満天星国

初心の民+テストパイロット+名整備士+チューニングマスター

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satoki

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初心の民+テストパイロット+名整備士+チューニングマスター


L:テストパイロット={
t:名称=テストパイロット(職業)
t:要点=バインダー,レザージャンパー,飛行ヘルメット
t:周辺環境=格納庫
t:評価=体格0,筋力-1,耐久力0,外見0,敏捷0,器用2,感覚1,知識1,幸運-1
t:特殊={
*テストパイロットの職業カテゴリ = 派生職業アイドレスとして扱う。
*テストパイロットはI=D、航空機、宇宙艦船、艦船のパイロットになることができる。

→次のアイドレス:・試作機登場(イベント)・独自兵器開発(イベント)


L:名整備士={
t:名称=名整備士(職業)
t:要点=帽子,部下
t:周辺環境=クレーン
t:評価=体格0,筋力-1,耐久力0,外見0,敏捷-1,器用2,感覚1,知識2,幸運-1
t:特殊={
*名整備士の職業カテゴリ = 派生職業アイドレスとして扱う。
*名整備士は整備行為ができ、この時、整備判定((器用+知識)÷2)を評価+3補正することを選択できる。補正を選択した場合は燃料1万tを消費する。
*名整備士は戦闘前に任意の一機のI=Dの能力に評価+1できる。

→次のアイドレス:・整備の神様(職業)・チューニングマスター(職業)・ネリ=オマル(ACE)


L:チューニングマスター={
t:名称=チューニングマスター(職業)
t:要点=ヘッドセット,涼しそうな長袖
t:周辺環境=クレーン
t:評価=体格0,筋力-1,耐久力0,外見0,敏捷-1,器用4,感覚1,知識6,幸運-1
t:特殊={
*チューニングマスターの職業カテゴリ = 派生職業アイドレスとして扱う。
*チューニングマスターは整備行為ができ、この時、整備判定((器用+知識)÷2)を評価+3補正することを選択出来る。補正を選択した場合燃料1万tを消費する。
*チューニングマスターは戦闘前に任意の一機のI=Dの全能力に評価+3できる。この効果は一人のチューニングマスターにつき一回で複数の機体に与えることは出来ず、またこの時資源3万t、燃料2万tを使用する。

→次のアイドレス:・I=Dデザイナー(職業)

要点継承元(初心の民



   チューニング―――――それは機械に手を加え、目的とする状態に調整することである。

   えてして改造と同義とされるが、そうではない。
   あくまでも整備、調整を目的とすることである。
   熟練したものを名人と呼ぶことはあろう。

   だが、それを極めたものをなんと呼ぶのか?
   極めることを、神になるとも言う。
   また、王になるとも言うだろう。

   しかしここでは、敢えてそれらを捨てよう。
   神と呼ぶことは、その努力を否定する。
   王と呼ぶことは、その生き方を否定する。

   故に、我はこう定める。
   万物における調律の主人、チューニングマスターと

                                    〈92607002  旧ビギナーズ王国国王たくまの言葉〉




   時は未だビギナーズ王国が満天星国となる前のこと。
   もう夏も近づき、雪を見ることもなくなったある日。
   藩王たくまは悩んでいた。
   うーんと唸り、首をひねっては何度もカリカリ書き綴る。
   で、捨てる。
   結果としてマンガのように紙くずが地面にたまっていった。
   50個目が捨てられた頃、執務室のドアが開く。

   「こんちわー、って何これ?」
   「ああ、SOUさん」

   挨拶しながらも既に掃除に入っているSOU。
   ありがとうといいながらまた散らかすたくま。

   「はぁ、どうかしたんですか?」
   「うーん、実はねぇ、名前を考えてるんだよ」
   「名前?」
   「うん。整備士の人たちがさ、すごいことになってるらしくて」
   「すごいことって、具体的には?」
   「曰く、見ただけで異常がわかる、少し弄っただけで機体が直る、いくつもの機体を同時に直す、などなど」
   「へぇ……」

   と、言いながらもイマイチすっきりしない様子のSOU。
   百聞は一見にしかずかーと、実感するたくま。

   「ま、分からないんならコレ見るといいよ」

   たくまはそう言って、いくつかの紙をSOUに渡した。
   あ、どうもと受け取るSOU。
   ぱらぱらとそれを読み始めた。

   それは、整備士たちの記録であった。



/*/

【tactyの場合】
突然だが、彼はワーカホリックである。
秘書官になってからこっち、仕事が酸素と同等というくらい働いている。
なんせスケジュールに『仕事』が並ぶのを見るのがもはや幸せという域にいるのだ。
誰も止めることなんかできない。
そんな彼だから、最近では急がしいから小走りである。
格納庫を走る姿はもはやお馴染みで、整備士たちからは白兎さんと密かに呼ばれていた。

その日も彼は走っていた。
忙しい忙しいと言いながらも顔は笑顔である。
もはや携帯を使ってはいない。ヘッドセットを使って走りながら通話をしている。
仕事中毒ここにきわまれりといったところだろうか。

「ん?」


通話を終えたところで、ある機体の前で立ち止まった。
外装をはがされたケントだ。
名整備士が部下たちと共に整備に当たっている。
それをtactyはじーっと見ていた。
疑問に思ったのだろう、名整備士がtactyに声をかける。

「どうかしたんですか?」
「んー、いや、フレームが歪んでるなーって」

名整備士の頭に?が浮かぶ。
今調整しているが、フレームの歪みは無かったはずである。
tactyは続けた。

「多分、外装パージの時だろうねー。右肩部のバランスが崩れてるんだ。
 後で調整しといてねー!」

言うが早いか、忙しい~♪と歌いながら走ってゆく。
取り残された名整備士。
その後ろで言われたとおりチェックした整備士が声を上げる。

「どうした?」
「あの………ほんとにずれてます。……0.1%ほど」

その場に沈黙が流れた。
全員の頭に浮かんだのは一つ。

『何で分かったんだ?』

本人はそんなことは露知らず、白兎のように走っていった。
整備士たちはしばらくその背中を見続けていたという。

【S×Hの場合】
煙を立てながら格納庫に機体が滑り込んでくる。
テストを終えて着陸したフェイク2だ。
煙が上がっているが故障しているわけではない。タイヤと地面の摩擦で起きたものだ。
着陸した後ブレーキをかけずにここまできたためのものだが、そのために通り道はもうエライことである。
なんだなんだと煙の中心に注目が集まった。
開くコックピット。

「ゴメンゴメンゴメン!」

格納庫に響いたのはS×Hの声だった。
謝っているが、周りに言っているのではない。ヘッドセットを通して電話をかけているのだ。
S×Hはこんな用法で使っているが、本来はもっと事務的に連絡を取るためのものだと言っておこう。

「ホントゴメン!もう終わったから!すぐ行くから!」

耐熱スーツを脱ぎ捨てるS×H。下は既に私服である。
私服の保護にそこらにかけてあった上着をさっさと手に取り、バインダーを咥える。
機体内で付け替えた飛行ヘルメットを投げ捨てると帽子を引っつかんだ。
上着を着てバインダーを手に取り紙が破れる限界の速度で記入し始めた。

「やー、もう急な仕事だったから断れなくて!」

作業台にバインダーを叩きつけるのと同時に工具のメインスイッチを入れる。
片手でクレーンを操作しながらフラップ部分の外装を外す。

「俺以外空いてる人がいなかったんだよー!信じてよー!」

クレーンのフックを機体持ち上げ用のワイヤーに交換し、さっさと取り付ける。
外装が外れた。熱波が噴出してくるもそれを回避。


「ん?変な音?ああ、今駐車場だからエンジン音だよ」

鮮やかに嘘をついた口で耐熱手袋を嵌める。
無造作にフラップの間に手を突っ込み引き出した。
掴んだ何かを作業台のトレイに入れ、また口で手袋を外す。

「大丈夫大丈夫、何百キロも出さないよー」

その5分後には200キロを出す男の発言とは思えない。
誰しもそこにツっこむ前に上着を脱ぎ捨てるS×H。
再びもう破れてるだろお前という速度でペンを走らせる。
ひょいっとペンを投げ捨てるとバインダーを近くの整備士に渡す。
後ヨロシクと短く言うと走り去って行った。

「すぐ行くから待ってて!愛してるよー!エコー!」

嵐が去った。
図らずもその中心に位置することになった整備士はバインダーを見ることにした。
あれだけ早く書いたにもかかわらずきれいなものである。そこにはこうあった。

『フラップに異物あり。除去済み』

さっきのあれかと思い出し、トレイを覗き込んだ。
そして絶句。
そこにあったのは1センチあるかないかのネジ。
テストパイロットとして違和感を感じたにしても、それを拡大鏡も使わずにあっさりと見つけてしまう。
名整備士と呼ばれた人間でもできないであろう。

その場には、いつまでもざわつきが残ったと言う。


いろんな意味で。

【ロッドの場合】
ロッドはビギナーズ王国の整備士の中では新顔である。
しかし国民代表たちにしごかれたお陰か、その技術は既に高いレベルにあった。
しごかれてしごかれて、もう忙しくて死にそうと言った表情でロッドが歩いている。
次はどの機体だっけと見て回る間に、ある外装に目をつけた。

「んー?」

コレではないなーと思いながらも、何かが気にかかるようだ。
じーっと見つめて、指で表面をなぞってゆく。

「んーと」

辺りをきょろきょろと見渡すロッド。
ハンマーを見つけてひょいっと手に取る。
こんこんこんと少しずつ外装を叩き始めた。
もう一度表面をなぞり、満足そうに頷くとハンマーを置いてまた歩き始めた。


「あれ?」

そこに別の整備士がやってきた。
担当している機体のようで、ハンマーの位置が違うに気付いた。
おかしいなぁと思いながらも、手に持ったスキャナで外装を調べる。

「………あれ?」

データをみて、また声を上げる。
見てたのは表面の歪みを示す値だ。
前回の数値が1%だったのに対し、今回は0%。
つまり、直っているのだ。

「……誰がやったんだ?」

辺りを見渡して、唯一見えた背中があった。
ぐったりとしながらどの機体だーと言っている
その背中には見覚えがあった。

「ロッドさん?」

そして思った。
あの人たち、どんだけしごいてるんだ、と。
整備士は少しだけ男泣きをすると、もうけたわーと笑顔で仕事に戻って行った。


/*/

「へぇ……すごいですね」

確かに、報告を見る限り名人を越えた域に達していることは確かだ。
そしてその呼称は、名人を越えたものでなくてはならない。
それがたくまの悩みであることを、SOUは理解した。

「なんかいい案ない?」
「うーん、私はこの通り隠居前のメードですからねぇ」
「そっかぁ……里樹さんに聞いてみるかぁ」
「うん。それがいいですね」
「話はもう聞いてますけどねー」

結論に達したところで感じる違和感。
SOUとたくまが増えた声のほうに向き直る。

「や」
「里樹さん!」
「いつの間に!」

何かの紙を持った手をひらひらさせながら、執政里樹がそこにいた。

「さっきの間」
「いや、そういう話ではなく」
「まぁ、私がボケると話が進まないから、コレ」

と言ってさっさと紙をたくまに渡す。
なんだろうと思いながらSOUと二人で覗き込む。

「唯一つのことしかできない連中……って訳じゃないけどさ」

そこにあったのはただ一つの名前。
そしてそれがふさわしいとする理由。

「私たちは神様じゃない。王様でもない。だから、ね」
「……チューニング」「マスター……」

たくまとSOUがその名を呟いた。
二人が口にしたことで、その名前が力を持ったことを里樹は確信した。
軽く笑うと、また手をひらひらと振る。

「後の文言は適当に考えといてねー」

そして何かを言われる前にさっさと執務室を出て行った。
閉まる扉。
それを言葉も無く見送って、少しだけ笑うたくま。
ありがとうと一度だけ目を瞑って言うと、真新しい羊皮紙を取り出した。
少し考えて、ペンを走らせる。
書き上げると読み直し、満足そうに笑った。
脇に待機しているSOUがそれを受け取る。

「SOUさん、頼んだよ」
「ええ、手配はすぐに!」



こうして、たくまの言葉は発表されることになる。
だからと言って、彼らに変化は何も無い。
既に調律の主人であるからだ。

だが、名はついた。
名とは魂である。

魂があることで何が変わるのか?
それでも何も変わりはしない。何も。

だが、その先に進むことができる。
先に進めるための力となる。
それが『名』というものである。

しかし、この先はまだ分からない。
だからこう言うのだ。

『これからのお楽しみってやつさ』

絵作:S×H
文作:里樹澪



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