んで握手させた。
薔「・・・はい・・・これで仲直り」
こうして事件は終わり、いつもの平和な有栖学園の一日が始まる・・・・・・・・・・はずだった。

水「・・・ねえ真紅ぅ、いつまで手を握ってるのよぉ?」
真「貴女こそいつまで握っているつもりなのかしら?」
1時間目の準備のために職員室へと戻る道すがら、2人はそんな事を言い合った。
水「はぁ?何をそんな馬鹿な事・・・」
そう言って水銀燈は手を振り解こうとした。しかし、真紅の手は離れなかった。
水「やっぱり放さないじゃなぁい」
真「?」
今度は真紅が手を振り解こうとした。しかし、水銀燈の手は離れようとしなかった。
水・真『??』
今度は2人で同時に離すことにした。だが、それでも手は離れようとしなかった。
真「一体どうしたと言うの?」
水「そんなのこっちが聞きたいくらいよぉ」
金「さっきから何してるかしら?」
真「手が離れないのだわ。何だかくっついてしまったみたいに」
真紅の言葉に金糸雀の表情は一変した。慌てて今来た廊下を引き返す。しばらくして金糸雀の悲鳴が校内に響き渡る。

ラ「なるほど・・・金糸雀先生の『発明品』の接着剤が真紅先生の手に付着し、そのまま水銀燈先生と握手した事でくっついてしまったと」
水・真『何ですってぇ!!?』
金糸雀が開発していた物・・・それは接着剤だった。従来の物と違って、粘液ではなく微粒な粉末であった。
そのままでも使える上に、用途によっては水に溶かして塗れる。
さらには接着させる材料を問わないという優れものであった。
真紅が机を叩いた時にそれが手につき、そのまま握手した際に水銀燈とくっついてしまったのだ。
真「・・・それで・・・離す事はできるの・・・?」
真っ青な顔で金糸雀に問いかける。金糸雀はしばらく思案する。
金「理論上はできるはずかしら・・・でも、材料が足りないし時間がかかるかしら~」
水「材料いくら?!この際金に糸目はつけないわ!」
水銀燈はメイメイに自分の鞄から小切手を持ってこさせ、それを金糸雀に突きつける。
金「・・・これだけ有れば多分大丈夫かしら」
小切手に金額を書き込み、それを水銀燈に返す。
水「メイメイ、この倍の額をおろしてきて頂戴」
メ「了解しました」
真「材料はどうやって入手するの?」
金「えーっと、実験用の薬品を卸してもらっている業者さんから買っているかしら」
真「・・・となると、直接買いに行かせた方が良いのだわ。ホーリエ」
ホ「はい」
真「お金を受け取ったら大至急業者に買いに向かって頂戴」
ホ「了解です」
蒼「これで何とかなりそうだけど・・・2人はどうするの?」
水・真『・・・・・』
ラ「休む訳にも行きませんね・・・仕方ありませんが、お2人で授業に出てください」
結局、英語と体育の授業を2人でこなす事になった。

真「さぁ、今日は5文型のおさらいをしていくのだわ。・・・さっさと書いて頂戴」
水「何で私がそんな事しなくちゃ・・・」
真「私は右手が使えないの。なら貴女が書くしか無いのだわ。・・・それとA君、紅茶を淹れて頂戴」
水「仕方ないわねぇ・・・ならヤクルトも持ってきなさい」
英語の授業は真紅が説明し、水銀燈が黒板に英文を書いていくという構成になった。
長文だと2人で移動しながら書いていくので時間がかかるが、授業そのものには問題はなかった。
ただ、この時の判断が誤っていた事に気付くのにはそれほど時間はかからなかった。

水「えーっと、今日はぁ自習ってことで・・・痛ったぁぁ!」
真「ちゃんと真面目に授業をしなさい」
水銀燈の左足を踏みつけながら真紅が言う。
2人は着替える事ができないため、そのままの格好である。
冬も近いこの時期にじっと立っているのは流石に辛かった。
水『こんなに寒いのになんで外に・・・』
などと考えはしたが、口に出せばまた色々煩いと内心に留めておく。
授業そのものはサッカーだったので、生徒達に簡単に指示した後は勝手に進めていた。
しかし、魔の手は徐々に2人に迫りつつあった。
真「・・・・・・ね、ねえ水銀燈」
水「な、何よ・・・」
真「あの、その・・・」
水「・・・言いたい事があるなら、はっきりと・・・」
真「その・・・御手洗いに」
水「真紅・・・貴女もなの・・・?」
真「水銀燈・・・貴女も・・・」
互いに顔を歪ませながら向かい合う。この2人、好物が飲み物なためにトイレが近かったりする。
2人は生徒達に適当にやっているようにと言って、慌てて職員用トイレに駆け込む。
真「・・・・・・・・・見たら殺すわ」
水「・・・・・・こっちだって同じ状況だし、それにそんな趣味は無いわよぅ・・・」
などと言いながら、2人は何とか用を足す事ができた。

昼休み、2人は食堂に居た。
真「はぁ・・・右手が使えないというのは、本当に不便ね」
水「だったらスプーンで食べるカレーとかにすれば良いのにぃ・・・」
真「カレーなんて食べたら、水が欲しくなるのだわ・・・今日はなるべく水分は摂らない様にするべきだわ」
右手が空いている水銀燈とは異なり、左手しか使えない真紅は箸の扱いに四苦八苦していた。
薔「・・・2人とも・・・ごめんなさい・・・」
2人の前で食べていた薔薇水晶は責任を感じて謝る。
水「本当よぉ・・・なんでこんな事になったのやら・・・」
その言葉に薔薇水晶は俯いた。
真「それは言いすぎなのだわ。それに気付かなかった私にも・・・」
水「そうね・・・で、元凶の金糸雀は何してるのぉ?」
蒼「彼女なら先ほど届いた材料で早速取り掛かってるよ。雛苺先生が差し入れを持っていったみたい」
そんな話をしていた所へ雛苺が戻ってきた。
水「あら、いい所に来たわねぇ・・・金糸雀は何か言ってたぁ?」
雛「ん~っと・・・『なるべく早く作るつもりだけど、1日は掛かりそうかしら~』って言ってたの~」
水・真『1日・・・』
今度は2人が俯く番だった。少なくとも1晩は一緒に過ごさなくてはならなくなった。
真「お風呂は諦めた方が良いわね・・・着替えも」
水「・・・トイレどうしよう」
そして何より、手を繋いだまま寝る事になる。互いに相手をちらりと見ながら同時に溜息をつく。

午後は体育は無いので英語の授業が行われた。
1時間目の経験活かして幾分スムーズに授業が進んでいく。
そしてその分余裕が生まれ、ただ黒板に書いていた水銀燈も授業に参加(ちょっかいとも言う)しだした。
真「水銀燈先生・・・何で貴女は現地でしか使わないようなスラングを教えようとするのかしら?」
水「あらぁ、それこそが生きた英語じゃなぁい?教科書に書いてあるような英文なんて何の役にも立たないしぃ」
真「役に立つ立たないは関係ないのだわ。役に立つような英文を理解するために必要な・・・」
水「だったらイギリス英語じゃなくてアメリカ英語にしたらぁ?前から思ってたけど、そっちの方が良いわよぉ?」
真「アメリカ英語よりもイギリス英語の方が洗練されているのだわ」
水「そう?私はアメリカ英語の方が馴染みやすいと思うけど?」
などと言い合ってるうちに、授業そっちのけでどちらが優れているかの口論へと移り、気がつけば授業は終わっていた。

放課後、2人は薔薇水晶の勧めで薔薇水晶と雪華綺晶の住む家に泊まる事になった。
薔「・・・自分の家だと思って・・・くつろいでね」
薔薇水晶はそう言って台所の方へと消えていった。
とは言ったものの、基本的にくんくんの放送が無い日は夜の街に遊びに行く水銀燈はすぐに手持ち無沙汰になる。
水「ねぇ、お酒無いのぉ?この際、ビールでも良いわぁ」
雪「銀姉様、我が家にアルコール類は料理酒以外ありません」
水「何で?」
雪「アルコールは脳細胞を破壊します。この仕事を長く続けたかったら・・・」
真「そう言えば、一緒に飲みに行く時もあまり飲んでいなかったわね」
などと談笑しながらテレビを見るが、特に面白そうな番組も無かったのですぐに消した。

薔「・・・はい・・・お待たせ」
ドン!っとテーブルに置かれたのは大量のスパゲティだった。
薔「・・・ソースはお好みで」
と、これまた大量のソースをテーブルに置く。
薔「・・・これなら・・・真紅先生も大丈夫」
真「確かにフォークなら左手でもなんとか使えるのだわ」
薔薇水晶は2人にスパゲティを盛り、真紅にはミートソースを、水銀燈にはきのこのホワイトソースをかける。
そして最後に自分の分をちょこんと盛って、残りが入った大皿をそのまま雪華綺晶に渡す。
大皿を受け取った雪華綺晶は残ったソースを全部かけて混ぜた。
真「・・・それは・・・」
水「それで美味しいの?」
雪「とっても」
水・真『・・・そう』
何はともあれ早速食べ始める。
水・真『美味しい・・・』
薔「・・・良かった・・・お口にあって」

食事も終わり、薔薇水晶たちは風呂に交代で入る。
しかし、着替える事もできない二人は手を繋いだままテレビを見ていた。
水「う~ん、暇ねぇ・・・」
真「そうね・・・」
この2人、くんくん以外に特に趣味を持たないため、暇つぶしの術を持っていなかった。
読書が好きな真紅は薔薇水晶に断りを入れて読みたい本を探すが・・・
真「『戦争論』、『我が闘争』、『民間防衛』・・・彼女の持ってる本はどうしてこうも・・・」
水「『ガン○ムファ○トファイル』、『優勢○類生存説』、『アナハ○ム・ジャーナル』・・・薔薇水晶も大概ねぇ・・・」
結局読みたくなるような本は一冊も無く、諦めてテレビを見続けた。

水「薔薇水晶・・・一つ聞いて良い?」
薔「・・・何?」
水「布団を用意してくれたのは感謝するわぁ・・・でも、なんで1つの布団に2つの枕なのかしらぁ?」
薔「え?その方が便利かなぁって・・・」
水「だから嘘言う時は冒頭の『・・・』が無くなるっていつも言ってるでしょう?」
薔「・・・残念・・・」
真「何が・・・?」
布団を二つ並べ、2人は手を繋いだまま寝る事にした。
真「明日になればちゃんと元通りになるのかしら・・・」
水「さあねぇ・・・いつものドジで失敗、何て事も有るかもねぇ」
真「それが一番怖いわね」
水「・・・そう思って倍額出させたけど・・・はぁ、明日もこのままだったらどうしよう・・・」
真「ふふ・・・その時はどうしましょう?」
水「私は嫌よ、アンタとずっと一緒なんて・・・」
真「そうね・・・私も嫌だわ、手の掛かる子がいつもそばに居るなんて・・・ね」
水「アンタも十分手が掛かるわよぅ・・・アンタが思っている以上にね」
真「ふふ・・・そうかも知れないわね。さ、もう寝ましょう。夜は眠りの時間だわ」
水「私にとってはこれから何だけどねぇ・・・ま、いいわ。おやすみぃ・・・」
真「お休みなさい」

翌朝、再び徹夜した金糸雀が製作した剥離剤によって二人の手はようやく離れる事になった。
真「ああ・・・右手が自由に使えるのがこんなに素晴らしい事だったなんて・・・」
水「ようやく自由になれるわぁ・・・さぁてと、のんびりと羽根を伸ばそうかしらぁ」
真「ちゃんと授業をしなさい」
水「残念だけどぉ、授業をするかどうかは私の気分次第よぉ」
真「あ・・・逃げたわね。待ちなさい水銀燈!今日こそ貴女に教師としての自覚を・・・」
そう言って2人は職員室を飛び出していった。
薔「・・・・・・2人とももう少し仲良くなれば良いのに」
雪「喧嘩するほど仲が良い、という事だろう」
薔「・・・そうなのかな・・・?・・・お姉ちゃん、何をしているの・・・?」
雪「ん?ああ、以前買った手錠の鍵を無くしてしまってな・・・勿体無いが捨てようと思って」
薔「・・・それでもし誰かが嵌めちゃったら・・・大変だね」
雪「うん・・・」
まさかこの手錠が元で、今度は翠星石と雛苺が一緒になる事になろうとは、この時誰一人として知る者は居なかった。
しかし、それはまた別の話である。

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