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意地とプライド」(2006/04/30 (日) 07:00:26) の最新版変更点

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蒼星石「一本!それまで!!」 この日、蒼星石は水銀燈に『体育の授業で剣道をやるから、生徒たちに見本を見せてやってくれ』と頼まれていた。 しかし、気がつけば授業の全てを蒼星石が担当する羽目になっていた。当の水銀燈はといえば、隅のほうでコックリコックリと、気持ちよさそうに船をこいでいる。 蒼星石「…水銀燈!君はこんなことをするために、僕を呼んだのかい!?」 水銀燈「!?…なによぉ…せっかくいい気持ちで寝てたのに…。いいじゃなぁい、あなた剣道部の顧問なんだからぁ…。」 「そう言うことじゃなくて…」と蒼星石が反論しようとした時、ある生徒がヒソヒソとこんな話をしだした。 男子A「…なあ、水銀燈先生と蒼星石先生が試合したら、どっちが勝つと思う?」 その問いに、すぐに反応したのはある1人の男子生徒だった。 男子B「絶対銀様だろ!!銀様の運動神経は凄いんだぜ!!」 すかさず1人の女子生徒が反論する。 女子C「はぁ!?蒼星石先生は、剣道部の顧問なのよ!?何言ってるの!?」 白熱する2人の議論。一方の教師たちはといえば、さめた様子でそれを見つめるだけだった。 蒼星石「ははは…どうしよう、困ったな…。」 水銀燈「勝手に言わせておけばいいのよぉ…。面倒くさい。」 だが、蒼星石の心配をよそに、議論はさらに白熱する。 男子B「いや!それでも、銀様が勝つ!だって、あの銀様だぜ!?」 女子C「何よ!銀様銀様って!!蒼星石先生が負けるわけ無いじゃない!だって、昔は水銀燈先生って怖いイメージあったけど、今じゃ薔薇水晶先生や真紅先生にいいように扱われて…」 その言葉に、水銀燈はワナワナと手を震わせる。 この子は今、何を言ったの?この私が、あの蒼星石や薔薇水晶、それに真紅ごときに劣るですって…? 事の重大さに気がついた蒼星石は、すぐに水銀燈をフォローしようとする。 が、その手を払いのけ、水銀燈は静かにこう言った。 水銀燈「…蒼星石、今すぐ私と勝負しなさい。」 その目は、完全に以前の恐ろしい水銀燈の目へと戻っていた。 その後、蒼星石や他の生徒がどんなに説得しようとも、水銀燈は考えを改めることはなかった。 なんてことを言ってしまったんだろう…と、当の女子生徒は頭を抱える。 でも、憧れの蒼星石先生ならきっと…そんな幻想にも似た思いを抱いていた。 しかし、当の蒼星石の表情は、緊張で強張っていた。 自身のプライドを傷つけられたとあっては、水銀燈はおそらく本気で向かってくるだろう…。それに、仮に勝ったとしても… 蒼星石「…巴君、審判のほうやってもらえるかな?」 半ば諦めたように、巴に審判をお願いし試合場へと向かう蒼星石。 蒼星石「水銀燈、やるのなら早く防具を…」 水銀燈「いらないわぁ…。だって、そんな臭いの付けてられないものぉ…。」 蒼星石「で、でも…」 水銀燈「それに…私が負けるなんて、まずありえないわぁ…。」 その言葉に、思わず竹刀を握り直す蒼星石。そんな蒼星石を、水銀燈は手招きしながらこう言った。 「さあ…ゲームをはじめましょう…。」と。 巴「始め!」 その合図と共に、全力で蒼星石に切りかかる水銀燈。それを切り替えし、反撃に転じる蒼星石。 両者の、一進一退の息もつかせぬ攻防戦は、見る者を魅了した。 両者に対し、生徒たちは惜しみない声援を送る。しかし、均衡は一瞬にして破られた。 水銀燈「…ふぅん。ま、確かに少しはやる様だけどぉ…所詮、おままごとなのよねぇ…。」 蒼星石「…それはどういう意味…」 蒼星石の言葉を遮るように、水銀燈は蒼星石の顔に向けて鋭い突きを繰り出した。 それを間一髪でかわし、尻餅をつく蒼星石。 が、あまりのことに、もはや足がすくんで立てないでいる。 蒼星石「あわわわわわ…」 水銀燈「あらぁ…残念。せっかく、もっと可愛い顔にしてあげようと思ったのに…」 「止め!!」と、慌てて巴が2人の間に割って入り、水銀燈に注意を促す。 巴「先生!これは反則です!!」 水銀燈「反則?なぁに、それ?本当の戦いで、そんなのが通用すると思ってるのぉ?だから、おままごとだって言ってるのよぉ…。」 そう言って、水銀燈はもう1度竹刀を構えた。 巴「な、何を!?」 水銀燈「決まってるでしょう?最低でも、気絶するまでやらなきゃ勝ったことにならないものぉ…。邪魔をするなら、あなたも同じ目にあわせてあげるわぁ…」 その時、武道場に1人の生徒の悲鳴がこだました。 水銀燈が、その悲鳴の先に目を向けると、そこには先ほど自分に対して暴言を吐いた生徒がいた。 その生徒の下に近寄ると、水銀燈は優しく声をかけた。 水銀燈「そういえばあなた…さっき、私に面白いことを言ってくれたわよね?」 女子C「い、いや…それは、その…」 水銀燈「ふふふ…ありがとぉ。あなたのおかげで、大切な事を思い出したわぁ…。」 女子C「へ?」 水銀燈「そうよねぇ…。いつまでもやられっ放しなんて、私らしくないわよねぇ…。」 その時、事態を重く見た1人の生徒が、薔薇水晶と雪華綺晶を連れて戻ってきた。 この2人なら、きっと上手く水銀燈の怒りを鎮めてくれる…そう思ったに違いない。 しかし、事態はそんなに簡単に収拾できるほど甘くはなかった。 水銀燈「まぁ…探す手間が省けたわぁ♪さぁ、どっちが相手をしてくれるのかしらぁ?もちろん、2人同時でもかまわないわよぉ…?」 「待って…」と、雪華綺晶は説得を試みる。が、薔薇水晶はそれを制止すると、水銀燈に対し、こう言った。 薔薇水晶「可哀想…。」 水銀燈「…可哀想?この私が!?」 薔薇水晶からの思わぬ言葉に、さらに激しい怒りを燃やす水銀燈。しかし、薔薇水晶もそれは同じだった。 自分の欲望のために、大切な生徒たちを傷つけようとした…。しかも、その凶行に及ぼうとした人物が自分の1番の親友とあっては… それは、薔薇水晶にとって裏切り以外の何物でもなかった。 薔薇水晶「なんて弱い心…。そうやって、いつまでも過去にとらわれ続けるなんて…可哀想…。」 そう言うと、薔薇水晶はその場にあった竹刀を拾い上げ、さらにこう続けた。 薔薇水晶「…だったら、私が壊してあげましょう…!」 水銀燈「…上等じゃなぁい…!じゃあ、あなたから先に壊してあげるわ!!」 もはや、激突は不回避かと思われた。 しかし、その時雪華綺晶が、備え付けの防犯用ネットランチャーを2人に向かって、立て続けに発射した。 水銀燈「ちょっと!何よこれ!?」 薔薇水晶「姉さん…何を!?」 その網に絡まり、身動きが取れない2人に対し、雪華綺晶は訴える。 雪華綺晶「だめ…2人ともあんなに仲良しだったのに、そんなの絶対だめ…。」 水銀燈「何を言ってるの!?さあ、今なら許してあげるから、早くこれを外しなさい!!」 薔薇水晶「姉さん、こういう人は1度痛い目見ないと分からないんだから…!さあ、早くこれをはずして!!」 雪華綺晶「だめ…私にとって2人は両方とも大切な人…。だからこそ、喧嘩なんか…だめ…。」 その言葉に、思わずシーンとする場内。 水銀燈「…あーあ、何か白けちゃったわぁ…。」 そう言うと、水銀燈は竹刀を捨て、その場に座り込んだ。 次の日、水銀燈は快適に惰眠をむさぼっていた。 未遂とはいえ、あれだけやらかせば誰も私に逆らうものなど誰もいない… そう、誰も私の邪魔をするものはいない…はずだった。 薔薇水晶「銀ちゃん!!もう8時半だよ!?何で学校に来ないの!?」 何で、こいつが家の中にいるんだろうと布団をかぶり直す水銀燈。そして、不機嫌そうに声を上げた。 水銀燈「…うるさいわねぇ…。この私を誰だと思ってるの…!?」 薔薇水晶「何を馬鹿なことを言ってるの!?さあ、早く来なさい!!」 そう言うと、薔薇水晶は水銀燈の耳を引っ張り、外へ引きずりだした。 これには流石の水銀燈も、たまらず飛び起きる。 おかしい、こんなはずでは…と、水銀燈の頭の中には『?マーク』が無数に飛び交う。 しかし、その思いは痛みによってかき消された。 薔薇水晶「何をボサっとしているの!?もう1時間目が始まってるのに!!」 水銀燈「痛っ!!わ、分かったわよぉ!牛や馬じゃ無いんだから、そんなに引っ張らなくても、ちゃんと行くわよぉ!!」 急いで仕度をし、家を出る2人。こうして、今日もいつもと変わらぬ1日が幕を開けた。 完
蒼星石「一本!それまで!!」 この日、蒼星石は水銀燈に『体育の授業で剣道をやるから、生徒たちに見本を見せてやってくれ』と頼まれていた。 しかし、気がつけば授業の全てを蒼星石が担当する羽目になっていた。当の水銀燈はといえば、隅のほうでコックリコックリと、気持ちよさそうに船をこいでいる。 蒼星石「…水銀燈!君はこんなことをするために、僕を呼んだのかい!?」 水銀燈「!?…なによぉ…せっかくいい気持ちで寝てたのに…。いいじゃなぁい、あなた剣道部の顧問なんだからぁ…。」 「そう言うことじゃなくて…」と蒼星石が反論しようとした時、ある生徒がヒソヒソとこんな話をしだした。 男子A「…なあ、水銀燈先生と蒼星石先生が試合したら、どっちが勝つと思う?」 その問いに、すぐに反応したのはある1人の男子生徒だった。 男子B「絶対銀様だろ!!銀様の運動神経は凄いんだぜ!!」 すかさず1人の女子生徒が反論する。 女子C「はぁ!?蒼星石先生は、剣道部の顧問なのよ!?何言ってるの!?」 白熱する2人の議論。一方の教師たちはといえば、さめた様子でそれを見つめるだけだった。 蒼星石「ははは…どうしよう、困ったな…。」 水銀燈「勝手に言わせておけばいいのよぉ…。面倒くさい。」 だが、蒼星石の心配をよそに、議論はさらに白熱する。 男子B「いや!それでも、銀様が勝つ!だって、あの銀様だぜ!?」 女子C「何よ!銀様銀様って!!蒼星石先生が負けるわけ無いじゃない!だって、昔は水銀燈先生って怖いイメージあったけど、今じゃ薔薇水晶先生や真紅先生にいいように扱われて…」 その言葉に、水銀燈はワナワナと手を震わせる。 この子は今、何を言ったの?この私が、あの蒼星石や薔薇水晶、それに真紅ごときに劣るですって…? 事の重大さに気がついた蒼星石は、すぐに水銀燈をフォローしようとする。 が、その手を払いのけ、水銀燈は静かにこう言った。 水銀燈「…蒼星石、今すぐ私と勝負しなさい。」 その目は、完全に以前の恐ろしい水銀燈の目へと戻っていた。 その後、蒼星石や他の生徒がどんなに説得しようとも、水銀燈は考えを改めることはなかった。 なんてことを言ってしまったんだろう…と、当の女子生徒は頭を抱える。 でも、憧れの蒼星石先生ならきっと…そんな幻想にも似た思いを抱いていた。 しかし、当の蒼星石の表情は、緊張で強張っていた。 自身のプライドを傷つけられたとあっては、水銀燈はおそらく本気で向かってくるだろう…。それに、仮に勝ったとしても… 蒼星石「…巴君、審判のほうやってもらえるかな?」 半ば諦めたように、巴に審判をお願いし試合場へと向かう蒼星石。 蒼星石「水銀燈、やるのなら早く防具を…」 水銀燈「いらないわぁ…。だって、そんな臭いの付けてられないものぉ…。」 蒼星石「で、でも…」 水銀燈「それに…私が負けるなんて、まずありえないわぁ…。」 その言葉に、思わず竹刀を握り直す蒼星石。そんな蒼星石を、水銀燈は手招きしながらこう言った。 「さあ…ゲームをはじめましょう…。」と。 巴「始め!」 その合図と共に、全力で蒼星石に切りかかる水銀燈。それを切り替えし、反撃に転じる蒼星石。 両者の、一進一退の息もつかせぬ攻防戦は、見る者を魅了した。 両者に対し、生徒たちは惜しみない声援を送る。しかし、均衡は一瞬にして破られた。 水銀燈「…ふぅん。ま、確かに少しはやる様だけどぉ…所詮、おままごとなのよねぇ…。」 蒼星石「…それはどういう意味…」 蒼星石の言葉を遮るように、水銀燈は蒼星石の顔に向けて鋭い突きを繰り出した。 それを間一髪でかわし、尻餅をつく蒼星石。 が、あまりのことに、もはや足がすくんで立てないでいる。 蒼星石「あわわわわわ…」 水銀燈「あらぁ…残念。せっかく、もっと可愛い顔にしてあげようと思ったのに…」 「止め!!」と、慌てて巴が2人の間に割って入り、水銀燈に注意を促す。 巴「先生!これは反則です!!」 水銀燈「反則?なぁに、それ?本当の戦いで、そんなのが通用すると思ってるのぉ?だから、おままごとだって言ってるのよぉ…。」 そう言って、水銀燈はもう1度竹刀を構えた。 巴「な、何を!?」 水銀燈「決まってるでしょう?最低でも、気絶するまでやらなきゃ勝ったことにならないものぉ…。邪魔をするなら、あなたも同じ目にあわせてあげるわぁ…」 その時、武道場に1人の生徒の悲鳴がこだました。 水銀燈が、その悲鳴の先に目を向けると、そこには先ほど自分に対して暴言を吐いた生徒がいた。 その生徒の下に近寄ると、水銀燈は優しく声をかけた。 水銀燈「そういえばあなた…さっき、私に面白いことを言ってくれたわよね?」 女子C「い、いや…それは、その…」 水銀燈「ふふふ…ありがとぉ。あなたのおかげで、大切な事を思い出したわぁ…。」 女子C「へ?」 水銀燈「そうよねぇ…。いつまでもやられっ放しなんて、私らしくないわよねぇ…。」 その時、事態を重く見た1人の生徒が、薔薇水晶と雪華綺晶を連れて戻ってきた。 この2人なら、きっと上手く水銀燈の怒りを鎮めてくれる…そう思ったに違いない。 しかし、事態はそんなに簡単に収拾できるほど甘くはなかった。 水銀燈「まぁ…探す手間が省けたわぁ♪さぁ、どっちが相手をしてくれるのかしらぁ?もちろん、2人同時でもかまわないわよぉ…?」 「待って…」と、雪華綺晶は説得を試みる。が、薔薇水晶はそれを制止すると、水銀燈に対し、こう言った。 薔薇水晶「可哀想…。」 水銀燈「…可哀想?この私が!?」 薔薇水晶からの思わぬ言葉に、さらに激しい怒りを燃やす水銀燈。しかし、薔薇水晶もそれは同じだった。 自分の欲望のために、大切な生徒たちを傷つけようとした…。しかも、その凶行に及ぼうとした人物が自分の1番の親友とあっては… それは、薔薇水晶にとって裏切り以外の何物でもなかった。 薔薇水晶「なんて弱い心…。そうやって、いつまでも過去にとらわれ続けるなんて…可哀想…。」 そう言うと、薔薇水晶はその場にあった竹刀を拾い上げ、さらにこう続けた。 薔薇水晶「…だったら、私が正してあげましょう…!」 水銀燈「…上等じゃなぁい…!じゃあ、あなたから先に壊してあげるわ!!」 もはや、激突は不回避かと思われた。 しかし、その時雪華綺晶が、備え付けの防犯用ネットランチャーを2人に向かって、立て続けに発射した。 水銀燈「ちょっと!何よこれ!?」 薔薇水晶「姉さん…何を!?」 その網に絡まり、身動きが取れない2人に対し、雪華綺晶は訴える。 雪華綺晶「だめ…2人ともあんなに仲良しだったのに、そんなの絶対だめ…。」 水銀燈「何を言ってるの!?さあ、今なら許してあげるから、早くこれを外しなさい!!」 薔薇水晶「姉さん、こういう人は1度痛い目見ないと分からないんだから…!さあ、早くこれをはずして!!」 雪華綺晶「だめ…私にとって2人は両方とも大切な人…。だからこそ、喧嘩なんか…だめ…。」 その言葉に、思わずシーンとする場内。 水銀燈「…あーあ、何か白けちゃったわぁ…。」 そう言うと、水銀燈は竹刀を捨て、その場に座り込んだ。 次の日、水銀燈は快適に惰眠をむさぼっていた。 未遂とはいえ、あれだけやらかせば誰も私に逆らうものなど誰もいない… そう、誰も私の邪魔をするものはいない…はずだった。 薔薇水晶「銀ちゃん!!もう8時半だよ!?何で学校に来ないの!?」 何で、こいつが家の中にいるんだろうと布団をかぶり直す水銀燈。そして、不機嫌そうに声を上げた。 水銀燈「…うるさいわねぇ…。この私を誰だと思ってるの…!?」 薔薇水晶「何を馬鹿なことを言ってるの!?さあ、早く来なさい!!」 そう言うと、薔薇水晶は水銀燈の耳を引っ張り、外へ引きずりだした。 これには流石の水銀燈も、たまらず飛び起きる。 おかしい、こんなはずでは…と、水銀燈の頭の中には『?マーク』が無数に飛び交う。 しかし、その思いは痛みによってかき消された。 薔薇水晶「何をボサっとしているの!?もう1時間目が始まってるのに!!」 水銀燈「痛っ!!わ、分かったわよぉ!牛や馬じゃ無いんだから、そんなに引っ張らなくても、ちゃんと行くわよぉ!!」 急いで仕度をし、家を出る2人。こうして、今日もいつもと変わらぬ1日が幕を開けた。 完

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