緑色のGMが、独自解釈を交えてまとめた世界設定。
間違っている部分も、たくさんありそうな気がする。



フォルシウス大陸

全ての始まりとなる『始源の巨人』から生まれたとされる大陸の一つ。
大まかには、ソード・ワールドの公式世界『フォーセリア』と互換するが
大陸の形状や各国の設定等、細かい部分には大きな隔たりがある。

古代王国の滅亡

数千年、あるいは万年続いたと言われる強大な魔法使いの王国は
更なる魔法を生み出すべく造られた『魔力の塔』の崩壊と共に終焉を迎えた。
それ以後は、かつて魔法を扱えず、蛮族と蔑まれた人間たちが勢力を増し、
この古代王国が滅亡した年を、新王国歴元年とする、新たな時代が始まった。

第一次世界大戦

新王国歴236年に勃発して、世界的な広がりを見せた大戦争。
かつては『大戦』と称されていたが、第二次世界大戦が始まった後は
この大戦争を指して『第一次世界大戦』と呼ぶようになった。
現在では記録に語られるのみで、その傷跡も既に霞んで見える。

第二次世界大戦

聖王国ジャスティスが、草原の国グレイトフルデッドを越えて
当時のノトーリアス王国領に侵攻したことに端を発する世界的戦争。
開始は新王国歴470年で、480年頃には全体的に沈静化していたが
その間で各地の勢力図及び国境の位置は、大きく揺れ動くことになった。
特に、西方諸国への侵攻を強めたエンプレスは、その勢力を大きく増し、
北方のサージェス共和国、そして新興国リンドホルムの三ヶ国が
この時から『中央三華国』の異名で呼ばれるようになったのである。
逆に、発端となったノトーリアスは、新たに誕生したリンドホルム王国に
国土の四割程度を奪われ、大陸の覇権から一気に遠ざかる結果となった。
ちなみに、もう一つの発端である聖王国ジャスティスは、戦争の途中からは
リンドホルムのバックアップに回ったため、戦争での利益は少なかったが
言い方を変えれば、最小の被害でノトーリアスに大打撃を与えたのである。

中央三華国

リンドホルム、サージェス、エンプレスの三国が形成する
三角形の地帯を指して、こういう呼び方がされることがあるが
この三国は国家的権威、商業規模、あるいは領土、人口等において
他の国を圧倒する勢力を持ち、大陸の覇権を争うに相応しい地位にある。
その次に位置するのがジャスティス、あるいはノトーリアスとされており、
大陸中部に位置する主要国は、いずれも強大な勢力を持つことで知られる。
国力で言えば、リンドホルムはこの三ヶ国の中で頭一つほど下と言えるが
それでも大きな評価を受けているのは、多数の遺跡が存在する地域を抑え、
多くの冒険者たち、つまり未知の戦力を抱え込んでいる点に起因している。


リンドホルム [東方語]

新王国歴470年から始まった第二次世界大戦に『新王国軍』として参戦し、
大陸中部の領土を勝ち取った新興国、それがリンドホルム王国である。
建国王であるウォルグ・リーフは、かつては冒険者として活動しており、
現在の『冒険者の街』アスケル付近にある『最も深き迷宮』へと潜り、
エルダー・ドラゴンを討ち果たして生還した、ドラゴンスレイヤーである。
現役を退いた現在においても、フォルシウス大陸最強の剣士と目されており、
彼が治めるこの国には、そうした英雄譚に憧れた冒険者たちが集まるため、
今では『冒険者の国』の二つ名で呼ばれ、夢と希望の都とも言われている。
また、国王も挑戦した『最も深き迷宮』を始めとする大規模な遺跡群は
多くの古代王国の遺産をもたらすため、発掘されたそれらが市場にも出回り、
未だかつてない規模のマジックアイテム・マーケットが展開されている。
冒険者という存在に対するイメージの良さ、そして厚遇は大陸でも指折りで
ある意味では、この国は冒険者の存在無しには決して回らない国と言える。
第二次世界大戦におけるジャスティスとの同盟関係は、今も続いており、
各地の邪悪の調査という名目で、神官が派遣されてくることも珍しくない。

『王都』ダール

『冒険者の国』として名高いリンドホルム王国の首都。
その規模はフォルシウス大陸内でも指折りで、特に多くの冒険者が集まり、
彼らに対して商売をする商人が集まり、雇用が発生する場所に人々が集まる。
また、大陸最大と言われるマイリー大神殿には、やはり多くの信者が集まり、
この都市の賑やかさや、治安の維持に深く貢献していることもあり、
そうして未だにその規模を増しつつある、まさに有数の大都市と言える。
そこには良きにせよ悪きにせよ、多くの新たなる出会いが存在する。

祝福と祈願亭

この店は、リンドホルム王国の王都ダールにある冒険者の店である。
大陸最大と言われるマイリー神殿の近くに店を構えていることもあり、
店の構えからして、冒険者の店の中では品の良い方になっており、
マイリー神官や非番の衛兵なども、この店内では特に珍しくはない。
とはいえ裕福な商人や貴族には物足りない店であることは間違いなく、
また店側としても、そうした客は基本的に想定していないらしい。
あくまで冒険者の店であり、メインターゲットは冒険者なのだ。

『防壁の街』バルオード

リンドホルム王国の北東端、『蝕まれた大地』に隣接した街。
その名の通り、四重の防壁が張り巡らされた要塞となっている。
古代王国の崩壊以後、ここは人間と妖魔の戦いと共に発展し、
歴史の中で幾度も奪われ、奪い返してきた戦いの土地として知られる。
防壁のうち三層は、リンドホルム建国後にも破られたことがあるが
最後の防壁を破られる前に、英雄的傭兵『鋼の』ジアスの活躍により
妖魔の軍勢は押し返され、現在は全ての防壁が強化修復されている。

虹のきらめき亭

この店は、リンドホルム王国の防壁の街バルオードにある冒険者の店である。
街の南区に属する区域の中でも、中央区に程近い位置に店舗を構えており、
バルオード生まれでバルオード育ちの店主、バスカイアーが経営している。
冒険者の店として、特に秀でたところも劣ったところも無い店ではあるが
立地は悪くないため、初めてこの街を訪れた冒険者等がよく利用している。
反面、ある程度この街での身の振り方が決まってきた冒険者の場合は、
自身が良く利用する施設の近くにある店に移動することが多いようだ。

『宿場町』ターネット

リンドホルム中部から、北部へと向かう街道沿いにある宿場町。
宿場町と言っても、強固な城壁に覆われた大きな宿屋があるだけだが
壁の外に集まった人々によって、今や小さな町が形作られている。
この大きな宿屋は、元々は砦だったものを改装して宿にしているためか
かなり物々しい造りで、野盗や妖魔の襲撃にも充分に対応できるため
中部と北部を往来する旅人は、この宿に安心と安全を求めて宿泊する。
もちろん壁の外にも宿屋はあるが、あまり質が良いものではなく
あくまでこの町は、宿屋『ターネット・イン』による町なのだ。

ターネット・イン

かつて貴族家だったフリード家は、リンドホルム王国が独立する際に
現国王ウォルグ・リーフと敵対する位置に身を置いて戦ったため、
リンドホルム王国の建国と共に、名誉を剥奪されて没落してしまった。
次期当主リンク・フリードに相続されたのは、街道に程近い、古い砦であり
彼はその砦を改装して、この『ターネット・イン』を造ったのである。
程なくして街道の流れが、この宿屋を経由する形に自然と変更されたことで、
フリード家は貴族としてではなく、商人として名を馳せることになった。

黄金の風の森

リンドホルム王国の王都ダールに程近い位置にある、大規模なエルフの森。
多くのエルフ氏族の集落が点在しており、一部は人間との交流も盛んだが、
全ての氏族が人間、そしてリンドホルムに対して友好的というわけではない。

ターファン氏族

リンドホルムの中央部、王都ダールに程近い『黄金の風の森』に
多数あるエルフ氏族のうちの一つであり、基本的には弱小勢力である。
ここのエルフは人間を疎んでいる者が多く、ほとんど交流はないようだ。
稀に人間と交流を持つ者もおり、極少数のハーフエルフも存在するが
大抵は森の戦士としての貢献によってのみ、氏族で生きる権利を得る。

シルヴァニアの森

リンドホルムの北東部、『蝕まれた大地』に近い広大な森林地帯をこう呼ぶ。
ここのエルフは人間を好んでおらず、ハーフエルフの立場も低くなっている。
『蝕まれた大地』から湧き出てくる妖魔との戦いでも、人間とは協力せず
自らの里を守る行動に終始するのみとなっているが、それもそのはずで、
彼らはそもそも、里内にある『黄金樹』を守るために存在する氏族であり、
里を離れて戦うという選択肢自体が、彼らの中ではあり得ないのである。

黄金樹

シルヴァニアの里には、黄金樹と呼ばれる特別な樹が存在する。
これらは古代王国の時代に植えられた、強い生命力を持つ魔法樹であり、
一説によると、世界樹(植物の精霊界)と繋がっているとも言われている。
200~500年程度の長い周期の中で、一枚だけ生まれる特別に輝く葉は
その名の通り、黄金の光を放っており、多量の生命エネルギーを宿している。
それは生命と植物の精霊が混合した状態の、生命活動のエネルギーに近く、
正しい使い方をすれば、人間一人を生き返らせることもできるとされる。
ただし、その正しい使い方は秘匿とされており、ほとんど知る者はいない。

グランド・メイトロン

シルヴァニアの里を守る、三人の族長を指してこう呼ぶ。
その名が示すように、この役目は常に女性に対して任されるもので
シルヴァニアの里では、男性は主に里を外敵から守る役割があり、
女性には、里の内部を取りまとめる役割があると考えられている。
そして、一人のグランド・メイトロンの意思による暴走であったり
在位中に死去した際の混乱による、黄金樹の管理の空白期間を避けるため
常に三人のグランド・メイトロンが、互いを監視することになっている。
ただし、先代のグランド・メイトロンの意見を主として選出されるため、
各々の思想信条に関わらず、黄金樹を守るという意思は強固である。


鉄の王国 [ドワーフ語]

リンドホルム王国と『蝕まれた大地』に程近い位置に首都を構えており、
リンドホルム王国領の地下にまで大規模なトンネルを持つ、ドワーフの国。
国王は『石の王』ギルレイ・ゾーク。鉄の王国における最強の戦士でもあり、
かつてはリンドホルム国王ウォルグ・リーフとも共に戦った経験を持ち、
それ故にリンドホルムとの関係を非常に重要視している、最大の友好国である。
多数の優れた職人を抱えており、それらが質の良い武具や工芸品を輸出しつつ
リンドホルムからは、彼らの大好物である上質なエールを輸入している。

旧王国跡

かつて『鉄の王国』の首都があった場所だが、現在は利用されていない。
というのも、旧王国跡は現在の『蝕まれた大地』の地下に位置しており
多数の妖魔が流入していることもそうだが、かつてミスリルの鉱脈があり
古代王国の指示により大規模な採掘を行っていたところ、地下深くに眠る
炎の魔神バルログを呼び覚ましてしまい、近寄れなくなったのである。

炎の魔神バルログ

魔神と呼ばれているが、ゲイツの支配する魔界に存在する種とは異なり
むしろ神そのものに近い種族であると考えられる、恐るべき超越種。
古代王国ですら、支配することも、永劫に封印することもできなかった。
強大な暗黒魔法は『邪悪なる炎の神』に起因する力とされている。

邪悪なる炎の神

その存在のみが囁かれる、太古の邪神の一柱。
人類には、その力を借りることができる種族は存在せず
そもそも炎の魔神バルログが、その神に関わること以外は
ほとんど何も分かっていない、謎に包まれた存在である。
一説によると、始源の炎と密接に関係しているとか……

妖精の炉

旧王国跡の『炎の祭壇』の奥にある、始源の炎が現出している空間。
炎そのものでなければ、近付くだけで燃え尽きてしまうほどの高熱で、
人間が立ち入るためには『エフリート・ブレッシング』の加護が必要。
それを用いてすら、祭壇の奥では凄まじい高熱を浴びることになる。
始源の炎は、魔法を宿したミスリルすらも容易く溶解してしまうが、
古代王国の時代には、稀少金属の加工に用いられた記録があるらしい。

エフリート・ブレッシング

炎の上位精霊エフリートの加護が宿された首飾り。
ほとんど全ての火炎による高熱を無効化する、凄まじい力を持つが
これだけの加護ですら『妖精の炉』の炎を凌ぐことはできない。
これは始源の炎が、エフリートよりも明確に強大な存在であることを示す。
現在は『鉄の王国』の『石の王』ギルレイ・ゾークが所有している。


蝕まれた大地

リンドホルム王国の北東に位置する、荒涼たる穢れた大地。
かつて古代王国の時代に、主に妖魔を犠牲とした様々な実験が行われ
結果として現在、大地そのものが腐り果てたという、呪われた地である。
空は常に厚い暗雲に覆われ、森に分け入れば、陽の光さえも届かない。
そうした土地は妖魔、特にダークエルフにとっては得難い楽園である。
実験に用いられた妖魔たちは、古代王国の崩壊と共に解放され、
今現在に至るまで、光の種族の干渉を退け、独自の勢力を築いている。
リンドホルム王国に隣接する側は『防壁の街』バルオードの防壁と、
ドワーフの王国『鉄の王国』の防衛網によって防がれている上、
この大地の東から北東、そして北側にかけては『無の砂漠』と呼ばれる
精霊力の失われた土地が広がり、いかな妖魔とて越えることは叶わず
結果として『蝕まれた大地』に勢力を押し留められる形になっている。
そのため妖魔は、現在の『防壁の街』バルオードがある土地に対して、
幾度も攻撃を試みては、この土地を人間の手から奪ったこともあるが、
リンドホルム王国が誕生してからは、防壁の守りがより堅固になったため
混成部隊による大侵攻すら退けられ、戦力の立て直しを迫られている。
ちなみにドワーフの『鉄の王国』の旧王国跡は、『蝕まれた大地』から
地下トンネルを通って侵入できるため、そこにも妖魔が流入しているが
炎の魔神バルログがいるため、大部隊が通行することは不可能であり
未だかつて、ここが妖魔たちの進軍経路として使用されたことはない。

支配者たち

少なくともリンドホルム側が確認しているだけでも『蝕まれた大地』には
三体の『ロード』が存在したとされるが、これは妖魔に限った話ではなく、
確認された三体はオーガー、ダークエルフ、ディスプレイサー・ビーストと
その種族も性質も全く異なり、それぞれが炎、氷、雷に類する力を持つ。
ただしこのうち、ディスプレイサー・ビースト種のロードである
『雷獣』ゴルトシアは、既にドワーフの王国によって打倒されている。


ノトーリアス [東方語]

別名『混沌の国』。ゲイツを国教と定めており、国の体は成しているものの
実質的な支配者はゲイツ教団及び盗賊ギルドとなっている、自由と悪徳の国。
現在のリンドホルム王国領の一部を治めていたが、第二次世界大戦において
ウォルグ・リーフ率いる新王国軍と、聖王国ジャスティスの連合軍に敗れ、
苦汁を舐めさせられたことから、リンドホルム王国を強烈に敵視している。
また、ゲイツ神の印象が強いが、ファリス神とマイリー神以外の五大神、
特にマーファ神に関する信仰は国内にもそれなりの規模を持っているため、
決してこの王国の全てが邪悪によって構成されているというわけではない。
ただし、街中でダークエルフを見かけるのは、この国くらいのもので、
色々な意味で特別な国であり、実力のある者には住みやすい国でもある。

盗賊ギルド

ノトーリアスの盗賊ギルドは、イコール暗殺者ギルドでもある。
その規模は大陸有数であり、最大とされるエンプレスに並び称される。
それもそのはず、このギルドは実質的にノトーリアスの支配階級であり、
ギルドマスターである『炎の華』と呼ばれるダークエルフの女性は、
大陸最強の盗賊または暗殺者として、その名を裏世界に轟かせている。
かつての第二次世界大戦にて、現リンドホルムの盗賊ギルド『夜の霧』の
ギルドマスターであるラフィティアと、浅からぬ因縁が結ばれたのだとか。
基本的には、このギルドを敵に回して、国内で生き延びる術はない。
構成員はあらゆる場所に潜んでおり、あらゆる手でその命を狙ってくる。
彼らが本気になれば、国そのものを動かすこともできてしまうのだから。


エンプレス [西方語]

女王ミルズが治める、大陸中部に広大な領土を持つ軍事国家。
かつての第二次世界大戦において、西方諸国に支配の手を広げており
国土面積では、フォルシウス大陸に現存する国家では随一を誇る。
もちろん『中央三華国』の名に恥じず、その経済規模も軍事力も
文句無くトップクラスであり、大陸の覇権に最も近い国の一つと言える。
それだけでなく、近年においては東方と西方の交流拠点にもなっており、
『文化の門』の異名でも呼ばれ、新たな世界標準を生み出している。

『大都』レンシア

エンプレス王国の首都であり、二つ名が示す通り、巨大な都市である。
何と言っても特徴的なのは、都市内に大きな闘技場を備えており、
連日のように試合が提供され、市民たちを熱狂の渦に包み込んでいる。
また、最も国際的な都市とも言われており、店先に建ち並ぶ看板は
西方語だけでなく、東方語あるいはドワーフ語で書かれたものも多く、
共通語を喋れる者も、他の都市に比べると非常に多いと言われている。
盗賊ギルド『百の目と耳』の本拠地も、この都のどこかに存在する。

『十字の街』クロス

『交易の交差点』とも呼ばれる、エンプレスの重要な交易拠点の一つ。
エンプレス国内でも西寄りの位置にあり、更に西側との交易で栄えているため、
街中で東方語による会話や表記を見る機会は、ほとんど無くなっている。
ただし、魔術師ギルド等、より文化的と言える施設を利用する際には
東方語や共通語が通じる可能性が高く、悲観するほどのことはないようだ。

飛翔する野兎亭

テーブルの上に兎の置物が置いてある、至って普通の酒場である。
至って普通ではあるが、提供される料理は兎料理メインとなっている。
『飛翔する野兎』とは、ポメロと呼ばれる幻獣と共に現れることの多い幻獣で
飛翔するといっても微々たるもので、成人男性の胸元程度までしか浮かばない。

盗賊ギルド『百の目と耳』

エンプレスの盗賊ギルドは、その規模において大陸最大と認識される。
東方と西方の情報があまねく集まる場所にあり、多くの余所者が訪れ、
しのぎを削り合った結果として、ごく自然に規模を増していった。
ただし、統率は高くなく、多くの者がギルドマスターの地位を狙い、
ギルド内でも派閥抗争が激しいことでも知られるが、そうした争いを
日常的に行っている彼らは、敵に対して非常に敏感になっており、
彼らと敵対することは、おおよそ賢明な者の行動とは思われない。
ちなみに現在のギルドマスターは『千里眼』イシュトとされており
彼の体制に反対する勢力が、当然のように存在している現状でも
その身を守るための影響力を維持している、大陸指折りの盗賊である。

ブラック・マーケット

盗賊ギルドの規模が随一であれば、当然として闇市の規模も随一となる。
冒険者にとって、表市場が最も盛況なのはリンドホルムかもしれないが
裏市場、ブラック・マーケットの規模ならば、エンプレスに勝る国は無い。
どんな非合法な物でも、ここならば買い手が見つかるとも言われており、
逆を言えば、とても他人に売れない物は、ここに持ち込まれる可能性が高い。
エンプレスに領土を持つ貴族家の家宝でも、この市場では単なる品物なのだ。


グレイトフルデッド [東方語]

『中央三華国』に囲まれる位置にある、国土のほとんどが草原の国。
実際は国としての体は成しておらず、各地に散らばった多様な種族から
何人かの代表が選出され、儀礼的な政治が行われるに過ぎない。
ただし、外敵に対しては一致団結して立ち向かうため、古代王国の滅亡以後、
この草原を支配しようとした試みは、ことごとく失敗に終わっている。
この草原は、大陸のほとんどのグラスランナーの故郷とされており、
グラスランナーが子育てを行う隠し集落が存在するとも言われている。
また、ケンタウロスが大きな群れを持っているのも、この草原だけである。


ジャスティス [西方語]

西方諸国で最大規模の国家であり、聖王国の異名を持つファリス信仰の国。
ただし、この国にとっての王とは『法王』、つまりファリス最高司祭である。
現在は女性、つまり『ハイプリエステス』ミドラー最高司祭がその地位に就き、
聖王国ジャスティスを更なる光の領域へと押し上げようと尽力している。
フォルシウス大陸内で、ファリス信者が最も多い国としても知られており、
もしもこの聖王国が、決して見過ごせない強大な邪悪と相対した際には
法王の『聖戦』によって、彼らは恐るべき軍団と化すだろうと言われている。
ちなみに第二次世界大戦中にも『聖戦』が使用されることはなかったが、
それでもグレイトフルデッドを越え、ノトーリアスへと行った大遠征は
聖王国ジャスティスの強大な国力と団結を、周辺各国に示す結果となった。

『聖都』エンヤ

聖王国ジャスティスの広大な国土において、ほぼ中央に位置しており、
あらゆる意味で聖王国の中心となっている都市が、この聖都エンヤである。
西方で、そしてフォルシウス大陸で最大規模のファリス大神殿を擁しており、
神殿を中心として、ファリス神のホーリーシンボルである光十字の形に
区画整理された、美しく整然とした大都市は、西方最大はもちろんのこと、
大陸内でも最大規模の、そして最も美しい都市と言っても過言ではない。

おこぼれ加護亭

聖王国ジャスティス内では、冒険者の地位はあまり高くないが
その中でも聖都エンヤは、アウトローには住みづらい土地である。
そこに堂々と建てられた冒険者の店が、この『おこぼれ加護亭』だ。
あわよくばファリス神の加護のおこぼれに預かろうとする
冒険者の悲しい実情を示すその店名は、店主が考案したもので
いかにも格好が付かないが、店自体は意外と盛況な様子である。


エルリノ [西方語]

西方の小国。代々の女王に統治された、特に語るべき特徴もない国。
名産はチーズであり、エルリノチーズの名は、通ならば必ず知っている。
宮廷の地下に古代遺跡の存在が確認されたのは、ごく最近のことであり
その全容は未だ解明されておらず、その情報そのものが秘匿されている。
古代王国の崩壊直後は、契約から解放された暗黒竜(ダース・ドラゴン)の
ティラナスがこの地を支配したが、何者かに倒されたことだけが知られる。


ノーザリア [西方語]

山脈に囲まれた、西方の王国。古代王国時代は実験場として使われており
魔力の塔の崩壊と共に土地は荒れ果てたが、魔術師イハーサの出現によって
四季の自然に囲まれた美しい土地へと生まれ変わり、今に至っている。
ノーザリア自体の規模は小さく、歴史と四季以外には目立った特徴も無い。
ちなみに『超竜山脈』ドラゴンズ・ドリームの東端に隣接する位置にある。


ドラゴンズ・ドリーム [リザードマン語]

『超竜山脈』とも呼ばれ、未だにドラゴンが多く棲息する山脈。
大陸中で最も多くのリザードマンの集落があるとも言われており、
リザードマンはドラゴンを信仰し、ドラゴンはリザードマンを庇護する。
ドラゴンスレイヤーの称号を得るために、幾多の戦士たちが挑戦したが
無事にドラゴンを討ち果たして英雄となった者は、ほんの一握りである。


中東乾燥地帯

フォルシウス大陸東部、東方語圏内の中央に横たわる乾燥地帯。
そのほとんどはドノヴァン砂漠が占めており、砂漠地帯とも呼ばれる。
気候は一年を通して暑く、照りつける日差しが旅人の体力を奪う。
かつて古代王国の時代には、環境制御が行われていた記録があるが
『魔力の塔』の崩壊で失われ、以前より厳しい環境になったとされる。
砂の中に遺跡が埋もれているとされるが、発見例は非常に少ない。
また、厳しい土地であることから、調査もほとんど進んでいないため、
逆に穴場でもあり、一つの発見で巨万の富が得られるとも言われるが
棲息するモンスターへの対策等も必要で、リスクは非常に大きい。
ちなみに『商業連合』エーンからハードバンク王国に向かう街道は
この砂漠を北回りで迂回しているものの、通称『案内人』と呼ばれる
砂漠の民に案内を頼めば、ほぼ安全に抜けられることも知られているが
もし彼らの忠告を一つでも無視すれば、砂漠の塵と消える運命が待つ。


ハードバンク [東方語]

中東乾燥地帯の西側に隣接する、東方の通商の要とされる王国。
東は商業連合エーン、西はリンドホルム王国へと伸びる街道を占め、
北にはアースベルズ王国を望む、好立地に存在する国であり
商業規模だけなら、フォルシウス大陸内でも有数のものとなっている。
あいにく、珍しいマジックアイテムの類が出回ることは少ないが
日用品から交易品、特に鉄鉱石の流通が非常に盛んであることから
東方各国にとっては、この国との関係は決して軽視できないものがある。
国策として、商売の神としての神格を持つヤ・フーオクを推奨しており
首都スオンには、大陸でも最大規模のヤ・フーオク神殿があるが
むしろヤ・フーオク神殿の場所に、首都を移転した経緯があるため
首都の町並みは整然としており、商業区の広さも注目に値する。
現国王であるマース・デューティは、更なる商業規模拡大を目指し、
東方各国への街道整備を展開し、商人たちから多大な支持を得ているが
各国は『街道は軍用を兼ねており、領土戦争を仕掛けるつもりでは』と
ハードバンクの今後の動きに注視する立場を取る形になっている。
なお、奴隷に関しては、様々な国との交流を主とする関係上、
全面禁止にもできず、国内では人道的な扱いをすべしと定めており、
多くの商人たちは、この国で安全に商売をするため、その法律に従う。

『幸福都市』スオン

誰が呼んだか、幸福都市。ハードバンクは全体的に物価が安く、
特にこの首都スオンでは、明らかに他国よりも物が安く手に入る。
中には質の悪い物も混じっているが、概ねは通常の品質であり、
生活するにも、冒険者が装備を調えるにも、この街は都合が良い。
また、市民証の提示によって様々なサービス(駅馬車の利用等)が
タダ同然で受けられるが、これはスオンに家を持つ市民に限る。
ヤ・フーオク神が幸運と交流を司ることや、商業地であることから
余所者に対する差別や偏見が皆無であり(市民証は"区別"として)、
アウトローに属する冒険者にとっても快適な都市となっている。
ただしそれは表の顔で、裏には行きすぎた拝金主義によって
不正を働く商人、それを賄賂で見逃す役人等、腐敗した面も多い。
ちなみにヤ・フーオク神殿自体も、かなりの富を有しているが
少なくともコーズ・オルテン最高司祭が把握している限りのものは、
健全な信者の寄進による正当な神殿の運営、維持費用となっている。

盗賊ギルド『モバージュ』

この盗賊ギルドは、多くの者にとっての頭痛の種である。
国が禁止している麻薬の取引を、ハードバンク国内に開拓し、
莫大な利益を上げている、いわゆる反体制的なギルドであり
しばしば官憲と衝突し、事件を起こしていることで知られる。
奴隷に関しても非人道的な扱いが目立ち、テロ行為に利用したり
罪のない平民を浚って奴隷に仕立てることもあると言われている。
しかしその一方で、国外から流入してくる盗賊集団に対しては
苛烈なほどに厳しく、国内の秩序に一役買っている面もある。
国側が彼らの行動を制御しようという試みは、何度か行われたが
その行動に変化がないところを見ると、実を結んでいないようだ。


エーン [東方語]

フォルシウス大陸の最東端に位置する、通商条約を基盤とする諸国連合。
大陸で唯一、サン帝國との交易を行っており、東方文化発信の地として
それらを西へ西へと売り込むことで、莫大な利益を上げている。
特にサン帝國でしか生産されていない火薬や紙等は、この商業連合との
特別な取引を経なければ、まとまった数を手に入れることはできないため
この一帯と、大陸中部の『叡智の国』サーディスとの交流の歴史は、
古代王国の崩壊直後、商業連合エーンの誕生より遙か以前まで遡る。


サン [サン語]

フォルシウス大陸の最東端に隣接する、サン諸島を支配している帝國。
大陸最東端の『商業連合』エーンとしか交流を行わない上、その交流ですら
必要最低限であり、フォルシウス大陸にはそのほとんどが知られていない。
また、そうした狭い世界に留まった結果として、大陸の多くの国とは異なる
独自の文化、風俗を持つ国へと発展、学者たちからは奇異の目で見られている。
宗教に対しては非常に大らかで、ほとんどの者は多宗教と言える価値観を持ち、
特に一柱の神を熱心に信仰したり、過剰に謙ったりすることは少ないが
多くは『太陽神』もしくは『愛の女神』と呼ばれるアマテラスを中心とした
万物に宿るとされる『八百万の神々』を信仰していると考えられている。
従って、光の神や中立神のみならず、暗黒神への信仰も概ね許容されるが
教義を守るために犯罪を犯せば、処罰を受けるという点においては変わらない。


最終更新:2011年11月26日 22:49