「もしも…」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

もしも…」(2006/08/30 (水) 03:16:49) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

もしも、貴方の身近にいる人が… 雪華綺晶は日ごろお世話になっている薔薇水晶に眼帯を送るために眼帯を選んでいた。ファッション関係に詳しい水銀燈にも手伝ってもらっていた。 銀「雪華綺晶、眼帯なんてどれも一緒よぉ。」 いくら詳しいと言えど、流石に眼帯は洋服や眼鏡のように普通にファッションに使われないため、水銀燈にはどれも一緒に見えた。 雪「いえ、これなんか薄く模様が…こっちのは紐の部分が…!これは!のぼり龍が!」 雪華綺晶はもう夢中だ。 雪「お姉様。これだけ特徴があるのに全く分からないのですか!?」 銀「わ、わかったわよぉ!ちゃんと選ぶわよぉ!」 このまま説教モードに入られても非常に困るので話を遮った。仕方なく眼帯をよく見ると、雪華綺晶の言ったように全て工夫されていた。どれも特徴がある。と、ここで一つの疑問が浮かんだ。 銀「ところで何で薔薇水晶は眼帯してるの?」 雪「実は…」 真剣な表情で雪華綺晶は水銀燈を見つめる。水銀燈もそれにつられて真剣な表情に。 雪「………知りません。」 銀「………。」 バシッ!水銀燈は無言で雪華綺晶を叩いた。 雪「痛!何で…」 バシッ!バシッ!無言で水銀燈は叩き続ける。結局、薄く花の模様の描かれている眼帯を購入した。 雪「ボケが古典的過ぎたかな?でも、ばらしーの眼帯の理由か……ホントに知らないな、訊いてみよう。」 ばらきら宅。 雪「ばらしー。ただいまー!」 薔「おかえり。お姉ちゃん。」 雪「実はプレゼントがあるんだ。」 薔「…え?何かな……?」 薔薇水晶はゆっくりと包みを開いていく。 薔「…眼帯だ。ありがとう!」 薔薇水晶はとても嬉しそうだった。 雪「今日、お姉様と一緒に買いに行ってきたんだ。」 薔「…それじゃ、銀ちゃんにもお礼言っておかないと…」 雪「ばらしー、折角だから今着けてみたら?絶対似合うよ。」 この発言が平穏な日々を崩す引き金となった。 薔薇水晶は頷き、ゆっくりと眼帯を外していった。ここで雪華綺晶は水銀燈との会話を思い出した。薔薇水晶の眼帯の理由。 眼帯が外れた。雪華綺晶は言葉を失った。眼帯の下にあったのは普通の目でもなく、病に犯された目でもなく、機械部品だった。カメラのような。何がどうなっているのか分からなかった。あまりにうろたえている雪華綺晶の様子を心配して薔薇水晶が声を掛けた。 薔「お姉ちゃん?どうしたの?」 雪華綺晶は我に返った。 雪「い、いや…何でもない。」 ショックでこう答えることしか雪華綺晶にはできなかった。 その夜、雪華綺晶は困惑していた。薔薇水晶のことを考えるたびにあの剥き出しになったカメラアイのようなものが鮮明に浮かび上がった。 一体、薔薇水晶に何があったのか?しかし、本人もそのことを知らないような素振りだったし、大体、目を機械にしたのなら眼帯は要らない。雪華綺晶には何故かあの事実を知っただけで今までの薔薇水晶との思い出が崩れ去ったように思えた。 翌日。 雪華綺晶は一日中怯えていた。あの事実が今まで誰にもバレなかったが、今日にも誰かが気付きそうで怖かった。雪華綺晶のこの予想は当たってしまった。仕事をサボっていた水銀燈を薔薇水晶と蒼星石が保健室まで連れて行くことになった。 薔「ほら…銀ちゃん。仕事しなきゃ…。」 蒼「もう、ほら着いたよ。水銀燈先生。」 水銀燈は縄に縛られて引きづられて保健室に着いた。 蒼「保健教員なんだから、仕事しっかりしてほしいね。ところで薔薇水晶先生。眼帯換えました?」 薔「…はい。似合いますか?」 蒼「ええ、とっても。」 縄を解かれても水銀燈はふてくされている。どうでもいいが。 薔「実はこれ……姉と水銀燈先生が買ってきてくれたんです。ね、銀ちゃん。」 水銀燈はそっぽを向いた。少し頬が赤らめているのが分かる。 蒼「へぇ、水銀燈先生もたまにはいいことするんですね。」 銀「たまにはって何よぉ。いつもいいことばっかりしてるじゃない。」 蒼「でも、何で眼帯をしてるんですか?」 銀(スルーされた…?) 薔「え?え、えと…」 薔薇水晶本人が相当困惑している。 蒼「別に無理に言わなくていいですよ。僕も変なことを聞いてごめんなさい。」 銀「あらぁ?蒼星石先生は本当にデリカシーが無いんですねぇ。」 水銀燈がうさ晴らしと言わんばかりに言ってくる。 薔「実は……よく知らないんです…小さい頃から左目が見えないのは分かってましたが……理由は知りません。」 蒼&銀「は?」 保険医らしくないが保険医もいるので診療することになった。やはり、薔薇水晶は昨日のようにゆっくり眼帯を外していく。 二人が予想したのに反し、眼帯の下からはロボットの目とも思えるカメラのようなものが出てきた。 銀&蒼「!!!」 薔「ど、どうかしましたか?」 薔薇水晶が恐る恐る声を掛ける。二人は慌てて何でも無いと言って薔薇水晶を保健室から退室させた。 蒼「あれって…」 銀「今日あった事は絶対しゃべっちゃ駄目よ!」 蒼「わ、わかった…。」 しかし、この後事態は最悪を迎える。 職員室にてもう放課後で全教員が揃っていた。 翠星石が雛苺をまたからかっていた。雪華綺晶と水銀燈と蒼星石は一刻も早く帰りたくてしょうがなかった。 雛「ヒナのうにゅー!」 追いかけっこ状態だった。ドン!雛苺があろうことか薔薇水晶にぶつかった。その時、ゆるかった眼帯が外れてしまった。 雛「薔薇水晶先生、ごめんなさ…!」 薔「??」 雛苺だけ無く、全教員が愕然としていた。 金「目、目が………。」 薔薇水晶は金糸雀に言われた左目に手を当ててみる。そこには人間の肌でない異質なものがあった。ちょうど壁に掛かっていた鏡でその異質なものが何だかを理解する。薔薇水晶はそのショックで気絶してしまった。 金糸雀の解析の結果。薔薇水晶は表面以外はほとんどが機械部品で構成させられていることが分かった。 真「とりあえず、雪華綺晶先生。あなたは何か知ってるの?」 真紅が話を切り出した。ほとんどの教員がパニック状態だった。雪華綺晶は昨日眼帯をプレゼントしたときにはじめて気付いたことを伝えた。しかし、その声は震えていた。 真「落ち着いて、雪華綺晶先生。もしかしたらあの薔薇水晶先生は偽者かも知れないのだわ。校長。貴方何か知っているんじゃなくて?」 真紅は鋭い視線をローゼンに向ける。もし悪戯なら今回のは少しやり過ぎだ。だが意外にもローゼンは今回のことに関してだけは全く関与が無いと言う。埒が空かないので、本人を拘束して聞きだすことにした。 翠「起きたですか?さっさと本物を出すです!」 翠星石が怒鳴るように問いだす。 蒼「翠星石、落ち着いて。」 とりあえず、順を追って質問するが、訊けば訊くほど本人であると言う確証が出てくる。薔薇水晶はずっと機械だったのか? 生まれてからずっと…そうとしか思えない状況になっていく。 雪「ばらしー、だよね?」 薔「……うん…」 雪華綺晶は最後に確認した。誰がどんな質問をしても答えられる。もう疑いようはなかった。雪華綺晶は妹を抱きしめ、ただごめん、と繰り返した。 一番落ち着いている真紅が混乱している薔薇水晶に状況を説明した。本人は相当ショックだったみたいだが今度は意識を保っていられた。 翠「もし、蒼星石が…機械だったら、翠星石は雪華綺晶みたく認められるでしょうか?」 蒼「…雪華綺晶先生は凄いね…自分も悩んでしまいそうだよ、翠星石。」 銀「………」 まだ水銀燈は現実を直視できていないようである。 金「明日からどうやって話しかけたらいいのかしら…?」 雛「いつも通りでいいと思うの。」 真「そうね。雛苺の言うとおりなのだわ。」 それから、一週間。 みんないつも通り振舞ったつもりだがどこかぎこちなく一週間が過ぎた。みんなはやはり薔薇水晶のことに気を使ってしまう。生徒にはこの事実は知らせていないが生徒にばれたら大惨事になる。 翠「もし、蒼星石が…機械だったら、翠星石は雪華綺晶みたく認められるでしょうか?」 蒼「…雪華綺晶先生は凄いね…自分も悩んでしまいそうだよ、翠星石。」 銀「………」 まだ水銀燈は現実を直視できていないようである。 金「明日からどうやって話しかけたらいいのかしら…?」 雛「いつも通りでいいと思うの。」 真「そうね。雛苺の言うとおりなのだわ。」 それから、一週間。 みんないつも通り振舞ったつもりだがどこかぎこちなく一週間が過ぎた。みんなはやはり薔薇水晶のことに気を使ってしまう。生徒にはこの事実は知らせていないが生徒にばれたら大惨事になる。 ドカーン! 生徒A「また金糸雀先生の実験が原因で火災が発生しました!」 真「爆発だけならまだしも、火災は危険ね。」 だいたいの生徒は避難が済んでいたが、一人の女子生徒が逃げ遅れていた。 蒼「大変だ!消防車は!?」 雛「あと十分は掛かるらしーのー!」 薔「……私が、行きます…」 銀「何言ってるの!あなただって……」 ここから先は何も言えなくなった。 薔薇水晶はゆっくりと赤く燃える理科室に踏み込んだ。女子生徒が姿勢を低くしている。 薔「…助けに来たよ。」 泣いている女子生徒の手を引いて安全なルートを通っていく。ゴト。何かの拍子に薬品がこぼれた。 薔「!!危ない!」 薬品が大爆発をした。 五分後…薔薇水晶が女子生徒を抱えて校舎からでてきた。だが、その体はぼろぼろでところどころ機械がむき出しになっていた。みんなが薔薇水晶と女子生徒を支えに駆け寄った。女子生徒は気絶していた。 薔薇水晶は女子生徒の安全を確認するとその場に倒れてしまった。薔薇水晶の姿を見た生徒たちは騒ぎだした。 銀「静かにしなさい!!」 水銀燈が一喝した。生徒のどよめきが消える。水銀燈の目には涙が浮かんでいる。 薔薇水晶の傷は深刻だった。動力炉が傷つけられていて、これ以上の負荷には耐えられないということが分かった。 銀「誰か、直せないの!!」 水銀燈が叫ぶが教師にそんなことできる人間がいない。金糸雀も駄目なのだから仕方ない。雪華綺晶は薔薇水晶の近くで泣いている。 薔「……おねえ、ちゃん……。」 雪「ば、ばらしー!!」 みんなが駆け寄ってくる。 薔「……もう、駄目みたい…でも、聞いて。……もう私に悔いは無いから、大丈夫だよ……銀ちゃんとも沢山話せ……………金糸雀先生の実験も、面白かった…し……… 翠星石先、生には……悪戯もされたけど…それも楽しかった…蒼、星石先生とみん…なのこと止めること、もでき…た……真、紅先生とも飲みに行ったりもできた…… 雛苺先生とも遊べた…大切なこいび…と…も………おねえちゃ……」 雪「!!」 その後、薔薇水晶ではなく機械の声で「機能停止」と言う声がするとそのまま薔薇水晶は永遠に動かなくなった。 後日… 薔薇水晶の葬儀は事実を知っているほんの僅かな人数で行われた。その中に薔薇水晶に救助された女子生徒もいた。 銀「あなたはこれで良かったの?雪華綺晶。」 雪「…良くない、かも知れません。私は全然姉らしいことは何一つできなかった。でも、妹はばらしーは、満足してるようでした。私は……。」 雪華綺晶は涙こそ見せなかったが泣いているように見えた。何か水銀燈は雪華綺晶にしてあげたかったが何もできなかった。 雪「でも、私もいつまでもばらしーに頼っていられないから、ばらしーがいない生活でも前に進んでいかなくちゃいけないんです、お姉様。」 水銀燈にはこれで本当に良かったのか、としか思えなかった。確かにあの二人が一番自分たちのことを知っていただろう。それでもどこか引っかかるところが沢山ある。 自分にできることは薔薇水晶の代わりをできるだけやってみせること。 ここまで考えたら、うちの教員はみんな薔薇水晶に頼りっぱなしだなと思った。穴埋めは相当大変そうだ。でも、みんなでやっていかなくては… 雪華綺晶宅 雪「この家も寂しくなったな。一人だとこんなに広いなんてな。泣いてはいられないか…。」 雪華綺晶はそう言って自分の眼帯を外して、薔薇水晶の眼帯を着けようとした… 雪「!!」 ラ「はい、有栖学園の皆さんはただの悲劇だと思っているようです。はい、確かに二号機は大破しました。ええ、そちらはまだ…しかし、計画のためとはあからさまにあのデザイン、眼帯はおかしくは無いですか? ………ええ、監視は続けます。 問題は人間に近すぎたことですね。あと、耐久性です。このペースで機械化を進めれば世界はすぐに手中に収まりますよ。………誰も私のことは気に掛けてないようです。はい…一葉様。」 THE END? 銀「まぁ、映画部にしては上出来ねぇ。」 薔「うん。みんな良く撮れてるね…。」 雛「少し寂しいのー。」 金「でも、これ学園祭で放送する映画なのにこれだけのエキストラどうやって集めたのかしらー?」 会長「勿論、他の学校から。美女が多いって言ったらすぐ集まったんです。」 蒼「今回の映画はリアルだったね。実際あったらホントにビビッちゃうな。」 翠「もし、蒼星石が機械でも翠星石は変わらないですよ。」 真「とりあえず、私たちの出番が少ないのだわ。」 雪「モグモグ……モグモグ(ポップコーンを食べている)」 ラ「いやぁ、私まで出演させてくれるとは…。」 蒼「でも、なんで二人とも眼帯してるんですか?」 翠「翠星石もずっと気になってたですぅ。」 雪&薔「実は……」 眼帯の下からは機械部品が!! 雪「皆気絶しちゃったね。」 薔「うん。映画で使ったセットなのに…。」 雪「映画みたくは行かないな。」 その後、皆の顔に落書きをしてばらきらは帰りました。                 ホントに終わり。
もしも、貴方の身近にいる人が… 雪華綺晶は日ごろお世話になっている薔薇水晶に眼帯を送るために眼帯を選んでいた。ファッション関係に詳しい水銀燈にも手伝ってもらっていた。 銀「雪華綺晶、眼帯なんてどれも一緒よぉ。」 いくら詳しいと言えど、流石に眼帯は洋服や眼鏡のように普通にファッションに使われないため、水銀燈にはどれも一緒に見えた。 雪「いえ、これなんか薄く模様が…こっちのは紐の部分が…!これは!のぼり龍が!」 雪華綺晶はもう夢中だ。 雪「お姉様。これだけ特徴があるのに全く分からないのですか!?」 銀「わ、わかったわよぉ!ちゃんと選ぶわよぉ!」 このまま説教モードに入られても非常に困るので話を遮った。仕方なく眼帯をよく見ると、雪華綺晶の言ったように全て工夫されていた。どれも特徴がある。と、ここで一つの疑問が浮かんだ。 銀「ところで何で薔薇水晶は眼帯してるの?」 雪「実は…」 真剣な表情で雪華綺晶は水銀燈を見つめる。水銀燈もそれにつられて真剣な表情に。 雪「………知りません。」 銀「………。」 バシッ!水銀燈は無言で雪華綺晶を叩いた。 雪「痛!何で…」 バシッ!バシッ!無言で水銀燈は叩き続ける。結局、薄く花の模様の描かれている眼帯を購入した。 雪「ボケが古典的過ぎたかな?でも、ばらしーの眼帯の理由か……ホントに知らないな、訊いてみよう。」 ばらきら宅。 雪「ばらしー。ただいまー!」 薔「おかえり。お姉ちゃん。」 雪「実はプレゼントがあるんだ。」 薔「…え?何かな……?」 薔薇水晶はゆっくりと包みを開いていく。 薔「…眼帯だ。ありがとう!」 薔薇水晶はとても嬉しそうだった。 雪「今日、お姉様と一緒に買いに行ってきたんだ。」 薔「…それじゃ、銀ちゃんにもお礼言っておかないと…」 雪「ばらしー、折角だから今着けてみたら?絶対似合うよ。」 この発言が平穏な日々を崩す引き金となった。 薔薇水晶は頷き、ゆっくりと眼帯を外していった。ここで雪華綺晶は水銀燈との会話を思い出した。薔薇水晶の眼帯の理由。 眼帯が外れた。雪華綺晶は言葉を失った。眼帯の下にあったのは普通の目でもなく、病に犯された目でもなく、機械部品だった。カメラのような。何がどうなっているのか分からなかった。あまりにうろたえている雪華綺晶の様子を心配して薔薇水晶が声を掛けた。 薔「お姉ちゃん?どうしたの?」 雪華綺晶は我に返った。 雪「い、いや…何でもない。」 ショックでこう答えることしか雪華綺晶にはできなかった。 その夜、雪華綺晶は困惑していた。薔薇水晶のことを考えるたびにあの剥き出しになったカメラアイのようなものが鮮明に浮かび上がった。 一体、薔薇水晶に何があったのか?しかし、本人もそのことを知らないような素振りだったし、大体、目を機械にしたのなら眼帯は要らない。雪華綺晶には何故かあの事実を知っただけで今までの薔薇水晶との思い出が崩れ去ったように思えた。 翌日。 雪華綺晶は一日中怯えていた。あの事実が今まで誰にもバレなかったが、今日にも誰かが気付きそうで怖かった。雪華綺晶のこの予想は当たってしまった。仕事をサボっていた水銀燈を薔薇水晶と蒼星石が保健室まで連れて行くことになった。 薔「ほら…銀ちゃん。仕事しなきゃ…。」 蒼「もう、ほら着いたよ。水銀燈先生。」 水銀燈は縄に縛られて引きづられて保健室に着いた。 蒼「保健教員なんだから、仕事しっかりしてほしいね。ところで薔薇水晶先生。眼帯換えました?」 薔「…はい。似合いますか?」 蒼「ええ、とっても。」 縄を解かれても水銀燈はふてくされている。どうでもいいが。 薔「実はこれ……姉と水銀燈先生が買ってきてくれたんです。ね、銀ちゃん。」 水銀燈はそっぽを向いた。少し頬が赤らめているのが分かる。 蒼「へぇ、水銀燈先生もたまにはいいことするんですね。」 銀「たまにはって何よぉ。いつもいいことばっかりしてるじゃない。」 蒼「でも、何で眼帯をしてるんですか?」 銀(スルーされた…?) 薔「え?え、えと…」 薔薇水晶本人が相当困惑している。 蒼「別に無理に言わなくていいですよ。僕も変なことを聞いてごめんなさい。」 銀「あらぁ?蒼星石先生は本当にデリカシーが無いんですねぇ。」 水銀燈がうさ晴らしと言わんばかりに言ってくる。 薔「実は……よく知らないんです…小さい頃から左目が見えないのは分かってましたが……理由は知りません。」 蒼&銀「は?」 保険医らしくないが保険医もいるので診療することになった。やはり、薔薇水晶は昨日のようにゆっくり眼帯を外していく。 二人が予想したのに反し、眼帯の下からはロボットの目とも思えるカメラのようなものが出てきた。 銀&蒼「!!!」 薔「ど、どうかしましたか?」 薔薇水晶が恐る恐る声を掛ける。二人は慌てて何でも無いと言って薔薇水晶を保健室から退室させた。 蒼「あれって…」 銀「今日あった事は絶対しゃべっちゃ駄目よ!」 蒼「わ、わかった…。」 しかし、この後事態は最悪を迎える。 職員室にてもう放課後で全教員が揃っていた。 翠星石が雛苺をまたからかっていた。雪華綺晶と水銀燈と蒼星石は一刻も早く帰りたくてしょうがなかった。 雛「ヒナのうにゅー!」 追いかけっこ状態だった。ドン!雛苺があろうことか薔薇水晶にぶつかった。その時、ゆるかった眼帯が外れてしまった。 雛「薔薇水晶先生、ごめんなさ…!」 薔「??」 雛苺だけ無く、全教員が愕然としていた。 金「目、目が………。」 薔薇水晶は金糸雀に言われた左目に手を当ててみる。そこには人間の肌でない異質なものがあった。ちょうど壁に掛かっていた鏡でその異質なものが何だかを理解する。薔薇水晶はそのショックで気絶してしまった。 金糸雀の解析の結果。薔薇水晶は表面以外はほとんどが機械部品で構成させられていることが分かった。 真「とりあえず、雪華綺晶先生。あなたは何か知ってるの?」 真紅が話を切り出した。ほとんどの教員がパニック状態だった。雪華綺晶は昨日眼帯をプレゼントしたときにはじめて気付いたことを伝えた。しかし、その声は震えていた。 真「落ち着いて、雪華綺晶先生。もしかしたらあの薔薇水晶先生は偽者かも知れないのだわ。校長。貴方何か知っているんじゃなくて?」 真紅は鋭い視線をローゼンに向ける。もし悪戯なら今回のは少しやり過ぎだ。だが意外にもローゼンは今回のことに関してだけは全く関与が無いと言う。埒が空かないので、本人を拘束して聞きだすことにした。 翠「起きたですか?さっさと本物を出すです!」 翠星石が怒鳴るように問いだす。 蒼「翠星石、落ち着いて。」 とりあえず、順を追って質問するが、訊けば訊くほど本人であると言う確証が出てくる。薔薇水晶はずっと機械だったのか? 生まれてからずっと…そうとしか思えない状況になっていく。 雪「ばらしー、だよね?」 薔「……うん…」 雪華綺晶は最後に確認した。誰がどんな質問をしても答えられる。もう疑いようはなかった。雪華綺晶は妹を抱きしめ、ただごめん、と繰り返した。 一番落ち着いている真紅が混乱している薔薇水晶に状況を説明した。本人は相当ショックだったみたいだが今度は意識を保っていられた。 翠「もし、蒼星石が…機械だったら、翠星石は雪華綺晶みたく認められるでしょうか?」 蒼「…雪華綺晶先生は凄いね…自分も悩んでしまいそうだよ、翠星石。」 銀「………」 まだ水銀燈は現実を直視できていないようである。 金「明日からどうやって話しかけたらいいのかしら…?」 雛「いつも通りでいいと思うの。」 真「そうね。雛苺の言うとおりなのだわ。」 それから、一週間。 みんないつも通り振舞ったつもりだがどこかぎこちなく一週間が過ぎた。みんなはやはり薔薇水晶のことに気を使ってしまう。生徒にはこの事実は知らせていないが生徒にばれたら大惨事になる。 ドカーン! 生徒A「また金糸雀先生の実験が原因で火災が発生しました!」 真「爆発だけならまだしも、火災は危険ね。」 だいたいの生徒は避難が済んでいたが、一人の女子生徒が逃げ遅れていた。 蒼「大変だ!消防車は!?」 雛「あと十分は掛かるらしーのー!」 薔「……私が、行きます…」 銀「何言ってるの!あなただって……」 ここから先は何も言えなくなった。 薔薇水晶はゆっくりと赤く燃える理科室に踏み込んだ。女子生徒が姿勢を低くしている。 薔「…助けに来たよ。」 泣いている女子生徒の手を引いて安全なルートを通っていく。ゴト。何かの拍子に薬品がこぼれた。 薔「!!危ない!」 薬品が大爆発をした。 五分後…薔薇水晶が女子生徒を抱えて校舎からでてきた。だが、その体はぼろぼろでところどころ機械がむき出しになっていた。みんなが薔薇水晶と女子生徒を支えに駆け寄った。女子生徒は気絶していた。 薔薇水晶は女子生徒の安全を確認するとその場に倒れてしまった。薔薇水晶の姿を見た生徒たちは騒ぎだした。 銀「静かにしなさい!!」 水銀燈が一喝した。生徒のどよめきが消える。水銀燈の目には涙が浮かんでいる。 薔薇水晶の傷は深刻だった。動力炉が傷つけられていて、これ以上の負荷には耐えられないということが分かった。 銀「誰か、直せないの!!」 水銀燈が叫ぶが教師にそんなことできる人間がいない。金糸雀も駄目なのだから仕方ない。雪華綺晶は薔薇水晶の近くで泣いている。 薔「……おねえ、ちゃん……。」 雪「ば、ばらしー!!」 みんなが駆け寄ってくる。 薔「……もう、駄目みたい…でも、聞いて。……もう私に悔いは無いから、大丈夫だよ……銀ちゃんとも沢山話せ……………金糸雀先生の実験も、面白かった…し……… 翠星石先、生には……悪戯もされたけど…それも楽しかった…蒼、星石先生とみん…なのこと止めること、もでき…た……真、紅先生とも飲みに行ったりもできた…… 雛苺先生とも遊べた…大切なこいび…と…も………おねえちゃ……」 雪「!!」 その後、薔薇水晶ではなく機械の声で「機能停止」と言う声がするとそのまま薔薇水晶は永遠に動かなくなった。 後日… 薔薇水晶の葬儀は事実を知っているほんの僅かな人数で行われた。その中に薔薇水晶に救助された女子生徒もいた。 銀「あなたはこれで良かったの?雪華綺晶。」 雪「…良くない、かも知れません。私は全然姉らしいことは何一つできなかった。でも、妹はばらしーは、満足してるようでした。私は……。」 雪華綺晶は涙こそ見せなかったが泣いているように見えた。何か水銀燈は雪華綺晶にしてあげたかったが何もできなかった。 雪「でも、私もいつまでもばらしーに頼っていられないから、ばらしーがいない生活でも前に進んでいかなくちゃいけないんです、お姉様。」 水銀燈にはこれで本当に良かったのか、としか思えなかった。確かにあの二人が一番自分たちのことを知っていただろう。それでもどこか引っかかるところが沢山ある。 自分にできることは薔薇水晶の代わりをできるだけやってみせること。 ここまで考えたら、うちの教員はみんな薔薇水晶に頼りっぱなしだなと思った。穴埋めは相当大変そうだ。でも、みんなでやっていかなくては… 雪華綺晶宅 雪「この家も寂しくなったな。一人だとこんなに広いなんてな。泣いてはいられないか…。」 雪華綺晶はそう言って自分の眼帯を外して、薔薇水晶の眼帯を着けようとした… 雪「!!」 ラ「はい、有栖学園の皆さんはただの悲劇だと思っているようです。はい、確かに二号機は大破しました。ええ、そちらはまだ…しかし、計画のためとはあからさまにあのデザイン、眼帯はおかしくは無いですか? ………ええ、監視は続けます。 問題は人間に近すぎたことですね。あと、耐久性です。このペースで機械化を進めれば世界はすぐに手中に収まりますよ。………誰も私のことは気に掛けてないようです。はい…一葉様。」 THE END? 銀「まぁ、映画部にしては上出来ねぇ。」 薔「うん。みんな良く撮れてるね…。」 雛「少し寂しいのー。」 金「でも、これ学園祭で放送する映画なのにこれだけのエキストラどうやって集めたのかしらー?」 会長「勿論、他の学校から。美女が多いって言ったらすぐ集まったんです。」 蒼「今回の映画はリアルだったね。実際あったらホントにビビッちゃうな。」 翠「もし、蒼星石が機械でも翠星石は変わらないですよ。」 真「とりあえず、私たちの出番が少ないのだわ。」 雪「モグモグ……モグモグ(ポップコーンを食べている)」 ラ「いやぁ、私まで出演させてくれるとは…。」 蒼「でも、なんで二人とも眼帯してるんですか?」 翠「翠星石もずっと気になってたですぅ。」 雪&薔「実は……」 眼帯の下からは機械部品が!! 雪「皆気絶しちゃったね。」 薔「うん。映画で使ったセットなのに…。」 雪「映画みたくは行かないな。」 その後、皆の顔に落書きをしてばらきらは帰りました。                 ホントに終わり。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
目安箱バナー