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昔の水銀燈と薔薇水晶  その3」(2006/04/19 (水) 23:57:33) の最新版変更点

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女子A「せ、先生!助けて!!あの人、絶対おかしいよ!!」 そう、それは薔薇水晶が教師になってから数日後の事、1人の生徒がそう言って、いきなり薔薇水晶に抱きついてきた。 薔薇水晶「お…落ち着いて…。一体何があったの…?」 女子A「す…水銀燈先生が…」 聞けば、水銀燈に授業態度の事で注意されたのを適当に聞いていたら、いきなり顔をつかまれ、吸っていたタバコを押し付けられそうになったらしい。 とりあえず事情を確かめなくてはと、薔薇水晶は水銀燈の元を訪れ、質問した。 薔薇水晶「水銀燈さん…何であんな事したんですか!?」 水銀燈「何でって…生意気だったんだもぉん。」 事も無げにそう語る水銀燈に、薔薇水晶は返す言葉が見つからなかった。 「はぁ…」と職員室に帰り、ため息をつく薔薇水晶。そこへ、同僚の真紅が声をかけてきた。 真紅「どうしたの?何か悩みでもあるの?」 薔薇水晶「はい…実は…。」 そう言って、薔薇水晶は今までの経緯を説明した。 真紅「そう…。あの子は、まだそんな事をしているのね…。」 薔薇水晶「まだ…って事は前にも…?」 真紅「ええ…。最近はそうでもなかったんだけど、去年私たちと一緒に、この学校に来た時は酷かったわよ…。そういえば、あなたと水銀燈って同じ学校出身だったって知ってる?」 薔薇水晶「えっ…。そうだったんですか…?」 そう言われて、薔薇水晶は記憶の糸を手繰り寄せた。 確かに、あの学校には凄く綺麗な銀髪の少女がいた。学校行事等で、何度か話したこともあったはず…。 しかし、それがまさか水銀燈だったとは…。 真紅「…まあ、マンモス校だったから、無理もないわね…。ちなみに、私や金糸雀、翠星石、蒼星石、雛苺も同じ学校よ。…まあ、それはいいとして…」 そう言うと、真紅はこんな話をし始めた。 真紅「…あの子ね。昔、いじめにあっていたのよ…。元々、人間不信なところはあったんだけど、そのせいでさらに悪化しちゃって…」 知っている人もいるかもしれないが、男子に比べ女子のいじめは大規模かつ巧妙である。 そして、水銀燈自身もかなり執拗かつ狡猾ないじめを経験したらしい。 真紅「…もちろん、私も何度か声をかけたわ。でも、結局はダメだった…。そして、彼女は選択したの。誰にも頼らず生きること、そして全ての者を屈服させるだけの力を得ることを…。」 薔薇水晶「…そ、そんな…。」 真紅「だからこそ、敵対するものには容赦なく接するのかもね…」 そこまで聞いたとき、薔薇水晶は急いで水銀燈の所へと戻っていった。 確かに、いじめが彼女の心に大きな傷を負わせたのは間違いない。 でも、彼女がやっている事は絶対に間違っている…! そして、それは彼女自身の幸せをも潰してしまっている…!! ならば、私がそれを解決する手助けに…と薔薇水晶は走りながら考えていた。 水銀燈「…で、話ってなぁに?」 せっかくの、昼休みの優雅なひと時を邪魔され、少々不機嫌な水銀燈。 そんな水銀燈に対し、薔薇水晶は勇気を振り絞ってこう言った。 薔薇水晶「…水銀燈さん!私と友達になってください!!」 水銀燈「…は?」 あまりのことに、ただ呆然とする水銀燈。急いで、薔薇水晶が事情を説明する。 薔薇水晶「…というわけで、私は水銀燈さんと仲良くなりたいんです! 水銀燈さんは、いつも必要最低限のことしか話してくれなかったから、言い出せなかったけど…本当は学校に来た時から友達になりたいなって思ってて…。 で、今日はそのいい機会だと思って…」 水銀燈「…また余計なことを…。いい?そんなの関係なく、私は自分の好きなようにやるのが好きなの。だから別に…」 薔薇水晶「でも…。あっ…もし嫌いになったら、途中で言ってくれればいいし…だから…」 水銀燈「…分かったわよぉ…。でも、少しは私のために働いてもらうわよ。私、朝起きるの苦手だから、毎朝起こしてくれなぁい?」 薔薇水晶「…えっ?」 その返答に、水銀燈の目つきが鋭くなった。 水銀燈「…嫌なの?」 薔薇水晶「ううん、早速頼ってくれたのが嬉しくて…。あ…せっかくだから、何かニックネームみたいなの…付けていいかな?『水銀燈さん』じゃあ…何か…ほら…。」 水銀燈「…好きにすれば?」 薔薇水晶「じゃあ…えっと、『銀ちゃん』でいい?」 水銀燈「…バカじゃない?やぁよ、そんなの。」 薔薇水晶「…でも…。」 水銀燈「分かったわよ…もう。…好きにしなさい…」 半ば諦めた様子で、そう言う水銀燈。 こうして、薔薇水晶にとって水銀燈は『銀ちゃん』として良き親友となった。 一方の水銀燈はといえば、「…あの時、変な約束を付け加えるんじゃなかった…。」と毎朝ぼやいてはいるが、1度も薔薇水晶のことを『嫌い』と言うことはなかった。 そんな事を、何も知らない今の1年生は決まってこう言う。 「水銀燈先生って、サボってばっかりだけど、優しくていい先生だよね。」 と。 完 関連する物語:[[昔の水銀燈と薔薇水晶]]・[[昔の水銀燈と薔薇水晶  その2]]
女子A「せ、先生!助けて!!あの人、絶対おかしいよ!!」 そう、それは薔薇水晶が教師になってから数日後の事、1人の生徒がそう言って、いきなり薔薇水晶に抱きついてきた。 薔薇水晶「お…落ち着いて…。一体何があったの…?」 女子A「す…水銀燈先生が…」 聞けば、水銀燈に授業態度の事で注意されたのを適当に聞いていたら、いきなり顔をつかまれ、吸っていたタバコを押し付けられそうになったらしい。 とりあえず事情を確かめなくてはと、薔薇水晶は水銀燈の元を訪れ、質問した。 薔薇水晶「水銀燈さん…何であんな事したんですか!?」 水銀燈「何でって…生意気だったんだもぉん。」 事も無げにそう語る水銀燈に、薔薇水晶は返す言葉が見つからなかった。 「はぁ…」と職員室に帰り、ため息をつく薔薇水晶。そこへ、同僚の真紅が声をかけてきた。 真紅「どうしたの?何か悩みでもあるの?」 薔薇水晶「はい…実は…。」 そう言って、薔薇水晶は今までの経緯を説明した。 真紅「そう…。あの子は、まだそんな事をしているのね…。」 薔薇水晶「まだ…って事は前にも…?」 真紅「ええ…。最近はそうでもなかったんだけど、去年私たちと一緒に、この学校に来た時は酷かったわよ…。そういえば、あなたと水銀燈って同じ学校出身だったって知ってる?」 薔薇水晶「えっ…。そうだったんですか…?」 そう言われて、薔薇水晶は記憶の糸を手繰り寄せた。 確かに、あの学校には凄く綺麗な銀髪の少女がいた。学校行事等で、何度か話したこともあったはず…。 しかし、それがまさか水銀燈だったとは…。 真紅「…まあ、マンモス校だったから、無理もないわね…。ちなみに、私や金糸雀、翠星石、蒼星石、雛苺も同じ学校よ。…まあ、それはいいとして…」 そう言うと、真紅はこんな話をし始めた。 真紅「…あの子ね。昔、いじめにあっていたのよ…。元々、人間不信なところはあったんだけど、そのせいでさらに悪化しちゃって…」 知っている人もいるかもしれないが、男子に比べ女子のいじめは大規模かつ巧妙である。 そして、水銀燈自身もかなり執拗かつ狡猾ないじめを経験したらしい。 真紅「…もちろん、私も何度か声をかけたわ。でも、結局はダメだった…。そして、彼女は選択したの。誰にも頼らず生きること、そして全ての者を屈服させるだけの力を得ることを…。」 薔薇水晶「…そ、そんな…。」 真紅「だからこそ、敵対するものには容赦なく接するのかもね…」 そこまで聞いたとき、薔薇水晶は急いで水銀燈の所へと戻っていった。 確かに、いじめが彼女の心に大きな傷を負わせたのは間違いない。 でも、彼女がやっている事は絶対に間違っている…! そして、それは彼女自身の幸せをも潰してしまっている…!! ならば、私がそれを解決する手助けに…と薔薇水晶は走りながら考えていた。 水銀燈「…で、話ってなぁに?」 せっかくの、昼休みの優雅なひと時を邪魔され、少々不機嫌な水銀燈。 そんな水銀燈に対し、薔薇水晶は勇気を振り絞ってこう言った。 薔薇水晶「…水銀燈さん!私と友達になってください!!」 水銀燈「…は?」 あまりのことに、ただ呆然とする水銀燈。急いで、薔薇水晶が事情を説明する。 薔薇水晶「…というわけで、私は水銀燈さんと仲良くなりたいんです! 水銀燈さんは、いつも必要最低限のことしか話してくれなかったから、言い出せなかったけど…本当は学校に来た時から友達になりたいなって思ってて…。 で、今日はそのいい機会だと思って…」 水銀燈「…また余計なことを…。いい?そんなの関係なく、私は自分の好きなようにやるのが好きなの。だから別に…」 薔薇水晶「でも…。あっ…もし嫌いになったら、途中で言ってくれればいいし…だから…」 水銀燈「…分かったわよぉ…。でも、少しは私のために働いてもらうわよ。私、朝起きるの苦手だから、毎朝起こしてくれなぁい?」 薔薇水晶「…えっ?」 その返答に、水銀燈の目つきが鋭くなった。 水銀燈「…嫌なの?」 薔薇水晶「ううん、早速頼ってくれたのが嬉しくて…。あ…せっかくだから、何かニックネームみたいなの…付けていいかな?『水銀燈さん』じゃあ…何か…ほら…。」 水銀燈「…好きにすれば?」 薔薇水晶「じゃあ…えっと、『銀ちゃん』でいい?」 水銀燈「…バカじゃない?やぁよ、そんなの。」 薔薇水晶「…でも…。」 水銀燈「分かったわよ…もう。…好きにしなさい…」 半ば諦めた様子で、そう言う水銀燈。 こうして、薔薇水晶にとって水銀燈は『銀ちゃん』として良き親友となった。 一方の水銀燈はといえば、「…あの時、変な約束を付け加えるんじゃなかった…。」と毎朝ぼやいてはいるが、1度も薔薇水晶のことを『嫌い』と言うことはなかった。 そんな事を、何も知らない今の1年生は決まってこう言う。 「水銀燈先生って、サボってばっかりだけど、優しくていい先生だよね。」 と。 完 関連する物語 [[昔の水銀燈と薔薇水晶]] [[昔の水銀燈と薔薇水晶  その2]] [[翼の折れた天使]]  

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