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なぜなに有栖学園」(2006/07/13 (木) 21:30:53) の最新版変更点

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?「3、2、1・・・・・・ドッカ~ン!!」 ?「な、なぜなに・・・」 監「カァァット!!一体何回やれば気が済むんだ!?ちゃんとやれ!」 ?「どうして私がこんな役をしなくちゃならないのよぉ!!」 ?「・・・くじ引きで決まったことだから、仕方ないよ」 ?「台詞の割りに楽しそうにやってるじゃなぁい・・・薔薇ウサギ」 薔「そんな事無いよ?・・・さ、もう1回頑張ろうね銀お姉さん」 銀「・・・わかったわよぅ、やれば良いんでしょやれば?!」 監「話は終わったか?それじゃ、シーン1-1『オープニング』テイク21・・・アクション!!」 監督の掛け声と共にカメラのランプが赤く光る。 薔「3、2、1・・・・・・ドッカ~ン!!」 銀「なぜなに有栖学園!!!」 監「カットォォ!!力みすぎだ馬鹿!!」 銀「こっちだって真面目にやってるわよう!!っていうか、今馬鹿って言ったでしょう!」 監「ああ、何度でも言ってやる!21回もNG出すような奴は馬k・・・」 ゴンッ!! め「あ、つい手が滑っちゃった」 M「監督~?生きてますか~?・・・仕方ない、それじゃ僕が代理で撮り直しますんで」 見学に来ていためぐが何故か持っていた『ばあるのようなもの』の一撃で昏倒した監督に代わって 助監督兼副会長のMがメガホンを取って撮影は再開された。 そもそも何故再び撮影が行われるようになったのか? それは2日前に遡る。 ロ「・・・という訳で、プロモーションビデオを撮影することになったんだ」 翠「何が『という訳』ですぅ?」 ローゼンのお約束の言葉に対し、これまたお約束で返す翠星石だった。 ロ「やっぱ説明しなきゃダメ?」 真「ええ、プロモーションビデオなんて単語が出てくる以上、ちゃんとした説明を要求するわ」 ロ「それじゃあ、説明描写を抜きにして改行で・・・」 蒼「手抜きはいけませんよ校長?」 ロ「仕方ないなぁ・・・それじゃあ簡単に言うけど、要は学校の広報用のビデオ撮影をすることにしたんだ」 薔「・・・広報用・・・ビデオ?」 ロ「そ、受験生を呼び込むためのビデオを作ろうと思うんだ。折角映画愛好会が出来たんだし、ついでに撮っとこうかなぁって」 金「それは面白そうなのかしら」 雛「ヒナ出てみたいの~」 金糸雀と雛苺は純粋に出演を希望したが、他の教師は内心嫌な予感がしていた。 そして、その予感は的中した。 ロ「今までに無い物を作ろうと思ってるんだ」 金・雛以外(有る物で良いでしょ、有る物で・・・) ロ「簡単に言えば、マスコットのウサギさんと解説役のお姉さんの二人で進行していく・・・」 金・雛以外「この話は無かった、という事で・・・」 そそくさと帰ろうとした教師達だったが、その後ローゼンが提示した特別ボーナスに心動かされた。 ロ「今言った二人は出番も多いし、ボーナス弾むよ。他はスポット出演だから少ないけど」 そう言ってローゼンは全員に見えるように右手を開いた。 ロ「メインにはこれだけ出そう。他はこれだけ」 今度は右手をチョキに変える。 水(2万ねぇ・・・少ないけど、メインじゃなければ美味しい話しねぇ) 翠(正直恥ずかしいったらねぇですけど、5万は魅力的ですぅ) 蒼(メインじゃなければ良いかな) 真(2万・・・くんくんDVDが1枚6890円だからちょっと足して3枚買えるのだわ) 薔(食費の足しになるかな・・・撮影も楽しかったし、メインでも良いかも) 雪(・・・・・・悪くないな) 各人に色々な打算が働き、出演を承諾した。 とはいえ、問題は誰がメインを行うか?であった。 恐らく先程の話し振りから、脚本は既に出来上がっているのだろう。 そしてその内容は容易に想像が付く。某国営放送の教育番組みたいなノリなのだろう。 何人かはそれを嫌がり、残りも進んで引き受けるという訳でも無かった。 ロ「仕方ない・・・それじゃ、くじ引きで決めようか」 そう言ってティッシュにマジックで印を作ってくじ引きを作り、それを一斉に引く。 水「・・・そんな、なんで私がこんなのやんなきゃなんないのよぉ」 薔「・・・一緒に頑張ろうね、銀ちゃん」 くじによってお姉さん役に水銀燈、ウサギ役に薔薇水晶が決まった。 そして話は元に戻る。 いつもの様に撮影時だけは凶暴になる映画愛好会会長とその会員たちと一緒に撮影に入った。 薔薇水晶はデフォルメされたウサギの着ぐるみ、水銀燈はワイシャツとサスペンダー付きのハーフパンツ、 中央にボンボンが付いた帽子といった出で立ちで学校の紹介を行っていく。 ただでさえ台詞が恥ずかしい物ばかりな上に、この格好である。 比較的すぐに馴染んだ薔薇水晶と違って、水銀燈には羞恥以外の何物でもなかった。 その所為で台詞を噛んだり、気恥ずかしさで声が上ずったりしてNGを連発していた。 水(だから嫌だったのよぅ・・・) 後悔先に立たずである。 薔「ねぇねぇお姉さん、有栖学園にはどんな部活動が有るのかな?」 水「・・・それくらい自分で調べなさぁい・・・」 薔「えぇ~、でも僕ウサギだから文字が読めないよ~」 水「・・・平気で読んでるウサギも居るから、努力しなさぁい」 薔「お姉さんのイジワル~」 水「・・・はぁ、仕方ないわねぇ、それじゃちょっとだけ紹介してあげるわぁ」 M「・・・・・・カット、OKです。お二人とも大分慣れてきましたね」 水「お願いだからそれは言わないで」 薔「・・・慣れていくのね・・・自分でも分かる」 M「え~と、それじゃあ部活動の様子を撮って行きますので、普段の様子でお願いします」 真「分かったのだわ・・・ところで彼は?」 どうせあの監督が来るのだろうと思っていたら、助監督のMがやってきた。 もっとも、騒々しいのを好まない真紅にとっては願ったり叶ったりである。 M「ああ、監督ですか。さっき水銀燈先生が保健室に連れて行きましたよ」 真「そう・・・それなら、さっさと始めて頂戴」 親切心でやった訳ではないだろう。どうせ、保健室のベッドに縛り付けて口出しできない様にしてるに違いない。 そう考えながら、真紅はカメラに向かって茶道部の紹介をしていく。 真「茶道部・・・と言っても、抹茶ではなく紅茶の淹れ方を追及している部活なのだわ」 T「真紅先生、ダージリンを淹れてみました」 真「ではいただくわ・・・2度ぬるいのだわ」 U「それではこちらを、アッサムを淹れてみました」 真「確かに適温ね、でも温度に気をとられて茶葉が開ききる前に注いでしまったわね。風味が損なわれているわ」 R「ブレンドティーを作ってみたんですけどぉ・・・」 真「・・・貴女にはまだ難しいようね。ブレンドティーはただ茶葉を混ぜれば良い物ではないのだわ」 その後真紅の紅茶談義が続くが、テープも勿体無かったので適当に切り上げて違う部へと向かった。 金「有栖学園科学部にようこそかしら~。科学部は基本的にチーム単位で活動していくかしら」 カメラは科学部の活動風景を撮影していく。そこには白衣を着た生徒達とツナギに着替えた生徒達が居た。 白衣組は机の上に所狭しと置かれた実験器具と怪しげな色の薬品を、混ぜたり熱したりしてなにやら作っていた。 一方ツナギ組はというと、ある者は小型エンジンの分解、ある者は溶接作業、またある者は半田付けなどの作業に没頭していた。 金「化学班は新しい金属素材の開発、工作班は有人飛行機の組み立てをやっているかしら」 金糸雀は化学班の方へとカメラを誘導する。 金「今、彼らは飛行機のフレームに使われる金属の開発を行っているかしら。小型の飛行機だから軽くて丈夫な物が    求められてるかしら」 続いて工作班の方へと移動する。 金「工作班はエンジンの組み立てとコックピット周りの製作を行っているかしら~」 そしてカメラに向かって満点の笑顔で「有栖学園に入学したら科学部に来て欲しいかしら~」と手を振る。 M「・・・・・・はい、OKです。・・・でも、なんで人力飛行機じゃないんですか?鳥人間とか・・・」 Mのもっともな質問に金糸雀は首を傾げる。少しの間考えた後、その理由を語った。 金「人力だと高い所が必要かしら。それに限り無く軽く作る必要が有るから、操縦者の安全はあまり考えられてないかしら」 M「要するに、校庭ぐらいの広さが有れば簡単に飛ばす事ができるからって訳ですか」 金「そうかしら~」 M「で、誰が操縦するんです?普通、免許が必要ですよね」 金「あ・・・・・・・・・」 ニコニコ説明していた金糸雀の顔から笑みが消えた。どうやら『誰が乗るか』までは考えてなかったようである。 M「・・・・・・え~っと、僕たちもう行きますね」 薔「わぁぁ、色んな部活動が有るんだねお姉さん」 水「えぇ、他にも水泳部や放送部、空手部や射撃部、美術部やお料理研究会など一杯有るわぁ」 薔「うわぁ!どこに入ろうか迷っちゃう!」 水「他にも、自分達で部活やサークルを作る事ができるわぁ」 薔「へぇ、それじゃあ僕でも部を設立できるんだ。楽しみだなぁ」 水「お勉強だけが高校生活じゃないって事よ」 薔「そうだね!・・・ところで銀お姉さん、僕お腹すいちゃったよ」 水「あらあらぁ、もうお腹すいたのぉ?・・・仕方ないわねぇ、それじゃあ食堂に案内するわぁ」 薔「やったぁ~!」 撮影班は学食へと移動する。そこには翠星石と雪華綺晶の二人が居た。 翠「おめーら遅いですぅ。いつまで待たせるですか?!」 M「すいません、部活の所で少し手間取りまして」 翠「ま、良いですけど。その代わり、ちゃんと綺麗に撮るですよ」 やがて準備が整い、撮影が始まった。 翠「学生食堂に良く来たですぅ。食堂の説明を今からするから、ちゃんと聞きやがれですぅ」 入り口に入ってすぐの券売機の前に移動する。 翠「まずはここで食券を買っていくです。メニューは沢山有るからどれを食べるか目移りするですぅ。    まあ、私のオススメは『花丸ハンバーグ定食』ですぅ」 食券を買って、トレイと箸を持って配膳口に移動する。 翠「定食はこの場所で受け取るです。おそばやラーメンとかはちゃんと印が有るからそこへ行って受け取るです」 定食を受け取った翠星石は近くのテーブルへと移動して席に着く。 翠「これで食堂の利用方法は御終いですぅ。ご飯を食べたら、あそこに返却口が有るからちゃんと返すんですよ。    今回は特別に奢ってやるですぅ」 その時、翠星石は何かに気付いたかのようにカメラの向こう側を見る。 カメラが振り返ると、券売機の所に雪華綺晶が居た。食券を買って、配膳口へと移動する。 翠「ひーっひっひ、今からおめーは有栖学園の伝説を目の当たりにするですぅ」 雪華綺晶の姿を追っていくと、そこには文字通り山のように積まれた定食が有った。 そこから先は、雪華綺晶の独壇場であった。 山となった定食をテーブルへと運び、手を合わせて「いただきます」と呟くと食事を開始する。 その速度は決して速くは無いのだが、あっという間に消えていった。 雪「ごちそうさまでした」 食べる前と全く変わらぬ様子で食器を返却口へと返し、カメラの方へと近づいていく。 雪「日替わり有栖定食を個人的に推薦しておく」 そう言って颯爽と去っていった。 翠「有栖学園のお昼時はいつもあの光景を見ることができるですぅ。大食い自慢はドンと来やがれです」 最後は翠星石の笑顔で学食のシーンの撮影は終了した。ちなみに花丸ハンバーグ定食はスタッフが美味しくいただいた。 薔「ふぅ・・・美味しかったぁ。有栖学園の皆は毎日美味しいご飯を食べているんだね」 水「そうよ。他にも購買部で毎日焼きたてのパンも販売してるから、そっちも大人気よ」 薔「わぁ、そっちも食べた~い」 水「ふふふ・・・食いしん坊さぁん」 薔「・・・てへ。でも、こんな毎日なら、僕すぐにでも有栖学園に通いたいよ」 水「あらあら・・・でも、毎日遊んでる訳じゃないわぁ。ちゃんとお勉強もしないとねぇ」 薔「う~、勉強は苦手だなぁ。僕、付いていけるかなぁ?」 水「大丈夫よぉ、この学校の先生は皆懇切丁寧に教えてくれるわぁ」 蒼「授業風景を撮影するのは良いけど、皆の邪魔にならない様にね」 M「ええ、分かってます。なるべく早く切り上げますんで」 撮影用にわざわざ補習授業をしてもらい、その様子を撮影していく。 撮影は順調に進み、15分程度で撮影は終了する。 M「それじゃ、撮影は終わりましたんで」 蒼「もう良いのかい?お疲れ様。・・・さてと、折角だからこのまま授業進めるね」 生徒一同「えぇ~!」 生徒達の悲鳴を後に、撮影班は雛苺のクラスへと移動した。 雛「映画同好会も来たし、早速授業を始めるの」 雛苺の方も先程と同様に補習授業を始めていく。こちらも15分ほどで撮影は終了した。 雛「ふぅ~、ようやく終わったの~。じゃあ授業も終わりにするの~、お疲れさまなの~」 撮影が終わると、丁度キリが良かったので雛苺はそのまま授業を終わらせた。 水「とまあ、こぉんな感じで教えてくれるから、心配する必要ないわぁ」 薔「うんうん、これなら僕でもすぐに分かりそう」 水「それで、どうだったかしらぁ有栖学園は?」 薔「とっても良い所だね。僕、頑張って有栖学園に通うよ」 水「そう・・・それじゃあ、ちゃんと勉強しないとねぇ」 薔「うん!僕頑張る!銀お姉さん今日はありがとう」 水「気にしなくて良いわよぅ・・・それじゃあテレビの前の皆、さようなら~」 薔「さようなら~」 M「・・・・・・・・・・・・OKです!お疲れ様でした~」 全員「お疲れ様でした~!」 かくして撮影は終わり、数日間の編集を経てプロモーションビデオは完成した。 ちなみに監督はと言うと、あの後気力で抜け出したものの、既に撮影が終了してしまい、 元の性格に戻った状態で編集に立ち会っていたという。 ロ「いやぁ、お疲れさん。おかげでかなり良いプロモーションビデオができたよ」 水「・・・はい」 労うローゼンに対して掌を差し出す水銀燈。 ロ「ん?・・・ああ、握手か」 水「違うわよぅ、報酬よ報酬。まさか、忘れたって訳無いわよねぇ・・・」 すぅーっと水銀燈の眼光が鋭くなる。 ロ「ああ報酬かぁ。ちょっと待ってて、持ってくるから。皆も集まっててねぇ」 ローゼンは一度校長室へと戻り、後ろ手に何かを持って職員室に戻ってきた。 ロ「それじゃ、まずは見事メインを勤めた水銀燈先生と薔薇水晶先生から」 二人はローゼンの前に立つ。 ロ「はい、約束どおり『5つ』あげるよ~」 水・薔「?」 ローゼンは二人に、団扇を5つ手渡した。 ご丁寧に団扇にはローゼンのプロマイドがプリントされていた。(某アイドル事務所のグッズみたいに) 水「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これは?」 長い沈黙の後、水銀燈は口を開いた。予想外の出来事に思考が一時停止していた。 ロ「報酬だよ?」 水「5万円じゃ・・・」 ロ「誰もそんな事言ってないよ?僕はただ手で『5』って示しただけで・・・」 水「騙したわねぇ!!」 ロ「騙しただなんて心外だなぁ。これから暑くなるし、結構重宝するよ?」 水「・・・・・・・(ぷちっ)!!」 全員(あ、切れた) それから丸一日、校内は勿論のこと、町中を舞台にした追いかけっこが始まった。 ちなみに、プロモーションビデオの効果かどうかは分からないが、その年の受験者数は例年の倍以上だったとか。

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