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花火 -Feuerwerk-」(2006/07/06 (木) 00:58:55) の最新版変更点

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「花火大会?」 「うん……今晩……あるの」 昼休み。それは昼食も終了してそろそろ授業、という時間帯。 蒼星石は薔薇水晶からある情報を聞いていた。 どうやら話によると、今晩花火大会が行われるらしい。 「しかもね……学校の近くでやるから……屋上で見れるの……」 「屋上って、この学校の?」 「うん……だから……皆に話して……今日集合する……とか」 つまり、教師達と一緒に花火大会を見たいということらしい。 薔薇水晶は、”まずは”と丁度近くにいた蒼星石にまずその話をしたのだ。 「いいね! 皆にも話をしてみようよ」 蒼星石はその花火大会の話が気に入ったらしく、楽しそうに微笑んだ。 ”断られたらどうしよう”と少しだけ不安になっていた薔薇水晶だが、安心して自身も笑みを浮かべた。 「じゃあ今日の仕事が全部終わるまでに皆に話さないといけないね」 「うん……ちょっと大変だけど……」 「大丈夫だよ、ボクも真紅や翠星石達にも話すからさ」 「ありがとう……」 そして蒼星石は職員室を出て行った。授業がある為だ。 誰もいなくなった部屋の中で、薔薇水晶は一人椅子に座った。 「今日の5時間目は……私の授業……無いんだっけ……」 ぼうっと呆ける様に、椅子でじっとする。そのまま頭に花火の情景を思い浮かべていた。 と、突然扉が開く音がし、見ると真紅がドアの入り口にいる。彼女もこの時間は授業が無いのだろう。 ”チャンス”と薔薇水晶は真紅の傍まで駆け寄っていった。 「……あの、真紅……今日ね……」 ―――夜、学校の屋上。そこにはいつもの薔薇乙女フルメンバーが集合していた。 蒼星石の献身的な誘いと薔薇水晶の思いが実り、一つ空の下で彼女達は花火を待っているのだった。 「まだなのぉ? 早く見たいのにぃ」 「別に焦る事は無いわ、ゆっくり待ちましょう。それよりも……薔薇水晶?」 「………?」 薔薇水晶は小首を傾けながら、視線を夜空から真紅に移す。 見ると真紅は優しげに微笑んでいる。 「こんな素敵なイベントを教えてくれて、ありがとう」 突然の感謝の言葉―――薔薇水晶の顔が、紅くなった。 その刹那、響く爆音。 「お、おっきいの~!」 「蒼星石の言うとおりなのねぇ、本当に近いわぁ」 「凄く大きいですぅ!」 「ナイスよ薔薇水晶! まさに貴女の言ってた通りなのかしらー!」 夜空で、巨大な爆音と共に花火が空を彩っていた。 そして息つく暇も無く、今度は沢山の小さな花火達や複雑な形をした物まで、 見るものを飽きさせない―――否、飽きる事などありえない鮮やかなパレードが開幕していた。 「うにゅ~みたいに丸いのー!」 「チビ苺に言わせたら、世の中のものは全部それに例えられちまうですね……でも確かに凄い花火です!」 「でも確かに綺麗な形だね。ボクには想像出来ないくらい凄い職人技なんだろうなぁ」 彼女達が喚起の言葉を上げるのを花火は知ってか知らずか、更に美しい姿を夜空に描いていた。 「おおっ!皆さんご一緒で!」 暫し花火を堪能していると、突然そんな声が響く。 声のした方向を見ると、そこには両手に手提げ袋を持った白崎が立っていた。 「―――いたの?」 「あら、今日はそっちなのね」 「薔薇水晶先生にお呼ばれしたのですが……あー、リアクション薄いんだねー……」 雪華綺晶と真紅の素っ気無い言葉に白崎は苦笑する。 だがそのまま彼女達の元に到着すると、両手に持っていた手提げ袋から中身を取り出し始めた。 「お菓子とか飲み物とかいっぱい持ってきたわけで……ここは一つ、宴を」 「わーい! おっかしーなのー!」 「さっすが! こういう時はやるですね!」 白崎の言葉を遮って、雛苺と翠星石が手提げ袋の中身を物色し始めた。 ”あまり散らかさないように”と白崎が断りを入れつつ、皆にお菓子を配っていく。 「そういや、校長はどうしたです?」 「伝えようかと思いましたが、やめました。収拾つかなくなるので」 「確かにあのヤローが来たら五月蝿いだけですぅ」 「まぁでも多分どこかで見てますよ。気づかないはずは無いでしょうしね」 翠星石と白崎は溜息交じりで呟く。そしてその横でお菓子を持っていく金糸雀。 そのまま定位置に戻ろうとした彼女だが、ふと疑問に思ったことを尋ねてみた。 「今日はなんでウサギモードじゃないのかしらー?」 「ああ……それは……皆さんと同じように”人として楽しみたい”と思いましてねぇ」 金糸雀の疑問に、今度は溜息や苦笑ではない”本当の優しげな微笑”を浮かべて白崎は答えた。 「っと、それよりも皆さん早く見ないと勿体無いですよ! お菓子も良いですが主役は花火ですからね!」 そうやって談笑しながら彼女達は飲み物や食べ物を拝借し、また夜空に視線を戻してみる。 ―――空では相変わらず、美しい花々が咲き乱れていた。 fin

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