「車輪の唄」(2007/04/30 (月) 13:49:58) の最新版変更点
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翠「ほれ、ジュン!早くしないと始発の電車に間に合わなくなるですよ!」
ジ「分かってるって先生!けど上り坂のチャリ、しかも二人乗りはキツいって!ハァ、ハァ」
翠星石先生とジュンは付き合い始めたばかり。
教師と生徒の恋愛はよく[禁断の~]などというが、そういった関係にはほど遠く、一見すると仲の良い姉弟にしか見えない。
だが、今日でその関係も終わるかもしれない。
先生は春から別の学校に勤務することになったのだ。
さっきから先生は僕に寄りかかってくる。
なんかこの温もりは心地良いな。
ずっとこのままだったらいいのに…
しかし、やっぱり朝早いと街も静かだな~1人除いて…
翠「ほれジュン!もうちょっとですぅ!あと少しですぅ♪」
ジ「ハァハァ、随時と楽しそうだね先生。だけど先生の声しかしないから、まるで世界中で2人だけみたいだね。」
翠「なっ!////何詩人みたいなこと言ってやがるんですか!」ポカポカ
ジ「ちょ!痛い、痛いって!」
ジ「ハァハァハァ!うっし!やっと登りきった…ハァハァあっ!」
翠・ジ「・・・」
僕はその後の言葉が出なかった。どうやら先生も一緒らしい。
坂を登りきると、そこは絶景だった。朝焼けが凄い綺麗だ…
すると先生は笑いながら
翠「フフッ!まるで翠星石の門出を祝ってるようですぅ♪」
僕は後ろを振り返ることが出来なかった。
あまりの絶景と、先生が遠くに行ってしまう悲しさで、胸が詰まり泣いてしまったからだ。
駅に着くとやはり早朝のせいか、あまり人がいなかった。
いや、いたのかもしれないが、僕の目には先生しか映っていなかった。
先生も僕も改札を通った。もちろん僕は1番安い入場券だったが…
翠「な~に暗い顔してやがるんですか!シャキっとしやがれですぅ」
ジ「先、いや翠星石、向こうでも元気でな」
翠「あ、あったり前ですぅ♪ジュンがいなくなったくらいで、元気なくす訳ないですぅ!」
(初めて翠星石って呼んでくれたですぅ/////)
プルルルルル!!!
駅に出発のベルが鳴り響く。ドアに向かって先生は歩き出す。
そして電車に乗り込み、先生は大きな声で叫ぶ。
翠「約束するですぅ!必ず、必ずいつの日かまた会うですぅ!」
僕は答えられなかった。必死で泣くのをこらえていたからだ。
僕は俯いたまま手だけを振った。
先生、あれだけ強がってたくせに…最後の最後で泣いてな。声が震えてたから分かるよ…
電車のドアが閉まると、僕は急いで自転車にまたがり、元来た道を戻った。
[線路沿いの下り坂を風よりも速く飛ばしていく、君に追いつけと。]
[錆び付いた車輪、悲鳴をあげ精一杯電車と並ぶけれど、ゆっくり離されてく]
ジ「翠星石ぃぃ!約束だよ!必ずいつの日か会おう!!」
[離れてく君に見えるように、大きく手を振ったよ]
帰り道、明るくなった街並みを自転車を漕ぎながら、つぶやいた。
街は賑わいだしたのに世界中に僕一人だけみたいだよ翠星石…
END
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