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有栖学園のコンサート」(2006/11/26 (日) 23:07:37) の最新版変更点

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「年末、みんなで第九をやろう!!!」 「「「・・・・??」」」 にこにこと笑みを浮かべながら、まるで『今日はいい天気ですね』などと世間話でもするように。 ローゼンはさらりと言ってのけた。 なんてことない朝。 昨日までの雨が嘘のように、雲ひとつ無い空。 珍しく水銀燈が遅刻せず、翠星石と雛苺のケンカ(翠星石が一方的に悪いだけなのだが)も起こらず。 おだやかな、なんてことない一日が始まろうとしていた。・・・・いや、始まるはずだった。 「グッモーニンッ!!!みんな!!!」 突如として現れた、静けさの舞う職員室にはまるでふさわしくない人物。 そして、有栖学園から『日常』を奪い、『非日常』を与える張本人。 「おはようございます…ローゼン校長・・・」 長年の経験で直感したのだろう。あいさつを返す蒼星石の声にも、どこか不安が隠れている。 「どーしたの~みんな、元気ないねぇ~!! 今日は皆に重要なお知らせがあるっていうのに・・・」 (((やっぱり・・・))) この人がかかわるとロクなことが無い。 重たい空気をものともせず、にこにこと笑うローゼンに対して、『一体今度は何を言い出すのだろう』と教師たちの表情は暗い。 誰もが(ただ一人を除いて)その気まずさに耐え切れなくなってきた時、ガラリと職員室のドアが開いた。 入ってきたのは、ホーリエを始めとする有栖学園の事務員達と、教頭のラプラスだ。 「おはようございます校長」 「大切なお話って何ですかぁ~??」 意味もわからず呼ばれてきたのだろう。しかし教師達と一様に、事務員達の表情には不安の色が浮かんでいる。 (はぁ・・・)と、事務員達の後ろで溜息をつくラプラス教頭。 「やぁ、みんな揃ったようだね」 ローゼンはぐるりと辺りを見回し、その場にいる全員が自分を見ていることを確かめると、その口を開いた。 「年末、みんなで第九をやろう!!!」 ・・・と。 ―――――しばらくの沈黙。 教師達も、事務員達も何も言わない。 朝練習をする運動部の生徒達の威勢のいい掛け声も、学園の前の道を走る車の音も、朝を喜ぶ小鳥の鳴き声も。 まるで時が止まったかのような、無音。 「校長ぉ~・・・意味解らないんですけどぉ~」 最初にその沈黙を破ったのは水銀燈だった。 その気だるそうな声に、フリーズしていた他の教師、事務員たちの思考も動き出す。 「第九って・・・あのヴェートーヴェンが作曲した・・・?」 「交響曲第9番のことかしらー??」 「うゆ・・・あの家を建てたりする・・・」 「雛苺!!つまらないボケをするなですぅ!!」 打って変わって、騒がしくなる職員室。 「だから~、有栖学園のみんなで第九のコンサートをやろうって言ってるんだよ」 「コンサートって・・・あの・・大きなホールとかでお客さん集めて舞台の上でライト浴びて・・・」 「薔薇水晶先生、おちつくかしらー」 「本来はオーケストラ編成なんだけど、うちの学校にはそんなにたくさんバイオリンは無いからね、吹奏楽編成でいくよ あと合唱も入るからね」 「校長、それは吹奏楽部と合唱部がコンサートをするということですか?」 「ちがうちがう!!さっきから言ってるでしょ みんなで!! 教師、事務員、教頭含めた全員で第九を演奏するんだ」 「・・・・・・・・」 再びの沈黙。 未だ校長の言うことを理解しきれない教師、事務員達。 しかし一つだけ確実にわかっていることがあった。 『これからまた、非日常な日々が始まるのだ』と。

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