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蒼星石と催眠術」(2006/03/13 (月) 01:06:42) の最新版変更点

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放課後、いつまでも帰らない生徒を帰らせることも、教師の仕事である。 いつまでも教室でおしゃべりをして帰ろうとしない女子生徒などは強敵である。 この日も、女子生徒のグループが机を陣取っていた。 蒼「まだ残っていたのかい?もう下校時間だよ」 O「あー蒼星石先生!!ちょっと来て来てー!」 帰れと言われているのが聞こえていないのか、それとも無視しているのか、蒼星石に手招きをする。 蒼星石は軽く溜め息をつきながらそれに従う。今日は長期戦になりそうだ。 蒼「なんだい?くだらないことだったら帰ってもらうよ?」 O「まぁまぁ!先生見てくださいよ!Rったら面白い本持って来たんだよー!」 そう言うと呼んでいた本を蒼星石に見せた。 蒼「何々…『最強催眠術!!~これであの人も自分の思い通りに!!~』だって?」 本当にくだらない。最近の生徒はこんなものに夢中なのだろうか? R「先生それ凄くないですか?その本を書いた人ってテレビによく出る人なんですよ!」 確かに、最近よくテレビに催眠術師という肩書きで出る人間がいる。その人物はゲストに催眠術をかけて次々と思い通りに動かす。実に馬鹿馬鹿しい内容だ。 蒼「あのねぇ、催眠術なんてものは実在しないんだ…。本当は催眠療法って言って、心の病を取り除くための、立派な治療法なんだよ」 催眠療法に対して間違った認識をする女子生徒たちを諭す。 しかしそんな蒼星石の話は聞いていないのか、女子生徒たちは本を手に勝手に盛り上がり始めた。 O「ねぇ!蒼星石先生に催眠術をかけてみようよ!!」 R「あー!賛成!!」 P「やろやろ!」 蒼「ぼ、ボクの話を聞いてないのかい?」 最近の女子生徒の押しは凄まじい。押しに弱い蒼星石はあっという間に椅子に座らされた。 蒼「ちょ、ちょっと下校時間を過ぎてるって言ってるじゃないか!」 R「成功したらちゃんと帰りますから!」 成功したら?失敗したら帰らないつもりなのだろうか。 蒼星石は深く溜め息をついた。 R「目を閉じてください…あなたは今、ゆりかごの上にいます…」 本を片手にたどたどしく読み上げる。Pが蒼星石の目を塞ぐように頭を抱える。 R「ゆりかごが揺れる度に、あなたの意識は遠くなってゆきます…。ほら、眠くなってきた…」 それにあわせてPがゆっくりと蒼星石の頭を揺らす。それをOが固唾を呑んで見守る。 次第に、蒼星石の頭が重くなってきた。Pが手を放すと、だらんと頭を垂れた。 両手は、すっかりと弛緩していた。 O「蒼星石先生…?」 肩を揺すってみる。だが反応は全く無い。頭をガクガクと揺らすだけだった。 R「キャー!!成功しちゃった!!」 P「どうする?どうするの!?」 RとPはすっかりパニックに陥ってしまった。それをOが落ち着かせる。 O「と、とりあえず何か試してみようよ・・!!」 本を持ち、蒼星石の頭を揺らしながら耳元でゆっくりと語りかける。 O「あ、あなたはこの椅子から離れることはできません…。立ち上がろうとしても、 お尻が椅子にくっついたように立ち上がる事ができません…。はい!」 蒼星石の目の前で指を鳴らす。ゆっくりと、蒼星石が目を開いた。 蒼「あ、あれボクは一体…?ん?あれ?どうしたんだ?立ち上がれないぞ…」 椅子から立ち上がろうと悪戦苦闘する。だが、いくら足掻いても立ち上がる事ができなかった。 R「す、凄い!!成功しちゃったよ!?」 P「つ、次いこうよ次!!」 O「お、オーケー!!」 再び蒼星石の目を手で塞ぎ、ゆっくりと頭を揺らす。瞬く間に体の力が抜ける。 O「次どうする!?」 P「私にやらせて!」 Oに続いてPが蒼星石の耳元で語りかけた。 P「あなたは、私たちの質問に答えるとき、語尾に猫語をつけてしまいます…はい!!」 指を鳴らす。蒼星石が眠そうに目を開ける。 Rが恐る恐る質問する。 R「あ、あなたの名前は?」 蒼「蒼星石だニャン」 普段の凛々しい蒼星石とはかけ離れた、間抜けな喋りだった。 O「好きな食べ物は?」 蒼「和食が好きだニャン」 R「可愛いー!!ねぇ、次、次!!」 次々と目を塞がれ、命令される蒼星石。もはやおもちゃのようである。 O「わ、私とキスをしなさい」 すっかり興奮のボルテージが上がったOが、遂に禁断の命令をした。 目を開けた蒼星石は立ち上がるなり、Oの顎を持ち優しく語りかけた。 蒼「目を閉じて…?」 O「は、はい…!!」 言われるがままに目を閉じる。その近くで、RとPが小さく悲鳴を上げる。 Oの鼓動は、胸が引き裂けそうなほど激しくなっていた。顔が真っ赤になっているのが自分でも分かった。 そんなOの額に、蒼星石は思い切りでこピンをした。 O「あぅ!」 蒼「全く、くだらないことをさせるんだね」 呆れたように息を吐く。 P「先生!?催眠術かかってなかったんですか?」 蒼「当たり前じゃないか。そんなのにボクがかかるわけないだろう? ほら、馬鹿なことしてないで早く帰って」 R「そ、そんなぁ」 蒼星石に促されるままに、帰り支度を始める女子生徒たち。ふと、Oの手が止まる。 蒼「どうしたんだい?」 O「先生、催眠術にかかってた振りをしていたんですよね?」 蒼「そうだよ」 O「つまり、意識がありながら語尾に猫語をつけていたんですよね?」 蒼「あ…!!」 一気に顔を真っ赤にする。 蒼「あ、あれは…その…」 言い訳のしようが無かった。蒼星石の顔がますます真っ赤になる。煙が出てきそうな程だ。 O「先生、結構乗り気だったよねー」 P「先生、意外と可愛い所あるんですね!」 蒼「お、お願いだから今日のことは誰にも言わないでー!!」 R「うーん、どうしようかなー?」 蒼「お願い!!何でもするからー!!」 女子生徒にすがり付き、哀願する。 O「聞いた?『何でも』だってー」 R「聞いた聞いたー!」 蒼「いや、その…これは…」 O「先生―!セクシーポーズ!!」 蒼星石に反論する暇を与えず、命令を突きつける。 蒼「え、えぇ!?」 すっかり取り乱してしまった蒼星石はこの後、さらに様々なことをさせられる破目となった。

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