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笑顔が教えてくれたもの」(2006/04/27 (木) 18:31:29) の最新版変更点

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   その朝はひどく寒かった。布団の中で丸くなる蒼星石。    その日は日曜日でゆっくりしていられるはずだった。しかし、    ドンドン ドンドン    玄関のドアを叩く音がする。ちょっと身を起こして時計を見る。    まだ7時だ。こんな時間に誰がくるのだろう。律儀な蒼星石は玄関に行く。   蒼「どちらさまですか~」    寝ぼけ声で尋ねる蒼星石。   翠「翠星石ですぅ。早く開けやがれですぅ」    早朝の訪問者の正体は翠星石だった。   蒼「翠星石…何?こんな時間に?」   翠「何とはひどいやつですね。せっかく誘いに来てやったのに」   蒼「誘いにって…何の?」   翠「散歩ですぅ!外を見るですぅ!」    そういって蒼星石を玄関から外に連れ出す翠星石。そこで蒼星石が見たものは…   蒼「わぁ…雪だ」    そう、家を出るとあたり一面に雪が積もっていた。   翠「わかったらさっさと着替えてくるですぅ」   蒼「うん、ちょっと待ってて」    そういって着替えに戻る蒼星石。    この地域に雪が降るのは珍しいので蒼星石も嬉しかった。    着替え終わり玄関に行く蒼星石。待ちくたびれた翠星石が文句を言う。   翠「おせーですぅ!まったく着替え一つに何分かかっていやがるですぅ」    実際は3分くらいしかたっていない。しかし、それはいつものこと。   蒼「ゴメン、ゴメン。じゃあ行こうか」    そういって歩き出す。2人の散歩が始まった。   翠「はぁぁー、息が白いですぅ。」   蒼「そりゃそうだよ、雪が降るくらいなんだから」   翠「誰もいねーですぅ。」   蒼「そりゃそうだよ、こんな朝早くにいるわけないじゃないか」    そんな会話をしながら歩道を歩いていく2人。    歩道にはまだ2人の足跡しかない。   蒼(はぁー幸せだなぁ)    蒼星石は今最高の幸せを感じていた。    迷惑をかける時もあるが、一緒にいて気持ちが楽になる同僚がいて、    自分を慕ってくれる生徒達がいて、    心から分かり合える親友がいる。    これ以上の幸せはないだろう。そんなことを考えていると後頭部に何か当たった。    後ろを向くと雪玉を手にしている翠星石がいた。   翠「はぁ、はぁ、はぁ、蒼星石…歩くの…はえーですぅ…」    走って追いかけてきたのだろう。息が切れている。   蒼「ああ、ゴメン、ゴメ…………」    蒼星石はあることに気づき言葉を失った。    翠星石の後ろから朝日が昇って来ており、雪に反射してキラキラ光っている。    それだけではない。朝日が翠星石から後光のように射している。    その姿はまるで女神の様だった。    蒼星石が見惚れていると翠星石が心配そうに見ている。   翠「どうしたですか?」    あわてて取り繕う蒼星石。   蒼「いやっ、何でもないよ。ボクの足が長いから翠星石を置いてちゃったね」   翠「なっ!?それは翠星石の足が短いってことですか!?     いくら蒼星石でも許さんですぅ!くらえですぅ!」   蒼「いたっ、…よーし、ボクだって」    雪玉を投げあう2人。誰もいない街に2人の笑い声が響く。   蒼(やっぱりいつだって笑顔はキミがくれる…)    ドンドンッ  ドンドンッ    ドアの叩く音で目が覚める。   蒼「何だ…夢か…」    ずいぶんとリアルな夢だったな、と起きながら時計を見る。    時刻は9時半、日はすっかり昇っている。    ドンドンッ  ドンドンッ    再びドアを叩く音。あわてて玄関に行く。   蒼「どちらさま?」   翠「翠星石ですぅ。早く開けやがれですぅ」   蒼「翠星石!?まさか雪が降ったの!?」    そういって思い切りドアを開けて外を見る蒼星石。    しかし、雪は積もっていなかった。   翠「いたた…いきなりあけんじゃねーです!雪なんか降るわけねーです!」    ドアに鼻を打ちつけて痛そうにしている翠星石。   蒼「あっ、ゴメンよ。で、何の用?」   翠「何の用?じゃねーです!!今日は翠星石と遊びにいく約束してたですぅ!!」   蒼「ああ!ゴメン、すぐ準備してくるよ」    すぐ戻り着替える蒼星石。玄関に行くと翠星石が、   翠「おせーですぅ!まったく着替え一つに何分かかっていやがるですぅ」   蒼「ふふっ」   翠「何がおかしいですぅ?」   蒼「いや、こっちの話だよ」    夢とまったく同じだったので吹き出してしまった蒼星石。    それを翠星石に言えば彼女は怒るだろう。なので黙っておいた。   翠「おかしな奴ですぅ。まあいいです、さっさと出かけるです」   蒼「そうだね、行こうか」    夢のとおりに2人は歩き出す。   蒼「今日はどこに行く?」   翠「うーん…そうですねぇ…映画なんかどうです?」   蒼「いいね♪じゃあ決まり!」    目的地も決まり歩き出す2人。しばらくすると翠星石が、   翠「そーいえば蒼星石、さっき雪が降ってないかとか言ってたですけど…」   蒼「ああ、それはこっちの話。気にしないで」   翠「実は翠星石も同じことを思ってたです」   蒼「本当に?」    まさか夢を見たの、と聞こうとしたが先に翠星石が話し始めた。   翠「雪が降ればこのうざったい落ち葉も隠れるですぅ。     掃除の手間が省けるってもんです」    落ち葉を蹴飛ばしながらそう言う翠星石。少しがっかりしたが、    そちらの方が翠星石らしいと笑う蒼星石。   翠「なぁにニヤニヤしてやがるですかぁ!さっさと行くですよ」    歩き出す翠星石。それを追う蒼星石。しばらくすると十字路があり、    そこである人物たちと鉢合わせた。   翠「なっ!?おめぇらこんな所で何してやがるですか?」   銀「何してるとは何よぉ。私たちがここにいちゃ悪い?」   真「まったくなのだわ。あなたに言われる筋合いはないのだわ」   銀「私たち、これから街に買い物に行くのぉ」    右から真紅・水銀燈組   雛「ヒナ達はうにゅーを買いに行くのー」   金「そうなのかしらー」    前から雛苺・金糸雀組   薔「…私たちはバイキングに」   雪「…食べ放題…」    左から薔薇水晶・雪華綺晶組    よくもまぁ全員がそろったものだ。   銀「あなた達2人はどこに行くの?」   翠「翠星石達は映画を見に…」    ここで翠星石があることを思いつく。   翠「そうです!みんなで一緒に行くですぅ!」   真「なっ!?勝手に決めないでちょうだい」   金「そうなのかしらー。カナ達の予定はどうするのかしらー」   雪「…お腹減った…」   翠「だからー映画を見て、昼ごはんをバイキングで食べて、     午後は買い物をして、帰りに苺大福を買えばいいですぅ!」    翠星石が案を出す。すると、   真「仕方がないのだわ。行ってあげるのだわ」   雛「ヒナはうにゅーが買えればなんでもいいのー」   薔「…ご飯もみんなで食べたほうがおいしいよ、きらきー…」   雪「…わかった」   金「みんなが行くならカナも行ってあげるのかしらー」   銀「決まりみたいねぇ。じゃあ、いきましょう」    そうして歩き出す一同。文句を言っている者もいるが、    みんな顔には笑顔があふれている。裏表の無い笑顔だ。   翠「蒼星石ー!何してるですかぁ!?置いてくですよー」    翠星石が笑顔で手を振って蒼星石を呼んでいる。    他のみんなも笑顔で蒼星石を見ている。やっぱり…   蒼「うん、今行くよー!」    そうして歩き出す蒼星石。その顔もやはり笑顔だった。   蒼(やっぱり…この教師という職が…ボクのゆく道なんだ…)    この職業を与えてくれた神に感謝して一歩、また一歩と歩を進める蒼星石。    夢ではないこの幸せな現実を生きるために…    FIN

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