T-10

T-10(HT):最高速度50km、Centurion Mk. 7/1(MT):最高速度40km
重戦車ってなんだ・・・(哲学


戦車について知る

 まずは車両の基本スペックから見ていこう。
  • 主砲:単発火力440/精度0.38/照準時間2.8/AP貫通258/HEAT貫通340/DPM2147/仰角+15°/俯角-5°
  • 耐久値:1800
  • 車体装甲圧:120/120/60
  • 砲塔装甲圧:250/201/90
  • 最高速度:50km(後退時:15km)
  • 重量:50t
  • 実用出力重量比:14.75
  • エンジン出力:750
  • 旋回性能:車体32/砲塔26

 数値上の性能はIS-3から大幅にアップ。
 砲性能は、単発火力、精度、DPM、貫通全てが順当に強化されており、非常にバランスが取れた強力な火力を誇る。
 また、機動力に関しては最高時速が驚異の50kmに達している。加速性能等もやや鈍足なMTレベルであり、平地であれば中途半端なMTを余裕で追い抜いてしまう。機動力に関してはHTのレベルを超越した異次元の性能である。
 半面、装甲はティア9HTとしては最低レベルであり、車体装甲はティア8HT相手でも当てにならない。砲塔装甲はかなり堅牢だが、大きめのキューポラが弱点であり、俯角もあまりとれないのでハルダウンの使いどころは限られてくる。
 高火力高機動力で紙(HTとしては)装甲って、なんやコイツ。ローダーでもあるまいし本当にHTなのか…



車両解説

 先述の通り、この車両は火力と機動力に優れている。特に機動力に関しては同格どころか、一部のオートローダー車両以外に全HT中でも最高クラスである。最高速度が50km以下のMTも少なくない中、HTであるT-10のこの機動力は圧倒的であり、HTという枠を超えた非常に柔軟な運用が可能である。
 また、火力も同格の中ではかなり優秀で、単発火力3位、DPMは2位である。基本的に単発火力が高い車両はDPMが低く、DPMが高い車両は単発火力が低く設定されている中、T-10の砲は非常にバランスが良い。精度面も、砲精度0.38、照準時間2.8とこれまでのISシリーズトップの精度を誇る。(ちなみに同じ砲を積んでいるST-Iとは装填時間を含めてすべての面で勝っている。悲しい)
 他国の高精度砲と比べれば、やや悪いのも確かだが、これまでのISシリーズとは比べ物にならない良精度に加え、単発火力とDPMのバランスにも優れている。砲性能に関してもほとんど不満がないレベルでまとまっている。
 一方、防御力に関してはティア9最低レベル。格下の砲でも容易に貫通されてしまう車体装甲に加えHPもティア9HTとしては低く、撃たれ弱さはHTとして致命的である。砲塔は前身のIS-3と同様かなりの硬さだが、大きなキューポラ等の弱点があるため過信は禁物。また、そもそも俯角があまりとれないので使える場所もかなり限定的なのが悩みどころである。

 上記の通り火力と機動力にステータスを全振りした超攻撃特化HTである。特に機動力に関してはHT離れしており、通常のHTでは不可能な柔軟な立ち回りが可能である。
 その代わり防御力が少なからず犠牲になっており、もっとも戦闘機会が多いと思われる同格HTからの跳弾はほとんど期待できない。
 防御力に難があるため、通常のHT運用で活躍することは難しい。機動力を最大限活用し、高火力を敵に届けることができれば活躍できるだろう。



戦車運用の仕方

 何度も書いているようにこの車両に乗るからにはその機動力を発揮しなければ意味がない。逆に言うと、装甲を使っての活躍はほぼ不可能なので、味方の盾になろうといった変な義務感は必要ない。HTの枠に捕らわれない柔軟な運用について考えよう。
 T-10の基本的な運用方針は、「敵の戦線の穴に高い機動力で急行し、高い火力で戦線を突破し敵を崩す」というものである。火力特化車両なので、基本は守勢に弱い。高火力で一つの戦線を突破してしまえば、あとは機動力で残りの敵の即背面を取り放題、稼ぎ放題である。一方敵の前線を突破できないと、微妙なHPや装甲から持ちこたえるのが難しい。また、T-10は後退速度は相応に遅いため、撤退戦は苦手である。前進や強襲でないとその機動力を十二分に発揮できないため、やはり守勢に回るより攻勢に出ることを考えよう。

 最高速度が50kmあれば、はっきりいってできないことはないと思っていい。つまり、状況によってはHTポジに入ったり、MT運用をしたりとほとんどの仕事をすることができる。逆に言うと、マップや敵味方の編成を見て、自分がどの動きをすれば一番活躍できるのかを毎試合考える必要がある。その判断ができないと、この車両の長所を存分に発揮できないため、味方の盾になれない劣化HTとしてしか役に立たないだろう。
 乱暴に言ってしまえば、T-10で活躍できるようになるには、適切なタイミングでMT運用をする必要がある。しかし、先ほど少し触れたように、後退速度が悪いため、基本的に”逃げる”行為が苦手である。つまり、MT運用はできるものの一度位置取りに失敗した時のカバーが効かない。
 T-10の機動力は、あくまでも敵との距離を詰めるためや、有利なポジションを確保するために使うものであって、逃げるためのものではない。機動力があるからといって単純なMTとして常に扱えるわけでもないので、その辺りも心の隅に置いておこう。

 最初に書いた「敵の戦線の穴に高い機動力で急行し、高い火力で戦線を突破し敵を崩す」という基本方針を忘れず、どう動けば一番自分が活躍できるのかを常に考えながら運用しよう。
 非常に運用の幅が広いHTで扱いが難しいが、機動力を活かせるようになると自ずと好成績も出せるようになる。とにかくHTの枠に捕らわれず柔軟な発想をもとに車両に乗ってみると良い。


ワンポイントアドバイス


  • 弾種の使い分け
 通常弾の貫通が高く課金弾が必要になる場面は少ない。機動力を活かして側面をとることも可能なので、ほぼAP運用でも困る場面は少ない。
 課金弾は10発も積んでおけば十分だろう。課金弾はHEATで340mmもの貫通力を誇るため、ティア10HT相手でも安定した貫通を期待できる。確実に貫通させたい場面や高ティアドイツHT相手に効果を発揮する。

  • お勧め拡張パーツ
 ラマー、スタビは確定として、問題はあとの1枠である。機動力を活かすためにMT装備であるレンズを積むのも悪くはないが、前述のとおり単純なMTとして扱えるかというと疑問が残る。
 これまでのソ連HTと異なり素の視界も400mあるため、敢えて視界を強化するよりも、換気扇で殴り合い性能を上げるほうがいいだろう。T-10に求められるのは偵察や視界の確保ではなく、敵の前線の突破と敵の排除である。そのためにも火力の上昇に繋がるパーツを積むほうが運用方法にも合うだろう。

  • 優等マークについて
 使用者が多いせいか、優等の基準は低めである。T-54と同じかそれよりも少し少ないくらいであろう。クラス3を取りたいなら、平均で3000~3500以上を維持し、90%を超えてからはショボ沈を抑えて時々大口径を取っていけばぐんぐん上がる。

  • レートについて
 HTとしては非常にWN8が出やすい基準レートになっている。ティア9で稼ぎやすいパットンと比べると同じ与ダメだった場合はT-10の方が200~300ほど高く出るようになっている。実は黒字運用しやすいだけでなく、レートも稼ぎやすいという特徴を持っている。(ちなみにWN9ではパットンやT-54を大きく突き放すくらい高レートが出る)

  • 機動力について
 実際のところT-10の機動力はどれくらいだろうか。イメージ的にはアメリカティア8MTのPershingくらいと思ってほしい(最高速T-10>Pershing、加速T-10<Pershing)。
 坂道ではやはり出力重量比の悪さが出るが、平地で最高速度に達した際の足回りは圧巻で、同格MTのパットンや61式、T54E1といった車両を追い越す程度には早い。その代わり旋回性能は悪いので、曲がった時は明確に機動力が落ちるので気を付けよう。



コラム~T-10は本当に紙装甲なのか?

 非常に優秀なT-10だが、その唯一の弱点として、装甲の薄さが上げられる。しかし、T-10は本当に紙装甲なのだろうか。少し考えてみよう。
 まずT-10の砲塔に関してはご存知のとおりの堅牢さである。ソ連特有のお椀型であり、実装甲厚は概ね300~350mmあるため、ほとんどの車両から貫通される危険はない。もっとも、上部が薄くキューポラも狙える程度の大きさがあるため、弱点を狙われたときは普通に抜かれるし、車高の高い車両から撃ち下ろしされると天板を抜かれることもあるので注意が必要である。とはいえ、持ち前の機動力を活かして小刻みに動けば、そうそう抜かれることはないのだが。
 そして、問題の車体装甲である。実装甲圧は180mm~220mmであり、貫通200mm前後でも抜かれる可能性がある数値となっている。これは、貫通が230mm以上ないとまったく抜けないE75などに比べると非常に心もとない数値である。
 しかし、砲塔の硬さはそのE75の250mmを大きく上回る堅牢さを発揮しており、ハルダウン中の硬さはE75を上回るどころか、ティア9HTの中でもトップクラスである。また、ここで車体の装甲についてもよくよく考えてみよう。そもそも、ティア9同士のHTの撃ち合いにおいて、車体で安定した硬さを発揮するほうが少ない。基本は課金弾の撃ち合いになるので、ティア9HTで自分の弱点を意識して隠さないで運用することなどあり得ない。その点を考えると、車体の薄さは課金弾を使えばそもそも皆抜かれるのは同じなのである。T-10は課金弾を使われても抜かれない部分があるので、しっかりと弱点を隠して運用すれば他の車両に比べても硬い車両ということになる。
 また、格下においてもティア8HTとTDを除いて、通常弾で安定して200mm以上貫通できる砲を持っている車両は実はそれほど多くない。他のティア9HTであっても、格下から課金弾を撃たれれば抜かれるのは同じである。T-10はどちらかというとHTと正面の殴り合いをするより、MTとの戦闘が得意である。同格はともかく、ティア8以下のMTの通常弾貫通は200mm以下がほとんどであり、車体でもそこそこの跳弾は期待できる。
 このように、絶対に抜かれない砲塔という強みがあるだけでなく、薄いと評判の車体も相手の車両を見極めれば十分すぎるほどの硬さがあるのである。もちろんE75やST-Iに比べれば軟らかいのは間違いないが、これだけの火力と機動力を持っている車両にしては十分な装甲も実は持っているのである。T-10の装甲が薄いと嘆くのはいくらなんでも高望みしすぎというものだろう。そう思う人は、あなたの運用方法が間違っているといわざるを得ない。
 要はT-10はほとんど隙の超OP車両ということである。みんなもぜひ買ってレートと勝率を稼ごうな!
最終更新:2016年05月11日 19:47