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有栖学園に一つの恋愛が生まれようとしていた11話」(2006/04/09 (日) 01:38:40) の最新版変更点

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目が覚めた。気が付くと、そこは知らない部屋だった。 窓一つ無い白い壁と機械類だけの殺風景な部屋。自分が寝ている中央のベッドは床に固定されている。 部屋の隅には鉄扉があった。 「・・・・・・ここは・・・どこだ?」 起き上がってみる。何処なんだろう・・・ここは・・・ そして、あることに気が付いた。いや、気が付いたという表現で正しいのだろうか。 「俺は・・・・・・誰だ・・・?」 自分が誰なのか分からない。どんな出来事が今まであったのかすら忘れている。 記憶が、真っ白だ。 これが記憶喪失・・・?いや、それ以前に、自分が存在したのかすら分からない。 とりあえず、部屋から外に出ようと思いドアノブを掴み扉を開こうとした。 開かない。鍵が掛かっているのだろうか・・・窓も無い鉄扉は開きそうに無かった。 ガコンッ 1時間ほど経っただろうか・・・突然、天井にあった通風孔の蓋が開く。人が降りてきた。 「・・・もう目を覚ましていたか・・・」 誰だろう・・・ 「・・・ここでゆっくり話してる暇は無い。一緒に来い!」 自分の手を掴む。 「君は・・・誰?ここは何処?俺は・・・」 「俺は龍。ここは有栖川大学病院。君は・・・悪いが俺も名前は知らない。詳しい事は後で話す。」 素直についていく事にした。自分が誰なのか、分かる気がしたから。 通風孔に上る。この病院の外へ・・・脱出した。 ---- 「さてと、ここかな。」 とある廃ビルの中。サイはジェラルミンケースを開けた。 ライフルを組み立て始める。スナイパーライフルDSR-1を組み立て始める。 ドイツの銃器メーカーAMPが軍・警察向けの精密射撃用に開発したスナイパーライフルだ。 「情報は正しかったかな・・・」 ---- 「龍、よくやったわぁ♪」 「これで、またこっちの陣営には強化人間が一人・・・戦力強化ですね。」 龍が綺麗な女の人と話している。龍がさっき話してた。自分達のリーダーの水銀燈先生だな。 「強化人間ね。これからよろしくねぇ♪」 水銀燈先生と握手した。綺麗な手をしているなぁ・・・ 強化人間ってなんだろう・・・? 「君にはこれから、水銀燈先生を守る役目を任せますよ。」 女の子が横から話しかけてくる。めぐって言ってたっけな。 ---- 「まだかな・・・」 DSR-1の組み立ても終わった。彼もまた射撃部の一員だ。 そのときを、ただひたすら待つ。 数十分後、何人かの人影が遠くの道を通っていくのが見えた。 「・・・・・・・・来た。」 ボルトアクションでライフルに弾を込める。実弾だ。そして、スコープを覗き込む。 ---- 自分達は学校に向かった。どうやら自分はそこに転校するらしい。 「これであの射撃部にも対抗できるわねぇ・・・」 そう呟きながら水銀燈先生は歩いていた。銀色の髪を靡かせながら。 そのとき、パシュっという何か軽い音が聞こえた。 役目は、水銀燈を守る事。そう言われた。 守らなきゃ。守らなきゃな。 次の瞬間、水銀燈の側頭部に裏拳が直撃した。 「・・・痛あい!!何よぉ!」 「お、お前!!!」 後ろを歩いていためぐがナイフを構える。 「役目は・・・水銀燈を守る事・・・」 「・・・錯乱し始めたか?!」 錯乱なんかしていない。俺は、水銀燈を守っただけだ。 「銃弾が飛んできたから受け止めただけです。」 手には、金色に光る銃弾が握りこまれていた。 ---- 「・・・あれは・・・?!銃弾を掴み取った?!」 スコープを覗きこみながらそう呟いた。 「・・・もう一人強化人間が加わったか・・・こっちの強化人間にも頑張って欲しいもんだな・・・」 ---- 「・・・流石は強化人間ね・・・」 自分は今銃弾を掴み取った。自分でも驚いていた。なんでこんな芸当ができたんだろう、と。 「強化人間って、なんですか?」 「体に特殊な処置を施して身体を強化した人間よ。あなたの場合は、防御力を強化したタイプみたいね・・・」 そうなのか、自分はそんな人間だったのか。 「私も、強化人間なんですよ。」 めぐもそうなのか。話を聞くと、めぐは再生能力を高めた人間らしい。 「強化人間は非常に大きな戦力になります。射撃部に対しての戦力ですね。」 「残念ながら、敵陣営にも強化人間は居るわぁ・・・特にあいつ・・・冗談じゃないくらいに強いから気を付けてねぇ。」 なるほど、だからあの病院に自分は居たわけか。あそこで処置を受け、強化人間になったのか。 この人たちは何か教えてくれるかもしれない。 「あなた、名前は?」 「・・・分かりません。」 そう、答えた。記憶を失っていたのだ。 「そう、じゃあ呼ぶとき困るからあなたが決めて頂戴。」 ・・・自分の名前。分かるまでは違う名前は付けたくない。自分の正体が分かるまでは・・・ 「・・・・・・・・・名無しでいいですよ。」

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