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雪が積もった日」(2007/02/10 (土) 21:49:04) の最新版変更点

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 体育館にて。 生徒A「冬か……」 生徒B「冬だな……」 A&B「はぁ……」  嘆息する二人の視線の先には、呼び子を吹く水銀燈先生。 銀「ほら……さっさと四つのグループに分かれるぅ。今日はコートを二面使って、時間一杯までバスケをプレイするのよ。  先生、ちゃんとチェックしているから、あなたたち手を抜いちゃ駄目よぉ」  その声色には、いつもの艶がまるで感じられない。  それもそのはず、今日の水銀燈は、ブランド物のロングコートの上から綿入れをはおり、首にはマフラー、 頭には毛糸の帽子と、もこもこに着ぶくれながらも、膝頭をがたがたと震わせているのだ。  懐から使い捨てカイロを落とす場面も、度々目撃されている。  広さが自慢の一つの有栖学園の体育館。しかし、その広さが仇となって、暖房がなかなか行き届かない。  その上、昨今の灯油価格の急騰だ。何かと出費の多い有栖学園では、ラプラス教頭が財布の紐の引き締めにかかった。  現在の体育館の室温は、摂氏十三度。体を動かしていれば、決して我慢できない寒さではないのだが……。  冷え性の体育教師には、辛い季節だった。  ファッショナブルで高圧的な彼女は、どこへやら。  透けるような白い肌。たわわに揺れる胸元。すらりと長いおみ足。 A&B「はぁ……」  水銀党の彼らも、春が待ち遠しかった。  一方。 巴「冬ね……ふふふふふふっ」  こちらには、喜色ばむ女生徒が一人。 雛「わーーいっ、積もったのーーっ。みんな雪合戦するのーーっ!!」  休み時間に数人の生徒を集め、校庭で戯れる雛苺先生。 巴「えいっ」 雛「わぷっ!」 巴「またまた、えいっ」 雛「うわぷぷっ!」  雛苺は、たちまち雪まみれになってしまう。 雛「もーーっ、巴ったら、ヒナばっかり狙ってずるいのーーっ。ぷんぷんぷんなのよっ!」 巴「ふふふふっ、ご免なさい。面白いように命中するから、ついつい調子に乗って」  楽しい笑い声が木霊する。  予鈴が鳴った。 雛「さあ、みんな教室へ戻るのーーっ!」  先陣を切って駆け出した雛苺だが、すぐに追い抜かれてしまう。教え子たちよりも寸足らずな彼女は、 ちょっとした吹きだまりでも、通り抜けるのは一苦労だ。  深い雪の中を漕ぐように進んでいると、巴がさり気なく横に並んできて、雛苺の足首をひょいと引っかけてしまう。 雛「はびゅっ!」  自分の身に何が起こったかわからず、豪快に雪の中へと突っ伏してしまう雛苺。  積もったばかりの新雪は、軟らかくてつかみどころがない。なかなか体を起こせずに、じたばたともがく。 雛「わふぁふぁふぁふぁふぁっ、ふぁふけへなのーーっ!」 巴「大丈夫ですか、雛苺先生」  巴は、頬の緩みを懸命にこらえつつ、先生を助け起こし……。  勢い余ったと見せかけて、今度は後ろへとひっくり返す。 雛「わわわわわわっ、巴っ、巴っ、助けてなのーーっ!!」  再度、もがき続ける雛苺先生。  巴はとうとう吹き出してしまった。 雛「もーーうっ、笑ってる場合じゃないのっ。次の授業が始まっちゃうのっ。遅れたら、また翠星石先生にどやされるのっ。  さっさと助け出してなのっ!!」 巴「はいはい、これからは足元に充分気をつけてくださいね、雛苺先生」 雛「わかってるなのっ」  そう言い出したそばから、今度は自分から深みにはまってしまう。  ……今年も楽しい冬が満喫できそう。  巴は苦笑しつつも、急いで先生の傍へと駆け寄っていった。
  体育館にて。 生徒A「冬か……」 生徒B「冬だな……」 A&B「はぁ……」   嘆息する二人の視線の先には、呼び子を吹く水銀燈先生。 銀「ほら……さっさと四つのグループに分かれるぅ。今日はコートを二面使って、時間一杯までバスケをプレイするのよ。先生、ちゃんとチェックしているから、あなたたち手を抜いちゃ駄目よぉ」   その声色には、いつもの艶がまるで感じられない。   それもそのはず、今日の水銀燈は、ブランド物のロングコートの上から綿入れをはおり、首にはマフラー、頭には毛糸の帽子と、もこもこに着ぶくれながらも、膝頭をがたがたと震わせているのだ。   懐から使い捨てカイロを落とす場面も、度々目撃されている。   広さが自慢の一つの有栖学園の体育館。しかし、その広さが仇となって、暖房がなかなか行き届かない。   その上、昨今の灯油価格の急騰だ。何かと出費の多い有栖学園では、ラプラス教頭が財布の紐の引き締めにかかった。   現在の体育館の室温は、摂氏十三度。体を動かしていれば、決して我慢できない寒さではないのだが……。   冷え性の体育教師には、辛い季節だった。   ファッショナブルで高圧的な彼女は、どこへやら。   透けるような白い肌。たわわに揺れる胸元。すらりと長いおみ足。 A&B「はぁ……」   水銀党の彼らも、春が待ち遠しかった。   一方。 巴「冬ね……ふふふふふふっ」   こちらには、喜色ばむ女生徒が一人。 雛「わーーいっ、積もったのーーっ。みんな雪合戦するのーーっ!!」   休み時間に数人の生徒を集め、校庭で戯れる雛苺先生。 巴「えいっ」 雛「わぷっ!」 巴「またまた、えいっ」 雛「うわぷぷっ!」   雛苺は、たちまち雪まみれになってしまう。 雛「もーーっ、巴ったら、ヒナばっかり狙ってずるいのーーっ。ぷんぷんぷんなのよっ!」 巴「ふふふふっ、ご免なさい。面白いように命中するから、ついつい調子に乗って」   楽しい笑い声が木霊する。   予鈴が鳴った。 雛「さあ、みんな教室へ戻るのーーっ!」   先陣を切って駆け出した雛苺だが、すぐに追い抜かれてしまう。教え子たちよりも寸足らずな彼女は、ちょっとした吹きだまりでも、通り抜けるのは一苦労だ。   深い雪の中を漕ぐように進んでいると、巴がさり気なく横に並んできて、雛苺の足首をひょいと引っかけてしまう。 雛「はびゅっ!」   自分の身に何が起こったかわからず、豪快に雪の中へと突っ伏してしまう雛苺。   積もったばかりの新雪は、軟らかくてつかみどころがない。なかなか体を起こせずに、じたばたともがく。 雛「わふぁふぁふぁふぁふぁっ、ふぁふけへなのーーっ!」 巴「大丈夫ですか、雛苺先生」   巴は、頬の緩みを懸命にこらえつつ、先生を助け起こし……。   勢い余ったと見せかけて、今度は後ろへとひっくり返す。 雛「わわわわわわっ、巴っ、巴っ、助けてなのーーっ!!」   再度、もがき続ける雛苺先生。   巴はとうとう吹き出してしまった。 雛「もーーうっ、笑ってる場合じゃないのっ。次の授業が始まっちゃうのっ。遅れたら、また翠星石先生にどやされるのっ。さっさと助け出してなのっ!!」 巴「はいはい、これからは足元に充分気をつけてくださいね、雛苺先生」 雛「わかってるなのっ」   そう言い出したそばから、今度は自分から深みにはまってしまう。   ……今年も楽しい冬が満喫できそう。   巴は苦笑しつつも、急いで先生の傍へと駆け寄っていった。

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