A-04:26-00498-01:二郎真君:たけきの藩国 さん

「ある勇者のお話」



むかしむかし。とはいえないぐらいの、ちょっと昔。

ある世界に、正義の勇者がいました。
彼は己の正義を貫き、悪を退治する、まっすぐな人でした。
倒した悪は数知れず、彼は悪を倒す剣を振りかざし、人々によくこう言いました。
「悪は必ず滅びる。そして、人に迷惑をかけるヤツは俺が許さない」

その勇者はあるとき、人々の集まるところで正義を語りました。
「北の大国に人々を苦しめる悪い王様がいると聞く。そんなヤツは許せない。皆もそう思うだろ?」
『そうだ。どんな理由があっても、民衆を苦しめる王様なんて悪いヤツに決まってる。いつものように成敗してください』
人々は勇者の事を良く知っているので、迷惑そうにしながらも、表面上は笑顔で口々に言いました。大人ってこんなもんです。

実は、この勇者は、ちょっとでも悪い人をみるとすぐに暴力を振るうひとだったのです。
買い物をするのに順番を守らない人とか、拾ったものを交番に届けない人とかをも、悪人と見る人でした。
普通なら、警察に捕まるところなのですが、この勇者はとっても偉い人だったので、どうにもできなかったのです。

結局勇者は、人々がどんな気持ちで言ったか、気づきませんでした。人の気持ちが分からない人かもしれないですね。
さて、その勇者は人々の声を聞いて、いつものように悪を成敗しようと北へ出発しました。
途中、盗賊などを退治しながら、ようやく北の大国に着きました。悪い人じゃないんですよ。

北の大国について早々、勇者はまっすぐな人なので、大声で人々に告げました。
「私は悪を退治する者。人々よ、君達を苦しめるという王は私が成敗してくれよう」
勇者の近くにいた人々は、最初、あっけにとられていました。
しかし、彼の表情が本気であることを見ると、多くの人は笑い、その他の人は、可哀想なものを見る目をしました。
人々の反応にびっくりした勇者は聞きました。
「何がおかしい?」
大人達は関わりたくないと、そそくさと離れていきました。残った子供が答えました。
「ウチの王様は、僕らを苦しめたりしないよ。どこかと間違えたんじゃないの?」
「そんな筈はない。この国の王は、剣や鎧を集めて戦争の準備をしていると聞いたぞ。戦争を企むなんて、悪いヤツだろう」
「なんかよく分からないけど、知らない人を悪く言うのは良くないって、母ちゃん言ってたぞー」
勇者は子供に対して、呆れながら言いました。
「悪いヤツを悪いと言うのは良い事だぞ?」

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さぁ、この物語を聞く子供達よ。
皆はこの勇者をどう思うかね?皆で感想を言い合ってみようか。
そして、この話の続きを皆で作ってみよう。よく話し合い、よく理解し合うんだよ。
そして、ネコリス達に聞いてもらうと良い。喜んで聞いてくれるだろう。




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最終更新:2008年06月09日 01:05