- X-Relations~MirageZERO~
- 時代は桜門内戦の20年ほど前のこと。
- 超大国アナトリアが世界の実権を握り、世界の唯一として君臨していた時代である。
- 支配による強制、その圧倒的な軍事力によって築かれた偽りの平和が続いていた。
- 軍事力、そのすべては守護者の存在で成り立っている。
- 魔術と呼ばれる奇跡の力を持ち、
- 見えない壁による守護結界による絶対防御を兼ね備えた戦闘集団。
- もう、アナトリアに刃向かえる者はいない。
- そう世界が認識し始めようとしていたときだった。。。
- 少女の名は『雪乃』
- ものの13歳の少女は3年前にアナトリアによって拉致監禁され、この施設に囚われていた。
どれだけの時間が過ぎたのだろう。
これからもずっと、この空を見続けなければならないと思うと胸が締め付けられた。
なんで私だけが。
小さな窓から見える代わり映えのない月を眺めていると、少女はその異変に気がついた。
『月が・・・欠けている?』
月に開いた、不自然な小さな点。
それが人の影であると分かるまで、数分時間を要した。
アナトリアの研究施設に突如降り注ぐ光。
空に浮かぶ月を背後に、白いコートが靡く。
『貫け、風王の槍よ』
その言葉と同時に、彼の周囲へ展開する守護者を光の槍が貫いた。
まさにそれは一瞬。
研究施設は一層され、その廃墟に佇む一人の少年の影。
『大丈夫か?』
『・・・アナタは?』
研究施設に囚われていたと思われるその少女に少年は手を差し伸べる。
なぜ自分が見知らぬこの者に助けられたのか、
なぜあのようなことが出来たのか、
守護者でもない、ただの人が、なぜ。
『俺は、・・・そうだな、俺は何なんだろうな』
自分は何者でもない。
そう私に伝えた彼の瞳は寂しげだった。
『ただ一つ言えることは』
手を差し伸べられた。
手を取ると力強く握り返してくれた。
暖かくて、優しい目をした少年。
『キミを助けに来た』
その一言が私の始まりだった。
最終更新:2012年08月05日 21:45