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チラシの裏」(2006/05/08 (月) 19:03:17) の最新版変更点

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 今日は最悪であった  今更そんな事を嘆いても仕方ない  せめて忘れないように記憶に残しておこうと思う 5/7 日曜 雨  今日はゴールデンウィーク最終日、けど僕は明日からの中間試験対策の為に仕事に出続けていた  恐らくこのまま中間試験が終わるまで休みは取れないであろう、いや終わっても採点やらで休みはほとんど無いと思う  そんな事を考えてる最中職員室に一本の電話が鳴り響いた ”トゥルルルルルルルル” 規則正しい音が木霊する  その電話を手に取った真紅がいきなりこっちを向き僕を呼びつけた 真紅「蒼星石先生、ご両親から電話よ」  頭に”?”を浮かべる、仕事中は電話等しないように何度も言ってるのにどうしたんだろう?とその時は考えた 蒼星石「はい、もしも・・・・」 母「蒼星石!おじいさんが倒れたの、危ない状況だから今すぐに病院まで来なさい!」  こちらの応対が済む間もなく物凄い勢いで喋る母、いままでどんな事があろうと決して乱さなかった母が乱れている・・・  つまり、おじいさんの状況は”絶望的”だということだ  そして、電話でのやりとりを終えすぐにラプラス教頭にその旨を伝え学校から出る  その時金糸雀が車を出してあげようか?と聞いてきたがそれは彼女のクラスの生徒にも迷惑をかけることに繋がるので丁重に断った  恐らく、この時迷惑をかけていてでも乗っていればその後の事に関しては何とかなったと今更ながらに思う  金糸雀の車を断ったので仕事場から着替えてバスで病院に向かう  そのバス停から病院までは多少の距離がある為、降りてから走る事になったがそんなものは微々たる距離だった・・・  しかし、間の悪い事にそのバス停から病院までの間にある公園で不良らしき人物達が雨にも関わらず集まっていた  仕事の関係上こういうのには一言注意している僕はすかさず ”雨なんだし早めに帰りなよ~” と声をかけた・・・  だがこれが間違いであった・・・  この注意を聞いた不良らしき人物数人が僕を取り囲み何やら怒りをぶつけてくる  しかしこっちも病院に召集されている身の上早めに切り上げようと語尾をきつくしてしまう・・・  それを聞いていた相手はついに逆上し手を出してきた・・・  右手を自分の顔面に向け放つがそれは宙を舞うだけで終るはずだった・・・  だが一刻の猶予すら無い状況でこんな事に時間を割けないで相手から手出ししてきたのを良い事にその手を出してきた不良の右肩の間接を外した  こう見えても蒼星石は空手3段の有段者であり、手を出せばどうなるかも重々に知っていたが今は時間の方が惜しかった・・・ 蒼星石「これ以上僕と話し合いをしようとするならもう一人倒れてもらうよ」  そう言いながら学校の教師である事を示す手帳を出す、流石有栖学園の手帳・・・名のある教師ばかりが居る為か不良は渋々引いて行った  この時間・・・恐らく5分前後、貴重な時間をすり減らしてまで行った事だが仕方ないと思う  そして、目の前の病院に走りこみ受付カウンターで自分の祖父の病室を聞き病室へ向かい、病室のドアを開けながら侘びを言おうとして 蒼星石「おくれましt・・・・・」 親族「・・・・・・・・・」  その場の全員から白い目で見られた・・・  つまり、遅かったのだ・・・  後の話によれば1分ちょっと前に息を引き取ったらしい  そんな重い雰囲気の中親族の一人が口を開けた 親族「・・・なんで遅れたのですか?急げばそれほど時間はかからないでしょう?」  実際には普通に歩いてくればこの倍程度かかったであろう、つまりこれは僕に言い訳を言わせるための助け舟だった、だがその助け舟には乗れなかった 蒼星石「・・・・すみません、不良に絡まれ・・・相手をしていました」  この言葉を聞いた瞬間親族の見る目がより一層厳しいものとなり、ついに 親族1「そんな軽率な奴は出て行け!」 親族2「見損なった・・・もう来ないで!」 親族3「死ぬ間際にあんたに会いたいって言っていた人に申し訳が立つか!」  と、一斉に非難の嵐が飛んできた  言われるのは慣れている、仕事関係上多少言われても笑顔で居られる自信はあった・・・  だが、この時ばかりは俯いて病室を出た・・・  祖父の死に際にも立ち会えず、そのまま病院を後にする・・・  外は雨が激しくなってきて傘をさす人が目立つようになっていたが傘はささなかった・・・  そのままバスに乗ることもしないで雨の中真っ白な頭で家に向かう、途中の公園ではさっきの不良たちは居なかった  1時間半ぐらいして自宅に到着、全身ずぶ濡れだけどそんなの構わなかった・・・  そしてテーブルに座り心をやっと落ち着かせようとした時、家の電話が鳴り響いた 蒼星石「はい、蒼星石です」 ラプラス「いま電話してても平気かい?」  相手は教頭、そしてその声には怒りが含まれていた、それが何故だろう?と思いながら”はい、大丈夫です”と答えた瞬間驚きの内容が来た ラプラス「君・・・病院行くのになんで喧嘩なんてしたんだ?しかも相手怪我したそうじゃないか」  そう、つまりさっきの不良の連中の事であった・・・ ラプラス「もうPTAの方には報告してあるから、その処罰を待っていなさい・・・ガチャッ」  そしてこちらの言い分も何も聞かないうちに電話を切られた  つまり、相手を怪我させたからにはクビか運が良くて減給だろう・・・  しかし、減給とクビは蒼星石には同じ意味であった・・・  父親が働いてない上に妹が大学に行くためにそのお金を稼がなければならないのに減給を受ければ間違いなく辞任を書くことになるからだ  つまり、教職を奪われたという事になる  その瞬間、全てが音を立てて崩れた・・・  今までの努力や己の義だけではどうしようもなかった・・・  誰も居ない部屋で雨にぬれた服で何時間も泣き喚いた、誰に言うのも悔しくて辛くて誰にも言えなかった  その感情をぶちまけないと自分が潰れるとも思ったが出来なかった・・・  そしてその日は知らずの内に幕を閉じた・・・
 今日は最悪であった  今更そんな事を嘆いても仕方ない  せめて忘れないように記憶に残しておこうと思う

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