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A-41:39-00709-01:西田八朗:アウトウェイ さん

「森の話~音楽会~」



森の中には魔女がいる

鬱葱と茂る藪を抜け
薄く光が差し込む森を抜け
ぽつぽつと家が建つ村落を抜け
目の前に聳える大樹に寄り添うよう様に
魔女の住む家がある
白くも見える長い、銀の髪を持つ、美しい魔女がそこにはいる

家の中の魔女は今、部屋の中にあるピアノの音を確かめるように、鍵盤に指を走らせている
ピアノの側には節くれだった杖と、魔女の帽子が置かれている
魔女の家の奥を覗けば、壁には魔女に似合わぬ鎧と剣がかけられて、他の部屋には子供用のベッドがある
魔女の同居人は誰なのだろう?
…と、魔女がピアノから指を離す
どうやら準備が整ったようだ

魔女は帽子を被り、杖を持つと、ドアの前に立った
ドアを開ける前に、ピアノに向けて杖を振ると、ポロンとピアノの音が鳴る
その音を確かめ、にこりと魔女は微笑むと、ドアを開けたまま大樹へと向かった

今日は、年に数度の、音楽祭

魔女が大樹の根元に腰をかけ
長く伸びる枝に杖を一振り
枝は魔女の下まで伸びてきて
魔女の前に枠を作る

魔女が枠を手でなでて
それから大樹を這う蔦に杖を一振り
蔦は枠の中で弦を張り
魔女の前には一つのハープ

魔女が弦の張り加減を確かめる
気に入ったように微笑む魔女は
始まりを継げる音を鳴らす

優しく響くハープの音に
あわせる様に鳴り出すピアノの音が
やがて村落に響き渡ると
ぽつぽつと建てられた家の中から
村人が思い思いの楽器を手に取り外に出て
二つの音に合わせて奏でだす

綺麗な音をベルが響かせ
流麗な音を笛が流す
太鼓が陽気に拍子を取ると
ホルンが力強く音を合わせ
琴の音が壮麗に音を重ねる

村の音が森に響くと
森の動物が思い思いの音を鳴らす

リスが木の実を叩き出し
ネズミが歯と歯を合わせてカチカチ
鳥が翼をはためかせれば
馬も牛も音にあわせて嘶き始める

聞こえてくる音の中に
ハーモニカの音が流れ出すと
ハープを奏でる魔女は微笑み
ハープの音に艶やかさが加わる

今日は森の音楽祭

森の中から聞こえる音は
荘厳にして絢爛
豪華であり陽気


やがて森の音がひそやかになり
音楽会は一時の休憩になる

再演はすぐに行われるだろう



その時に貴方の手には楽器がありますか?




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