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絆のピース」(2006/08/04 (金) 22:37:56) の最新版変更点

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翠「じゃあ今日の授業はここまでにするです。」 生徒一同「ありがとうございましたー」 いつもなら何かと問題を起こす翠星石だったが、今回は問題なく授業を終えることができた。 大人しくしていればちゃんと授業が進むのになぁ~と言うのは蒼星石の言葉だったりする 翠「全く蒼星石は心配性です。翠星石だってやればできるのにーですぅ。」 そう言いながら昼休みのため、一旦職員室に向かって歩いていると、 今通り過ぎた教室から騒がしい声が聞こえてきた。 翠「ん?何やら騒がしいです。しかもココは一度も使われていないという通称『nの教室…』。 またチビ人間達が何かしてるですね。ここは教師としてガツンと言ってやるです。」 そう言って今は使われていないはずの教室の扉に手をかけた ?「そっちペース遅ぇーぞ。」 ?「そっちだって十分遅いわよ。」 ガラガラー 翠「お前ぇーらここで一体何してるですか!」 ?「!!!」 そこには先程の授業を終えたクラスの生徒達だった。 男子A「え、えっと…俺ら何もしてませんよ?」 女子A「そ、そうそう。ちょっと迷っちゃってー」 翠「全く、チビ苺より下手な嘘です。だいたい二年間もこの学校にいる奴がどうやって迷うですか。 さっさと理由を話すです。」 しばらく戸惑っていた生徒達だったが 男子A「…………実は」 そう言って後ろにある寄せて大きな面積になっている机の上に掛けてある大きな布を取った。 そこには… 翠「ジグソー…パズル?」 そこにはやりかけのジグソーパズルが置いてあった。まだ進んでないのか灰色の部分が目立っていた 男子B「俺達もう今年で卒業です。だから最後に皆で協力して何かしようって クラスで決めたんです。」 それがジグソーパズルになったのだと言う。 女子A「でも大きさが大きさなので置き場所が中々見つからなかったんで 仕方なくこの使ってない教室で昼休みと放課後に交代で作業をしてたんです。」 しばらく聞いていた翠星石はパズルの傍まで来て、しばらく眺めていると 翠「…このパズルはいつからやってるですか?」 男子A「三日前からですけど…」 翠「三日かかってまだコレですか!?ノロいにも程があるです。」 男子B「でもコレ意外と強敵なんすよ。皆も苦労してるみたいで…」 しばらく考えていた翠星石だったが 翠「全くしょーがねぇーです。こうなったらこの翠星石が人肌脱いでやるです。」 と仁王立ちしながら言う 女子A「え!?手伝ってくれるんですか?」 翠「か、勘違いするなです。 おめーらがあまりにも遅すぎて見ていられなかったから仕方なくーです。(早口)」 女子B「あ、ありがとうございます。翠星石先生って優しいですね。」 翠星石を尊敬の眼差しで見る生徒達 翠「そ、そんな目で見るなです。とにかく、この教室は使っていいように 翠星石から馬鹿校長に言っとくから安心して作業するです。」 職員室 翠「~♪」 蒼「ふふっ。翠星石何か嬉そうだね。何かあったの?…まさか、また何か悪いこと企んでる?」 翠「ち、違うですよ。今回はまともな理由ですよ。」 しばらく翠星石の目を見つめる蒼星石 蒼「……どうやら本当らしいね。ふふっ疑ったりしてごめん。」 翠「分かればいいです。さすがに翠星石も善悪の判断はできてるですよ。」 蒼「だったら普段の悪戯はやめなよ。君のせいで最近胃がもたないんだから」 翠「ぅ…。わかったです。もうやめるです。(んなわけあるかーです)」 蒼星石の胃痛はまだ続きそうである。 翠星石は放課後、nの教室に向かった。 ガラガラー 翠「おっ、やってるですねー。」 そこには昼休みとは違う男女4名が作業を進めていた 男子C「あ、翠星石先生ちょうど良い所に。さっきから全然進まないんですよー。」 翠星石が見てみると確かに昼休みに見た時から殆ど進んでいなかった。 翠「HR終わってから一時間たってるってのに何でこんなに遅いのかーです。 嘆かわしいですこのチビ人間ー。です。もー、貸してみろです。」 そう言ってピースを一つ手に取ってパズル本体に持っていくと、次々とはまっていった 女子C「先生すごーい!何でこんなにうまくはまるんですか?」 翠「こ、こんなの翠星石にかかれば楽勝ーです。おめーらは、闇雲にパズルを合わせているみたいですが こういうのは色や模様事にピースを分けて、それからあわせていけば簡単にはまっていくです。」 男子D「成る程~、先生すげー!」 翠「昔、蒼星石とやったことがあるからコツはわかるです。そうえばあいつはコレの二倍の奴を一人で たった一日かけて完成させてたですね…」 生徒一同「(一体何者なんだ…)」  その頃 蒼「くしゅんっ!誰か僕の噂してるのかなぁ…」 ー三日後ー 男子F「大体できてきたな。」 男子E「ここまでが長かった。うぅ…」 パズルも灰色の部分が目立たなっていた。所々に白と紫色の何かが見えるが、 それが何なのかはわからない。だが完成に近づいているのは確かだ ガラガラー 翠「おめーら…進んでるかーですぅ…」 女子E「あ、翠星石先生、順調順調♪…って翠星石先生今日何か疲れてそうですね?」 翠「レス175で、真紅先生の紅茶に唐辛子入れたら、 罰として校内の女子トイレの掃除させられたです…」 この罰によって翠星石は昼食も抜かされて、精神的にも肉体的にもボロボロだった 男子F「こんなにボロボロなら今日は手伝わなくっていいッスよ。」 女子F「そうそう。私達だけで大丈夫だって。」 生徒達に気遣われ心温まる翠星石だったが 翠「お、おめーらに心配されるほど落ちぶれちゃいねーです。 それにここまで来たのに完成の瞬間を見られないなんて納得いかねーです。 こんな状態でもピースをはめるくらいはできるです。」 しばらく顔を見合わせていた生徒達だったが 女子E「先生がそう言うなら…」 翠「じゃあ、とっとと再開するです。」 しばらく作業を進めていた一同だったが既に時刻は午後6時を回っていた 更に昼も食べず、校内のトイレ掃除をさせられた翠星石は疲労が限界に近づきつつあった 翠「もう…少しで完成ですぅ…」 女子E「先生は少し休んでて下さい。私達は明日土曜だからいいけど。 先生は明日もあるし、疲れたでしょう?」 さすがにこの密閉された教室の中ではきついと判断したのか 翠「うぅ…ちょっと休むです。」 そう言って窓の下の壁にもたれて眠ってしまった。 翠「ふわぁぁ~ちょっと眠っちまったです。」 女子F「先生ったらぐーすか寝っちゃって~可愛かったですよ。」 翠「…(///)大人をからかうなーです。」 とその時 ビュゥゥゥゥーーー!!! 翠「きゃっ!」 突然吹いた強烈な風に少し驚いた翠星石だったが 翠「全く驚かせるなです。」 そうして何事も無かったかのように後ろを振り返るとそこには信じられない光景が広がっていた。 翠「!!!」 そこには無残にもパズルのピースが散らばったジグソーパズルだった。 最初に翠星石が見た時と同じくらいピースがパズル本体から飛んでいた そうえば、空腹と疲労でよく覚えてないが空気が悪いと言って窓開けたような… 考えてみればパズルをはめている部屋で窓を開ける人などいない。風でピースが吹き飛んでしまうからだ。 しかし、翠星石は空腹と疲労でそこまで頭が回らなかったのだ。 一番やってはいけないことをやってしまった。 男子E「…………」 男子F「…………」 女子E「…………」 女子F「…………」 生徒達もあまりの出来事に沈黙を維持していた。 翠星石も何と言っていいか分からずに沈黙していた そして数分が過ぎた時、ようやく生徒側が沈黙を破った 男子E「…せっかくここまでやったのによぉ…うぅ…」 女子E「みんなに何て言えば…」 男子F「こんなの…やってられっかよ…」 女子F「…………」 そして泣いているF以外の3人が翠星石を睨み付ける。それにビクッっとする翠星石 彼らは初日から手伝っていた生徒達だったので、パズル完成への気持ちは一番強いだろう ここまで怒るのも無理はないかもしれない 翠「ご、ごめんな…」 男子F「何がごめんなさいだ!こんな大事な時に窓開けやがって!どうしてくれんだよ!」 完全に切れているF 翠「そ、それは…」 男子E「もうやってられっかよ。やめだやめだ。もう付き合いきれねぇ。」 女子E「私も。もうやる気も失せたよ…」 女子F「…………」 ガラガラー…………ピシャン! そこには散らばったパズルのピースと大粒の涙を流す翠星石がいるだけだった。 ー3日後職員室ー 蒼星石「おはよう。皆。」 真・水・雛・金・薔・雪「おはよう(なのだわ)(なのー)(かしらー)」 そう言って自分のデスクに座る蒼星石 蒼「おはよう。翠星せ…、って君大丈夫かい!?」 蒼星石が見たものとは、明らかに目の下に隈ができ、 疲労の色を隠しきれていない眠りこけた翠星石の姿だった 翠「あ…蒼星石…おはようです…翠星石は…いたって普通ですzzz。」 蒼「何言ってるんだ。すごく疲れてそうだよ。それに昨日寝てなかったのかい?」 翠「ガバッ!そんなことないです!さぁ、今日も頑張るです!」 蒼「ならいいけど、無理はしないでよ?」 わかったです~とだけ翠星石は答えて、授業に向かった 蒼「えー、ここは三角関数の導関数の公式(sinx)'=cosxを使ってcosxに変換…」 キンコーンカーンコーン 蒼「あ、今日はここまでだね。」 生徒一同「ありがとうございましたー。」 さて、次のクラスはと思っていると 雛「蒼星石先生~」 蒼「どうしました?雛苺先生?」 雛「翠星石先生がいなくなったの~」 蒼「え!?また、どうして…」 雛「ちょっと、準備室で調理実習の材料を取りに行くって言って、しばらく経ってもこないから 見に行ったの~、そしてらだぁ~れもいなくて…。一応しばらく待っててもこなかったの~。」 蒼「全く何を考えているんだ…。」 雛「それに今日の翠星石先生は何か変だったの~。家庭科の授業中も、『完成させる』とか寝言 いいながらがら寝てたり、ボーっとしてるときがあるの~ だから蒼星石は何か知ってるのかもって思ったの~」 その言葉にしばらく考え込む 蒼「そういえば、土日の翠星石は様子がおかしかった。 職員会議に遅れたり、遅くまで学校に残ったり、今朝だって…」 男子E「おい、まさか…」 男子F「だろうな…」 女子E「ええ…」 女子F「……」 お互いに顔を見合わせる四人 蒼「とにかく、探そう。雛苺先生は真紅先生達に連絡を」 雛「はいなの~」 雛苺はタッタッタッと走り去っていった 女子E「あの~」 男子E「蒼星石先生…」 蒼「何だい?」 蒼「成る程…そんなことが…。とにかく今は翠星石先生を探そう。君達も手伝ってくれるね。」 三人「はい!」 女子F「……」 翠「ふぅ…ようやくここまで完成したです。……少し休憩するです。」 休憩…自分があの時休憩せずに無理して作業を続けていればあんなことには… 翠「……ヒック…うぅ…」思い出したらまた涙が溢れてきた。 あの時自分は生徒達の大切な物を台無しにしてしまった。 そうして翠星石は自分を責めつづけていた。 とその時 ガラガラー 翠「!」 開くとは思ってなかった扉が開いたので、急いで背を向けて涙を拭いた。 蒼「やっと見つけたよ。翠星石。」 翠「蒼星石……。い、一体何のようです。授業ならチビ苺にまかせたです。」 蒼「あれはまかせたって言わないよ。勝手に押し付けただけだ。それより聞いたよ。 生徒達のパズルを台無しにしたんだって?」 翠「…………」 蒼「もしかしてそのパズルを元に修復するために土日の職員会議直前や遅くまで学校に残ってここで 作業をしていたんだね?」 翠「……あれは、完全に翠星石が悪かったです。だって…生徒達の笑顔を奪うなんて……教師失格です。 ……」 と後ろからあの時の四人が出てきた。 翠「おめーら…。」 男子E「先生……」 男子E「すみませんでした!」 男子F「すみませんでした!」 女子E「すみませんでした!」 女子F「すみませんでした!」 四人同時にそう叫んだ。 翠「???」 男子E「あの時ひどいこと言って悪かったと思ってます。ちょっとあの時は頭がカッとしてて…」 男子F「うん…。壊れたものはまた作り直せばいいしな。」 女子E「確かに言い過ぎでした。先生の気持ちも考えないで…」 翠「でも、翠星石はおめーらの一生懸命作ったパズルを台無しに…」 女子F「違うんです!」 一同「???」 今まで黙っていた生徒が叫んだので皆驚いた。その生徒はその後もしゃべり続けた 女子F「あの時窓を開けたのは……私だったんです。」 生徒三人「え!?」 女子F「あの後窓を開けて、作業をしたら、あの風が起こって、 言おうとしたけど、皆が翠星石先生のせいにして、このまま黙っていればばれないじゃないかって 思って……。でも、やっぱり言おうとしてけど、なかなか言い出せなくって…。」 女子E「あんた…よくも…みんなを…」 怒りのあまりEさんがFさんに平手を打とうと手を振り上げた ぱちぃぃぃん 女子E・F「翠星石先生!」 そこにはFさんをかばった翠星石が立っていた。 翠「喧嘩はやめるです!」 女子F「先生…何で?」 翠「おめーもおめーです。何で黙っておかねーですか。黙っていれば翠星石のせいになって ぶたれることも無かったですよ!?」 Fさんの肩を掴んで言う翠星石 女子F「先生…自分のことより私を…」 翠「翠星石はおめー達の友情が守られるなら…どれだけ嫌われてもいいですよ。」 そうして微笑む翠星石。 女子F「先生…。ごめんなさい…ヒック…ごめんなさい…」 泣き崩れるF 翠「翠星石はいいですから、他に謝る人がいるですよ。」 女子F「……。E君、F君、Eさん。……すみませんでした!」 頭を下げるFさん 男子E「べ、別に気にしてねーよ。さっきEも言って通りまた作り直せばいいんだからよ」 男子F「同感」 女子E「私も、それよりさっきはゴメン。やりすぎた。」 そうして翠星石にも謝ってぶったことを詫びた。 蒼「話はついたみたいだね。」 翠「蒼星石……」 蒼「五人があまりにも叫ぶから、他の生徒達が出にくくなってるじゃないか。」 扉を見てみるとクラスの生徒達がみんな集まっていた。 男子A「全くお前ら臭い台詞言ってる暇あったら、さっさと続き…始めようぜ。」 女子A「こら!少しはムードを考えろっての。でも一理あるわ。早く始めましょう。皆も早く。」 生徒「おー!!」 女子F「皆…」 こうして、クラスの生徒+翠星石の作業が始まった。 10分後他の教師達が駆けつけたが、蒼星石が問題は無いよといって落ち着いた。 真「まぁ、後で差し入れでも持ってきてやるのだわ。」 と少し微笑みながら教室を後にした。 男子A「しかし、三日間でここまで完成させるとは…」 女子A「翠星石先生も中々やるわね…」 翠「何か言ったですか?」 二人は顔を横に振った 作業中、真紅からは「紅茶の差し入れなのだわ。」 水「ヤクルト持ってきてあげたわぁ~。」 雛「うにゅーなの~」 金「特性ジャンボ砂糖入り卵焼きかしら~」といった教師独特の差し入れが来たので 生徒達で仲良く食べていった。 そして時計が七時を回った時… 翠「よ、ようやく完成ですー!!」 生徒「やったー!!」 教室は喜びと達成感でいっぱいだった。中には涙する人もいた 翠「………」 男子B「あれ?先生泣いてるんですか?」 見ると顔を涙でぐしょぐしょにした翠星石がいた。 しかし、三日前とは全く違う、優しくて暖かい涙だった 翠「っ!何ジロジロ見てるですか!?これはただ目にゴミが入りまくっただけです!」 女子A「あー先生が泣いてる。皆見てー」 翠「こ、こいつぅー!人が下手に出ればつきあがりやがってー」 そう言った翠星石の顔は笑っていた 翠「それにしてもこの完成したパズル綺麗です……」 見るとそのパズルは紫色の花と白の花が暗闇の中で輝いていた。夜光塗料が使われているらしい。 翠「これは…ハマヒルガオとエーデルワイス……!そうえばこの花たちの花言葉は…」 女子F「そうです。ハマヒルガオは『絆』、エーデルワイスは『大切な思い出』です。 このパズルが完成したとき、この二つも完全なものになったらいいな。と思って用意しました。」 翠「へぇ~、お前にしては中々やるです。」 その言葉にFさんの顔が緩まる。それから思い出したように 女子F「先生、お願いがあります。」 翠「な、何です。そんな真剣な顔して。」 女子F「あのパズルを家庭科室に飾ってほしいんです。」 翠「え!?でもあれはおめーらの大切な…」 女子F「実はさっきみんなと相談して、翠星石先生に預かってほしいって満場一致したんです。 私達の最高の思い出と絆、先生に預かってほしいんです。」 翠「お前…、グス…わかったです。おめーらの大切な思い出…グス、翠星石がずーと預かっとく ですよ。だから、同窓会の時は必ず来るですよ。おめーらのアホ面を笑ってやるです。」 女子F「ふふっ、先生泣かないで、とにかく頼みましたよ。」 蒼「これで一件落着かな。」 真「そうね。彼らがパズルのピースを繋ぎ合わせている内に、彼女の心と彼らのピース… すなわち絆も繋がっていったようね。 蒼「ふふふ、そうだね」 こうしてあっという間に時は過ぎ、彼らは卒業していった。 翠「ふぅ……また、淋しくなるですね…」 そう言って顔を曇らせる翠星石だったが、 家庭科室の後ろにある絵を見ると少し微笑んでいたという
翠「じゃあ今日の授業はここまでにするです。」 生徒一同「ありがとうございましたー」 いつもなら何かと問題を起こす翠星石だったが、今回は問題なく授業を終えることができた。 大人しくしていればちゃんと授業が進むのになぁ~と言うのは蒼星石の言葉だったりする 翠「全く蒼星石は心配性です。翠星石だってやればできるのにーですぅ。」 そう言いながら昼休みのため、一旦職員室に向かって歩いていると、 今通り過ぎた教室から騒がしい声が聞こえてきた。 翠「ん?何やら騒がしいです。しかもココは一度も使われていないという通称『nの教室…』。 またチビ人間達が何かしてるですね。ここは教師としてガツンと言ってやるです。」 そう言って今は使われていないはずの教室の扉に手をかけた ?「そっちペース遅ぇーぞ。」 ?「そっちだって十分遅いわよ。」 ガラガラー 翠「お前ぇーらここで一体何してるですか!」 ?「!!!」 そこには先程の授業を終えたクラスの生徒達だった。 男子A「え、えっと…俺ら何もしてませんよ?」 女子A「そ、そうそう。ちょっと迷っちゃってー」 翠「全く、チビ苺より下手な嘘です。だいたい二年間もこの学校にいる奴がどうやって迷うですか。 さっさと理由を話すです。」 しばらく戸惑っていた生徒達だったが 男子A「…………実は」 そう言って後ろにある寄せて大きな面積になっている机の上に掛けてある大きな布を取った。 そこには… 翠「ジグソー…パズル?」 そこにはやりかけのジグソーパズルが置いてあった。まだ進んでないのか灰色の部分が目立っていた 男子B「俺達もう今年で卒業です。だから最後に皆で協力して何かしようって クラスで決めたんです。」 それがジグソーパズルになったのだと言う。 女子A「でも大きさが大きさなので置き場所が中々見つからなかったんで 仕方なくこの使ってない教室で昼休みと放課後に交代で作業をしてたんです。」 しばらく聞いていた翠星石はパズルの傍まで来て、しばらく眺めていると 翠「…このパズルはいつからやってるですか?」 男子A「三日前からですけど…」 翠「三日かかってまだコレですか!?ノロいにも程があるです。」 男子B「でもコレ意外と強敵なんすよ。皆も苦労してるみたいで…」 しばらく考えていた翠星石だったが 翠「全くしょーがねぇーです。こうなったらこの翠星石が人肌脱いでやるです。」 と仁王立ちしながら言う 女子A「え!?手伝ってくれるんですか?」 翠「か、勘違いするなです。 おめーらがあまりにも遅すぎて見ていられなかったから仕方なくーです。(早口)」 女子B「あ、ありがとうございます。翠星石先生って優しいですね。」 翠星石を尊敬の眼差しで見る生徒達 翠「そ、そんな目で見るなです。とにかく、この教室は使っていいように 翠星石から馬鹿校長に言っとくから安心して作業するです。」 職員室 翠「~♪」 蒼「ふふっ。翠星石何か嬉そうだね。何かあったの?…まさか、また何か悪いこと企んでる?」 翠「ち、違うですよ。今回はまともな理由ですよ。」 しばらく翠星石の目を見つめる蒼星石 蒼「……どうやら本当らしいね。ふふっ疑ったりしてごめん。」 翠「分かればいいです。さすがに翠星石も善悪の判断はできてるですよ。」 蒼「だったら普段の悪戯はやめなよ。君のせいで最近胃がもたないんだから」 翠「ぅ…。わかったです。もうやめるです。(んなわけあるかーです)」 蒼星石の胃痛はまだ続きそうである。 翠星石は放課後、nの教室に向かった。 ガラガラー 翠「おっ、やってるですねー。」 そこには昼休みとは違う男女4名が作業を進めていた 男子C「あ、翠星石先生ちょうど良い所に。さっきから全然進まないんですよー。」 翠星石が見てみると確かに昼休みに見た時から殆ど進んでいなかった。 翠「HR終わってから一時間たってるってのに何でこんなに遅いのかーです。 嘆かわしいですこのチビ人間ー。もー、貸してみろです。」 そう言ってピースを一つ手に取ってパズル本体に持っていくと、次々とはまっていった 女子C「先生すごーい!何でこんなにうまくはまるんですか?」 翠「こ、こんなの翠星石にかかれば楽勝ーです。おめーらは、闇雲にパズルを合わせているみたいですが こういうのは色や模様事にピースを分けて、それからあわせていけば簡単にはまっていくです。」 男子D「成る程~、先生すげー!」 翠「昔、蒼星石とやったことがあるからコツはわかるです。そうえばあいつはコレの二倍の奴を一人で たった一日かけて完成させてたですね…」 生徒一同「(一体何者なんだ…)」  その頃 蒼「くしゅんっ!誰か僕の噂してるのかなぁ…」 ー三日後ー 男子F「大体できてきたな。」 男子E「ここまでが長かった。うぅ…」 パズルも灰色の部分が目立たなっていた。所々に白と紫色の何かが見えるが、 それが何なのかはわからない。だが完成に近づいているのは確かだ ガラガラー 翠「おめーら…進んでるかーですぅ…」 女子E「あ、翠星石先生、順調順調♪…って翠星石先生今日何か疲れてそうですね?」 翠「レス175で、真紅先生の紅茶に唐辛子入れたら、 罰として校内の女子トイレの掃除させられたです…」 この罰によって翠星石は昼食も抜かされて、精神的にも肉体的にもボロボロだった 男子F「こんなにボロボロなら今日は手伝わなくっていいッスよ。」 女子F「そうそう。私達だけで大丈夫だって。」 生徒達に気遣われ心温まる翠星石だったが 翠「お、おめーらに心配されるほど落ちぶれちゃいねーです。 それにここまで来たのに完成の瞬間を見られないなんて納得いかねーです。 こんな状態でもピースをはめるくらいはできるです。」 しばらく顔を見合わせていた生徒達だったが 女子E「先生がそう言うなら…」 翠「じゃあ、とっとと再開するです。」 しばらく作業を進めていた一同だったが既に時刻は午後6時を回っていた 更に昼も食べず、校内のトイレ掃除をさせられた翠星石は疲労が限界に近づきつつあった 翠「もう…少しで完成ですぅ…」 女子E「先生は少し休んでて下さい。私達は明日土曜だからいいけど。 先生は明日もあるし、疲れたでしょう?」 さすがにこの密閉された教室の中ではきついと判断したのか 翠「うぅ…ちょっと休むです。」 そう言って窓の下の壁にもたれて眠ってしまった。 翠「ふわぁぁ~ちょっと眠っちまったです。」 女子F「先生ったらぐーすか寝っちゃって~可愛かったですよ。」 翠「…(///)大人をからかうなーです。」 とその時 ビュゥゥゥゥーーー!!! 翠「きゃっ!」 突然吹いた強烈な風に少し驚いた翠星石だったが 翠「全く驚かせるなです。」 そうして何事も無かったかのように後ろを振り返るとそこには信じられない光景が広がっていた。 翠「!!!」 そこには無残にもパズルのピースが散らばったジグソーパズルだった。 最初に翠星石が見た時と同じくらいピースがパズル本体から飛んでいた そうえば、空腹と疲労でよく覚えてないが空気が悪いと言って窓開けたような… 考えてみればパズルをはめている部屋で窓を開ける人などいない。風でピースが吹き飛んでしまうからだ。 しかし、翠星石は空腹と疲労でそこまで頭が回らなかったのだ。 一番やってはいけないことをやってしまった。 男子E「…………」 男子F「…………」 女子E「…………」 女子F「…………」 生徒達もあまりの出来事に沈黙を維持していた。 翠星石も何と言っていいか分からずに沈黙していた そして数分が過ぎた時、ようやく生徒側が沈黙を破った 男子E「…せっかくここまでやったのによぉ…うぅ…」 女子E「みんなに何て言えば…」 男子F「こんなの…やってられっかよ…」 女子F「…………」 そして泣いているF以外の3人が翠星石を睨み付ける。それにビクッっとする翠星石 彼らは初日から手伝っていた生徒達だったので、パズル完成への気持ちは一番強いだろう ここまで怒るのも無理はないかもしれない 翠「ご、ごめんな…」 男子F「何がごめんなさいだ!こんな大事な時に窓開けやがって!どうしてくれんだよ!」 完全に切れているF 翠「そ、それは…」 男子E「もうやってられっかよ。やめだやめだ。もう付き合いきれねぇ。」 女子E「私も。もうやる気も失せたよ…」 女子F「…………」 ガラガラー…………ピシャン! そこには散らばったパズルのピースと大粒の涙を流す翠星石がいるだけだった。 ー3日後職員室ー 蒼星石「おはよう。皆。」 真・水・雛・金・薔・雪「おはよう(なのだわ)(なのー)(かしらー)」 そう言って自分のデスクに座る蒼星石 蒼「おはよう。翠星せ…、って君大丈夫かい!?」 蒼星石が見たものとは、明らかに目の下に隈ができ、 疲労の色を隠しきれていない眠りこけた翠星石の姿だった 翠「あ…蒼星石…おはようです…翠星石は…いたって普通ですzzz。」 蒼「何言ってるんだ。すごく疲れてそうだよ。それに昨日寝てなかったのかい?」 翠「ガバッ!そんなことないです!さぁ、今日も頑張るです!」 蒼「ならいいけど、無理はしないでよ?」 わかったです~とだけ翠星石は答えて、授業に向かった 蒼「えー、ここは三角関数の導関数の公式(sinx)'=cosxを使ってcosxに変換…」 キンコーンカーンコーン 蒼「あ、今日はここまでだね。」 生徒一同「ありがとうございましたー。」 さて、次のクラスはと思っていると 雛「蒼星石先生~」 蒼「どうしました?雛苺先生?」 雛「翠星石先生がいなくなったの~」 蒼「え!?また、どうして…」 雛「ちょっと、準備室で調理実習の材料を取りに行くって言って、しばらく経ってもこないから 見に行ったの~、そしてらだぁ~れもいなくて…。一応しばらく待っててもこなかったの~。」 蒼「全く何を考えているんだ…。」 雛「それに今日の翠星石先生は何か変だったの~。家庭科の授業中も、『完成させる』とか寝言 いいながらがら寝てたり、ボーっとしてるときがあるの~ だから蒼星石は何か知ってるのかもって思ったの~」 その言葉にしばらく考え込む 蒼「そういえば、土日の翠星石は様子がおかしかった。 職員会議に遅れたり、遅くまで学校に残ったり、今朝だって…」 男子E「おい、まさか…」 男子F「だろうな…」 女子E「ええ…」 女子F「……」 お互いに顔を見合わせる四人 蒼「とにかく、探そう。雛苺先生は真紅先生達に連絡を」 雛「はいなの~」 雛苺はタッタッタッと走り去っていった 女子E「あの~」 男子E「蒼星石先生…」 蒼「何だい?」 蒼「成る程…そんなことが…。とにかく今は翠星石先生を探そう。君達も手伝ってくれるね。」 三人「はい!」 女子F「……」 翠「ふぅ…ようやくここまで完成したです。……少し休憩するです。」 休憩…自分があの時休憩せずに無理して作業を続けていればあんなことには… 翠「……ヒック…うぅ…」思い出したらまた涙が溢れてきた。 あの時自分は生徒達の大切な物を台無しにしてしまった。 そうして翠星石は自分を責めつづけていた。 とその時 ガラガラー 翠「!」 開くとは思ってなかった扉が開いたので、急いで背を向けて涙を拭いた。 蒼「やっと見つけたよ。翠星石。」 翠「蒼星石……。い、一体何のようです。授業ならチビ苺にまかせたです。」 蒼「あれはまかせたって言わないよ。勝手に押し付けただけだ。それより聞いたよ。 生徒達のパズルを台無しにしたんだって?」 翠「…………」 蒼「もしかしてそのパズルを元に修復するために土日の職員会議直前や遅くまで学校に残ってここで 作業をしていたんだね?」 翠「……あれは、完全に翠星石が悪かったです。だって…生徒達の笑顔を奪うなんて……教師失格です。 ……」 と後ろからあの時の四人が出てきた。 翠「おめーら…。」 男子E「先生……」 男子E「すみませんでした!」 男子F「すみませんでした!」 女子E「すみませんでした!」 女子F「すみませんでした!」 四人同時にそう叫んだ。 翠「???」 男子E「あの時ひどいこと言って悪かったと思ってます。ちょっとあの時は頭がカッとしてて…」 男子F「うん…。壊れたものはまた作り直せばいいしな。」 女子E「確かに言い過ぎでした。先生の気持ちも考えないで…」 翠「でも、翠星石はおめーらの一生懸命作ったパズルを台無しに…」 女子F「違うんです!」 一同「???」 今まで黙っていた生徒が叫んだので皆驚いた。その生徒はその後もしゃべり続けた 女子F「あの時窓を開けたのは……私だったんです。」 生徒三人「え!?」 女子F「あの後窓を開けて、作業をしたら、あの風が起こって、 言おうとしたけど、皆が翠星石先生のせいにして、このまま黙っていればばれないじゃないかって 思って……。でも、やっぱり言おうとしてけど、なかなか言い出せなくって…。」 女子E「あんた…よくも…みんなを…」 怒りのあまりEさんがFさんに平手を打とうと手を振り上げた ぱちぃぃぃん 女子E・F「翠星石先生!」 そこにはFさんをかばった翠星石が立っていた。 翠「喧嘩はやめるです!」 女子F「先生…何で?」 翠「おめーもおめーです。何で黙っておかねーですか。黙っていれば翠星石のせいになって ぶたれることも無かったですよ!?」 Fさんの肩を掴んで言う翠星石 女子F「先生…自分のことより私を…」 翠「翠星石はおめー達の友情が守られるなら…どれだけ嫌われてもいいですよ。」 そうして微笑む翠星石。 女子F「先生…。ごめんなさい…ヒック…ごめんなさい…」 泣き崩れるF 翠「翠星石はいいですから、他に謝る人がいるですよ。」 女子F「……。E君、F君、Eさん。……すみませんでした!」 頭を下げるFさん 男子E「べ、別に気にしてねーよ。さっきEも言って通りまた作り直せばいいんだからよ」 男子F「同感」 女子E「私も、それよりさっきはゴメン。やりすぎた。」 そうして翠星石にも謝ってぶったことを詫びた。 蒼「話はついたみたいだね。」 翠「蒼星石……」 蒼「五人があまりにも叫ぶから、他の生徒達が出にくくなってるじゃないか。」 扉を見てみるとクラスの生徒達がみんな集まっていた。 男子A「全くお前ら臭い台詞言ってる暇あったら、さっさと続き…始めようぜ。」 女子A「こら!少しはムードを考えろっての。でも一理あるわ。早く始めましょう。皆も早く。」 生徒「おー!!」 女子F「皆…」 こうして、クラスの生徒+翠星石の作業が始まった。 10分後他の教師達が駆けつけたが、蒼星石が問題は無いよといって落ち着いた。 真「まぁ、後で差し入れでも持ってきてやるのだわ。」 と少し微笑みながら教室を後にした。 男子A「しかし、三日間でここまで完成させるとは…」 女子A「翠星石先生も中々やるわね…」 翠「何か言ったですか?」 二人は顔を横に振った 作業中、真紅からは「紅茶の差し入れなのだわ。」 水「ヤクルト持ってきてあげたわぁ~。」 雛「うにゅーなの~」 金「特性ジャンボ砂糖入り卵焼きかしら~」といった教師独特の差し入れが来たので 生徒達で仲良く食べていった。 そして時計が七時を回った時… 翠「よ、ようやく完成ですー!!」 生徒「やったー!!」 教室は喜びと達成感でいっぱいだった。中には涙する人もいた 翠「………」 男子B「あれ?先生泣いてるんですか?」 見ると顔を涙でぐしょぐしょにした翠星石がいた。 しかし、三日前とは全く違う、優しくて暖かい涙だった 翠「っ!何ジロジロ見てるですか!?これはただ目にゴミが入りまくっただけです!」 女子A「あー先生が泣いてる。皆見てー」 翠「こ、こいつぅー!人が下手に出ればつきあがりやがってー」 そう言った翠星石の顔は笑っていた 翠「それにしてもこの完成したパズル綺麗です……」 見るとそのパズルは紫色の花と白の花が暗闇の中で輝いていた。夜光塗料が使われているらしい。 翠「これは…ハマヒルガオとエーデルワイス……!そうえばこの花たちの花言葉は…」 女子F「そうです。ハマヒルガオは『絆』、エーデルワイスは『大切な思い出』です。 このパズルが完成したとき、この二つも完全なものになったらいいな。と思って用意しました。」 翠「へぇ~、お前にしては中々やるです。」 その言葉にFさんの顔が緩まる。それから思い出したように 女子F「先生、お願いがあります。」 翠「な、何です。そんな真剣な顔して。」 女子F「あのパズルを家庭科室に飾ってほしいんです。」 翠「え!?でもあれはおめーらの大切な…」 女子F「実はさっきみんなと相談して、翠星石先生に預かってほしいって満場一致したんです。 私達の最高の思い出と絆、先生に預かってほしいんです。」 翠「お前…、グス…わかったです。おめーらの大切な思い出…グス、翠星石がずーと預かっとく ですよ。だから、同窓会の時は必ず来るですよ。おめーらのアホ面を笑ってやるです。」 女子F「ふふっ、先生泣かないで、とにかく頼みましたよ。」 蒼「これで一件落着かな。」 真「そうね。彼らがパズルのピースを繋ぎ合わせている内に、彼女の心と彼らのピース… すなわち絆も繋がっていったようね。 蒼「ふふふ、そうだね」 こうしてあっという間に時は過ぎ、彼らは卒業していった。 翠「ふぅ……また、淋しくなるですね…」 そう言って顔を曇らせる翠星石だったが、 家庭科室の後ろにある絵を見ると少し微笑んでいたという

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