「蒼星石の変装」(2006/06/03 (土) 23:09:54) の最新版変更点
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「うぅ~、だりぃですぅ…」
「大丈夫?翠星石」
「大丈夫なわけねぇですぅ、うぅ~、今日は大事な会合の日なのに、ですぅ…」
ここは翠星石の家。
事の発端は、前日にさかのぼる。
「なんかだりぃですぅ…」
夜の職員室。
ここに居るのは二人の教師。
そのうちの一人、翠星石のうめき声がする。
「どうしたの?翠星石」
「頭が痛ぇうえに、体もだりぃですぅ…」
「う~ん…風邪かな」
そう言って蒼星石は、翠星石のおでこに手を当てる。
「熱は無いみたいだけど…」
「そんなことねぇですぅ…、何かの間違いですぅ…」
「う~ん…、何が原因なのかな…」
そう思案している間にも、翠星石のうめき声は絶えない。
「とりあえず、今日はここまでにして、家でゆっくり休んだ方が良いよ」
「そうさせてもらうですぅ…」
そう言って翠星石は立ち上がる。
だが、その足取りはとても安全とは思えないものであった。
「翠星石」
「…なんですかぁ」
「今日は家まで送っていくよ、そのまま自転車に乗ったら危ないし」
「…お言葉に甘えさせてもらうですぅ」
そして、蒼星石のバイクは、翠星石の家に向けて走り出した。
「ふぅ…、これだけしておけば大丈夫かな」
翠星石の家に着いた蒼星石は、氷嚢などの用意を終え、翠星石をベッドに寝かせた。
「じゃあ、明日の朝にはまた様子を見に来るよ」
「かたじけねぇですぅ…」
そう言って蒼星石は帰宅した。
遠ざかるバイクの鼓動を確認した翠星石は、おもむろにベッドから出る。
そして…
「蒼星石」
「どうしたの?」
「今日の会合…、蒼星石が代わりに行くです」
「……はい?」
「だから、蒼星石が代わりに行くです」
「でも、あれは本人じゃなきゃ…」
「変装すればいいですぅ」
「……へ?」
「この前の文化祭みたいに、蒼星石が変装するですぅ」
―この前の文化祭
その中に、蒼星石が翠星石に変装するという企画があった。
「ちょっとそれは無理があるんじゃないかなあ…」
「問題ねぇですぅ」
「でも、目の色とか、声とかは違うし…」
「そんな細けぇこと覚えてる奴なんかいやしねぇですぅ。さぁ、とっとと着替えるですぅ」
翠星石に促されるがままに、蒼星石は翠星石の服に着替えてゆく。
そして、”何故か”翠星石の部屋にあったカツラを被り、準備は終わった。
「はぁ…」
「うゆ?どうしたの?そうs、翠星石先生」
「なんでもないy、ねぇですぅ…」
今日の会合は、家庭科教師のなんたらかんたらとやらで、同じ家庭科教師の雛苺も来ている。
(チビ苺には絶対に教えては駄目ですよ、何しでかすかわかんねぇですから)
そう言われたものの、会った途端にばれてしまった。
とりあえず、雛苺に事情を説明した蒼星石は、雛苺と共に会場に入った。
「あら、有栖学園の翠星石先生に雛苺先生じゃないですか」
「お久しぶりですなの~」
「お久しぶりですぅ…」
「…声変わりました?」
「いやいやいや…、気のせいですよ…、ハハハ…」
「…?」
こういうときに限ってやたらと話しかけられたりする。
ばれないように適当に受け答えていくが、何人もの人に話しかけられると、落ち着いてはいられないものである。
「そんなことな…ねぇですよ」
「…?どうしました?」
「いや…、なんでもな、ねぇですよ」
「そうs、翠星石先生は何も問題ないの~」
見ているほうがひやひやする様な場面が何度も起こる。
が、奇跡的にも、蒼星石と雛苺はそれを上手く?ごまかし、なんとかピンチを切り抜けた。
そして、会合も終わり、蒼星石と雛苺は帰宅の徒についた。
「うゆ~、今日は何だか疲れたの~」
「僕も疲れたよ…、とりあえず翠星石のところに行って様子を見てこなきゃ…」
「うぃ、ヒナも行くの~」
「翠星石、調子はどう?」
「大丈夫~?翠星石先生~」
「だいぶよくなったです…って、なんでチビ苺がいるんですか」
「会った早々にばれちゃって…」
「会合は大丈夫だったんですか?」
「なんとか切り抜けたよ…」
「会合では何か言われなかったですか?」
「特に何も無かったけど…、どうしたの?」
「いや、なんでもねぇですぅ…」
「うゆ?これって…」
「どうしたの?雛苺先生」
「うっ…、それは…」
雛苺が発見したのは、コンビニのレシート。
そして、蒼星石はそのレシートを手にとって見た。
「○月×日22時24分…」
そこに書かれた日付は昨日のもの。
その時間は、蒼星石が帰って少し経った後のもの。
そして、ゴミ箱には真新しいビールの空き缶とつまみの袋。
「…これはどういうこと? 翠 星 石 」
「いや…その…それは…」
「 ど う い う こ と ? 」
「……」
「……」
無言の圧力が、翠星石に襲い掛かる。
「……」
「……実は…」
「実は?」
「実は翠星石は、会合に行きたくなかったんですぅ…」
「そんな事は分かるよ、そうじゃなくて何で?」
「この前のテストの事で何か言われると思ったんですぅ…」
「この前のテスト?」
「ヒナの作ったテストのこと~?」
「それですぅ、その事で何か言われると思って…」
「はぁ…、まったく君は……」
うなだれる翠星石。
それを、ただじっと見つめる蒼星石。
重たい空気に押されて、何も言えない雛苺。
沈黙が続く。
「……いいよ」
「…へ?」
「もういいよ、君も反省しているみたいだし。でも、次からはやめてね、すごく緊張したんだから」
「うぅ…、すまねぇですぅ…」
「気にするな、なの~」
「おめぇに言われたかねぇですぅ」
「う~」
(いきなり調子に乗っちゃうんだから、もう…)
そんな、いつもの様子を眺める蒼星石。
「ねえ、お腹も空いたし、ご飯食べに行こうよ」
「賛成ですぅ」
「うぃ~、花丸ハンバーグ食べたいの~」
「またそれですか、まったくチビ苺は…」
「翠星石先生だっていつも食べてるの~」
「おめぇと一緒にするなですぅ」
いつもの様子。
(やれやれ、仕方ないなあ…)
「もう、食べに行かないのー?」
「「行く(ですぅ)(の~)」」
「じゃあ、早く行こうよ」
変わらない日常。
「で、注文はどうするの?」
「「花丸ハンバーグ(ですぅ)(なの~)」」
幸せな、日常。
「うぅ~、だりぃですぅ…」
「大丈夫?翠星石」
「大丈夫なわけねぇですぅ、うぅ~、今日は大事な会合の日なのに、ですぅ…」
ここは翠星石の家。
事の発端は、前日にさかのぼる。
「なんかだりぃですぅ…」
夜の職員室。
ここに居るのは二人の教師。
そのうちの一人、翠星石のうめき声がする。
「どうしたの?翠星石」
「頭が痛ぇうえに、体もだりぃですぅ…」
「う~ん…風邪かな」
そう言って蒼星石は、翠星石のおでこに手を当てる。
「熱は無いみたいだけど…」
「そんなことねぇですぅ…、何かの間違いですぅ…」
「う~ん…、何が原因なのかな…」
そう思案している間にも、翠星石のうめき声は絶えない。
「とりあえず、今日はここまでにして、家でゆっくり休んだ方が良いよ」
「そうさせてもらうですぅ…」
そう言って翠星石は立ち上がる。
だが、その足取りはとても安全とは思えないものであった。
「翠星石」
「…なんですかぁ」
「今日は家まで送っていくよ、そのまま自転車に乗ったら危ないし」
「…お言葉に甘えさせてもらうですぅ」
そして、蒼星石のバイクは、翠星石の家に向けて走り出した。
「ふぅ…、これだけしておけば大丈夫かな」
翠星石の家に着いた蒼星石は、氷嚢などの用意を終え、翠星石をベッドに寝かせた。
「じゃあ、明日の朝にはまた様子を見に来るよ」
「かたじけねぇですぅ…」
そう言って蒼星石は帰宅した。
遠ざかるバイクの鼓動を確認した翠星石は、おもむろにベッドから出る。
そして…
「蒼星石」
「どうしたの?」
「今日の会合…、蒼星石が代わりに行くです」
「……はい?」
「だから、蒼星石が代わりに行くです」
「でも、あれは本人じゃなきゃ…」
「変装すればいいですぅ」
「……へ?」
「この前の文化祭みたいに、蒼星石が変装するですぅ」
―この前の文化祭
その中に、蒼星石が翠星石に変装するという企画があった。
「ちょっとそれは無理があるんじゃないかなあ…」
「問題ねぇですぅ」
「でも、目の色とか、声とかは違うし…」
「そんな細けぇこと覚えてる奴なんかいやしねぇですぅ。さぁ、とっとと着替えるですぅ」
翠星石に促されるがままに、蒼星石は翠星石の服に着替えてゆく。
そして、”何故か”翠星石の部屋にあったカツラを被り、準備は終わった。
「はぁ…」
「うゆ?どうしたの?そうs、翠星石先生」
「なんでもないy、ねぇですぅ…」
今日の会合は、家庭科教師のなんたらかんたらとやらで、同じ家庭科教師の雛苺も来ている。
(チビ苺には絶対に教えては駄目ですよ、何しでかすかわかんねぇですから)
そう言われたものの、会った途端にばれてしまった。
とりあえず、雛苺に事情を説明した蒼星石は、雛苺と共に会場に入った。
「あら、有栖学園の翠星石先生に雛苺先生じゃないですか」
「お久しぶりですなの~」
「お久しぶりですぅ…」
「…声変わりました?」
「いやいやいや…、気のせいですよ…、ハハハ…」
「…?」
こういうときに限ってやたらと話しかけられたりする。
ばれないように適当に受け答えていくが、何人もの人に話しかけられると、落ち着いてはいられないものである。
「そんなことな…ねぇですよ」
「…?どうしました?」
「いや…、なんでもな、ねぇですよ」
「そうs、翠星石先生は何も問題ないの~」
見ているほうがひやひやする様な場面が何度も起こる。
が、奇跡的にも、蒼星石と雛苺はそれを上手く?ごまかし、なんとかピンチを切り抜けた。
そして、会合も終わり、蒼星石と雛苺は帰宅の徒についた。
「うゆ~、今日は何だか疲れたの~」
「僕も疲れたよ…、とりあえず翠星石のところに行って様子を見てこなきゃ…」
「うぃ、ヒナも行くの~」
「翠星石、調子はどう?」
「大丈夫~?翠星石先生~」
「だいぶよくなったです…って、なんでチビ苺がいるんですか」
「会った早々にばれちゃって…」
「会合は大丈夫だったんですか?」
「なんとか切り抜けたよ…」
「会合では何か言われなかったですか?」
「特に何も無かったけど…、どうしたの?」
「いや、なんでもねぇですぅ…」
「うゆ?これって…」
「どうしたの?雛苺先生」
「うっ…、それは…」
雛苺が発見したのは、コンビニのレシート。
そして、蒼星石はそのレシートを手にとって見た。
「○月×日22時24分…」
そこに書かれた日付は昨日のもの。
その時間は、蒼星石が帰って少し経った後のもの。
そして、ゴミ箱には真新しいビールの空き缶とつまみの袋。
「…これはどういうこと? 翠 星 石 」
「いや…その…それは…」
「 ど う い う こ と ? 」
「……」
「……」
無言の圧力が、翠星石に襲い掛かる。
「……」
「……実は…」
「実は?」
「実は翠星石は、会合に行きたくなかったんですぅ…」
「そんな事は分かるよ、そうじゃなくて何で?」
「この前のテストの事で何か言われると思ったんですぅ…」
「この前のテスト?」
「ヒナの作ったテストのこと~?」
「それですぅ、その事で何か言われると思って…」
「はぁ…、まったく君は……」
うなだれる翠星石。
それを、ただじっと見つめる蒼星石。
重たい空気に押されて、何も言えない雛苺。
沈黙が続く。
「……いいよ」
「…へ?」
「もういいよ、君も反省しているみたいだし。でも、次からはやめてね、すごく緊張したんだから」
「うぅ…、すまねぇですぅ…」
「気にするな、なの~」
「おめぇに言われたかねぇですぅ」
「う~」
(いきなり調子に乗っちゃうんだから、もう…)
そんな、いつもの様子を眺める蒼星石。
「ねえ、お腹も空いたし、ご飯食べに行こうよ」
「賛成ですぅ」
「うぃ~、花丸ハンバーグ食べたいの~」
「またそれですか、まったくチビ苺は…」
「翠星石先生だっていつも食べてるの~」
「おめぇと一緒にするなですぅ」
いつもの様子。
(やれやれ、仕方ないなあ…)
「もう、食べに行かないのー?」
「「行く(ですぅ)(の~)」」
「じゃあ、早く行こうよ」
変わらない日常。
「で、注文はどうするの?」
「「花丸ハンバーグ(ですぅ)(なの~)」」
幸せな、日常。
後日談
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