ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 二人っきりの補習授業

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  蒼星石先生と二人っきりで補習授業。
  ツボを押さえた先生お手製のテキストで、びしびしとしごかれる。
  でも、頑張れば頑張っただけ評価してくれるのが、蒼星石先生。
「よしよし、頑張ってるね。少し休憩しようか? ほら、不死屋で金つばを買ってきたんだ。ちょっと待っててね、今お茶を淹れるから……」
  生徒をだらけさせない絶妙のタイミングが憎いねぇ。
  先生直々にお茶を入れてくれるなんて、光栄の極み。ちょっぴり若奥様のイメージをダブらせちゃったりなんかして~。
  これぞ、正しい日本の補習授業だよ。先生は、教師の鑑と言っても過言ではない。
「や、やだなぁ……そんなにおだてたって、何も出ないよ~」
  照れる先生も、眼福この上ない。
  全く、あの先生や、はたまたかの先生に、蒼星石先生の爪の垢を煎じて呑ませたいくらいだ。
  だって、彼女たちと来たら……。



  雛苺先生と二人っきりで補習授業。
「どれどれぇ、どこが解らないの~? うーーと、ここはねぇ……」
  先生が顔を近づけてくると、ぷうんと甘ったるい匂いが鼻を突く。何だか頭がくらくらしてくる。
「よくできたのーーっ。はいっ、これはご褒美なのーーっ。休憩して、お茶にするのよっ」
  二、三問解くごとに、うにゅーが差し出される。先生、ご自分が食べたいからって、生徒を出しにしないでください。
  食べすぎで少々眠くなってきました。それに先生、あなたは太らない体質かも知れませんが、生徒も一緒だとは限らないんですから。



  金糸雀先生と二人っきりで補習授業。
  頭にわけのわからない機械を取りつけられる。先生、これは一体……。
「ふっふっふっ、よくぞ訊いてくれましたっ。このヘルメットはカナ特製の……名づけて『潜在能力フル活性化マッシーン』なのかしらぁ」
  な、何ですか、そのカルト教団やマッドサイエンティストあたりをほうふつとさせる、怪しげなネーミングの装置は?
「ふっふっふーーっ、本当か嘘かは知らないけれど、人間の脳の力は、普段はほんの数パーセントしか活用されていないかしらぁ。このマッシーンは、外部から装着者の脳に特殊な信号を送ることによって、眠っている領域を無理やり覚醒させ、記憶力や洞察力を劇的に高められるのかーーしらぁ。
  正にッ、楽してズルして、成績を飛躍的にアップできるのかしらーーっ!! ああっ、カナってば、我ながら自分の才能が恐ろしくなっちゃうっ。もしもCIAやモサドに拉致されたら、どうしようなのかしら……」
  はいはい。で、肝心要なことをお伺いしますけど、この装置、事前にちゃんと検証は済ませたんでしょうね?
「ふっふっふふっ、光栄に思うがいいのかしらぁ……。あなたが被験者第一号なのかしらーーッ!!」
  慌てふためく生徒を尻目に、嬉々として装置を起動させる先生。結果は言わずもがなである。
「うっうっうっ、本当にごめんなさいなのかしら……」
  消毒液の匂いが、つんと鼻を突く。いや、気のせいかも知れない。なぜなら俺は、病院のベッドの上で、包帯でぐるぐる巻きにされているのだから。首から上で露出しているのは、右目と口だけという惨たんたる有り様だ。
「ええと、玉子焼き作ってきたの。食べるかしら?」
  身動きできない俺に代わって、先生が直々に食べさせてくれる。先生が毎日お見舞いに来てくれるのが、せめてもの慰みか。
  しかし、話が例の『マッシーン』のことに及ぶと。
「ふっふっふーーっ、まあ見ているかしらぁ……。今回の失敗をバネに、次こそは必ず日の目を見るに違いないのかーーしらぁーーっ!!」
  懲りてない、懲りてないよ、この人ーーっ。ああっ、この舌に残る玉子焼きの甘さが、今生最後の思い出にならなきゃいいけど。



  真紅先生と二人っきりで補習授業。
「解らないことがあったら、遠慮せずに訊くのよ?」
  分厚い問題集を机に山積みにすると、しかし先生は、さっさと自分の世界へとこもってしまう。ドイツ語がびっしり並んだ難解な書籍を、熱心に紐解く。放任主義もいいとこだ。
  だが、これでいいのかも知れない。せかせか動き回るのは、高貴なたたずまいの先生には似合わない。
  午後の柔らかな光の中で、先生がページを繰るごとに、黄金色の髪の束がきらきらと輝く。
  穏やかな時間が流れる。おおっと、手元がお留守になっているな。いけないいけない、またうっかりムチを食らうところだった。桑原桑原っと。
  でも、どれだけ真摯に課題に取り組もうと、先生と同席している限り、免れられないこともある。
  そろそろかなと思っていたら、案の定。
「少し口寂しくなってきたわね。○○くん、紅茶を淹れて頂戴」
  って、先生。俺は今、長文の読解に手間取っている最中なんですけど。
「口答えしないの。今の私は、あなた一人の面倒を見るために貴重な時間を割いているのだから、それくらいするのは当然のことなのだわ」
  割いているって……何か、体よく利用されている気もしなくもないが、女王様の仰せとあらば、致し方あるまい。中座して、給湯室へと向かう。
  先生は、人一倍紅茶にうるさい。中途半端な淹れ方をしたら、即座に見破られ、容赦なくやり直しを命じられる。
「まあまあの出来ね」
  お褒めの言葉をあずかって、ほっとしたのもつかの間。再び長文に立ち向かうが、はて……どこまで読み進めたものやら。紅茶を淹れるのに、あれだけ砕心していたら、さもありなん。また頭からやり直しだ。
  拘束時間のおよそ三分の一を、先生の我がままに付き合わされていれば、課題がはかばかしく進められるはずもなく。必然的に、居残りする羽目に。
  まあ、それだけ長く先生を独占できると思えば、苦にならない……かな?



  翠星石先生と二人っきりで補習授業。
「ええと……まずは、この問題集から解くですっ。万一解らねーところが出てきたら……、なるたけ自力で対処しやがれですぅ。それでも解らねーってんであれば、……そのときは仕方がねーです。きっぱりあきらめちまうが吉ですぅ」
  は? 俺がきょとんとしていると、先生はしぶしぶ前言を撤回した。
「どーしても訊きたいってのであれば、そのときは仕方ねーです。翠星石がありがたくも教えを垂れてやるですから、呼びに来るがいいですぅ……」
  言うだけ言うと、先生は素早く走り去り、教卓の後ろへと隠れてしまう。
  は? 俺があ然としていると、先生がひょっこりと頭半分だけ覗かせて。
「ななな何をぼんやりしてやがるですかっ。翠星石だって暇じゃねーんですから、さっさと問題集に取りかかりやがれですぅ!」
  俺は肩をすくめて、席に着いた。俺は教室の一番後ろ、先生は教卓の陰にしゃがみ込んでいる。
  頭隠して、尻隠さず。腰まで届く鳶色のロングヘアーが教卓からはみ出して、ぴょこぴょこと揺れている。
  全く、先生の人見知りにも困ったものだ。家庭科を教えている女子生徒が一緒ならまだしも、ホームルーム以外に接する機会が少ない男子生徒オンリーだと、途端に尻込みしてしまうのだ。
  増してや二人っきりなど、もってのほか。
  有栖学園に赴任してきて三年が過ぎているのに、一向に改善される気配がない。
  これでよく教職に就けたものだと不思議に思う。きっと蒼星石先生の助力が大きかったに違いない。
  ……いたずらを仕掛けるときは、平気なくせに。
  十ページほど解き進めたところで、難問にぶち当たる。先生に助けを求めるが、返事はなかった。
  席を立って、教卓の後ろを覗き込んでみると、そこには屈んだまま、こっくりこっくりと船を漕ぐ先生の姿が。
  俺は苦笑するしかなかった。



  銀様、きらきー、ばらしー、おまけとしてローゼンは、また後日に。