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お金の価値、人の価値」(2006/05/07 (日) 01:10:21) の最新版変更点

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>お題 『かっこいい蒼い子』 真紅「…あと、今日は薔薇水晶が風邪でお休みだから、担当の方はしっかり自習時間の監督をして頂戴。…以上で今日の会議は終わりだけど、他に何かある人はいるかしら?」 ある日の朝、職員室ではいつもの定例会議が行われていた。 今日予定されていた議題を片付け、他に議題は無いかと皆を見回す真紅。その時、同僚の蒼星石がすっと手を上げた。 真紅「何?蒼星石。」 蒼星石「はい。最近、雨が多いですが、それに伴って傘の盗難が非常に増えています。昨日もうちのAという生徒が傘を盗まれ、そのせいで今日風邪で学校を休むとの連絡がありました。このように、自分さえよければいいという考えが、ひいては他人を傷つけることに…」 この蒼星石の発言に、ある者はメモをを取り、ある者はうなずいたりして真剣に話を聞いていた。 しかし、ある者はそんな事お構いなしに、こっくりこっくりと舟をこいでいた。 それをキッと睨むと、蒼星石はその教師に向かってこう言った。 蒼星石「…とにかく、こういう事は絶対にしてはいけないことなので、今後一切そういうことはしないように徹底してもらいたいと思います。…君に言ってるんだよ!?水銀燈…!!」 その言葉に、皆の視線は一斉に水銀燈の方へ向けられた。 対する水銀燈はというと、何故自分が怒られたのか分からないといった様子で、ゆっくりと顔を上げこう返答した。 水銀燈「…何よ。それじゃ、まるで私が犯人みたいな言い方じゃない…。一体何の証拠があって…。」 蒼星石「とぼけないで!昨日君は傘を持ってこなかったよね?でも、昨日駐車場に向かうときには何故か傘をさしていたそうじゃないか…!それも、A君の持ってた傘にそっくりなやつを…!!これはどういうことだい!?」 それを聞いた水銀燈は慌てるわけでもなく、むしろ落ち着いた様子でこう言った。 水銀燈「…なーんだ。ばれちゃってるのねぇ…。でもよーく考えて御覧なさい?生徒1人と教師1人が風邪を引くのでは、どっちが影響あると思う?だから、あれは仕方の無いことだわぁ…。いうなれば、『緊急避難』ね…。」 蒼星石「き…君は自分のしてることが分かってるの!?本来なら、A君に謝罪するのが正しいところなのに、それを正当化して…そんなの…」 水銀燈「はいはい、分かった。分かったわよぉ…」 そう言うと水銀燈は議論を中断させ、ポケットから何かを取り出し、その中にあるものを蒼星石に握らせた。 水銀燈「えーっと…はい。確かに渡したわよぉ?じゃ、後よろしくねぇ…。」 水銀燈が渡したもの、それは紛れもなくお金…。 そう言ってその場を立ち去ろうとする水銀燈に、蒼星石は怒りを抑えつつ、声を震わせてこう言った。 蒼星石「…一体、何のつもり?」 水銀燈「…何って、傘の代金と見舞金よぉ。2万もあれば足りるでしょう?それに、あなたのクラスの子なんだから、あなたに渡してもらえば手間が省けるじゃなぁい。」 蒼星石「そういう問題じゃないだろ!今、君がしようとした事…それはA君を馬鹿にした行為じゃないか!!」 いつもは物静かな蒼星石も、今回ばかりは我慢の限界だった。 皆もその雰囲気に圧倒され、仲裁もままならない。 しかし、当の水銀燈本人はあきれた様子でこう返答した。 水銀燈「…また、お得意の理想論?夢見るのは自由だけど、そろそろ現実に目を向ければぁ?そのA君って子だって、風邪引いてお金が貰えるならラッキーだと思うんじゃない?」 蒼星石「そんな訳無いだろ!!さっきから君は、お金お金って…!そんなにお金が大事か!?」 水銀燈「当たり前じゃない。いい?お金があればなんだって買えるのよ?地位や名誉…そして、人の心でさえもね…!」 その言葉に深くため息をつくと、蒼星石は呆れたようにこう言った。 蒼星石「…本気でそう思ってるのかい?じゃあ、君はそのお金で何を手に入れた?去年まで、君はどんな人生を送ってた!?薔薇水晶に怒られて、色んな物…例えばランボルギーニとかを取り上げられたにもかかわらず、去年より笑う回数が多くなった気がするのはどうして?」 水銀燈「そ…それは…」 答えられなかった…。いや、答えたくなかった。 『薔薇水晶に出会ってから、学校が楽しいと感じるようになったから…』だなんて… そんな様子を見て、蒼星石はどこか安心したように微笑むと、こんな言葉を投げかけた。 蒼星石「…それに、さっき君が言ってた方法で本当にA君が納得すると思う?多分、君が言ってたように『ラッキーだ』としか思わないんじゃない?それよりも、君が一言謝ってくれたほうが、ずっと気が晴れると思うけどな…」 水銀燈「う…でも、頭下げるの…?この私が…!?高校生ごときに…!?」 そんな事を10分ほど考えた末に、不意に彼女はこう言った。 「…手紙じゃ、駄目なの…?」 と。 それを仕方なく了承すると、蒼星石は時間を確認し、自身の受け持つクラスへと急いだ。 途中、すれ違う女子生徒たちに「朝から何でそんな嬉しそうな顔してるんですか?彼氏でも出来たんですか?」と茶化されながら…。 完
>お題 『かっこいい蒼い子』 真紅「…あと、今日は薔薇水晶が風邪でお休みだから、担当の方はしっかり自習時間の監督をして頂戴。…以上で今日の会議は終わりだけど、他に何かある人はいるかしら?」 ある日の朝、職員室ではいつもの定例会議が行われていた。 今日予定されていた議題を片付け、他に議題は無いかと皆を見回す真紅。その時、同僚の蒼星石がすっと手を上げた。 真紅「何?蒼星石。」 蒼星石「はい。最近、雨が多いですが、それに伴って傘の盗難が非常に増えています。昨日もうちのAという生徒が傘を盗まれ、そのせいで今日風邪で学校を休むとの連絡がありました。このように、自分さえよければいいという考えが、ひいては他人を傷つけることに…」 この蒼星石の発言に、ある者はメモをを取り、ある者はうなずいたりして真剣に話を聞いていた。 しかし、ある者はそんな事お構いなしに、こっくりこっくりと舟をこいでいた。 それをキッと睨むと、蒼星石はその教師に向かってこう言った。 蒼星石「…とにかく、こういう事は絶対にしてはいけないことなので、今後一切そういうことはしないように徹底してもらいたいと思います。…君に言ってるんだよ!?水銀燈…!!」 その言葉に、皆の視線は一斉に水銀燈の方へ向けられた。 対する水銀燈はというと、何故自分が怒られたのか分からないといった様子で、ゆっくりと顔を上げこう返答した。 水銀燈「…何よ。それじゃ、まるで私が犯人みたいな言い方じゃない…。一体何の証拠があって…。」 蒼星石「とぼけないで!昨日、君は傘を持ってこなかったよね?でも、帰りに駐車場に向かうときには何故か傘をさしていたそうじゃないか…!それも、A君の持ってた傘にそっくりなやつを…!!これはどういうことだい!?」 それを聞いた水銀燈は慌てるわけでもなく、むしろ落ち着いた様子でこう言った。 水銀燈「…なーんだ。ばれちゃってるのねぇ…。でもよーく考えて御覧なさい?生徒1人と教師1人が風邪を引くのでは、どっちが影響あると思う?だから、あれは仕方の無いことだわぁ…。いうなれば、『緊急避難』ね…。」 蒼星石「き…君は自分のしてることが分かってるの!?本来なら、A君に謝罪するのが正しいところなのに、それを正当化して…そんなの…」 水銀燈「はいはい、分かった。分かったわよぉ…」 そう言うと水銀燈は議論を中断させ、ポケットから何かを取り出し、その中にあるものを蒼星石に握らせた。 水銀燈「えーっと…はい。確かに渡したわよぉ?じゃ、後よろしくねぇ…。」 水銀燈が渡したもの、それは紛れもなくお金…。 そう言ってその場を立ち去ろうとする水銀燈に、蒼星石は怒りを抑えつつ、声を震わせてこう言った。 蒼星石「…一体、何のつもり?」 水銀燈「…何って、傘の代金と見舞金よぉ。2万もあれば足りるでしょう?それに、あなたのクラスの子なんだから、あなたに渡してもらえば手間が省けるじゃなぁい。」 蒼星石「そういう問題じゃないだろ!今、君がしようとした事…それはA君を馬鹿にした行為じゃないか!!」 いつもは物静かな蒼星石も、今回ばかりは我慢の限界だった。 皆もその雰囲気に圧倒され、仲裁もままならない。 しかし、当の水銀燈本人はあきれた様子でこう返答した。 水銀燈「…また、お得意の理想論?夢見るのは自由だけど、そろそろ現実に目を向ければぁ?そのA君って子だって、風邪引いてお金が貰えるならラッキーだと思うんじゃない?」 蒼星石「そんな訳無いだろ!!さっきから君は、お金お金って…!そんなにお金が大事か!?」 水銀燈「当たり前じゃない。いい?お金があればなんだって買えるのよ?地位や名誉…そして、人の心でさえもね…!」 その言葉に深くため息をつくと、蒼星石は呆れたようにこう言った。 蒼星石「…本気でそう思ってるのかい?じゃあ、君はそのお金で何を手に入れた?去年まで、君はどんな人生を送ってた!?薔薇水晶に怒られて、色んな物…例えばランボルギーニとかを取り上げられたにもかかわらず、去年より笑う回数が多くなった気がするのはどうして?」 水銀燈「そ…それは…」 答えられなかった…。いや、答えたくなかった。 『薔薇水晶に出会ってから、学校が楽しいと感じるようになったから…』だなんて… そんな様子を見て、蒼星石はどこか安心したように微笑むと、こんな言葉を投げかけた。 蒼星石「…それに、さっき君が言ってた方法で本当にA君が納得すると思う?多分、君が言ってたように『ラッキーだ』としか思わないんじゃない?それよりも、君が一言謝ってくれたほうが、ずっと気が晴れると思うけどな…」 水銀燈「う…でも、頭下げるの…?この私が…!?高校生ごときに…!?」 そんな事を10分ほど考えた末に、不意に彼女はこう言った。 「…手紙じゃ、駄目なの…?」 と。 それを仕方なく了承すると、蒼星石は時間を確認し、自身の受け持つクラスへと急いだ。 途中、すれ違う女子生徒たちに「朝から何でそんな嬉しそうな顔してるんですか?彼氏でも出来たんですか?」と茶化されながら…。 完

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