※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

恋心【執筆者/藍奈】






「・・・はぁ」
「?どうした、加藤。気分でも悪いのか?」

新作プロモの撮影が終わった楽屋。
隣では加藤が溜め息をついた。

「洋輔。気分は良いよ」
「じゃあ、何で溜め息なんか?」
「う~~ん。ちょっとね」
「?何か悩み事でもあるのか?」
「そりゃね。でも、大丈夫だよ。ありがとう、心配してくれて」

そう言うと加藤は健一の所に行った。
最近、加藤の様子が変だ。
何があったのか聞いても、さっきみたいに上手く逃げられる。
隠し事をしているのは目に見えて分かっていた。
俺だけじゃない。他のメンバーもそれには気付いていたが、知らぬふり。
おそらく事情を知っているのは健一ただ1人だろう。
今だって二人は真剣に何かを話し込んでいる。

気になる。

何が気になるって、加藤の隠し事もそうだけど何と言っても加藤と健一。
二人の関係が気になる。
何故って・・・・・俺が加藤の事を好きだから。
最初は自分の気持ちに戸惑ったさ。加藤は大切な仲間で、俺と加藤は男同士だから。
諦めようとも思った。けど、無理だった。
自覚したら最後。気持ちを止める事ができなかった。

「ね、洋輔」

でも、知られてはいけない。俺のこの気持ちは。

怖いから。

加藤に軽蔑されそうで・・・今の友達という関係さえも壊れてしまいそうで・・・・・こわい。

「ねぇ、洋輔ってば!!」
「わっ!な、何だよ。ビックリするだろ?健一」
「何回も呼んだのに反応しない洋輔が悪い」
「うっ・・・き、気付かなかったんだよ」
「ふ~ん。それより、洋輔。帰らないの?」
「え?」
「もう、みんな帰ったよ?」

健一に言われて周りを見渡すと、確かに楽屋には俺と健一しかいなかった。

「健一は帰らないのか?」
「帰るよ。だけど、洋輔ひとり残しておけないじゃん」

横に置いていた俺の鞄を手に取り歩き出す。
俺は少し遅れて楽屋を出た。








ピンポーン

客が来たことを知らせるインターホンが室内に響く。
時刻は9時を過ぎたとこ。

「誰だろ・・・こんな時間に」

玄関まで行くと俺は、覗き穴から誰が来たのかを見る。
すると、そこには思いがけない人物の姿があった。
俺は急いで鍵を開けた。

「加藤!!」

ドアを開けるとそこには加藤の姿。

「洋輔・・・・・」
「・・・・・・あがれよ。外、寒いだろ?」
「・・・うん」

俺は加藤を中に入れると、キッチンに向かう。

「何か飲むだろ?温かいものがいいよな?」
「あ、ありがとう。何でもいいよ」

2人分のマグカップを用意してコーヒーを入れる。
加藤は何しにここに来たのだろう。話なら電話でも済むだろうし・・・・何か大事な事なのかな。

「熱いから気をつけろよ」
「うん。ごめんね?」
「いいよ、気にすんなよ」

俺はコーヒーの入ったカップを渡しながら、加藤の横に座る。
俺からカップを受け取ると、加藤は静かにコーヒーを口にした。
暫らくたってから俺は加藤に問いかけた。

「なぁ、加藤。何か用があったんじゃないのか?」
「・・・・・」
「加藤?」
「・・・ねぇ、洋輔」
「ん?何だよ」
「洋輔は、好きな人・・・いる?」

<font size=4>ドクン</font>

好きな人?いるに決まってる。目の前にいるお前だよ、加藤。
けど言えない。加藤が好きだなんて・・・言えない。

「ねぇ、いるの?それとも・・・・いないの?」
「・・・・・い、いるよ。一応」
「っ!・・・・そう。いるんだ」

このとき俺は気付かなかった。
俺の答えに加藤の顔が辛そうに歪んだことに。

「どうしたんだ?急に」

あくまでも平静を装いながら質問の真意を聞く。

「ううん。何でもない・・よ」
「?・・・・ならいいけど」

おかしい。

やっぱり、何か隠してる。
口では何でもないと言ってるけど顔はそうは言ってなくて。
何か隠してるだろ?と聞いても、きっと上手くはぐらかされるに決まってる。
かといって、この少しぎこちない空気は何とかしたいし。

「加藤はどうなんだよ」
「何が?」
「好きなやつ・・・いるのか?」
「!!」

加藤の肩がビクリと揺れる。

「健一?」
「え?」
「加藤の好きなやつって、健一だろ?」
「洋輔?何言って・・・」

明らかに動揺している加藤。
図星・・・だよな。これは。

「や、いつも健一と一緒にいるだろ?メンバーの中でお前と健一って一番仲いいし」
「確かに健一とはいつも一緒だけど・・・」
「二人だけでよく話とかしてるし。俺達の知らないこと健一は知ってるみたいだしさ」

何言ってんだろ、俺。
こんなのが言いたいんじゃない。
加藤を困らせたいわけじゃない。
なのに、口から勝手に言葉が出てくる。
自分じゃどうしようもできない。

加藤のほうを見ると、加藤は・・・・静かに泣いていた。

ズキン

心がイタイ。
傷つけてしまった。
俺って、サイテーだな。

俺はそっと加藤を抱きしめた。

「ごめん・・・あんなこと言うつもりはなかったんだ。ほんと、ごめんな」
「っく・・・・ようすけ・・・離して」
「嫌だって言ったらどうする?」
「そんな・・・困るよ・・」
「・・・・そうだよな。困るよな。分かった、離すから泣かないでくれよ。な?」

ゆっくりと加藤を離す。
加藤は未だ泣いている。

「洋輔・・・・っく、何であんなこと言うの?」
「・・・・・」
「何か誤解してるみたいだから・・・この際、言うけど」

涙を拭いながら加藤は真剣な顔で俺を見る。

「僕には好きな人がいる。それは確かだよ」

やっぱりな。で、その好きな人っていうのは健一なんだろ?
改まって言わなくても分かるよ。

「でも、僕が好きなのは健一じゃない」

ほら、健一じゃないか・・・・え?
今、健一じゃないって言ったよな?俺の聞き違いじゃなければ。

「僕が好きなのは・・・・」

誰?なぁ、加藤。お前は誰が好きなんだ?


「洋輔」


そう。俺・・・・!!??

「あ、あの・・さ。加藤?誰が好きって?」
「だから、洋輔。僕の好きな人は、洋輔だよ?」

これは夢か?幻か?幻想か何かか?
頭が混乱する。
加藤の好きな人は俺。俺の好きな人は加藤。
つまり、俺達は両思いってことか?

「健一は好きだけど、それは友達としてだし。洋輔は誰が好きなの?」

少し顔を赤らめて言う加藤はとても可愛くて。
俺は思わず抱きしめていた。

「ちょ、洋輔?何・・」
「・・・・だよ」
「え?聞こえなかった」

加藤の耳元で小さく呟く。

君が好きだと。


「加藤、好きだよ」


俺の言葉を聞いた加藤は耳まで真っ赤にさせて、俺の胸に顔を埋める。
そんな仕種が愛しい。

離したくない。

離さない。

「洋輔」
「ん?」
「本当?僕の事・・・好きって//」
「・・・・・」

俺は加藤の顎に手を掛け少し上を向かせる。
そして、触れるだけのキスを贈る。

「/////」
「これで、信じてくれるか?」

問いかけると加藤は小さく頷いた。

可愛い。

俺は加藤にこんな事を聞いてみた。
どんな反応してくれるのか。

「な、加藤?」
「なに?」
「今日さ・・・・泊まってかない?」
「//////」
「ダメ?」
「・・・洋輔のバカ//」

これ以上ないというほど顔を赤くさせ、それでも否定はしない。

今日は、長い夜になりそうだな。

俺は一人これから起こる事・・・いや、起こす事に期待と喜びを抱いていた。





⇒NEXT
|新しいページ|検索|ページ一覧|RSS|@ウィキご利用ガイド | 管理者にお問合せ
|ログイン|
  

更新履歴

取得中です。