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「ねぇお姉ちゃん。銀ちゃん迎えに行ってくれる……?今、手が離せないの…」 数々の日本史の資料とプリントの山の中から聞こえた妹の声。 近々中間テストだから問題作成に力が入り、資料を全部引っ張り出したらしい。 自分も同じ状況だが。 世界史の資料の山で埋もれた自分を持ち上げ、斜め前の席を見る。 「――…了解した。」 プリンターから溢れんばかりの紙が出てくる。 その光景に「気味が悪い」と思いながらも、足を動かせた。 【貸し一つ。】 首を肩によせるように捻ると、鈍い音がする。 少しふぅ、と息をつき廊下を歩く。 ――…まったくあの人は何をしているのだろうか。 進みゆく足は止まる、ある部屋の前で。 「失礼します。水銀燈先生居ますか?」 返事は返ってはこない。 机を見つめたが、机が「はい、いますよ」なんて言う筈もなくて。 保健室の清潔感の中で、少し寝息が聞こえた。 「…またか。」 カツ、コツ、と軍靴と廊下の合わさる音が聞こえる。 シャッとベッドとベッドの間を防ぐカーテンをどける。 寝入っているのは探し相手。 「水銀燈先生…」 あなたって人は、と言おうと思ったがふと、彼女の寝顔に見入ってしまった。 細い輪郭線を撫でる。 素晴らしい美貌を持ち合わせた彼女ならではのものだろう 色も白く、顔立ちも良く、素敵だなぁ。と思わず思ってしまう。 「それでも貴女は傷付いているのですね……」 美しい体の向こう側には醜い過去が垣間見える。 ココロと呼べるものは幾重にも傷ついているのが、自分には見えた。 彼女の普段の行いには何か深い意味でもあるのかもしれない、と考えてしまう。 バチン と、自分の頬をたたく。「しっかりしろ、私は軍人だ、雪華綺晶だ、情けを持たない軍人だ。」とでもいうかのように。 そして、懐から拳銃を取り出し、銃口を水銀燈に向けて 撃った。 「ぎゃあ!?」 水銀燈は奇声を発しながら跳ね起きる。 殺されると言いたげに、息を荒げる撃った弾は彼女の頬の真横に行った 「おはようございます。」 良いお目覚めですかとにっこり笑う。 「い…良い訳無いでしょお!??」 涙目で食ってかかる彼女が面白くて 「あ、…ははっ…」 思わず笑いがこみ上げてしまう。 水銀燈がため息を吐き出し、細い足を布団から這い出させ靴を探す。 そんな彼女に手を差し出す。 「…何のつもりぃ?」 「頭が寝起きでボーっとするでしょう?だから。」 手を掴んで、彼女を自分の方に寄せる。 「貸し一つですよ、水銀燈先生?」 にっと笑い手を引く。 「無理やりでしょおがぁ?」 彼女もまた、にっと笑い。 廊下には彼女の足音と、自分の足音だけが響き渡っていた。ですかとにっこり笑う。
「ねぇお姉ちゃん。銀ちゃん迎えに行ってくれる……?今、手が離せないの…」 数々の日本史の資料とプリントの山の中から聞こえた妹の声。 近々中間テストだから問題作成に力が入り、資料を全部引っ張り出したらしい。 自分も同じ状況だが。 世界史の資料の山で埋もれた自分を持ち上げ、斜め前の席を見る。 「――…了解した。」 プリンターから溢れんばかりの紙が出てくる。 その光景に「気味が悪い」と思いながらも、足を動かせた。 【貸し一つ。】 首を肩によせるように捻ると、鈍い音がする。 少しふぅ、と息をつき廊下を歩く。 ――…まったくあの人は何をしているのだろうか。 進みゆく足は止まる、ある部屋の前で。 「失礼します。水銀燈先生居ますか?」 返事は返ってはこない。 机を見つめたが、机が「はい、いますよ」なんて言う筈もなくて。 保健室の清潔感の中で、少し寝息が聞こえた。 「…またか。」 カツ、コツ、と軍靴と廊下の合わさる音が聞こえる。 シャッとベッドとベッドの間を防ぐカーテンをどける。 寝入っているのは探し相手。 「水銀燈先生…」 あなたって人は、と言おうと思ったがふと、彼女の寝顔に見入ってしまった。 細い輪郭線を撫でる。 素晴らしい美貌を持ち合わせた彼女ならではのものだろう 色も白く、顔立ちも良く、素敵だなぁ。と思わず思ってしまう。 「それでも貴女は傷付いているのですね……」 美しい体の向こう側には醜い過去が垣間見える。 ココロと呼べるものは幾重にも傷ついているのが、自分には見えた。 彼女の普段の行いには何か深い意味でもあるのかもしれない、と考えてしまう。 バチン と、自分の頬をたたく。「しっかりしろ、私は軍人だ、雪華綺晶だ、情けを持たない軍人だ。」とでもいうかのように。 そして、懐から拳銃を取り出し、銃口を水銀燈に向けて 撃った。 「ぎゃあ!?」 水銀燈は奇声を発しながら跳ね起きる。 殺されると言いたげに、息を荒げる撃った弾は彼女の頬の真横に行った 「おはようございます。」 良いお目覚めですかとにっこり笑う。 「い…良い訳無いでしょお!??」 涙目で食ってかかる彼女が面白くて 「あ、…ははっ…」 思わず笑いがこみ上げてしまう。 水銀燈がため息を吐き出し、細い足を布団から這い出させ靴を探す。 そんな彼女に手を差し出す。 「…何のつもりぃ?」 「頭が寝起きでボーっとするでしょう?だから。」 手を掴んで、彼女を自分の方に寄せる。 「貸し一つですよ、水銀燈先生?」 にっと笑い手を引く。 「無理やりでしょおがぁ?」 彼女もまた、にっと笑い。 廊下には彼女の足音と、自分の足音だけが響き渡っていた。

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