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新科学論議第3日(第5部)
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暮れから読み始め、ようやく第3日を読み終えました。 -- Leon (2009-01-04 11:58:41)
定理四以下の証明はもう少し見やすく書き直したいものです。どうすれば見やすくなるかアドバイスをお願いします。 -- Leon (2009-01-04 23:47:09)
自然加速運動の記述は、一様加速運動から始まり斜面の法則を経て、弦の法則で閉じられています。(残念ながら斜面の法則も、弦の法則もいまの教科書ではほとんど取り上げられません) -- Leon (2009-01-04 23:50:28)
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コメント:
.
定理3[68]
サグレード[69]
系[70]
定理4[71]
定理5[72]
定理6[73]
異なる証明[731]
系1~3[74]
定理3[68]
定 理三 命 題三
もし同一の可動体が同じ高さの斜面および鉛直線上を静止から出発して通過するならば、運動時間相互の比は、斜面の長さと鉛直線の長さとの比に等しいだろう。
斜面をAC、鉛直線をABとし、両者の水平線CBに対する高さは同一で、すなわち線分BAであるとせよ。その可動体の斜面AC上の下降時間が鉛直線AB上の落下時間に対して持つ比は、斜面ACの長さが鉛直線ABの長さに対して持つ比と同一であると主張する。何となれば。任意の線分DG、EI、FLが水平線CBに平行であると考えよ。前提から明らかなように、運動の始点Aから出発した可動体の点GとDにおける速さの度合は、水平線への接近が等しいので互いに等しい。同様にして点I、Eにおける度合も同一になり、またLとFにおける度合も同一になる。もしこれらの平行線だけでなく、線分AB上のすべての点から線分ACまで平行線を引くと考えるならば、各々の平行線の両端の点における速さのモメントゥムあるいは度合は常に互いに等しいだろう。それ故、二つの距離AC、ABは〔両者の対応する各点においてそれぞれ〕同一の速さの度合で通過される。ところで、もし二つの距離が同一の速さの度合で運動する可動体によって通過されるならば、距離が相互に持つ比は運動時間が相互に持つ比と同一であることが証明されている。よってAC上の運動時間対AB上の運動時間は斜面ACの長さ対鉛直線ABの長さに等しい。これが証明すべきことであった。
ここで,「ガリレオは微積分に接近している」と私は多分早とちりしているのですが,次のサグレードの言明を見るとやはりガリレオの根拠は「マートン規則」の域を出ていないかもしれません。(yokkun 10/10)
現代流には等加速度運動の基本式を使って簡単に証明できることですが、ここでの証明は独特です。「落下時間の比は距離の比になる」というこの定理三はこのあとくり返し使われます。(Leon 1/4)
サグレード[69]
私には、同じことがきわめて明瞭かつ簡潔に結論できるように思われます。というのは、AC、AB上を通過する加速運動〔の速さの度合〕の総和〔la somma〕は、速さの度合が最大の度合CB(1)の半分である均等運動〔の速さの度合の総和〕と等しいことがすでに結論されているからです。したがって、二つの距離AC、ABが同一の均等運動によって通過される場合には、通過時間相互の比が距離相互の比に等しいことは、第一巻〔「均等運動について」〕の命題一〔定理一〕から確かに明らかです。
【訳 注】
(l) 原文はこのとおりだが、ここで言及されている定理三の図では、定理一や定理二の図とは異なり、CB等の平行線分は「速さの度合」を表すものではない。したがってこの部分は正しくは、「CやBにおいてもつ最大の速さの度合」とすべきだろう。
系[70]
系
これより、傾きの異なる斜面上の下降時間相互の比は、それらの高さが同じ場合には斜面の長さ相互の比に等しいことが結論される。すなわち、もしAから始まるもう一つの斜面AMが同じ水平線CBで終わると考えるならば、AM上の下降時間対AB上の下降時間は線分AM対ABに等しいことが同様にして証明されるだろう。一方AB上の時間がAC上の時間に対するように線分ABは線分ACに対する。
よって等間隔比より〔ex aequali〕(1)、AMがACに対するようにAM上の時間はAC上の時間に対するのである。
【訳 注】
(l)『運動について』の〔第14〕章の注(6)を参照。ここでは、t(AM):t(AB)=AM:AB,t(AB):t(AC)=AB:ACのとき、「等間隔比より」、t(AM):t(AC)=AM:ACとなる.ただし、t(AM)はAM上の下降時間を表す。他も同様。
定理4[71]
定 理四 命 題四
〔長さは〕等しいが傾きの異なる斜面上の運動時間相互の比は、それらの斜面の高さ相互の交換された二分比〔subdupla ratio elevationum permuntatim accepta〕(1)となる。
同一の瑞点Bから始まり、〔長さは〕等しいが傾きの異なる斜面をBA、BCとせよ。そして水平線AE、CDを鉛直線BDまで引き、斜面BAの高さをBE、斜面BCの高さをBDとせよ。またこれらの斜面の高さDBとBEの比例中項をBIとせよ。明らかにDBのBIに対する比はDBのBEに対する比の半分〔subdupla rationis〕(2)となる。斜面BA、BC上の下降時間すなわち運動時間相互の比は、BI対DB(3)の交換された比と同一である。すなわちBA上の運動時間はもう一つの斜面BCの高さすなわちBDに対応し、一方、BC上の運動時間はBIに対応すると主張する。したがって証明すべきことは、BA上の運動時間対BC上の運動時間がDB対BIに等しいことである。ISをDCに平行に引くとせよ。するとすでに証明されたように、BA上の下降時間対鉛直線BE上の落下時間はBA対BEに等しく、またBE上の落下時間対BD上の落下時間はBE対BIに等しい。さらにBD上の落下時間対BC上の下降時間はBD対BC、あるいはBI対BSに等しい。よって等間隔比より、BA上の下降時間対BC上の下降時間はBA対BSあるいはCB対BSに等しくなる。ところでCB対BSはDB対BIに等しい。よって命題は明らかである。
数式で示してみました。下手で見にくいですがご勘弁を。
「〔長さは〕等しいが傾きの異なる斜面上の運動時間相互の比は、それらの斜面の高さ相互の交換された二分比(1)となる」 図に即して示せば、
=
・・・・・(イ)ですね。これが定理4です。
「同一の瑞点Bから始まり、〔長さは〕等しいが傾きの異なる斜面をBA、BCとせよ。そして水平線AE、CDを鉛直線BDまで引き、斜面BAの高さをBE、斜面BCの高さをBDとせよ。またこれらの斜面の高さDBとBEの比例中項をBIとせよ」
=
すなわち
=
・・・・・(ロ)
「明らかにDBのBIに対する比はDBのBEに対する比の半分(2)となる」
=
*
=
((ロ)より)となるから
=
・・・・・(ハ)
「斜面BA、BC上の下降時間すなわち運動時間相互の比は、BI対DBの交換された比と同一である。すなわちBA上の運動時間はもう一つの斜面BCの高さすなわちBDに対応し、一方、BC上の運動時間はBIに対応すると主張する。したがって証明すべきことは、BA上の運動時間対BC上の運動時間がDB対BIに等しいことである」 (イ)が証明されれば(ハ)より、証明すべきことは
=
・・・・・(ニ)になる、ということです。
「ISをDCに平行に引くとせよ。するとすでに証明されたように、BA上の下降時間対鉛直線BE上の落下時間はBA対BEに等しく、またBE上の落下時間対BD上の落下時間はBE対BIに等しい」 定理3より
=
・・・・・(ホ) 定理2系2より
=
・・・・・(ヘ)
「さらにBD上の落下時間対BC上の下降時間はBD対BC、あるいはBI対BSに等しい」 定理3より
=
=
・・・・・(ト)
「よって等間隔比より、BA上の下降時間対BC上の下降時間はBA対BSあるいはCB対BSに等しくなる。ところでCB対BSはDB対BIに等しい。よって命題は明らかである」 (ホ)*(ヘ)*(ト)より、
=
。 最初の条件でBA=CB、相似より
=
となるから
=
=
=
よって証明終わり。(Leon01/03)
【訳 注】
(1)「交換された比」とは「逆比」、すなわち前項と後項とを入れ換えた比のことである。また「二分比」とは前項と後項の平方根同士の比のことである。
(2)「二分比」と同じ意味である。すなわち√A対√Bとこいう比はA対Bという「比の半分」となる。
(3) 原文は「DB対BI」となっているが、文脈より判断して入れ換えた。
定理5[72]
定 理五 命 題五
傾きと長さが異なり、高さも等しくない斜面上の下降時間相互の比は、斜面の長さ相互の比とそれらの高さ相互の交換された二分比とから合成される。
斜面AB、ACは傾きが異なり、また両者の長さと高さも等しくないとせよ。AC上の下降時間のAB上の下降時間に対する比は、ACのABに対する比と両者の高さ相互の交換された二分比とから合成されると主張する。何となれば。鉛直線ADを引き、それに水平線BG、CDが交わるとせよ。また高さDAとAGの比例中項をALとせよ。さらに点Lから水平線に平行に引いた線分が、Fにおいて斜面ACと交わるとせよ。AFもまたCAとAEの比例中項となる。そしてAC上の下降時間対AE上の下降時間は線分FA対AEに等しく、またAE上の下降時間対AB上の下降時間は線分AE対線分ABに等しいので、明らかにAC上の下降時間対AB上の下降時間はAF対ABに等しい。したがって証明すべきこととして残っているのは、AFのABに対する比が、CAのABに対する比と、高さDA、AGの交換された二分比であるGAのALに対する比とから合成されるということである。ところがFAとABの間にCAを置けば、〔FA対ABは、FA対CAとCA対ABとから合成されるので〕このことは明白である。というのは、FAのACに対する比はLAのADに対する比、あるいはGAのALに対する比と同一であり、これは高さGAとADの比の半分だからである。そしてCAのABに対する比は長さ相互の比にほかならない。よって命題は明らかである。
定理3,4,5はとどのつまりは,定理5に集約されると思います。(yokkun 9/29)
定理5を図に即して示せば、
=
*
です。証明は、
=
(定理2系2より)、
=
(定理3より)。両辺の積を取って
=
。一方、AF=
を用いると、
=
*
=
*
。証明終わり。(Leon01/04)
yokkunさんの言うとおりですね。そしてこれが定理六(弦の法則)の布石となっています。形の上では第三日は弦の法則をゴールとしています。弦の法則の法則としての位置づけはどうなんでしょう、やはり最重要?(Leon 1/4)
定理6[73]
定 理六 命 題六
もし水平線に対して立てられた円の最上点あるいは最下点から任意の斜面が円周まで引かれるならば、それらの斜面上の下降時間は互いに等しいだろう。
水平線GHに対して立てられた円があり、その最下点すなわち水平線との接点から直径FAが〔垂直に〕立てられ、そして最上点Aから円周まで任意の傾きの斜面AB、ACが引かれるとせよ。これらの斜面上の下降時間は互いに等しいと主張する。直径に対して垂直にBD、CEを引き、斜面の高さEAとADの比例中項をAIとせよ。すると長方形FAE〔すなわちFAとAEの積、以下同様〕、FADは〔それぞれ〕AC、ABの平方に等しく、また長方形FAEが長方形FADに対するようにEAはADに対する.よってCAの立丁方がABの平方に対するように線分EAは線分ADに対する。ところで線分EAがDAに対するようにIAの平方はADの平方に対する。よって線分CA、ABの平方相互の比は線分IA、ADの平方相互の比に等しく、それ故、線分CAがABに対するようにIAはADに対する。そして先に説明したように、AC上の下降時間のAB上の下降時間に対する比は、CAのABに対する比とDAのAIに対する比とから合成されるが、後者はBAのACに対する比と同一である。よってAC上の下降時間のAB上の下降時間に対する比は、CAのABに対する比とBAのACに対する比とから合成される。したがってこれらの時間相互の比は等しいものの比〔一対一の比〕となる。よって命題は明らかである。
定理6は有名な「弦の法則」ですね。(Leon01/04)
定理6を図に即して示せば、t(AB)=t(AC)。証明は、△FAC相似△CAEよりFA*AE=
。同様に、FA*AD=
。両辺の積を取って
=
。またAI=
から
=
。これを用いて、
=
。一方定理5より
=
*
=1。(Leon01/04)
異なる証明[731]
同じことが機械学的考察から〔ex mechanicis〕、異なる方法で証明される。すなわち次の図において、可動体は等しい時間でCA、DAを通過することが証明されるのである。
何となれば。BAはDAに等しいとし、また鉛直線BE、DFを引くとせよ。機械学の原理〔elementa mechanica〕(1)から明らかなように、線分ABCに沿う斜面上の錘のモメントゥムがそのモメントゥム全体に対して持つ比はBE対BAに等しく、また斜面AD上の同じ錘のモメントゥムがそのモメントゥム全体に対して持つ比はDF対DA、すなわちDF対BAに等しい。よってその錘のDAに沿う斜面上のモメントゥムがABCに沿う斜面上のモメントゥムに対して持つ比は、線分DF対線分BEに等しい。それ故、同一の錘が等しい時間のうちに斜面CA、DA上で通過する距離相互の比は、第一巻〔「均等運動について」〕の命題二〔定理二〕より線分BE、DFの比に等しくなる。ところでBEがDFに対するようにACがDAに対することは以下のように証明される。よって同一の可動体は等しい時間で線分CA、DAを通過するだろう。
さて、BEがDFに対するようにCAがDAに対することの証明は次のとおりである。
CDを結び、そしてDおよびBを通り、点ⅠでCAを切るDGLと、BHを、AFに平行に引くとせよ。すると角ADIは角DCAに等しくなる。というのは、両者は相等しい弧LA、ADに対するものだからである。また角DACは共通である。よって、互いに角が等しい三角形CADとDAIの等しい角をはさむ辺は〔両者が相似なので〕互いに比例する〔proportionalis〕だろう。すなわちCAがADに対するようにDAはAIに対し、これはBA対AIあるいはHA対AGに、つまりBE対DFに等しい。これが証明すべきことであった。 同じことが以下のようにして異なる仕方でより容易に証明されるだろう。
この部分の証明は「モメントゥム」自身やこれと距離との関係がつかめていないのでよくわかりません。概要は、①BA=DAに注意すると三角形の相似から
=
。②線分ABCとDAのモメントゥムm(CA)、m(AD)の比は
=
が成立。③同じ時間に斜面ABC、DAを通過する距離s(CA)、s(AD)の比はモメントゥムm(CA)、m(AD)の比に等しい。④以上から、線分CA、DAを通過する時間は等しい。となるかと思います。(Leon01/04)
水平線ABに対して円を立て、その直径CDが水平線に対して垂直であるとせよ。さらに最上点Dから円周まで任意の斜面DFがあるとせよ。同一の可動体の斜面DF上の下降と直径DC上の落下は等しい時間で行われると主張する。何となれば。水平線ABに平行なFGを引くとせよ。するとこれは直径DCに対して垂直になる。またFCを結ぶとせよ。ところでDC上の落下時間対DG上の落下時間は、CDとDGの比例中項対DGに等しい。そして半円内の角DFCは直角であり、FGはDCに対して垂直であるから、CDとDGの比例中項はDFである。それ故DC上の落下時間対DG上の落下時間は線分FD対DGに等しい。一方、DF上の下降時間対DG上の落下時間が線分DF対DGに等しいことはすでに証明されている。したがってDF上の下降時間とDC上の落下時間は、同一のDG上の落下時間に対して同じ比を持つ。よって両者は等しい。同様にして、もし最下点Cから落CEが斜めに引かれているならば、水平線に平行なEHを引き、EDを結ぶと、EC上の下降時間は直径DC上の落下時間に等しいことが証明されるだろう。
IをDG、DCの比例中項とすると、定理4を用いて
=
。一方△CDF相似△FDGより
=DG*DC=
。ゆえにDF=DI。よって、
=
。他方定理3より
=
が成立するから、両辺の比較から、t(DF)=t(DC)。(Leon01/04)
【訳 注】
(1) ここで用いられている原理は、彼の『機械学』(Le mecaniche)の中で述べられている(Opere,Ⅱ,181-183)。
この原理は,力の合成・分解(平行四辺形の法則)および「仕事の原理」に直結するものと思われます。(yokkun 9/29)
系1~3[74]
系一
これより、端点CあるいはDから引かれたすべての弦上の下降時間は互いに等しいことが結論される。
系二
さらに、もし同一の点から鉛直線と斜面が引かれ、両者上で等しい時間のうちに下降がなされるならば、両者はその鉛直線を直径とする半円内にあることが結論される。
系三
これより、斜面上の運動時間が等しくなるのは、それらの斜面の〔長さの〕等しい部分の高さ相互の比がそれらの斜面〔全体〕の長さ相互の比に等しい場合であることが結論される。なぜなら、一つ前の図において、ADに等しい部分ABの高さ、すなわちBEの高さDFに対する比がCA対DAに等しい場合に、CA、DA上の運動時間が等しいことが示されているからである。〔Ⅷ,pp.191-223〕
(伊藤和行訳)
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