B-01:26-00497-01:志水高末:たけきの藩国 さん

「あなたにメリークリスマス」



「では、あの夜の事を話していただけますか?」
「・・・はい。よく、覚えています。肌を突き刺すような寒い日でしたから」

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あの日は聖夜
東国人の国、たけきの藩国といえども
街に人々の明るい笑顔があふれるのは他の藩国と同様であった

が、どこでも例外というものは存在する
「俺たちは今宵、しっと団へと名前を変える。世の男女に鉄槌を下さんがためにッ!!」
「閣下」
「どうした竹戸」
「月光さんが酒瓶抱えて泣いてます」
「・・・・・・ほんとはさ、俺、ヨーコさんとデートしたかったんだ・・・」
涙をぽろぽろと流しながら、ぬぐおうともせず飲み続ける月光
あまりにも不憫な背中を見つめつぶやく
「・・・今日は騒ぐのやめるか」
「そうですな、今日は朝まで飲み明かしましょう」
「そうですね。あ、でも九時からアノ人と会わなくちゃいけないんで、僕はその辺までで・・・あ、え?」
「月光、それで殴ったらたぶん死ぬぞ」
「今の俺は手加減できねぇ。竹戸、死んでくれ」

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街にはささやかなイルミネーションが取り付けられ、夜を待つ
道の中心にはお決まりのツリー
人々はしばし足を止め眺め、微笑む

そんなな空気は、子供たちにもただよう
「なぁ、もうすぐクリスマスだけどお前知ってるか」
「なに?」
「枕元に靴下置いておくとプレゼント持ってきてくれるらしいぜ。知らないのかよ」
「え、なんだよお前サンタなんてまだ信じてんの?だっせー」

そんな会話を交わす子供たちを目で追う、腹の出た中年紳士が連れに話しかける
「お二人とも聞きましたかな?」
「聞いた。なんとかしてやらないとな・・・おい志水、大丈夫か」
「ウェッ・・・ウゲッ・・・大丈夫だ。酔いは醒めた。子供たちも大丈夫だ」
「よし、水飲んでから話せ」
ペットボトルを渡され、一気に飲み干す
「・・・俺たちがサンタになろう」
「良い案ですな。ですが時間がありませんぞ?プレゼントはどうします」
「藩国の倉庫に眠っている『アレ』を使う」
「おいおい・・・『アレ』を使うのか!?」
「いえ、『アレ』は元々使われなければただのモノ」
「そうだ、使われてこそ初めて価値があるモノに変わる」
「末端価格1億とも言われる・・・・・・いや、やるか!!」
妙に酒臭い三人の男は周囲の目を気にせず、高笑いしながら走り去っていった

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「ちょっと待ってください!!その中身は藩国の備品でっ」
「はははは!藩王には上手く言っておいてくれ、みたん!」
「すまねぇな。この借りはいつか返すぜ」
「代わりに私の履いてるふんどしを差し上げましょう。わらしべ長者みたく出世できるかもしれませんよ?」
背後で叫ぶひわみを背に、三人は満面の笑みを浮かべ駆け出す
外はオレンジの世界から星の瞬く世界へと変化する瞬間
夜はもうすぐだった

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「え?備品を強奪して逃げた?」
「はい。ほんとに素早くて私だけではとても」
世間はクリスマスだというのに、私は何をしているのだろう
本当だったら今日はヤガミと・・・
「藩王様、聞いてらっしゃいますか?」
「ごめんなさい。もう一度」
「ヤガミさんからここに来てくれと伝言が。さ、お出かけの準備を」
「でも、まだ仕事終わってないし。むしろ増えてるし」
「今日くらいは良いでしょう。後は私が文字通り始末しておきますよ」
「みたん・・・ありがとう」
「みたんって言うな」

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その夜、闇夜に溶け込まない赤と白と肌色の何かが街を駆け回る
ひわみの組織した捕縛グループも駆け回る
「向こうの道に入ったぞ。追え!!」
志水はなんとか一団をやり過ごし、近くの窓を静かに開け(割)る
忍び足で枕元へ近づき、靴下の中にプレゼントを押し込む
満足げな笑みを浮かべ割った窓から脱出
「いたぞっ」
休む暇なく駆け出す
おかしいな。今日は良いことしてるはずなんだが

「お、摂政は見つかりましたか」
響き渡る悲鳴を聞きながら
モモは軒下から侵入
枕元の靴下を探すが見つからない
「仕方ありませんね」
苦笑しながら自分の靴下を片方脱ぎ、プレゼントを押し込む
枕元にそっと置き、窓の鍵をあけ闇の中へ

「ヨーコさん。俺、今頑張ってるよ」
星空を見上げそうつぶやき、窓へと目をやる
すると目の前にはまだ起きていた子供が
「・・・サンタさん?」
「ああ。さ、靴下を出しな。プレゼントをあげよう」
子供の顔が満面の笑みへと変わる
月光は子供が寝室へ靴下を取りに行っている隙に、プレゼントを窓枠へ置き去る
「あれ、サンタさん?」
周りを見回すと窓のところに靴下が片方
急いで中身を取り出すとそこには
「・・・くつした?」
その疑問を解く者は冬空へと消え去っていた

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数日後、政庁
顔を腫らした男が縛られて転がされていた
「で、なんで備品の靴下を強奪したかはわかりました」
「はい」
「で、なんで靴下」
「子供たちが靴下を好きになるように。あわよくばハント」
「おい」
「靴下が、大好きだからーッ」
そう力の限り叫んだ男の脳天にバットが振り下ろされた

 ―沈―



感想:
書いたはいいけど、なんか趣旨と違う?場違い?
メッセージは世界に向けてラブソックス
ハイ、すみませんorz




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最終更新:2008年07月01日 02:18