ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

黙っていても以心伝心

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~黙っていても以心伝心~


雛「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

巴「泣かないで下さい、雛苺先生!ほら、うにゅー食べましょ?」

ちょっと泣き虫な雛苺先生と、それをフォローする巴。
それはこの学園でよく有る光景だった。

雛(トモエはいつも優しいのー。ヒナ、トモエのこと大好き!)

今までの雛苺なら考えはここで止まっていたであろう。
しかし現在彼女はふとしたことが元で心の中に芽生えた疑念に苦悩していた。
それは、「巴が自分のことを迷惑だと思っていないか?」という事である。
その原因となったのは廊下で偶然聞いてしまった、

「雛苺先生と柏葉ってどちらが先生か分からないよな。」

という生徒の何気無い一言であった。
もちろんそのことに関して雛苺は何も抗議などしていないし、この事は誰にも言っていなかった。
しかし雛苺の心にその言葉は深い影を落とした。

雛(トモエ・・・あなたは今何を考えているの…?)

知っての通り巴はそう口数の多い生徒ではない。しかも雛苺の前ではいつも笑顔である。

だから、だからこそ雛苺は巴の真意を掴みかねていた。
無論いつもいつもそう巴に頼っていてばかりでは自分にも巴のためにも良くない事は雛苺自身が一番よく分かっている。
ちょっとしたことなのに。たかが小耳に挟んだ話だというのに。
しかしその一言は鋭利な刃物のように雛苺の心に突き刺さった。

翌日。

雛苺の顔にいつもの笑顔は無い。
その表情には苦悩の色がはっきりと見て取れた。



その事に関して当の巴はどう考えていたのか?
もちろん巴は雛苺の一番の理解者である。雛苺の異変に気付いていないはずもなかった。
しかし巴もまた深く悩んでいた。それは何故か?

巴(どうしよう・・・何て言えばいいの?)

彼女の悩んでいる理由は二つほどあった。
一つは雛苺と同じ、このままでは互いのためにならないだろうということである。
もう一つは何か?それは話の切り出し方だった。
実は最近巴も友人から、

「巴もいつも大変ね。雛苺先生のフォローも簡単じゃないでしょう?」

という言葉を掛けられていた為、雛苺の悩んでいる原因にも若干の心当たりがあった。
しかしどう伝えるのか?直接雛苺に対し

「私は雛苺先生のこと迷惑だ何て思っていませんよ。」

と言うのか。馬鹿な。そんな言い方をしてもし相手が全くその事を考えていなかったらどうする?
巴は確かに周りと比べて洞察力に優れている。だからこそ言葉が相手に与える影響を注意深く考えていた。
しかしいくら考えても上手く自分の気持ちを伝える言葉は見つからない。
さらにいくら洞察力に優れていても巴は読心術までは使えない。
もし雛苺の悩んでいる内容が「お金が無くてうにゅーが買えない・・・」といった程度の問題だったらどうするのか?
そんな時にさっきのような言葉を掛けてしまったら・・・

巴「はぁ・・・どうすればいいの?」

大きなため息をつく巴。彼女もまた日々元気を無くしていった。



そして二人が共に元気を無くしてから数日が経つ。
二人の悩みは未だ解決していなかった。
自分から巴に自分のことをどう思っているか聞く勇気の無い雛苺。
同じくどう切り出せばよいのか分からない巴。
表面上は変わりの無い二人の関係。
しかし二人の心のしこりは解消されないまま時間は過ぎてゆく。


・・・しかしその二人の関係にトドメを刺すような出来事が起こった。

放課後。
再び立場を悪くし、泣きそうな表情の雛苺先生。
そしていつもの如くそれをフォローする巴。
いつもの光景がまた起こっただけ。・・・のはずだったのだがそれを見ていたJUMの一言が二人の運命を変える。

雛「トモエ、ありがとうなのー。」

巴「いえ・・・」

しかしそこにJUMが口を挟む。

J「・・・雛苺先生ももう少し気を強く持ったらどうです?あと柏葉もそう毎回かばっているだけでは・・・ん!?」

慌てて口をつぐむJUM。
何故ならその一言を聞いた二人の表情が尋常でないほど曇ったからである。

J「あ、いや・・・」

狼狽し訂正しようとするJUM。しかし覆水盆に還らず。

雛「そう・・・なのね。ごめんね、トモエ。・・・ヒナ、もう帰るね。」

無理に造ったと思われる笑顔で言って立ち去る雛苺。そして巴も・・・

巴「・・・桜田君、私も帰るわ。」

同じく去る巴。その目が潤んでいたように見えたのは気のせいか。
後悔するJUM。しかしこうなってしまうと打つ手は無い。

J「くっ・・・僕は何てことを・・・」


その日を境に二人の関係は変わってしまった。
極端に言えば、互いに相手を避けているようなのである。
いや、もちろん教師と生徒という関係は保っているのだが、それ以上の信頼感が今の二人からは感じられない。
朝に廊下で会っても、

巴「・・・おはようございます。」

雛「・・・おはよう、なの・・・」

この有様である。


そんなある日の昼休み。
屋上に一人の人物が佇んでいた。JUMだ。

J「はぁ・・・このままではマズいよなぁ・・・」

苦悩するJUM。さすがに今回の件は責任を感じているようだ。
しかし悩むあまり、背後の気配に気付く事が出来なかった。

J「どうしようかな・・・」

真「何をどうしようというの、JUM?」

J「うわっ、真紅先生!・・・いや、何でもないです。」

いつの間にかJUMの後ろに立っていた真紅。いや、普段のJUMなら気付いていただろう。
一応否定するが、JUMの口調は重い。

真「・・・隠し通せると思って?あなたが悩んでいる事くらいとっくに気付いていたのだわ。
  さぁ、話して頂戴。」

J「うっ・・・実は・・・」

真紅に事の成り行きを話すJUM。真紅は黙って聞いていた。

真「なるほど、近頃あのコンビの雰囲気がおかしいと思ったらそういうことだったのね・・・」

J[あれは・・・僕のせいです。でも僕には解決する方法が見つからなくて・・・」

真「・・・すぐに話してくれれば良かったのに。いいわ、ちょっと他の先生にも相談してみるわ。
  誰も怒ったりはしないと思うから、あなたも職員室に来るのだわ。」

J「はい・・・」


職員室。
ちょうどその時に部屋に残っていたのは金糸雀、翠星石、雪華綺晶だった。
彼女らに説明する真紅。

金「そうだったのかしら・・・。」

翠「うーん、難しいですぅ・・・JUMも余計な事を言ったですねぇ・・・。」

J「すみません・・・」

雪「JUMのせいにしていても解決しまい。今は解決策を模索するのが先決だ。」

真「その通りだわ。」

考え込む先生たち。しかし方法は考えつかない。
そこで翠星石が一言漏らした。
以下はここで書くと興を削ぐので伏字とさせてもらう。

翠「そういえば雛苺はこの前家庭科室で・・・・・・・・・・してたですぅ。」

金「それかしら!いい策を思いついたかしら!JUMには・・・・・・・・・してもらうかしら。
  あと雪華綺晶は・・・・・・・・・。真紅は・・・・・・・・・。翠星石は・・・・・・・・・。」

てきぱきと指示を出す金糸雀。感嘆するほかの四人。

真「なるほど、いい策だわ。…貴女にしては。」

J「うん、いいですね。・・・金糸雀先生にしては。」

雪「む、理にもかなっているな。・・・金糸雀にしては。」

翠「いい感じですぅ。・・・おめぇにしては。」

金「・・・もう怒ったかしらー!!!」

みんな一万と二千%ほど最後の一言が余計ではあるが、金糸雀の策は実行されることとなった。


明くる日の放課後、雛苺は体育館裏にいた。
彼女はその日の昼休みに届いた手紙によってここに来たのだが、
そんな雛苺を待っていた者とは・・・三人の不良だった。

不良A「せんせぇ、金くれよ。」

不良B「大人しく渡してくれれば何もしないぜ。」

不良C「なぁ、ここは素直に従ってくれよ。」

どうやらカツアゲのためにここに雛苺を呼んだ様だ。
三人とも体躯は立派だ。一般人よりかなり小柄な雛苺が敵うはずも無い。
追い詰められる雛苺。思わず二度と口にするまいと思っていた言葉を言ってしまう。

雛「助けて、トモエーーーー!!!」

そして言ってから気付く。

雛(ふふふ、ヒナって馬鹿ねー・・・。こんな事言ってもトモエが来てくれる筈無いのに。)

巴「今行きます、雛苺先生!」

・・・来た。
巴は猛然と竹刀を振りかざし、不良たちに立ち向かっていった。もちろん強いといっても女の子、
そう楽勝というわけでもなかった。
しかし気力で三人とも撃退し、雛苺の元へ駆け寄る。

巴「・・・無事ですか、雛苺先生・・・。」

そして膝を着く巴。若干負傷しているようだ。慌てる雛苺。

雛「トモエ、しっかりするのー!・・・あ、これ食べて欲しいの!」

懐からうにゅ~を取り出す雛苺。

巴「え、えぇ・・・。(ぱく)何・・・コレ・・・!?」

それを食べて驚く巴。それはただの苺大福ではなかった。少し口にするだけで全身に力が溢れてくる。

雛「それは生地にハーブとかを混ぜてあるの。」

つまり、昨日翠星石が見たものとはこの雛苺特製の苺大福だったのだ。
雛苺はぽつりぽつりと語る。

雛「それはトモエと仲直りする時にあげようと思って作ったの。
  このまま離れ離れなんて絶対に嫌だったから・・・。
  ・・・トモエ、ヒナ、ヒナもっと強くなるから・・・どうかヒナのこと嫌いにならないで欲しいの!!!」

涙交じりにそう叫ぶ雛苺。

巴「当たり前、じゃないですか・・・。私は世界の誰よりも雛苺先生のこと好きですよ・・・。」

雛苺と同じく頬を濡らしながら答える巴。
そして雛苺を固く抱きしめる。

そうだ。そうだったのだ。口には出さずとも二人は互いの事をこの数日間もずっと想い続けていたのだ。

雛「トモエ、ヒナはもっと頼りがいのある先生になるから・・・
  そのときは思い切り甘えて欲しいの!」

巴「ええ、ずっと待ってます・・・。」

・・・。
・・・・・。
・・・・・・・・・。

ちなみにそれを遠くで見ていた仕掛人たち。

J「ふん・・・まぁ僕の蒔いた種だし、僕が解決すべきだしな。」

真「JUM、もっと素直に喜んでもいいのではなくって?」

翠「うっ・・・うっ・・・はっ!違うですぅ!これは心の汗ですぅ!」

雪「ミッションは完遂したな。それでこそ我が部員だ。」

どうやら不良三人は雪華綺晶が命じて演技させていたらしい。

不良?1「痛かったっすよ、全く・・・」

不良?2「全力で殴る事無いだろアイツは・・・」

雪「まぁそう言うな。あとで私がみっちり練習に付き合ってやる。」

「イエッサー!」

そして得意げな金糸雀。

金「どうかしらー?これでみんなカナのこと見直したかしらー?」

四人「ええ。・・・少しは。」

金「『少しは』は一億と二千%ほど余計かしらー!!!」

なにはともあれ、金糸雀の策により雛苺と巴の仲直りは成功し、二人の絆はさらに堅固なものとなった。
・・・みんな見直してあげても良いのでは?

金「納得、いかないのかしらー!!!」


終わり。

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